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限定麺「濃厚煮干つけ麺」。切り刃10番の自家製極太麺はしっとりとしつつ硬質感があり、小麦の香り豊かな素晴らしい出来。この極上の麺を豚骨ベースに伊吹いりこを炊き込んだセメント煮干しつけ汁に絡めるつけ麺!
限定麺「はなみちの煮干しラーメン」。煮干しと水のみの純煮干しスープにたまり醤油メインの濃い醤油のカエシを合わせ、鶏油と煮干し油を仕上油に使った「はなみち」流無化調純煮干しラーメンの到達点!
5月17日(日)
土日は外食を自粛するつもりでしたが、「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)のTwitterを見ると、今週末の限定麺(ざ・はなみち)は、「はなみちの煮干しラーメン」(店内表記は「はなみちの煮干らー麺」)。
最近の「ざ・はなみち」はジャンク系のことが多く、外出自粛期間を含合わせると、前回訪問の3月初旬から2か月以上のご無沙汰。
しかも、Twitterには小泉店主自ら「個人的には煮干しで1番好きなヤツ」と書かれているではないか。
行くか自粛すべきか葛藤。
昨日(16日)は見送りましたが、今日(17日)は、13時に知人が外付けHDDとブルーレイレコーダーを引き取りにやってくる。
彼の車で「はなみち」まで乗せてもらえば、何とか間に合うかもしれない。
そう考えると、居ても立ってもいられず、13時前から渡す物品を持って彼が来るのを待つ有り様。
時間通り車で到着した彼に「はなみちまで送ってくれない」とお願い。
快くOKしてもらい、あっさり週末の自粛を解禁。
我ながら緩んでますね(苦笑)。
雨が降りだしたなか、13時15分には「はなみち」に到着。
最近、「はなみち」の週末限定は大人気。
しかも、今回は「煮干し」とあって、売り切れ(開店時間11時)や店内外の行列を覚悟。
しかし店内に入ると、店内待ちはなし。
限定麺もちゃんと残っていました。
券売機の横にはアルコール手指消毒液。
席数も11席から1つ減らし10席。
小泉店主もスタッフもマスク着用。
私も、ちょうど空いていた席に座り、食券を渡したあと、マスクをしたままラーメンの到着を待ちます。
○限定麺(ざ・はなみち)「はなみちの煮干しラーメン」(800円)
まもなく小泉店主自ら「煮干しラーメン」を持ってきてくれます。
写真撮影したあと、マスクを外し、マスクケースに入れたのち、持参のアルコールハンドジェルを手指にすりこみ、ラーメンを食べ始めます。
白い丼に濃い褐色のスープ。
丼の端には煮干しの泡。
表面には鶏油の薄い膜。
良く煮込んだ細長い肩ロース肉(多分)のチャーシュー(煮豚)2枚が半分以上を占拠。
残ったスープのスペースに短冊状の枕木メンマ3本。
さらにザク切りのネギがトッピング。
そして、大きな海苔が添えられています。
焙煎イリコと背黒、平子などの煮干しと水だけでとったスープ2種。
1つは煮干しの旨味を抽出したスープ。
もう1つは、煮干しの苦味やエグミを思いっ切り出したスープ。
この両者をブレンド。
それにたまり醤油メインのカエシを合わせ、仕上げに鶏油と煮干し油を1対1の割合で垂らしています。
小泉店主によると、以上のつくり方は、純煮干しの聖地「煮干中華ソバ イチカワ」(つくば市)の以前の「中華ソバ」のスープのつくり方を再現したものという。
さらっとしたスープですが、さすが「はなみちグループ総本山」の「純煮干し」だけあって、煮干しの旨味とエグミ、そして強めの醤油のカエシが相乗。
「魚臭い」としか表現しようがない煮干し丸ごとの味わいと濃厚な醤油がドッキング。
相当しょっぱいものの、やはり「はなみち」でしか味わえない濃密な煮干し醤油スープ。
クセになる味です。
しかも無化調。
ダシをとるときに、煮干しと水のみで、背脂を使っていないので(背脂は鶏油とともに仕上げに使用)、背脂使用のバージョンに比べジャンク感が薄くなる一方、煮干しや醤油の風味をよりダイレクトに味わうことができます。
麺は自家製麺。
切り刃12番、加水率45%の超多加水のピロピロ麺。
ただし、麺に厚みがあり、固めに茹でているので、太いうどんのようなコシのある食感で噛み応え十分。
平打ち気味の麺が濃密な純煮干しスープをよく持ち上げ、パツパツの低加水細麺とは違った持ち味があります。
麺量は200g。
具の豚チャーシューは、薄く細長い形状。
良く煮込んであり、柔らかく、はじめバラ肉かと思いましたが、肩ロース肉の模様。
もっとも、この点は小泉店主にうっかり聞くのを忘れ、自信はありません。
短い枕木メンマ3本は、薄味で少々甘味があり、シャキシャキとした食感。
煮干しラーメンの定番の薬味である刻み玉ネギを使わず、ザク切りのネギを添えているのが「はなみち」流。
ネギのシャキシャキ感とほのかな辛味が濃密なスープに良く合います。
「煮干らー麺シロクロ」(矢巾町)、「火ノ鷺」(盛岡市北山)、「麺屋 いおり」(盛岡市中央通)など、「はなみち」出身の各店も、それぞれレベルの高い煮干しラーメンを提供。
「はなみち」グループは岩手県の煮干しラーメンの水準アップに貢献しています。
今回総本山の「はなみちの煮干しラーメン」を食べ、弟子が営むグループ各店の煮干しほど洗練されてはいないものの、まさしく「ど煮干し」ともいうべき純煮干し感抜群のストロングな一杯に、総本山の貫禄を感じました。
今は、「食べて良かった」という気持ちと「緩みすぎたかな」という気持ちが交錯しています。
限定麺「鴨せいろつけそば」。盛岡の有名日本蕎麦屋の「鴨せいろ」をリスペクトした「鴨せいろ風つけそば」。艶々とした中細ストレート麺を鴨肉と焼きネギの入った和ダシと醤油ダレのつけ汁に絡める「鴨せいろ」風!
