良い味付け、良い食材 : 日本料理 神田

こちらの和食店の事が記憶にしっかりと残っており、前回の訪問から短い間隔で再び足を向けた平日のお昼時。暖簾がかかっているのを確認して店内を覗きますと、満席。もう人気店になってしまったのでありましょうか。無理だと思いながら気弱に扉を開けて店員さんに 1名と告げますと、嬉しい事に2階へ案内してくれるのであります。店員さんは大陸系の方なのではありますが、丁寧に接客しようと心がけている雰囲気をしっかりと感じられるのであります。これも「店主の教育が行き届いているからであるな」と思いながら「適当な接客を良しとしている中華街のお店にはしっかり見習って欲しいな」とも思うカントナなのでありました。

向かった2階は、小さな部屋にテーブルが3席。4人掛けの大きなテーブル席に案内されます。オーダーするのは店先の黒板でチェック済みのお刺身定食。黒鯛に鮪にカンパチのお刺身定食。

温かい布おしぼりとお茶をいただいて待つことほんの数分で定食の到着。お刺身の他にはコンニャクを炊いたもの、大豆を炊いたもの、サラダに味噌汁にご飯のラインナップ。まずはお味噌汁からいただきます。味噌の味をしっかり感じるお味噌汁。前回の方がアチアチで美味しかったのではありますが、充分に合格点なのであります。ご飯も前回の方が炊き具合が絶妙でありましたが今回はややダマ的な具合を感じてしまうのであります。

炊いたもの2種のコンニャクは味が染みていてしっかりおかずになり、大豆は柔らかく炊けていてしっかりおかずになるのであります。どちらも味付けのベースと言うか、芯がしっかりしておりますので、日本人の心に染み入る満足感なのでありました。

メインのお刺身。カンパチはとても脂が乗っていて味わいが深くてうっとりするのであります。鮪があまり好きではないカントナでも美味しく食べられる鮪はしっかりとした歯ごたえで、旨味を感じ取れるのが美味しいポイントなのでありました。

料理の具合が良いお店は仕入れる食材も具合が良いのでありましょう。刺身のツマもシャキシャキで立派で、ツマであろうと美味しくいただけてしまうのであります。

もちろんご飯はススム君でありますのでお代わりをお願いいたします。2階からお代わりの依頼をおこなうのは難しく、カントナ自ら1階に降りて店員さんにお願いする事になるのは仕方ないと思うカントナなのであります。

良い味付けに目利きの良いお刺身。良いお店に巡り合えた事を改めて実感してお店をあとにするカントナなのでありました。

時は平日のお昼時。「中華街で美味しい魚を食べよう」と向かったのが、某魚屋経営の中華料理店。その道を挟んだ向かいに和食のお店が出来ていた事を思い出して、こちらでも魚がいただけるのかメニューを拝見してみる事にいたします。

そこは居酒屋さんのような雰囲気のチープな感じのお店。店先のランチメニューを拝見いたしますと、「アジフライ」という単語を発見。琴線を揺さぶれる単語なのであります。外からは中の様子が全く伺えず、広いお店なのか狭いお店なのか、満席なのかガラガラなのか、店主は強面なのかそうでないのか等々が分からずイジイジしておりましたが、アジフライという単語に勇気づけられて意を決して扉を押して入店する事にいたします。

ガラリと扉を引いてみますと、2階もある様子ではありますがテーブル3つの狭い店内。お客さんは1組。空いている4人掛けのテーブル席に座らせてもらってメニューは拝見せずにアジフライをお願いしてみる事にいたします。

調理場の方から店主さんらしき方がチラッと様子伺いされたのを発見。そのチラッとの振る舞いが何故だか「店主の意気込みが感じられる」のと、「美味しいお店なのであろうな」と思わせるオーラのようなものを感じ取るカントナなのでありました。

オーダーを通しますと、温かいお茶とおしぼりが到着。布おしぼりであるのが嬉しいのであります。料理の到着を待っている間、油で揚げるサウンドがあまり聞こえないのが不思議なのであります。しばらくいたしますと、店主さんの掛け声によって店員さんがご飯の盛り付けを開始いたします。ご飯を盛るタイミングも、おかずが完成に近づいた頃合いを見計らってくれている様子。こういう当たり前の事をしっかり対応してくれている事に「ますます意気込みが感じられるな」と、喉を鳴らすカントナなのでありました。

トレイに載せられて小鉢2つとお味噌汁とご飯とメインのラインナップが登場。ご飯はお代わり自由との事。ありがたい限りなのであります。まずは小鉢のサラダをいただきます。水菜と大根のサラダは和風ドレッシング。サッパリしていて野菜はシャッキリしていてとてもいい塩梅。ちゃんと作ればサラダでもずいぶんと差別化出来る事を改めて理解するカントナなのでありました。

お次は味噌汁を一口。出汁がしっかりとれている上に、良いタイミングで出汁を引き上げているのでありましょう。雑味の無い旨味が上等で、口内への味わいの広がり具合も抜群なのであります。加えてアチアチなのがとれも嬉しいのでありました。

ご飯を一口。柔らかくもなく固くもなく、本当にちょうど良い炊き具合は、ご飯の炊き方の見本のように感じるカントナなのであります。

ようやくメインのアジフライをいただきます。ここまでの良い具合で期待値を上げているカントナなのであります。やや小ぶりに感じるアジフライにソースとタルタル。辛子は別添えである事にこだわりを感じるのであります。サッとソースを付けて口内に運びますと、「ふっくら」という言葉がピッタリで、「サクサク」という言葉もピッタリで、「上品」という言葉もピッタリくるアジフライなのであります。久々に美味しいアジフライをいただけたカントナは、ご飯がススム君になってしまい、ご飯をお代わりする事にいたします。魚の下ろし方も揚げ方も丁寧さをしっかり感じられるアジフライに満足なカントナなのでありました。

「良いお店を見つけたな」と大満足なカントナは
お会計を済ませてごちそうさま。眼光鋭い店主は とても大きな声で「ありがとうございました」を 返してくれて、「こういったところも一流料理人は違うな」と店主を勝手に一流に引き上げて、気分良くお店をあとにするのでありました。