蕎麦ツユよりもルーを感じるカレー丼 : 味奈登庵 本店

「あまり時間が無い」「軽いものを食べたい」。そんな願いを叶えてくれそうだったのがこちらのお店。

あまり期待値は高めずに「いつもの天ざるかな」とイメトレして入店いたします。

テーブル席に座ってメニューを拝見しておりますと、何だか気分は「蕎麦屋のカレー」に。強い引力のカレーに引っ張られた結果「カレー丼セット」に決定いたします。

蕎麦は大盛りをお願いしてしまったのは、期待値の高さを現しているのであります。

待つ事６分程度。セットがトレイに乗っけられて到着であります。二段の蕎麦。ツユと薬味。お漬物。そしてカレー丼にお味噌汁の豪勢な構成であります。

なかなか立派な盛り具合のカレー丼からいただきますと、家庭的な味わいで、平たく言うと家で食べるカレールーの味なのであります。そして、蕎麦屋のカレーで期待する蕎麦ツユの存在よりも、ルーの存在を圧倒的に感じるのであります。したがいまして、カレー丼なのかカレーライスなのか、その違いは分かりにくいものなのでありました。

そして、カレー丼のお供であるワカメがたっぷりのお味噌汁は、出汁感も味噌感も無くて、あまり美味しくは無い代物なのでありました。

お次は蕎麦であります。普通に食える蕎麦。だけれども、それ以上でもそれ以下でも無い普通の平坦な味の蕎麦。無心になって平らげる事のみに集中するのであります。

違いの分からぬカレー丼と、平坦な味の蕎麦。とりあえず「空腹はしのげた感」のあるお腹いっぱいの夕飯。チョイスが悪かったからなのか、違いの分からぬ味に気持ちの充足度は低かったカントナなのでありました。

最近、がっかりな天ぷらに出会ってしまい心の底から悔しいカントナは、悶々と日々を過ごすのでありました。

そんな傷心の日々の中で、何となく思い出したのがこちらのつけ天。「がっかりなお店よりも、こちらの天ぷらの方がよっぽど良心的であったよな」と思った舌鋒鋭いカントナは、慰めてもらおうと早速訪問する事にするのでありました。

少し早めのランチ時に入店いたしますが、既に９割くらいのお客さんの入り。相席テーブルを案内いただいて着席であります。

コロナ対策として簡易的衝立が設置されておりますので、少しは安心なのであります。

オーダーするのはもちろんつけ天。蕎麦は大盛りでお願いいたします。コロナ禍でお昼前と言うシチュエーションではありますが、それでも結構な盛況振りなのであります。

待つこと１０分ちょっと。久しぶりに目にしたつけ天。蕎麦に天ぷらの、お約束の組合せ。

ツユを注いで、まずは本日のお目当ての天ぷらからいただきます。２本あるゴボウからいただきますと、ガリっと反応するゴボウらしい力強い歯応えと土の香り。う〜ん、ぬるいのであります。揚げたてでない天ぷらが美味い訳は無いのであります。お次もぬるいのであろうなと思いながら大振りな海老にかぶりつきますと、果たしてぬるいのであり、天ぷらの神様に見放されたのだと思い、「当分天ぷらは自粛しよう」と諦めるカントナなのでありました。

お次はお蕎麦。以前はカラッカラに乾いていた蕎麦なのでありますが、本日はその乾き具合はやや薄れている程度の良化は認められるのであります。小麦を感じる蕎麦、薄い蕎麦湯。つけ天になりますとお値段はそれなりで、本日のコスパは非常に良くないなと思うカントナなのでありました。

それなりに待たされた割には天ぷらは常温に近く、蕎麦は乾燥気味で、待たされた理由が何に反映されているのか見出し難い本日のつけ天。ごちそうさまをしてお店を後にしたカントナは、サラリーマン諸氏が構成している長い待ち行列を横目にしながら、美味しい天ぷらに巡り合うその日を楽しみにするのでありました。

たまたま会話に挙がった味奈登庵。それほど味奈登庵に思い入れは無いカントナなのでありましたが、「いつもつけ天を食べている」という先輩の声を耳にして、何だか急に興味心が強くなったカントナなのでありました。

自身のレビューを探ってみますと、何度か訪問していてレビューも上げているようなのでありますが、何故だか記憶にはほとんど残っていない健忘症のカントナなのであります。

したがいまして、再訪なのではありますが初訪問のようなフレッシュな気持ちで本店に足を踏み入れますと、お昼時を外していたからか7割くらいのお客さん。待つこと無く相席用の大きなテーブル席に座らせてもらってメニューを拝見いたします。

オーダーは既に決まっておりますので、寄って来た店員さんに伝えるのは「つけ天の蕎麦の大盛り」。常連さんのような即決なのであります。

無事にオーダーを伝えましたので、お茶をズルズルしながら待たせていただきます。

待つこと5分ちょっとでありましょうか。オーダー品の到着であります。「思ったよりずいぶんと早いな」という感想を抱く大盛りの蕎麦は、重量に負けたようにうなだれたような見てくれで盛られております。「富士山」までは行かなくとも「丹沢山」くらいは盛られているなと思うカントナなのでありました。そこから時計回りに薬味、ツユ、天ぷらのラインナップ。

