昭和を感じるバランスの良い餃子と、優しい味噌ラーメン : 餃子会館ふく龍

「餃子会館だけど味噌ラーメンが美味い」と言う友人のレコメンドがずっと気になっていたカントナは、最近の「味噌ラーメンマイブーム」に乗じて、平日の夜に訪問してみる事にしたのでありました。

胃袋を「味噌ラーメン待ち構え状態」にしてから入店をいたしますと、お客さんはおらずカントナの貸し切り状態。テレビが観やすいテーブル席に陣取って、メニューを拝見いたします。相変わらずの昭和の町中華的な様相は、昭和のカントナを落ち着かせる効果が絶大なのであります。

卓上のメニューから、お目当ての味噌ラーメンを発見いたします。値段は600円。昭和で時が止まったお値段なのであります。「それならば」と言う事で、1枚450円で提供されている、こちらも時が止まったお値段の焼き餃子もお願いする事にいたします。

早速お母さんにオーダーをお願いいたします。「味噌ラーメン！」と伝えた際の、お母さんの困惑したような表情への一瞬の変化を見逃さなかったカントナは、味噌ラーメンをオーダーして良かったものなのか、何だか不安になるのでありました。

そんな不穏な空気を感じながらもオーダーを通しましたので、しばし待ちの時間。テレビを観ながら待たせていただいておりますと、キッチンからは野菜関連を炒めるサウンドが耳に入ってくるのであります。

「カントナの味噌ラーメンのサウンドであるな」と深く頷いて、テレビに集中いたします。

待ち時間10分もかからずに、焼き餃子と味噌ラーメンが同着で登場いたします。「同着と言うのは、お母さんの熟練の技と優しさの結果なのであろうな」と解釈するカントナなのでありました。

まずは焼き餃子からいただきます。二度目のご対面の焼き餃子は、少々小振りの焼き餃子で、少しの焦げのある焼き餃子なのであります。

壁際に設置された調味料の中から、醤油とお酢とラー油を長年の経験と勘で適当に調合して準備完了であります。ちなみに、調味料関連の掃除がとても行き届いていて、清潔感が漂っているのが好印象なのであります。古いお店ではありますが、こういうところはやっぱり大事なのであります。

パクリと半分噛み切った餃子は、オーソドックスな焼き餃子。皮と餡とのバランスが良い焼き餃子。二度目の経験であっても表現は変わらずで、ニンニクの効き具合に皮のパリッとさ、そしてアチアチさが印象的である、素朴な焼き餃子なのでありました。

そして、お次はいよいよ本日のメインイベントであります味噌ラーメン。友人推奨の味噌ラーメン。お母さんの顔が曇った（ように見えた）味噌ラーメン。

そんな興味深い味噌ラーメンの見てくれは、薄い味噌色のたっぷりのスープ。真ん中には先程ジャージャーと炒められていた野菜類がこんもりと盛られているのであります。しかしながら「野菜類」とは言っても、そのほとんどをモヤシで構成されている「野菜類」なのであります。それでも、モヤシは味噌ラーメンに合いますので、良い印象は保たれているのであります。特に、お母さんの動揺的な要素は反映されていない様子の味噌ラーメンなのであり、「杞憂であったな」と安堵するカントナなのでありました。

早速スープからいただいてみる事にいたします。カントナ好みの濃さは出ていない味噌スープ。お母さんの作りそうな薄い濃度の味噌ラーメン。食べる人の塩分摂取量を気にしてくれている、アッサリ系の味噌ラーメンのスープ。カントナの好みではありませんが、気遣い的なものは感じても良いなと思うスープなのでありました。

お次は麺。醤油ラーメンにも塩ラーメンにも活用しているのであろうと思われる麺。敢えて「万能麺」と呼びたいと思う、味噌ラーメンの味わいと同様に優しいカントナなのであります。

焼き餃子は地味ではありますが、バランスの良さは前回と変わらず。友人が推挙した味噌ラーメンは期待していたものとは異なる優しい一品。

「アイツとは昔から味覚が合わなかったな」と、思い返すカントナなのでありました。

時は平日の夜。「餃子が食べたい」という病気が発症してしまったカントナは、伊勢佐木町近辺で良い評判を耳にした事のあるこちらのお店に向かうのでありました。良い評判を耳にしなければ入店に躊躇するであろう古びた外観と「餃子センター」という理解が追い付かない看板。

良い噂しか知らないカントナは躊躇無しにガラリと戸を引いて入店いたしますと、カウンター席と少しのテーブル席の店内。お客さんは3名。今日の勤労の疲れをささやかに癒しているであろう先輩サラリーマンに心の中で一礼して、カウンター席に座らせてもらいます。

メニューを拝見いたしますが、気持ちは強固でありますので焼き餃子以外の選択肢は無く、餃子2枚とビールをお願いする事にいたします。

まずはスーパードライをコップに注いでゴクゴクと体内に染みわたらせます。これで一つ落ち着いたカントナは、タクアンをポリポリしながら心落ち着かせて餃子が焼けるのを大人しく待つのでありました。

待つ事10分もかからずに到着した餃子は、1人前6個の12個がお皿にひっくり返っての登場。早速お醤油にお酢にラー油を混ぜて準備を完了させ、そのタレを餃子にツンツンしてからいただきます。

大きさや餡の割合はバランスが良く、外はカリッと中はモチっとの良い具合。皮は弾力がありますが、ちゃんと期待通りのところで噛み切れるのであります。ニンニクはそれなりの量で、ニラもそれなりの量。勤労の埃を落とすサラリーマン諸氏には精がついてちょうどいいのかも知れないのであります。 カントナ的にもニンニクやニラの具合が気になる事は無く、その混ざり具合も問題無いのであります。 「バランスがとても良い」と感じる餃子は水分量の多い餡が印象的。餡の味わいもしっかりありますので、 水分量の多さが「水っぽい」というような事にはならず「ジューシー」に思えるのでありました。

「餃子会館」の意味は最後まで不明でありましたが、「餃子の評判が良い」というのは、そのバランスの良さから充分に理解出来たカントナなのでありました。