こういうお店こそ蕎麦の名店と呼びたい。 : 蕎麦 魯庵

最近、少々蕎麦づいています。
今年(2020年)は、記録的な暑さを記録した8月が明けてもうだるような暑さが衰えることなく続いており、この日も九州西方を北上する台風の余波で南から暖かく湿った空気が流入し、とても不快な1日になりました。
そんなことで、この日も涼やかな蕎麦店を求めて食べログで良さげなお店を探索します。

その結果、探り当てたのがたまプラーザにある当店でした。

当店、2011年6月のオープンですので、開業丸9年を超えたところですが、レビュー数71件で評点3.53点と、少なくとも食べログ上は安定した実力のほどが窺えますね。
フォローレビュアー様も11件レビューされており、その評価が押し並べて高いのも私にとって背中を押してくれる要素になります。

たまプラーザは、横浜市にはなりますが、住まいのある武蔵小山からだと大岡山乗り換えで30分ほどと、それほど遠い土地という印象はありません。
加えて、この先の目標として、神奈川県のエリアメダルのマスター(2,000件レビュー)を目指そうかなという野望も多少胸の内にあり、そのために神奈川県のレビューを積み上げておくことは意味のあることなので、それも今回当店を訪れる動機になりました。

当店は、たまプラーザ駅の西口側。駅前通りに並んである東急百貨店とイトーヨーカドーの裏通りにあたる通り沿いにお店を構えています。
たまプラーザ駅からだと多少上りはありますが、徒歩5分まではかからない距離感です。

当店は、ランチタイムは11時半からの営業。その時間を目指して伺いました。

11時半ぴったりにお店に着くと、店頭には２組3名ほど待っているお客さんがいましたが、程なく店内に招き入れられましたので、私もその人たちに続いて入店します。

当店、夜は蕎麦バーになるようで、なかなかオシャレな雰囲気があります。
L字型のカウンター席が11席とテーブル席が16席あって、計27席のキャパですが、こじんまりまとまっている印象を受ける店舗です。
先客2組は、カウンター席の両端に座ってましたので、私は、そのちょうど中間くらいのL字の曲がり角の席に座りました。

卓上には2種類のメニューがあり、セットメニューなどを中心にしたランチメニューと、単品メニューが中心の本日のおすすめメニューです。

当店は、原材料に対するこだわりがかなり徹底されているようで、例えば、蕎麦については、北海道から山形、茨城、福島などの全国様々な産地の蕎麦の実を天候や蕎麦の実の出来具合により変更しながら仕入れて店で製粉し、挽き立て、打ちたて、茹で立てにこだわっています。
この日は店頭に「夏新そば」として、栃木県矢板市産の蕎麦が使われている旨の掲示がありました。

また、肉類についても、鴨肉は宮城・蔵王連峰の麓の豊かな自然環境の下で、ミネラル豊富な竹炭水と何種類もの発酵菌にこだわった飼料を用い、70日以上の飼育日数をかけて、伸び伸びとストレス無くじっくり丹念に育てられた鴨肉を使用しています。
鶏肉についても、鳥取県名産の銘柄鶏である「大山どり」を使用しています。

さらに、鰹節は“鰹節の本場”鹿児島県の枕崎産の物を使用、卵は名古屋コーチンの卵を使用などあらゆる食材を吟味しているのがお店の大きな特徴になっています。

このように原材料に徹底的にこだわっていながら、蕎麦の価格は、町のお蕎麦屋さんみたいに安くはないものの、よく見られるお高くとまっている蕎麦専門店のような法外なお値段ではありません。
あらかじめ、これらのことは頭にインプットしてありましたので、注文は、単品のおすすめメニューから、こくうま‼︎鴨蕎麦@1,100円を注文しました。
温かいものと冷たいものがあるので、冷たい方を選択しました。
いわゆる鴨せいろというやつですね。

待つこと8分ほどで注文の品が提供されました。
中央の盛り上がった円形のせいろには、見た目とても瑞々しい蕎麦が盛られています。
量はやや少なめで、壮年男性だと大盛り@300円、又はお代わり蕎麦@650円を頼んだ方がいいかもしれませんね。
暑くて食欲今ひとつの私は、普通盛りにしましたが。

鴨汁は、やや細かく刻まれた鴨のロース肉がたっぷり入り、見た目鮮やかな青ネギとコラボしています。

蕎麦を鴨汁につけていただきます。
豊かな鴨の風味に青ネギと柚子の風味が重なり、これぞ鴨せいろという上々の味です。
蕎麦も風味豊かで適度なコシもあり、鴨汁との相性もぴったり。
これだけの味が出せるのは、原材料へのこだわりがあればこそなのでしょうね。

最後は蕎麦湯でフィニッシュするのですが、蕎麦湯用に別の器が用意されており、鴨汁を適量そこに入れて蕎麦湯で薄めて飲むスタイル。
蕎麦湯好きの私ですが、こういう飲み方を念頭に置いている蕎麦屋さんはあまり無いので、この点も私の嗜好にピタリでした。

まだお若いご夫婦らしきお二人の接客もとても好感度が高かったですし、当店、本当に素晴らしいです。

この日は11時50分頃まで在店しましたが、私の後からも2組ほど新規客があり、そこそこ流行っているのが分かります。
ただ、当店の実力からいって、もっと流行ってもおかしくないと思います。
新型コロナの影響がどの程度なのかは分かりませんが、歴史は浅くともこういうお店こそ蕎麦の名店と言うべきなのだろうと思います。
老舗ということに胡座をかいている一部のお店には、例え百名店であろうと何であろうと、当店の爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいの気持ちです。
来年、2021年には創業丸10年を迎えますが、10年に留まらずにその先を目指して発展することを望みたいですね。