3月7日(土)
最近盛岡やその周辺のラーメン店では最も勢いのある「はなみちグループ」。
その総本山である「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
同店が週末に提供する限定麺「ざ・はなみち」。
若者に人気のジャンクなレギュラーメニューとは対照的に、無化調の「鶏と水」だけのスープの鶏そば、やはり無化調の「煮干しと水と背脂」でダシをとる準「純煮干し」など。
私も「ざ・はなみち」の魅力に惹かれ、頻繁に訪れています。
しかし、最近「ざ・はなみち」の人気が高まり、行列必至なことと、鶏そばや準「純煮干し」(ないしダシをとるのに、背脂を使わない純煮干し)の提供頻度が低下。
そのため、しばらくご無沙汰に。
Twitterで発表された今週末の「ざ・はなみち」は、「鴨せいろ風つけ蕎麦」(店内のホワイトボードでは、「鴨せいろつけそば」と表記。レビューでは、店内のホワイトボードに書かれた商品名を採用)。
迷いましたが、1か月半ほどご無沙汰しているので、昼過ぎに訪れてみました。
○ざ・はなみち(限定麺)「鴨せいろつけそば」(800円)
今日の盛岡は3月下旬の陽気。
12時の時点で、気温7℃の暖かさ。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のための不要不急の外出自粛ムードが影響して、人気ラーメン店でも、とくに土日の客が激減。
「はなみち」はどうでしょうか?
タクシーを飛ばし、12時45分に北上川に架かる舘坂橋を渡ったところにある「はなみち」に到着。
おっ!外待ちがない。
やはり自粛の影響が「はなみち」にも及んでいるのかと考えながら、店に入ると、店内待ちが一杯。
カウンター席でラーメンを食べているお客の後ろに、10人ほどの立ち待ち客がびっしり。
その後、どんどんお客が押し寄せ、「はなみち」の人気は不動。
さて「ざ・はなみち」はどうかと、券売機をみると、まだ残っていました。
というより、今日は「ざ・はなみち」の注文がやけに少ない。
おそらく、今日からレギュラーの「らー麺豚」「味噌らー麺」の麺を細麺と太麺から選べるようになった影響なのか、レギュラーメニューの注文が圧倒的。
あるいは限定麺の「鴨せいろ風」というコンセプトが、客の大半である若者にとっては、地味過ぎたかな?
ちなみに、細麺は「はなみち」出身の「煮干らー麺シロクロ」(矢巾町)の「中華そば」、「麺屋 いおり」(盛岡市中央通)の「極煮干蕎麦」等と共通のカネジン食品製切り刃18番加水率25%の低加水中細ストレート麺。
太麺は、「はなみち」自家製麺の切り刃12番加水率45%の超多加水手揉み麺。
約10分ほど待ってカウンター席に着席。
その後、10分ほどで「鴨せいろつけそば」が到着。
限定麺をつくるにあたって、小泉店主は鴨肉とぶつ切りのネギを注文ごとに炒めています。
それだけ手間のかかる限定麺。
到着した「鴨せいろつけそば」。
紺と白の縞模様の大きな丼に、艶々として瑞々しい細麺(中細ストレート麺)が綺麗に盛り付けられています。
小さい黒の碗には、熱々のつけ汁が入っていますが、黒い碗の色もあって、スープの色が分かりづらくなっています。
鰹節、宗田節、煮干しなどでダシをとり、再仕込み醤油などと合わせた和風のつけ汁。
具は、鴨肉(鴨チャーシュー)3枚とぶつ切りの焼きネギ2個。
その他に輪切りのネギ。
日本蕎麦が中華麺になっている以外は、完全に「鴨せいろ」。
小泉店主によると、盛岡の某有名日本蕎麦屋の「鴨せいろ」をリスペクトした限定麺だという。
最初に麺をつけ汁につけずに、そのまま少し啜ります。
ツルツルと啜れ、食感はシコシコ。
さらに冷水で締めているるので、コシが強くなっています。
小麦の香りも感じられ、喉ごしも良い麺。
先に書いたように、カネジン食品製の切り刃18番、加水率25%の中細角ストレート麺。
麺量は230g。
次につけ汁を飲むと、かなりの甘さ。
小泉店主に聞くと、砂糖を入れているという。
はじめは、つけ汁の甘さに驚きましたが、甘さの中にも、節類や煮干の旨味がしっかり感じられ、再仕込み醤油であろう醤油の香りが立っています。
具はやや硬めながら、脂の落ちた赤身中心の鴨肉チャーシュー。
鴨肉特有の臭みはなく、噛むごとに、鴨肉の旨味が広がります。
そして、鴨チャーシューと一緒に炒めたぶつ切りの焼きネギ。
こちらはネギの甘味とトロみが溢れる出来。
鴨チャーシューの脂が溶け、和ダシの旨味と醤油の香りが立つとともに甘味の強いつけ汁に麺を絡めて啜る「鴨せいろ」風つけそば。
麺をつけると、つけ汁単体では気になった甘味が、それほど気にならなくなり、鴨の脂とうまく融合しているところはさすが。
