何年か振りに栗林駅の近くを数日かけて旅して、そのついでに立ち寄ったうどん店。 和風建築の外観上と、 : 吹上亭 栗林公園内

何年か振りに栗林駅の近くを数日かけて旅して、そのついでに立ち寄ったうどん店。
和風建築の外観上と、栗林公園のすぐ目の前という場所柄、古風なうどん店を想像して中に上がりました。懐古な木戸をゆっくり横に押して開いて、お昼過ぎの時間帯だったからか、店の中は静かでちょっとした喫茶と間違えて入ってしまったかなと一瞬ためらいましたが、よく見ると流水の日本庭園をミニチュアにしたような小さな箱庭のオブジェクトに囲まれた座席がすぐ目の前に飛び込んで来て、やっぱりうどん店だと安心しました。
でもなぜか、結構今風なオシャレ感がたっぷり詰まってます。私より多少年上の年齢の奥様がたが好みそうなレトロモダンな内装だと思いました。凝った雑貨が多数ひしめく今風な内装。大正や昭和時代の品を現代に持ってきたような、ちょっと気張っていきのいい、瀟洒でモダンな雰囲気がステキです。お話をうかがうと、奥様のアイデアで手作りされたとのことでした。髪はボーイッシュに整って綺麗にお化粧された奥様だなあと思いました。メニューブックもひとつひとつが手作りなのだそうで、机の上の分厚い製本を示した店主から新しいメニューブックを製作中なのですとお話をうかがいました。それぞれにかけられた手間暇を思うと、計り知れない時間を旅する気持ちに駆られ、内装雑貨が醸す空気が手伝って、なんだかどこか知らない場所へとタイムスリップしたみたいな気分になったりしました。
ありがたい葵紋がついた屋根瓦のパーツはお客様からの大切なお土産だそうです、屋根瓦を眺めながら水戸の紋だろうかお江戸の紋だろうかと楽しく思いを馳せましたが、高松藩の紋だったかもしれません。ほかにも、女学生が描いたようなすっきりした横顔の少女の絵、歌舞伎の舞妓さんの美人画のような色紙、背をぐーっとそらした竜の置物、干支らしき小さい細工小物、ガラス鉢を泳ぐたくさんの小さいメダカ、月下美人のアルコール鉢、などの雑貨が店内にしつらえられた何重もの棚の上に並べ置かれて、どの角度を見ても楽しく見飽きることがなかったです。
綺麗に２つ並んだおいなりさんがうどんと一緒にメニューに並んでつやつやと輝いてます。おいなりさんは、藁を吹上たずうっと昔の屋根をイメージした三角形にちなんでいるのかしらと思いました。うどんといなり寿司のメニューがうどんメニューのほとんどでした。てんぷらとか、おでんはありませんでした。うどんをさっぱりいただきたかったのでちょっと残念だなあと思いながらもせっかく来たので写真つきのわかりやすいメニューを見ながら注文にとりかかります。
たまご入りのやわらかそうな黄色いうどんと、食べ慣れたカレーうどんが、うどん単品メニューでしたので、どちらにするかちょっと迷いました。結局はカレーうどんをいただきました。たっぷりカレーがかかってましたがこれはカレーライスにかかっているほうの濃いカレールウでやわらかいあぶらみつきの豚肉や人参に玉葱も入ったものに青い細ネギをちらしており、香川で見かけるおだしであっさりと薄めたカレーのほうではないですね。むかし海軍にいたうちのおじいさんがカレー好きで、カレーをたっぷりかけてくれとどこかのうどん店で言った記憶を思い出しましたが、吹上亭のカレーうどんにはうどんを覆ってしまうほどの濃い家庭風カレーがたっぷりかかって湯気を上げアツアツでホクホク言いながら食べました。お鉢を乗せたお盆に、小さいスプーンとお箸が添えられて、汚してしまったら申し訳ないなあと思いながらしっかり食べました。私は讃岐の生まれながらあまり上手にうどんが食べられないので、肝心のカレーうどんよりも私は、カッコイイ内装にばかり気をとられ、お店の奥で仲良さそうに話す店主と奥様の声に耳をそばだてて、せっかく美味しいカレーうどんがのびてしまいました。
綺麗な色の果物ジュースやシフォンケーキのようなメニューもありましたが、今日はうどんを食べにきたため以上で満足。おなかも気持ちもしっかり満足したのでお会計へ。レジのすぐそばで妖しげにライトを弾きながら輝く天然石アクセサリーやおまじないストラップが沢山あるなあと眺めました。栗林公園や栗林町にちなんだお念珠だったのかもしれませんが、詳しいことはわかりません。お話のお礼にと、瓦せんべいをいただいてしまい、ありがたい気持ちがいっぱいあふれました。そういえば、むかしもっとずっと子供の頃くらいに、讃岐うどんを家族大勢で食べに行きお礼にと小さい瓦せんべいをいただいたお店が香川にありましたが、栗林の吹上亭だったのかもしれません。
昭和生まれのカフェーでコーヒーを淹れていても似合いそうなカッコイイひげをはやした店主と、エプロン姿が似合うオシャレな奥様の、お二人が経営されている昔ながらのおうどん屋さんは、今からどんな姿に変化してゆくものかと楽しみになりました。また、訪れたいです。