早速ツユを注いで、まずは蕎麦からいただきます。ズルズルとすすった蕎麦は、ボソッとした印象の口当たりなのであります。あらかじめ作っておいた蕎麦なのでありましょうか。みずみずしさはまるで無く、生命力のような弾力も感じない蕎麦。そんな蕎麦をすするためのツユは、結構な醤油の辛さを感じる印象的なツユ。深みは無くて軽いツユなのでありますが、結構「嫌いじゃない」ツユなのでありました。

カントナ好みのツユに救われた蕎麦のあとは、天ぷらに箸を伸ばします。作り置き疑惑の蕎麦とは違って、天ぷらはしっかり揚げたてのホクホクさを感じるのであります。そんなアチアチの天ぷらに「味奈登庵の良心が残っていた」と、勝手に安堵するカントナなのでありました。

ボソボソした蕎麦を辛めのツユにたっぷり浸して喉を通す快感を味わったり、揚げたてで素材の甘さを感じる天ぷらを辛めのツユにチョンチョンしていただいたりと、蕎麦よりも天ぷらよりも活躍している辛めのツユが何だかとても気に入ってしまったカントナは、提供された薄い蕎麦湯も辛めのツユで満喫するのでありました。

時は平日の夕方。お腹を空かせたカントナが訪問したのがこちら。こんな時間帯であるからか、お客さんはタクシー運転手さんらしき1名のみ。店先にある食券機からざるそばをチョイスして店員さんに渡します。テレビが良く見える席に座って待つことほんの数分でざるそばの完成。普通盛りでも充分なボリュームなのであります。

早速いただきますが、蕎麦はゴムのようで味わいは無く、ツユは醤油がキリッと立っているように感じるのではありますが、まったりとして奥行きの無い味わい。柔い茹で加減の蕎麦は、箸で持ち上げますと幾つかがくっついて、一緒にたくさん持ち上がってしまうのであります。

時間があまり無いカントナは「短時間で食事を済ませるには好都合であるな」との評価をしてお店をあとにするのでありました。

お昼時に山下公園近くをウロウロしていたので久しぶりに訪問してみる事に。もうかれこれ何年振りなのか分かりません。

富士山盛りで有名なお店ですが、そんなヤボで胃腸に負担のかかるような事はチャレンジしないように心に誓っているカントナが目指すのはズバッ！と天丼。天丼もヤボで胃腸に負担がかかるような気もしなくもないですが。。

メニューの決まっているカントナは、店先のサンプルを一瞥して入店。中央の「おひとり様相席用｣らしき大テーブルに座り、「天丼セット」をオーダーします。蕎麦は「冷たい蕎麦」をチョイス。盛り具合は普通。大盛りにしても値段は変わりませんが、体調を鑑みて自制して普通盛りにいたします。天丼セットで1000円オーバーとはなかなか強気なプライシングけではあり、｢やっぱり大盛りにして、少しでもお店側の被害を拡大させておけば良かったか｣と、やや悪魔が出てきて心乱されたりしたのではありますが、そんな事は表情には出さないでお茶をすすりながらしばし待ちます。

民芸調の店内はほとんどがサラリーマン。それも中年サラリーマン。そのほとんどがやはりザル蕎麦をオーダーしております。店員さんはだいたいおばさん。蕎麦屋にはおばさんが良く似合います。

10分くらい経過したでしょうか。愛想の良い配膳係のおばちゃんによってドスドスと運ばれてきた天丼セット。茄子にカボチャにキスに海老にししとうという、なかなかのラインナップ。重量打線であります。迎え撃つカントナ投手は最近は胃腸が弱くて、勝負する前から気持ちで負けているのであります。

全体的にはボッテリしているように見える天丼。これがタレのせいなのか油切れが悪いのかは分かりませんが、多分両方の要因が複雑に絡み合った結果であると思われます。

そんな天丼の海老は大きくて身がしっかり。そして縮んでいないのが素敵であります。柔らかく仕上がっていて、悪く言うとフニャフニャの一歩手前。そのフニャフニャの一歩手前なのは海老以外の全ての天ぷらに該当するのでありました。タレは醤油が前面に出た尖った系のタレで、ちょっとキツイタレであります。

そして、色白な蕎麦はコシが無くて味が無くて立ち食い蕎麦屋さんのレベル。こちらのツユも醤油が前面に出ている尖ったツユであります。こういう蕎麦をザルで食べると、美味しくないのが際立ってよく分かります。べっちゃり系の天丼と味のしない色白の蕎麦を醤油の味を感じながら黙々といただくのでありました。カントナは蕎麦の味が分からない蕎麦馬鹿ではありますが、立ち食い蕎麦屋に近い蕎麦であるのではないかと想像に難くありません。

味噌汁はダシ効いてまろやか。家庭の味。「配膳係のおばちゃんが作るとこうなる」というイメージが出来る味噌汁であります。

漬物は浅漬けでこちらも「配膳係のおばちゃんが漬けたらこうなる」というイメージが出来る浅漬けでありました。Ｑちゃん系ではない漬物であった事も救いでありました。

そんな配膳係のおばちゃんの自己解釈流の接客は、ちょっとトロくさいところもありますが、嫌味が無くてカントナは大好きなのであります。

お昼時だからか、あんまり長居するには向かない雰囲気でありましたので、胃腸の調子を整えてからお会計。

このお店は、味よりもボリューム重視なのであると勝手に理解した胃腸の弱くなったカントナには縁遠いお店になりつつあると自覚しながらお店を後にするのでありました。