全お料理に付くミニサラダは、お客さんの体を気遣うお店の思いやり : 洋食キムラ 野毛店

このお店にはいつかは行かねばならぬと、以前から気になっていました。
それは、フォロー中の方の口コミレビューを見ているときに、“食べログ洋食百名店”なるものがあり、このお店が選出されていたからです。
確か？食べログの百名店の洋食ジャンルでの発表は2020年からではないかと思います。

7月の終わりの平日に一人で訪問しました。
通院を早めに終わらせ、お店の前に到着したのは、11:30です。
開店時間丁度ですが、お店の前に並んでいる人もなく、外観を写真撮影してから中に入りました。
新型コロナウィルスの影響でしょうか？人の動きは旧に復していないようです。
お店に入ると、女性スタッフに、入口正面の1階のスキップフロアへと案内されます。
お店の中は、照明を落とし、少し暗くなっていますが、老舗洋食店とあって歴史を感じるレトロでシックな雰囲気です。
このスキップフロアには、４人掛けテーブルが3卓、２人掛けテーブルも３卓と１８人程が、座れるのですが、他のお客さんはいません。
人気のお店ですが、新型コロナウィルスの影響は大きいのです。

広々としたフロアの４人掛けテーブルに１人贅沢に座ると、直ぐにお水とカトラリーがセットされます。
カトラリーが置かれているナフキンには”初代シェフ、貴邑富士太郎氏”が描き揚げた河童のロゴマークが印刷されています。
この河童のロゴについては、メニューの中にそのいわれが記載されていました。
後段にそのままを記載しておきました。
参考に最後まで読んでいただければと思います。

既にお願いする料理は口コミを参考に既に決めてあります。
お願いしたのは
　１．チーズハンバーグステーキ　\1,430
　２．マカロニグラタン　　　　　\1,260
の２品です。
何れも単品です。

程なく、ミニサラダが２皿届きます。
スタッフは、「単品でも両方にミニサラダが付きますので・・・」と少し、申し訳なさそうに、ソーッとテーブルに乗せます。
私、「食べログなどで承知しております。」とレスポンス。

レタスを主体に、トマト、紫キャベツ、ニンジンのサラダです。
ドレッシングはオーソドックスにビネガー、オリーブオイル、塩、ブラックペッパーが合わさり、新鮮野菜に良く合います。
シッカリした酸味とブラックペッパーが効いたドレッシングで、美味しいサラダです。
２皿と言えども、ミニですし、健康のためにもMainが到着前にいただいてしまいました。
1品毎に付いてくるミニサラダはお客さんの体を気遣うお店の思いやりです。

暫くすると“チーズハンバーグステーキ”と“マカロニグラタン”が到着します。
両方とも熱々です。

“チーズハンバーグステーキ”は白いお皿に乗せられた貝殻の形をした鉄板の中でグツグツと煮えたぎっています。
ハンバーグの上は、チーズがトロっと蕩けて上面全体をコーティングしているかのようです。
デミグラスソースは貝殻の鉄板の縁、ギリギリまで満たされ、今にも溢れ出しそうです。
ハンバーグを半分にカットすると上部はチーズの層で覆い尽くされ、その中のパテ・お肉はフンワリと柔らかそうです。

食してみれば、見た目とおりのフワフワで柔らかいハンバーグです。
このやわらかさを出すため、タマネギを多くし、つなぎのパン粉も肉にまんべんなく付着するようにしているとのことです。
このように柔らかいハンバーグにはお目にかかったことがありません。
粗挽きのゴツゴツしたハンバーグも良いのですが、この柔らかなハンバーグも絶品です。

デミグラスソースは、甘めでコクがあり、すごく濃厚です。
そして少し後から、そこはかとない酸味が効いてきます。
単品でいただくには、熱々と濃厚さで少し、めげそうです。
ここは、パンかご飯が必要です。
しかし、美味しいことは確かなようで、お水も飲まずに貝殻の鉄板に残るソースをフォークとスプーンで丁寧に集めていただいていました。
人がいないので、舐めても良かったのですが、さすがに鉄板は熱くて危険です。

チーズも見た目とおり、ハンバーグと一体化しています。
柔らかな肉質のハンバーグをトロトロのチーズで、包むようにして食べれば、デミグラスソースの濃厚さを、優しく緩和してくれているようです。
チーズのお塩も助けてくれているのかも知れません。

“マカロニグラタン”も熱々です。
白いグラタン皿の中では、チーズが綺麗な焦げ目を付けています。
所々、熱々故に焦げ目を破り、チーズが白く溶け出しています。
そして、ホワイトソースでしょうか？タマネギなのでしょうか？甘い香りが漂ってきます。

熱々なので、スプーンで装うも、火傷をするのでは無いかと、唇の前で少し、躊躇してしまいます。
一度、口に入れば、とろりとしたホワイトソースの濃厚さが、堪りません。
濃厚なホワイトソースは、炒められたタマネギのシットリとした甘みが出ています。
そして太目のマカロニにマッチして美味しいです。

今回、メインディッシュともなる２ツの料理をいただいてしまいました。
満足だったのですが、２品とも“熱々”、“濃厚”です。
２品ともミニサラダが付いているとは言え、サラダだけでは和らげきれません。
ご飯か？パンが欲しかったと反省しています。
キッとご飯の上にデミグラスソースをたっぷり付けたハンバーグを乗せる、若しくは熱々の貝殻の鉄皿をパンで拭くようにして食べたらもっと満足したかと思います。
反省です。

　※ 追伸
メニューに掲載されている～ 河童の いわれ ～
初代の貴邑富士太郎は小説を読むのが好きで特に芥川龍之介の「河童」にいたく感銘し「河童会」なるものを創った。そのメンバーは各界著名人で構成され、毎月一回集まり河童談義をした。その中の一人彫金家の安井喜一氏が「河童像」を造られ、これが洋食キムラのご本尊となった。
河童は世の中の景気が悪いと顔を出すというので普段キムラではこのご本尊を桐の箱に納めておいてある。ただし不景気がそこについた時は桐箱から出し、河童像に向かって手を合わせ「どうか河童様不景気を持って行って下さい。」とお願いをすると不思議と店が元気を取り戻すというありがたい「河童像」なのです。
キムラのロゴマークは、この頃初代が描き揚げた河童画である。初代はこの道に入る前、図面書きの仕事をしていた。今でいう脱サラなのである。

なお、下記のURLからは“洋食キムラさん”のホームページの中に掲載されている“河童のご本尊について”とするページを見ることが出来ます。

https://yo-kimura.com/kappa/

二代目ご主人の思い、思い出、エピソードが記載されています。
洋食屋さんらしからぬ内容のお話ですが、今の不景気に苦慮されているご様子が、お見受けすることが出来ます。
一度は、読んでいただきたいかと思います。