麺や具を食べ終えたあと、スープ割りはないので、そのままつけ汁を飲むと、碗の底に柚子が仕込んであり、やや薄くなったつけ汁の甘味と柚子の香りがドッキング。
最後には甘味の代わりに柚子風味で食べ終える仕掛け。
和ダシ+醤油のつゆに鴨の脂や焼きネギの風味が加わり、それにほんのり甘味がプラスされる程度なら、最後の柚子味という粋な計らいと麺の美味しさを評価して、「4.3」としたところでした。
今日の限定麺は、いきなりのつけ汁の甘さが途中緩和されるものの、最後まで気になり、マイナス0.1の「4.2」評価とさせていただきました。
限定麺「純煮干そば Ⅱ」。背脂を使わずに、煮干しと水だけでとったスープにキレのある香り高い醤油ダレを合わせた「はなみち」風純煮干しそばの完成形。比類なき魚臭さが濃密な煮干しの旨味が堪らない!
1月26日(日)
1月最後の土日の「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の限定麺「ざ・はなみち」は、「純煮干そば」。
これまで、もっぱら煮干しと水と背脂を使ってスープをとっていた同店が、背脂を封印。
煮干しと水だけの正真正銘の「純煮干し」スープに挑戦。
香味油にも、背脂に煮干し粉末を溶かした「ニボ背脂」を使わず、鶏油に3種の煮干しを炊き込んだオイルを使用。
同店の煮干そばでは珍しい切り刃18番、加水率34%の中細ストレート麺も新鮮。
背脂を使わなくても、同店の煮干しそば特有の魚臭さ溢れる濃密な旨味の煮干スープをつくったものの、醤油ダレが甘過ぎて、純ニボの旨味をタレが邪魔する結果に。
これが、25日の段階(詳細は、前回のレビューを参照)。
翌26日(日)のTwitterには、「昨日とはだいぶ違っていますが、はなみちらしいやつです」との小泉店主の発言。
昨日の30杯よりも多い40杯くらいの提供とあって、2日連続「はなみち」の「純煮干そば」を食べに行くことに。
○ざ・はなみち「純煮干そば Ⅱ」(800円)
昨日とほぼ同じ12時前に、「舘坂橋バス停」が目の前の「はなみち」につくと、昨日はなかった店外の行列。
8人目に接続すると、すぐ後続が続くという人気ぶり。
10分ほど待って店内に入ると、店内の待ちが6人。
結局店外に並び始めてから約25分で、カウンター席に着席。
券売機横のホワイトボードには、「本日のざ・はなみちは、「純煮干そば Ⅱ」」の文字。
昨日の「純煮干そば」の発展形ということでしょうか?
まもなく到着した「純煮干そば Ⅱ」。
茶濁した見るからに濃厚そうな煮干しスープに、粒子の細かい煮干し粉末がたっぷり入っているビジュアルも昨日とほぼ同じ。
ただし、麺が18番の中細麺から同店の煮干しそばによく使われる手揉み太麺に変わっています。
チャーシューも、大きな豚ロース肉チャーシューから豚バラ肉のロールチャーシュー2枚に変わっています。
それ以外の具である枕木メンマ2本。輪切りの白ネギ、そして大きな海苔が1枚。
スープを飲むと、「魚臭い」としか表現できない煮干しをそのまま食べているような濃密な旨味。
強烈な魚感が旨味に昇華したパンチ力のある煮干スープに香味油のオイリー感がプラス。
何よりも昨日と違うのが醤油ダレ。
醤油ダレの甘さが煮干し感を邪魔して、煮干しの旨味全開とまで行かなかった昨日と違い、今日の醤油ダレはキレと香り重視に調整されています。
このキレのある醤油ダレが煮干しそのまま感のある濃密なスープの旨味を引き立てています。
味はまさしく「はなみち」の煮干そばのスープの味。
この時点で、スープを炊く際に煮干と水に加え、今日は従来どおり背脂を投入したと確信。
しかし、小泉店主に確認すると、背脂は使っておらず、煮干しや香味油も変わっていないという。
つまり、平子メインにカエリ、背黒の煮干しと水だけのスープ。
それに醤油ダレを合わせ、香味油には、鶏油に煮干し3種を炊き込んだオイルを使っているという。
醤油や一部の醤油に漬け込んだ煮干しの種類を変えたとのことですが、何せ店が超満員。
醤油ダレのどこが昨日と変わったのか、小泉店主に聞く時間がなかったのが心残り。
とにかく、昨日は少々おとなしかったものの、今日は煮干しの魚臭い旨味を最大限に引き出したスープ。
「はなみち」ならではの煮干し味を、背脂を使わず、煮干と水だけで、しかも無化調で引き出している
点で、「はなみち」流純煮干しの完成形といっても過言でないスープ。
「はなみち」出身の「ヒノトリ」の「ド煮干し」、「いおり」の「煮干・醤油(塩)」なども、煮干しと水と背脂を炊いて魚臭さは強烈なものの、苦味やエグミのない濃密な準純煮干しを提供しています。
しかし、「はなみち」は背脂なしの本当の意味での「純煮干し」で、この強烈な煮干し感(魚感)を引き出している点で、弟子の店よりも一歩先を行っています。
麺は昨日の18番手から打って変わって12番手で、麺幅4ミリ弱の加水率42%の手揉み太麺。
