出汁全面の温かい蕎麦 : 味奈登庵 山下店

先日訪問したゆで太郎での温かいお蕎麦に感銘を受けたカントナは、「それではこちらのお店の温かいのも試してみようかしら」と、楽しい事を思いついてお店に向かうのでありました。

温かいお蕎麦が似合う、風が強くて寒い日。お昼を過ぎた閑散とした時間帯。お店外に設置された券売機で温かい蕎麦を見つけて、ゆで太郎と同じかき揚げ蕎麦にすべく「かけ蕎麦」と「かき揚げ」をポチッとするのであります。

入店して右手のおじさんに食券を渡して、水をセルフで注ぎ入れてから座席を確保してしばし待ちの時間。

カントナ含めて３名のお客さん。みんなテレビをじっと見つめているのであります。

カントナもその仲間に混ぜてもらってワイドショーを観ながら待つこと６分くらい。

オーダーが入ってから蕎麦を茹でているようで、「結構待つものであるな」と思い始めた頃に「かけ蕎麦とかき揚げのお客さん～」と周囲にオーダー情報を漏洩されたカントナは急いで受け取り伺うのであります。

割り箸とレンゲをピックアップして、「かけ蕎麦とかき揚げのお客さん」は帰還するのであります。

多分お初であろう温かいお蕎麦。じっくりと観察する事にいたしますと、丼の９割くらいまでなみなみと注がれている汁。蕎麦の量も一般的なお店の１．５倍くらいでありましょうか。「富士山盛りを擁する味奈登庵らしいボリュームであるな」と思うカントナなのであります。

日頃から飢えているカントナのような人には、嬉しい盛り具合なのであります。

かけ蕎麦は、蕎麦とカイワレ大根のみ。ネギとかき揚げは別盛りの構成であります。

まずは蕎麦をいただいてみますと、フニャッとした蕎麦。いつもは冷たく締めてありますので、柔らかく感じるのであります。少しの弾力と微かな歯ごたえの蕎麦をすすりますと、ブワッと感じる汁の風味はカツオの乾物がベースなのでありましょうか。醤油やみりん系の風味よりも出汁全面の汁は某ゆで太郎さんとは対極であり、「味奈登庵さんの汁の方が大人な風味であるな」と思うカントナなのでありました。

そしてかき揚げ。別盛りにしてくれたご厚意を無駄にせぬようにまずはソロでいただいてみますが、いたって普通のかき揚げであります。しかしながら、揚げたてでアチアチであるのが特に嬉しいカントナなのであります。

ここからは別盛りのご厚意に反して丼に載っけて、正真正銘の「かき揚げ蕎麦」としていただいてみる事にいたします。

意図的にかき揚げを沈めてみますと、段々と汁を吸って崩壊してゆくかき揚げ。そんなかき揚げからは油が溶け出してきて、汁に新たな美味しさを提供してくれるようなのであります。

汁もかき揚げもアチアチ同士のコラボレーションは、汁の温度を更に上昇させたような気がして、カントナをますます喜ばせるのでありました。崩壊したかき揚げの一部を摘んでみますと、グズグズなのが想像通り美味しくて、味気ないかけ蕎麦の世界に素晴らしいアミューズメント要素を加えてくれる効果なのでありました。

途中からネギを少しずつ投下してみますと、出汁全面の汁はネギの複雑さが効果的に効いて、食欲を増進させるエネルギーを投下してくれるのでありました。

汁も蕎麦もボリュームのある温かい蕎麦と出来立てのかき揚げ。「味奈登庵らしさ全開であったな」と思うカントナは「甘さに甘えたい時はゆで太郎、出汁を浴びたい時は味奈登庵」。そんな分類を行なうのでありました。

お正月の名残りからか「揚げ餅を食べたい」と思い続けていたカントナが、パッと思い付いたのがこちらのお店。

早速ＷＥＢサイトを確認してみますと、カントナの記憶力通りメニューに「揚げ餅」が掲載されている事を確認いたしましたので、急いで向かった平日の夕食時。

店外の券売機に近付いて「もりそば」とお目当ての「揚げもち」。それから「いか天ぷら」をポチッとしてオーダー完了であります。

食券を携えて入店して店主さんに手渡して、待っている間にテレビが望める特等席の座席を確保いたします。

情報番組を目にしながら待つこと５分もかからずにカントナのオーダー品が完成したようで、取りに向かってトレイを手にして無事に帰還して、じっくりとその全容を眺めてみる事にいたします。

盛りの景気の良さそうな「ざるそば」、縦長でお皿からはみ出している「いか天」。そして、お皿からはみ出していない、想像よりも小さいサイズ感の「揚げ餅」の構成であります。

まずは蕎麦からいただいてみる事にいたします。変わらぬ普通の喉越しと普通の食感の蕎麦。そこに普通のツユ。可もなく不可もなくではありますが、一般的なチェーン展開の蕎麦屋さんの中では、安心感を抱ける蕎麦ではあると思うカントナなのであります。

お次は「いか天」。こちらも変わらぬロングないか天で、良い意味で消しゴムを上品にしたような食感が美味しいのであります。

そしていよいよ「揚げ餅」であります。箸で持ち上げてみますと、重力に身を委ねている感じのグデーッとした具合が良いのであります。油の中で随分と寛いだようで、微笑ましいのであります。早速実食いたしますと、薄衣によるサクッとした外側の食感と、熱が入った事による内側の柔い食感のコントラストが美味しいのであります。揚げる事によって、お餅の甘さも増している気もするカントナなのであります。

