おじさんおばさん健在 : 野毛末広

おじさんおばさんは引退して、若い人にまかせているのかと思ったら、いた。
私が行くときに、たまたまいなかっただけなのか、それとも休んでいたのか。
トマトはやや小ぶり。
もつればタレがやっぱりいい。
椎茸とシシトウはなかなか出てこないので、若い焼き手が忘れているのかと思ったが、一番最後に出た。一番最初に頼んだのに、一番最後に出すとは、まだまだ修行が足りない。先代の域にはまだ達していないと思うが、これからも頑張って欲しい。

２週連続で、末広へ行ってしまった。
なんとまた行列してなかったのだ。
行列に並んでまで、焼鳥を食べたくはない。
ここの焼鳥は特別だ。特別だから行列してでも食べたい。
その気持はわかる。
だが、考えてみて欲しい。たかが焼鳥である。行列までして食べる意味はあるのか？予約？ばかばかしい。予約してまで食べる価値がある焼鳥なんて存在するのか？
いや、ある。ここの焼鳥は行列しても食べる意味があるのだ。
でも、予約するまででもない。とか、色々と考えながら、野毛小路を歩いていたら、末広に行列がなかったので、つい入ってしまった。

瓶ビール大瓶 790円（税込・以下同じ）
サッポロ。サッポロの株価がじりじりと上がってきている。
冷しトマト 450円
先週は売り切れだったが、今日はあった。
とてもうまいトマトだ。
来週も食べたくなるようなトマトだった。
もつ、れば 2本ずつ @240円
すべてタレで。串はこの２種類だけ食べれば満足だ。

食べログの記録が正しければ、末広に行ったのは2012年、なんと10年前だ。
以前は毎週のように通っていた。
この10年の間に野毛の街も大分変わってしまった。
古い店がなくなり、新しい店が次々と誕生した。
おっさんの街から若者の街に変わった。
武蔵屋も消え、最近、あのおでんのあさひやもやめてしまった。
野毛から伝説的な店が次々と姿を消していく。
そんな中でまだ頑張っているのが、この末広だ。
看板はそのままだが、店の中は変わってしまった。
おじさんもおばさんもいなくなった。
若い人が営業を続けていた。

冷しトマトは終わり。
以前よく食べていたモツレバタレ。
もつは鶏のレバー。
レバーは豚のレバーだ。
以前は、ビールを頼むと、お新香と焼豚の小皿が出てきたが、それはなくなった。
デラタンもまめタンもなくなった。
ビールはサッポロ大瓶を頼んだ。
店員の中に美人のおねえさんがひとりいた。
マスクをしているのでよくわからないが、いつも焼台の前にいたおばちゃんに似ている。娘さんだろうか？

■2012年3月
早い時間帯だったが珍しく混雑することなく、余裕でカウンターに座れた。
また味が落ちた。焼き手のおばちゃんがまたいなくなり、若い男が焼いていた。これがいけない。よく焼けてないのだ。焼きすぎも困るが、おばちゃんが焼く絶妙な焼き加減がまだこの若造にはできていない。これではせっかくのレバーももつも台無しだ。おばちゃんcome back!

■2008年12月
末広は最近、出来不出来の差があり、行く度に味が微妙に変化しているのだが、今日に限っては悪いところがなく、さすが王者の貫禄を見せてくれた。

いい店にはその店のルールというものがある。

お通しの漬物には、以前はチャーシューが付いていたが、それがなくなっている。これが出てきて、割り箸を要求するのは田舎者である。こういうのは楊枝で食べるものだ。もちろん箸を頼めば断わられる。焼鳥だって串に刺さっている。箸は必要ない。もちろん、鶏刺しなどを注文すればきちんと箸は出てくる。必要最低限の時に箸を出すのだ。何でもかんでも割り箸を出してしまうのは、むしろ環境問題を全く考えていない店のやることで、この店はその点はチキンとしている。否、キチンとしている。

この店で教わることは多い。焼鳥初心者はまずこの店へ行くべきだ。
最初にいっぺんに注文してしまうと怒られる。

ビールはアサヒかキリンが選べるが、私はいつもキリンだ。そんなことは決まっている。スーパードライなんてのは、女子供が飲むビールなのである。

いつも頼むのは、モツレバタレ。直訳すると、モツとレバーのタレ。そのままである。ここのタレは独特のタレで、そのまま飲んでしまいたくなるようなコクがある。特にこのモツとレバーにばっちり相性がいい。レバーは角形に切ってあり、丁寧に串に刺してある。このレバーは他の店で食べるレバーとはまったく違い、ものすごくおいしい。また、モツも他の店ではちょっと真似できない。強いていれば、〈伸喜〉のもつが近いがやっぱり〈末広〉に軍配が上がる。

ナンコツも人気があるが、多少かためである。噛んでいるとジワジワと旨味が伝わってくるが、段々コメカミが痛くなってくるほどの歯ごたえ。

シイタケも肉厚でうまい。その他、ハツ、スナギモ、カワ、ウズラ玉子…みんなうまいのだが、それにしても、マメタンがなくなってしまったのは悲しい。

〈若竹〉〈伸喜〉と並んで野毛３大焼鳥店の１つ。