もちろん自家製麺。
準純ニボスープと手揉み太麺との組み合わせは、「はなみち」の定番。
プリプリとした食感と口の中で躍動するピロピロ麺。
さらっとしているものの、煮干しのエキスが詰まったようなスープにピロピロ麺がよく絡みます。
麺量は200g。
背脂なしのスープに麺を合わせても、背脂ありの場合と全く違わない味。
豚バラ肉のロールチャーシューは、箸で取ろうとすると、ホロホロと崩れるというほどの柔らかさではありませんが、醤油ダレのよく沁みた香ばしい風味と適度な柔らかさ。
枕木メンマはシャキシャキとした触感とほんのりとした甘味が控えめに広がる味付け。
白ネギや大きな海苔は、スープが強烈な魚臭さだけに、ある意味口直し的な役割を十分果たしています。
煮干しを大量に使っているので、しょっぱさは相応。
まとめとして、醤油ダレを1日で修正してくるところはさすが。
無化調の純煮干し(煮干しと水だけ)で、背脂炊き込みと変わらない魚臭さ+オイリー感のあるジャンクともいえる旨味を出しているのも評価に値します。
また、このタイプのスープに手揉み太麺がよく合うことも分かります。
しかし、手揉み麺+純煮干し(ないしはスープを炊くのに背脂を使う)準純煮干し)のマッチングの良さを認めるものの、昨日提供した中細ストレート麺に合う純煮干しスープの調整にも今後期待したい。
例えば、煮干しの魚感をやや抑え、その代わりにほどよい苦味を添えた風味などは、中細麺に合うのではないだろうか。
期待してます。
限定麺「純煮干そば」。今回はスープを炊くときにも、香味油にも背脂を使わない煮干しと水のみのスープの「純煮干し」。「はなみち」には珍しく中細麺を合わせた意欲作。惜しいのは醤油ダレの甘味の強さ。
1月25日(土)
土曜の朝は、相変わらず遅い目覚め。
9時30分頃起き、午前の岩手ローカルの情報番組を見ながら、これも遅い朝食。
11時少し前に、今日の「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の週末の限定麺(ざ・はなみち)は何かな?と、Twitterをチェック。
いつも限定麺の告知は開店時間の11時を過ぎてから。
しかし、今日は珍しく開店少し前に告知。
今週の限定麺は「純煮干し蕎麦」(店内の表記は「純煮干そば」)。
これも珍しく、スープ、醤油ダレ、香味油、麺などの詳細なレシピを公表。
小泉店主の並々ならぬ意欲が伝わってきます。
それ以上に気になったのは「限定30杯くらい」ということと、「明日はジャンクになるかもしれません」との記載。
いま「はなみち」から独立した「煮干らー麺シロクロ」(矢巾町)、「ヒノトリ」(盛岡市北山)、「麺屋 いおり」(盛岡市中央通)がいずれも人気店に。
しかも、3店とも煮干しそばの水準が東京の実力店並み。
この勢いのある「はなみち」グループの総本山「はなみち」が「純煮干し」を、しかも30杯ぐらいしか提供しないとなると、限定麺の売り切れタイムはいつもより早そう。
そう考えると、もう待ったなし。
既に時刻は開店の11時を過ぎました。
遅くても12時までに行かないと売り切れ必至と焦り、11時30分過ぎにタクシーで「はなみち」に向かいました。
○限定麺「純煮干そば」(800円)
店に着いたのは12時少し前。
今日は外まで行列かと覚悟していたら、行列はなし。
店内に入ると、店内行列もなし。
もちろん、今日の「ざ・はなみち」も売り切れてなく、楽勝で食券を購入できました。
待たずにカウンター席に着席。
もっとも、私が出る頃にはお客が続々と入り、瞬く間に店内行列ができていました。
厨房には小泉店主と若いスタッフの2人。
やはり「ざ・はなみち」に人気が集中。
私のロットでは、3杯とも「ざ・はなみち」。
座ってから、5、6分というスピードで「ざ・はなみち」の「純煮干そば」が到着。
「はなみち」や「ヒノトリ」や「いおり」の「純煮干し」は、スープを炊くときに煮干しと水と背脂を使用。
さらに、仕上げに背脂に煮干し粉末を溶いた「ニボ背脂」を振りかけています。
とくにスープを炊く際に背脂を使っている点に注目。
厳密にいうと、煮干しと水だけの「純煮干し」とはいえないことから、私は準「純煮干し」と呼んでいます(無化調純煮干しの名店は、新宿区上落合の「児ノ木」)。
しかし、背脂や香味油の「ニボ背脂」が効いて、「純煮干し」ならではの魚感(魚臭さ)にオイリー感がプラス。
独自のジャンクで魚臭いニボラー垂涎の一杯をつくり出しています。
今回は、煮干しをあえて封印。
スープは煮干しと水だけの完全な「純煮干し」。
香味油は、鶏油に3種の煮干しを炊き込んだオイルを使用。
この2つの変化が「魚臭くジャンク」な「はなみち」の煮干スープにどんな変化をもたらすのか?