お目当ての揚げ餅に出会えたと言う満足度と、期待通りの美味しさであったと言う満足度の充足感に満たされるカントナなのでありました。

以前の訪問時に、背中越しのお客さん2人組が頼んでいたのが「イカ天丼と蕎麦のセット」。イカの天ぷらが大きくて丼からはみ出ていて、「美味しそうなビジュアルであるな」と羨望の眼差しで眺めていたカントナは、早速ネットで調べてみる事にしたのでありました。

味奈登庵にはセルフサービス傾倒とフルサービス傾倒の２種類のお店があるようで、イカ天丼はセルフ傾倒のお店でのみ提供されているようなのであります。

そんな予習バッチリのカントナが日を置かずに向かうのがセルフ傾倒のこちら。外置きの食券機の前に立って、イカ天丼のセットを探し出してボタンをポチっと押下いたします。

入店してすぐのところで食券を手渡して「ご飯少な目」と申告いたします。オーダー品が完成するまでの間に席を確保して、大人しく待つ方式のお店なのであります。

セルフ傾倒のお店であるからか、とても狭いお店なのであります。お情け程度に仕切りが設けられておりますが、隣との間隔は狭くて、お店も狭くて、このご時世では気になる環境なのであります。

そんな中でお茶をズルズルとやりながら待つこと６分くらい。「結構待たされるものであるな」と心配になっておりますと、「イカ天丼セットのお客さ〜ん」と呼ばれましたので、　「イカ天丼セットのお客さん」は、自己主張をしながら店員さんのところに向かうのでありました。

狭い通路でありますので、大惨事を招かぬように注意しまがら、トレイに載った天丼と蕎麦を無事に輸送して帰還いたします。

それなりのボリュームの蕎麦と、ご飯はちゃんと少な目にしてくれたイカ天丼。早速温かいイカ天丼から箸を入れる事にいたします。

ご飯少な目とはお願いしたのではありますが、「こんなに少なくしなくても良いのではないか」と思うくらいの少ないご飯の量なのであります。「任務に忠実である」と良い風に理解して、食に集中する事にいたします。

イカ天は以前目にした通り、立派なものが２本。アチアチでは無いにしても、それなりの出来立て感がカントナを喜ばすのでありました。そんなイカを噛み切ってみますと、少しの抵抗を継続的に受けながらもスッと歯が入る軽快なイカ天で、身の甘さも感じられるのであります。良い意味で、消しゴムを噛んでいるような食感と言うと怒られてしまうのでありましょうか？

天丼のタレは、適度な粘度と甘さが感じられてカントナ好みなのであります。だからこそ「ご飯がもう少しあれば」と残念がる自分勝手なカントナなのでありました。

蕎麦は前回同様ビシャビシャな、水切りが甘い蕎麦。本日はイカ天丼がメインでありますので、あまり気にしないようにするのであります。

イカ天丼は期待通りの長さと太さと歯触りで、「思っていた通りであった」と言う点に関しては、満足度が非常に高かったカントナなのでありました。「少ないな」と思ったご飯も、ボリュームのある蕎麦までいただきますと、お腹は膨れて胃袋も満足して帰路に着くカントナなのでありました。

以前、久しぶりにいただいた味奈登庵の「つけ天」。久しぶりであるからか、記憶に残る味でありましたので、早速確認の為に再訪してみる事にいたします。

再訪するのは以前とは別のお店。本日のお店は、ずいぶんと古びて狭いのであります。

店先の食券機を目にして、つけ天のボタンをポチッといたします。

入店してすぐ右手のところで食券を手渡してオーダー完了であります。時は平日のお昼時を過ぎた静かな時間。お客さんは数名。戦のあとの静けさが心地よいのであります。

空いている席を確保して待っておりますと、それなりの待ち時間を経由して「つけ天の方〜」とカントナが呼ばれましたので、早速出向いてトレイを受け取って帰還いたします。

「味奈登庵にしては結構時間が掛かったな」と思うカントナなのでありましたが、「時間が掛かっている」と言うのは「ちゃんと作っている」事であると解釈して、期待値を高めて早速いただいてみる事にいたします。

まずは蕎麦から。以前のお店では蕎麦が乾燥してパサついておりましたが、こちらのお店の蕎麦はしっとりとちょうど今水で締めた気配があって、「出来たて」感を感じられるのであります。しかしながら、逆に言うと「水切りが悪い」とでも言えるのであります。水が滴っていて気持ちは良くないのでもあります。そんな蕎麦を、特徴は無いけれども味わいが満遍なく満たされていて穴のない、醤油が効いたツユに浸していただいてみますと、可もなく不可もなくの蕎麦。水分量が多い分だけ以前のよりも喉越しが良いと言えるのでもありますし、気持ち悪いとも言えるのであります。しかしながら、「このお値段なら」とギリギリの許容範囲で許せるお蕎麦なのでもありました。そして、その甘い評価を支えている要因の多くは、関東地方限定で万人受けしそうな「ツユ」なのでは無いかと思うカントナなのでありました。

お次は天ぷら。天ぷらはもちろん出来たて感があって、アチアチでサクサクいただけて美味しいのであります。こちらも「このお値段なら」と充分に許せる天ぷらなのであります。

そんな分析を加えながら、蕎麦をズルズル、天ぷらムシャムシャでごちそうさま。背中越しの社会人カップルらしき２人が食べている「イカ天丼と蕎麦のセット」が妙に美味しそうで気になるカントナは、「もし次回があれば」と、狙いを定めるのでありました。