高松で頂く洗練された酒肴と握り : 鮨舳

今回は高松で二泊の旅。初日の夜はこちら「鮨舳 」さんに伺いました。

現在食べログさんで調べるとこちらと「中川」さんが評価が高いようです。

どちらも素敵そうなお店でしたが、今回はこちら「鮨舳 」さんにしてみました。

予約は伺う月の前月の最初の営業日の朝からということでしたので、６月に入って早々に連絡をしておきました。

予約の際に「香水の使用の禁止」と「変更・取り消しは二日前まで」にという注意点を告げられました。

どちらも常識であることですが、敢えて伝えてくるということはそれに対する苦慮を多く感じているのかもしれません。

ことでんの高松築港駅から二駅の瓦町駅から歩いてすぐ。手前に違う屋号の寿司店があり、一瞬間違えたか？と

普段割とやらかしている思い込み間違いかと焦りましたが、そのすぐ先にと白地の暖簾に「鮨」と書かれたお店

があり、こちらが「鮨舳 」さんでした。引き戸を開けて店内に入るとカウンターだけの雰囲気のいい店内です。

まだ先客は見えてなく１８時に予約した我々が一番乗りのようでした。

案内された２席の辺の席へ座り、女将さんが運んできたお絞りでまずは手を拭い、生ビールを頂くことに。

瓶ビールは無いようで、生は小グラスか中グラスから。女将さんがクリーミーな泡に注いで運んで来ます。

まずは乾杯～。ご主人、お歳はお聞きしませんでしたが３０代後半～４０代前半くらいでしょうか。

予約の段階ではなく、当日にお好みでもお任せでも対応して頂けるようです。

今回はつまみ・握りとお任せでお願いしました。

写真の可否については、以前は料理については撮影可であったようですが現在は残念ながら不可とのことです。

「握りたてを早く食べて欲しい」というご主人の言葉でした。

後のことになりますが、我々の後に入られた地元の方らしい方が、握りをしばらく置いたままにしていますと、

「なるべく早く口にしてください」と告げていましたので、その思いが強いようです。


つまみは、まずはかれいの刺身から。三切れに縁側少々。醤油と塩が用意され、お好みでどうぞと。

地方に行くと醤油の違いがあり、箸先に付けて少し舐めてみると関東の生醤油とはやはり違います。

お聞きすると小豆島の醤油だそうです。中国地方・九州地方は醤油が甘く、四国も甘いものがあるそうでそうですが、

ご主人も醤油は辛い方が好みだそうで、辛めの醤油を使っているとのこと。

続いてはたこ。柔らかい身でした。聞けば教えてくれたのかもしれませんが、どこ産かは特にありませんでした。

この辺でビールから日本酒へ。香川県のお酒を所望したところ、３つの候補から「川鶴」にしました。

お酒は女将さんがきちんと説明して頂けます。とても的確な説明です。

次のつまみは蒸し鮑。貝殻から身を取るところからで、殻の厚みがかなりありました。

当然、身もかなりの厚さでしたが、包丁の入れ具合は身を薄めに切り付けておりました。

二杯目のお酒は同じく香川県のお酒から「勇心」を頂いてみました。こちらの方がより好みかも。

つまみが続きます。次はかれいとのどぐろの肝で作ったなめろう。お酒に合いすぎます。

しかも、ちょこんと親指の爪程度の量でもいいものが、結構たっぷりと。

少し間を置いてまながつおの炙り。焼き物が出て来ましたので、そろそろ握り～。

美味しいつまみが出てくるとついついお酒も進んでしまうのですが、やはり握りを楽しみにしてますので、

これは寿司店での嬉しい葛藤。お酒はここで止めてお茶を頂くことにしました。

握りが始まりました。

たい、まずは白身からでした。

しんこ、東京よりも地方の方で早く食べる機会が多い気がします。３枚付け。

けんさき、包丁が幾筋も入り甘さを引き出しております。

いしかげ貝、食べたことのない貝でした。ミル貝に似た食感。

中とろ、程よい脂加減。

大とろ炙り漬け、手を加えてますが、個人的には大とろはそのままで頂きたいかも。。。

こはだ、やはりこはだはこのサイズが美味しいと改めて思います。結構バッチリ〆てあって美味い！。

昆布締め小鯛、かすごよりも少し大きいサイズのようです。ねっとりと昆布の旨みも。

炙ったのどぐろ、やはり脂の多い魚は炙ることで美味しく変化します。皮目がかすかにパリっとしていれば尚いいかも。

赤うに、小豆島産と淡路島産のものを握りではなく、小皿に置いたシャリに乗せて出てきました。

　　　　口の中に磯の香がホワ～ンと広がりました。

焼き穴子海苔巻き、焼き穴子のパリっとした身と海苔のパリパリ感がなんとも言えません。考えた一品だと思います。

煮穴子、江戸前定番らしい、ツメで頂く口の中でハラハラと崩れる柔らかい食感です。

玉子、最近の東京の流行りの寿司店で出てくるものよりもかなり柔らかい仕上げでした。

　　　追加の後に食べようと置いておいたのですが、冷たいうちの方が美味しいですよとご主人から。

お任せの握りは以上で終了。タネ札が掛かっており、大方食べたので、

食べてないものの中から、まながつおをお願いしました。

握りでは今まで一度も食べたことがありませんし、どんなのかなぁと思っておりました。

やはり生ではなく、炙ったものを塩で。いやはやこれも美味しい。

そして、巻物を一つ、干瓢巻をお願いしました。

相方は山葵無し、自分は山葵入りが好みなので、山葵入りと無しで半本づつ一本でお願いしてみました。

海苔の香り、噛み切れ具合共になかなか良かったです。

お椀は出ないようで、これにて終了。

小さい頃に父親と海釣りに出かけていたので、船釣りの場合、船の先を「みよし」、後を「とも」ということを

覚えておりました。

店の名前についてご主人に尋ねてみますと、「舳 」という字は「とも」とも「みよし」とも読むらしく、

船の部位であることは確かなようです。

気持ちがブレないように真っすぐ進みたいという思いと簡単に読めない字にしたかった

ということで名付けたそうです。

最近流行りのお店は主人の名前（苗字）を「鮨～」とする方が多いなと感じますが、店名に込めた思いをお聞きして

素敵なご主人だなぁ～と感じ入りました。

ちなみにご主人の苗字をお聞きすると、「よくある名前で佐藤です」と。

口数は多くは無いのですが、お聞きしたことに対してはきちんと、かなり真面目に受け応えて頂けました。

このまま東京に出てきても間違いなく人気店の仲間入り出来うる実力だと感じました。

ご主人を支える女将さんとの息もバッチリでしたし、素晴らしい鮨店が高松にありました。


（訪問時　　4.11　）