興味が尽きません。
眼前の「純煮干そば」。
濃い茶色の濁った煮干しスープは少なめ。
スープには煮干しをつぶした粒子の細かい煮干し粉末が大量に入っています。
具は、おそらく豚ロース肉であろう大判のチャーシュー。短いが厚めの枕木メンマ2本、白ネギと大きな海苔が1枚。
レシピによると、使用煮干しは平子がメイン。
それに背黒、カエリ(イワシの子どもだが、シラスよりも成長したもの)などの煮干しと水だけのスープ。
醤油ダレは再仕込みと溜まり。
香味油に、鶏油に3種の煮干しを炊き込んだオイルを使用。
さらっとしているものの、いかにも濃密そうなスープを飲むと、いつもの「はなみち」らしい魚臭い煮干し味。
苦味やエグミは感じません。
煮干しをそのままかじっているような、あるいは煮干しを搾ったような魚感。
さすが無化調の「純煮干し」スープだけあります。
スープに粉っぽさも全く感じません。
ただし、今回違うのは醤油ダレがかなり甘く、そのため煮干しの魚臭さが抑えられていること。
背脂をスープを炊くときと、香味油のダブルで使っていないせいか、いつものジャンク感溢れるパンチ力も弱くなっています。
魚感とジャンク感のあるオイリーさが大人しくなった分、タレの甘味が口に残ります。
それでも塩分濃度はかなりのもの。
麺はいつもの切り刃12番の平打ち麺や手揉み麺の代わりに、切り刃18番、加水率34%(加水率のみ公開レシピに記載なし)、麺の厚み1.75ミリの国産小麦5種の小麦粉を使って打った中細の角ストレート麺。
もちろん自家製麺です。
麺はパツパツに茹であげるのではなく、ポキポキ感を残しながらも噛むと小麦粉が詰まったような食感とモチモチ感。
小麦の香りも豊かな麺。
麺量は200g。
豚チャーシューは白っぽい見た目で、ソテーを思わせる肉肉しさのあるもの。
うっかり聞くのを忘れましたが、豚ロース肉でしょう。
少しパサつきがありますが、ビジュアルから想像するもりもずっと柔らかく、ロース肉らしい淡白な味わい。
枕木メンマはシャキシャキとした食感と甘めの味付け。
大きな海苔が濃密な煮干スープに対する口直し的な役割。
「はなみち」では、定番の刻み玉ネギの代わりに白ネギを使っていますが、こちらも薬味として効果的。
さすがにスープを全部飲むと喉が乾きますが、これも煮干しを大量に使っているあかし。
背脂を封印して、「純煮干し」にチャレンジした点は評価しますが、やはり「はなみち」らしいジャンクな純ニボ感を出すには背脂を使った方がいいかも。
そして、今回は醤油ダレが甘過ぎ、純煮干し感を抑えてしまったので、キレのある醤油ダレに調整して、ジャンクな純ニボ感を引き立てて欲しい。
そんな願いを込め、今日の「純煮干そば」の評価を「0.1」下げ、「4.2」とさせていただきました。
限定麺「これぞ鶏白湯らー麺」。サラサラした鶏白湯スープだが、鶏のエキスをしっかり抽出。やや強めの塩ダレがスープを引き締め、タレに加えた鯖節や煮干しがほのかな旨味を添えるさっぱりとした鶏白湯塩ラーメン!
1月11日(土)
今日は昼、「南部屋路ばた」(盛岡市上太田)で、限定麺「寒じめ法蓮草のカレーそば」を食べたあと、タクシーで舘坂橋まで移動。
13時15分に「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)に到着。
実は、今日と明日の「はなみち」の限定麺「ざ・はなみち」は「鶏白湯ラーメン」。
無化調の塩ダレの鶏白湯ラーメンを「はなみち」が提供するとは!
