百名店にも色々あるということ。 : 勝烈庵 馬車道総本店

この日は、ギター仲間のコンサートを聴きに行きました。
17時過ぎまでのコンサートで、出演メンバーは打ち上げがあり、かつてのメンバーである私も希望すれば参加出来たと思いますが、やはり出演していない人間は打ち上げには参加しないというのが暗黙のルールでしょう。
ＫＹになってはいけないと思い、参加は遠慮しました。

それでもせっかく夕方に横浜近くにいるのですから、最近ちょっとばかり力を入れているとんかつ百名店について、横浜方面のお店を攻略するチャンスと考え、行程の関係もあって、今回は馬車道の当店をターゲットにしました。

勝烈庵と言えば、ハマっ子なら知らない人はまずいないと思われる横浜のとんかつの老舗ですが、そもそもは、昭和2年の創業。
外国人のコックが居留地関内にもたらしたカツレツを初代庵主の工夫で独特の和風カツレツとして完成させたのが嚆矢と言われています。
当店の最大の特徴は原材料へのこだわりで、豚肉を始めとした厳選された食材、特製の生パン粉、野菜と果物を2日間煮込み、1日寝かせて作る秘伝のソースなどはこだわりの象徴とされています。
さらには、味噌汁のしじみから味噌に至るまで全ての素材においてのこだわりを誇っています。

ブランチも現在、「相鉄ジョイナス店」、「鶴屋町店」、「鎌倉店」と3店展開しています。
また、勝烈庵フーズというテイクアウト業態のお店も横浜市を中心に12店舗出店しています。
さらには、フレンチの「馬車道十番館」も姉妹店なんですね。
ブランチのうち、相鉄ジョイナス店は2012年7月に利用、レビューしていますが、評価は芳しいものではありませんでした。
ただ、その時はとんかつ専門店についての経験値が全然足りない状態でしたので、食べログとんかつ百名店を30店以上踏破した今なら違った評価もあるかもしれないと若干の期待を持ちながらの訪問です。

関内までＪＲで出て、そこから徒歩でのアプローチになりました。
関内駅北口から馬車道方向にくねくねと進んだところにお店はありますが、関内駅からでも徒歩5分はかからないくらいだと思います。

角地にお店を構え、なかなか渋い外観で、ある意味の威圧感があります。
なるほど、これがこだわりとんかつのお店の外観かと。
雰囲気的には目黒の「とんき」に相通じるものがあります。

この日は18時15分頃の入店になりました。
早い時間だったにもかかわらず、店内は結構活気があります。
客も結構入っていますが、白衣を着た店員さんの数も目立ちます。
特に若い女性店員さんがパッと見ただけでも3〜4人はいそうです。
皆日本人で、この人手不足の折、人集めは大変なんじゃないかと同情しちゃいます。

カウンター席に座るように誘導を受けました。
卓上には、メニューブックが置かれています。
最初のページはとんかつの定食になっていますが、後ろの方には銘柄豚のロースにこだわったメニューなどもあります。

ノーマルとんかつは、ヒレカツ120gの勝烈定食が筆頭メニューで@1,728円。
180gの大勝烈定食が@2,376円とやはりとんかつ専門店価格。

ロースは、120gのロースかつ定食が@1,728円、180gの大ロースかつ定食が@2,376円、数量限定とされている120g〜150gの上ロースかつ定食が@2,160円です。

銘柄豚の方は、地元神奈川のやまゆりポークの他、山形の金華豚(平田牧場)、筑波山のもち豚、栃木の三元豚(銘柄名不詳)とラインナップしていますが、一番安いやまゆりポークでもロースかつ定食が2,160円とノーマルとんかつと比べると割高です。
名前を見る限りは、銘柄豚がかなり成熟しつつある現在では、言葉が適当かは分かりませんが、平凡な銘柄豚という印象で、それほどのこだわり度は感じません。

百名店では、そのお店の最上級メニューを頼むという路線でチャレンジしているところなのですが、当店の場合、銘柄豚があまりそそられないだけに迷います。
結局、ノーマルとんかつの最上級メニューである上ロースかつ定食@2,160円を注文しました。

当店は、ごはんとキャベツはお代わり自由のシステムなので、お代わりキャベツの先出しを頼んだところ、スムーズに提供してもらえました。
2種類のソースと自家製ポン酢で味変して計3皿平らげ、とんかつを待ちます。

とんかつは目の前で揚げているので分かりますが、中〜高温での比較的短時間での揚げと思われます。
揚げ上がったかつを数分冷ましてから（余熱で中まできちんと火を通してから）提供するようです。

私の上ロースかつは、注文から6〜7分ほどで揚げ上がってきました。
同時にごはんとしじみの赤だし、漬物が出されます。

かつは6切れに切られていましたが、130g〜140g程度のボリュームと思われます。
厚さは最大で1.2〜1.4cmといったところ。
上ロースとは言え、厚いかつではありません。
中までしっかり火が通り、脂身は端に偏っています。
サクッとした食感の衣は、生パン粉のなせる技か独特の感じ(焦げの味と言う人もいます。)はありますが、衣は肉に密着しておらず、端でかつをつまむとズルッと衣が剥がれます。
最近よく食べている低温揚げでは見られない現象です。
これも当店の特徴と思われる2種類のソースについても、特にインパクトは感じませんでした。

いかにも洋食屋さんのカツレツという感じで、とんかつ専門店のとんかつとは異質ですね。
店名が勝烈庵ですので、仕方ないところでしょうか。

とんかつ専門店としては正直時代に取り残された感じはありますが、この日の混み具合は、やはり老舗の2文字の強さでしょう。
ただ、その強さは観光客や初利用の客にしか効果はないのではないでしょうか。

多くのとんかつ名店が出てきている現在、どうして当店が百名店なのか極めて不思議な気がしました。
これが食べログの限界であり(老舗は高い評価になりがち)、百名店の限界でもあるのかもしれませんね。
百名店の中での順位づけなんかがあると面白いかも、なんて思ったりもしますが、どんなもんでしょうか？・・・