これは食べるべきと思いつつ、「カレーそば」も食べたい。
しかも、明日(12日)は昼過ぎから夜まで新年会があるため、「はなみち」には行けない。
3連休最終日の「はなみち」の動向が読めないので、久しぶりの「路ばた」~「はなみち」の限定麺連食を強行。
○限定麺「これぞ鶏白湯らー麺」(800円)
店に入ると、13時過ぎですが、「ざ・はなみち」は幸い残っていました。
「路ばた」も通常の土曜よりもやや空いていました。
「はなみち」にも空席があり、待たずに着席。
そう思ったら、私が座った直後に大学生らしき女性3人組、男性4人組、その他のお客が大挙入店。
一挙に満席どころか、店内待ちが出る変貌ぶり。
厨房には小泉店主と男性スタッフのお二人。
5~6分の待ち時間で、限定麺「これぞ鶏白湯らー麺」(店内ホワイトボードに書かれた名称。Twitterでの告知では、単に「鶏白湯ラーメン」)が到着しました。
深めの白い丼の半分ぐらいまでスープが入っています。
乳化したスープですが、見た目にも粘度はそれほど高くなさそう。
塩ダレに鯖節や煮干しなどのダシを加えているせいか、ホワイトな白湯ではなく、茶色がかった乳化スープ。
スープの一部がさらに茶色が濃くなっていますが、おそらくここに海老脂を足しているのでしょう。
具は、大判の豚バラ肉チャーシュー2枚。
短い枕木メンマ2本。
そして、スープには筒状に万能ネギを小口切りしたネギがたっぷり。
スープを飲むと、サラサラとしたスープは、最初の一口こそ鶏白湯特有の鶏の臭みを一瞬感じますが、それ以降は臭みはすーっと消え、飲みやすいスープに。
スープは丸鶏とガラ、モミジと水だけを長時間炊いた白湯。
塩ダレに鯖節と煮干しダシを加え、仕上げに海老脂を垂らしています。
海老脂は、小泉店主のTwitterによると、白湯スープの味が単調にならないように加えたと言いますが、小泉店主自身「なくてもいいかも」と発言していることから、明日(日)は外されるかも。
もちろん、スープもタレも無化調。
臭みの消えたサラサラの鶏白湯スープは鶏のエキスがしっかりと感じられ、強めの塩ダレが味をぐっと引き締めています。
鯖節と煮干しは塩ダレに加えられているだけで、白湯スープ自体にブレンドされているわけではないので、スープにほんのりと旨味を添える程度。
たしかに、海老脂の効果はあまりないかな?
むしろ鶏白湯スープそのものから十分な脂が出るので、仕上油は不要かも知れません。
「はなみち」が限定麺で塩ダレの無化調鶏白湯ラーメンを出すのは初めてでしょうか(間違いだったらごめんなさい)?
その割には鶏の旨味が十分で、しかもくどさがなく、さっぱりと食べることのできる一品。
鶏白湯を無化調でつくるのが難しいなか、いきなりここまで仕上げてくるのはなかなかです。
ただし、濃厚な鶏白湯を求める向きには、若干物足りないかもしれません。
明日12(日)は「もう少しジャンクにしたいと思います」と、小泉店主がTwitterで発言していることから、明日スープとタレ、仕上油をどう変えてくるのか興味津々。
食べることができないのが、残念!
小泉店主は鶏白湯スーブが「単調になりすぎる」ことを心配している模様。
しかし、適度な鶏の旨味とやや強めの塩分濃度、ほのかな節や煮干しが効き、決して単調さは感じられません。
鶏白湯入門者には絶好のスープでしょう。
麺は切り刃12番、加水率35%、厚み1ミリの自家製の平打ち麺。
平打ちらしい軽やかさとサクサクとした食感。
そして噛むと、歯切れの良さが印象的な麺。
小麦の甘味もじんわり感じられます。
平打ち麺と鶏白湯スープとのマッチングも良好。
麺量は170g。
厚めの豚バラ肉チャーシュー(煮豚)は脂身が多く、脂っぽい見た目。
しかし、食べてみると肉はホロホロと柔らかく、脂身は甘味を醸し出し、醤油ダレの旨味が肉に染み込んだ実に美味しいチャーシュー。
枕木メンマはシャキシャキとした食感で、やや甘めの味付け。
小口切りのネギと一緒にスープを飲み干したあと、口の中がべとべとしないのも、さらっとしたスープだからこそ。
今後も鶏清湯とともに、鶏白湯も定期的に限定で提供して欲しいと思います。
限定麺「煮干のまぜそば」。つけ麺のつけ汁の濃度でつくったドロドロでビターな煮干しスープに中細麺を和えて食べる新感覚の煮干しまぜそば!
12月22日(日)
12月19日に「麺屋 いおり」(盛岡市中央通)が独立。
開店早々行列店になっているほか、「煮干らー麺シロクロ」(矢巾町)、「火ノ鷺」(盛岡市北山)など先行して独立した店も大人気店になるなど、いま絶好調の「はなみちグループ」。
「はなみちグループ」総本山の「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の21・22日の限定麺(ざ・はなみち)は、「煮干のまぜそば」。
煮干しスープをベースに醤油ダレや背脂等を混ぜたタレをつくり、それに太麺を和えるまぜそばを想像。
それなら、あまり面白味がないと思っていたら、さすが小泉店主。
やってくれました!
煮干しスープよりも醤油やオイル、煮干し粉末が目立ち、タレの量も少ない「まぜそば」とは一線を画し、煮干しつけ麺の濃度のつけ汁に中細麺を和えるという新機軸の「煮干まぜそば」を出してきました。
これは、行くしかないでしょう。
○ざ・はなみち「煮干のまぜそば」(800円)
原則週末に提供される限定麺「ざ・はなみち」。
平日にゲリラ的に提供されることもありますが、私はもっぱら週末ねらい。
今回は、2日目の日曜昼に伺いました。
タクシーを舘坂橋手前で降りたあと、日陰で残雪が溶けずに凍っている左側の歩道を避け、横断歩道を渡り日向で乾いた右側の歩道に移動。
北上川に架かる舘坂橋を渡り、すぐ右手が「はなみち」。
店到着が12時15分。
店に入ると、L字型カウンターのみの店内には幸い2つの空席。
「ざ・はなみち」の食券を購入。
入口に近い席に座ります。
厨房には小泉店主と若い男性スタッフ。
二人で手際よく注文をこなして行くので、それほど待たずに「煮干のまぜそば」が到着。
セメント色のドロドロのスープは、たしかに醤油感の強いオイリーな「まぜそば」のタレとはイメージが違います。
スープの濃度は「つけ麺」のつけ汁とほぼ同じ。
スープの量は「つけ麺」と「まぜそば」の中間ぐらい。
既に麺がスープに和えられていますが、ほぼタレが麺に絡み、底にわずかに残っているだけの「まぜそば」
とは違い、つけ麺のつけ汁未満の量の濃厚なスープが丼の底に入っています。
具は、厚みのある豚バラ肉ロールチャーシュー2枚。
枕木メンマが2本。
手でちぎった海苔と粗く刻んだ玉ネギもトッピング。
これらの具が麺を覆っていて、麺がドロドロの煮干しスープに浸かっているという状況。
まずレンゲで底の煮干しスープをすくって飲むと、煮干しの苦味が全面的に出て、それを魚臭さやエグ味が追うという強烈な煮干し感と塩味の強さ。
平子と大小の背黒、銀いりこほかの煮干しと水と背脂、それに少量の豚骨をブレンドした煮干しスープ。
醤油ダレを合わせ、煮干し粉末を少し加えています。
スープやタレは無化調。
このドロドロの濃厚セメントスープに和える麺は、国産小麦を使った自家製麺。
切り刃18番、加水率35%の中細角ストレート麺。
やや硬質な食感ですが、噛むとモチッとして、コシも十分。
粘度が高く、苦味がガツンと来るセメントスープとの相性も良好。
麺量は180g。
具は「まぜそば」だけに、麺と一緒にスープと混ぜて食べることに。
豚バラ肉のロールチャーシューは、かなりの厚みがあり、少し硬めで噛み応えがあります。
醤油ダレに良く漬けられていて、醤油の香ばしさと肉の旨味がうまくブレンド。
短めの枕木メンマはシャキシャキとした食感とやや甘めの味付け。
この甘めの味付けが、塩分濃度比較的高めの煮干しスープのしょっぱさを緩和する役割を果たしています。
刻み玉ネギのシャキシャキ感や苦味、そして海苔の風味などが良いアクセントになり、箸がどんどん進む結果、短時間で麺と具を完食。
丼の底にセメント煮干しスープが残ります。
粘度が高過ぎ、丼を傾けてもスープが全く動かないので、レンゲで丁寧にすくってようやくスープを完飲。
最後にさらっとした煮干しダシのスープでセメントスープを割ってくれると、もっと飲みやすくなるんですが。
それでも、つけ麺のつけ汁濃度でつくったスープに麺を和えて食べるというアイデアは斬新。
しかも、いつもは魚臭さ(魚感)全開の煮干しスープを、魚感を抑えむしろ苦味を出してつくるところなど、「はなみち」煮干し系の懐の深さを感じます。
小泉店主のアイデアが冴える「煮干のまぜそば」。
再登場を期待しています。
限定麺「蛯名くんの煮干ラーメン」。「はなみち」から近く独立する蛯名氏がつくった「はなみち」風の準「純煮干し」。「魚臭さ」全開だが、小泉師匠のつくる「煮干し」よりも煮干し感ライトの食べやすい一杯!
12月8日(日)
今週土日(7・8日)の「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の「ざ・はなみち」(期間限定麺)は、近く「はなみち」から独立して、大通に「麺屋 いおり」をオープンさせる蛯名いおり氏がつくった「煮干しラーメン」。
それが「えびな君の煮干ラーメン」。
スープやタレ、具材のチャーシューなどは蛯名氏が担当。
小泉店主が麺を打つという役割分担。
私は提供2日目の今日(8日)の昼行ってきました。
○ザ・はなみち「蛯名くんの煮干ラーメン」(800円)
ちょうど12時に北上川に架かる舘坂橋近くの「はなみち」の引き戸を開けると、L字型11席のカウンター席は満席。
席の後ろに店内待ちの列。
まずは「ざ・はなみち」の食券を買い、店内待ちの列に続きます。
厨房内のスタッフは、蛯名氏ともう1人の若いスタッフの2人。
小泉店主は不在。
たしかに、今日の主役は蛯名氏で、彼の独立御披露目の意味もありますからね。
待っている間に、食券を先に渡し、約10分で席に座ります。
先に食券を渡しているので、座ってから5~6分の待ち時間で、待望の「蛯名くんの煮干そば」が到着。
茶濁した中に細かい煮干し粉末の混じる見るだけで濃厚そうなスープ。
具は、鮮やかなロゼカラーの赤身にサシが綺麗に入った肉厚の豚肩ロース肉低温調理チャーシュー2枚。
太く短い枕木メンマが2本。
ザク切りのネギがスープに浮かび、大きな海苔が1枚。
早速スープを飲むと、醤油を凌駕する煮干しの魚臭さ。
苦みやエグ味は感じられず、一杯あたり100gもの煮干しのエキスの詰まった純粋な「魚感」!
煮干しの「魚臭さ」が旨味に昇華。
ビター感はなく、濃厚な「魚感」がどっと押し寄せます。
これこそ「はなみち」流の準「純煮干し」の味。
平子と背黒などの煮干しと背脂、水だけで炊いたスープ。
スープを炊く段階で背脂を使っているので、動物系不使用の「煮干しと水だけ」の「純煮干し」に準じた準「純煮干し」という位置付け。
これに醤油ダレを合わせ、仕上げに「ニボ背脂」(背脂と煮干し粉末を合わせたもの)を加えています。
スープ、タレとも無化調。
たしかに「魚臭さ」が炸裂する「はなみち」の影響濃い煮干しラーメンですが、次第に煮干しの旨味(魚臭さ)と醤油ダレが一体化し、ビター感のない比較的飲みやすいスープに。
「はなみち」の煮干しがもっとジャンクな重量級だとするなら、蛯名氏の煮干しはもう少しライトで食べやすい中量級。
次いでにいうと、「はなみち」出身の「ヒノトリ」(盛岡市北山)の準「純煮干し」である「ド・にぼしそば」は軽量級か?。
「はなみち」「ヒノトリ」「蛯名氏の煮干しラーメン」ともに、これだけの強烈な煮干し感を放ちながら、無化調というのも素晴らしい。
「蛯名氏の煮干しラーメン」は、さらっとしたスープですが、一杯あたり100gという大量の煮干しを使っているので、しょっぱさはそれなり。
麺は「はなみち」自家製麺。
太め手揉み縮れ麺は、小泉店主が打ったので、同氏不在で正確なスペックは分かりませんが、切り刃は12番、加水率は40%程度でしょうか。
麺幅は約4ミリ。
プリプリとしたやや固め茹で上がりの麺。
しかし、噛むとモチモチ食感で、麺自体の旨味もかなりのもの。
煮干しのエキスのようなストロングなスープに負けない存在感のある麺です。
麺量は170g。
感心させられたのが、豚肩ロース肉の低温調理チャーシュー。
「はなみち」では、豚肩ロースの煮豚を使うことが多いのですが、今回はまがうことなくロゼカラーの美しい低温調理チャーシュー(ローストポーク)。
しっとりと柔らかく、しかも厚みがあり肉を食べる喜びに浸るとともに、味付けも適度で、香ばしさのある非常に水準の高いローストポーク。
これが2枚ものるのですから、満足度の高さは抜群。
煮干しスープを「はなみち」よりも一般受けする飲みやすいものにし、チャーシューはローストポークにするなど、独立にかける蛯名氏の心意気が伝わってきます。
太めのメンマはシャキシャキとした食感で、程よい甘めの味付け。
ザク切りのネギの風味と食感が「魚感」強いスープに清涼感を与え、無理なくスープを飲み干すことができます。
「はなみち」流の無化調準「純煮干し」を愛する私としては、「はなみち」でも「ヒノトリ」でも、期間限定麺で時々しか提供されないのを残念に思っていました。
今回、「海老くんの煮干しラーメン」を食べ、準「純煮干し」のエッセンスの「魚臭さ」を継承しつつ、飲みやすくしたうえ、トッピングをローストポークにするなどオリジナリティ溢れる一杯をレギュラーで提供してくれるであろうことに嬉しさを禁じ得ません。
12月中旬の「麺屋 いおり」の開店を楽しみにしています。
限定麺「鶏の一撃」。丸鶏と豚肉をじっくりと炊いたスープに4種の醤油ダレを合わせ、太麺の手揉み縮れ麺と組み合わせ、鶏油をたっぷり入れた「はなみち」らしいジャンキーでオイリーな「鶏そば」。無化調です!
12月1日(日)
12月最初のラーメンは、久々に「麺の極 はなみち」(盛岡市残九年)の「ざ・はなみち」(期間限定麺)。
今週末の「ざ・はなみち」(土日の2日間提供)は「鶏の一撃」。
最近、週末の「ざ・はなみち」は、ジャンクなメニューが中心で敬遠気味。
鶏そばや純煮干しそばなどは、突発的な平日1日だけの「ざ・はなみち」のみとあって、ことごとく見逃し。
そんなわけで、「はなみち」を訪れるのは約2か月弱ぶり。
席に座るなり、小泉店主から「久しぶりですね」と言われてしまいました(笑)
無化調の鶏そばや純煮干しそばをやるなら、どんどん行きますよ。
最近の「ざ・はなみち」告知のツイートでは、結構アバウトな説明が多かったものの、今回はこれも久々に詳細なレシピを公表。
気合いが入っています。
これじゃ、麺量以外に聞くことないかなと、気楽な気分で、提供2日目の今日(1日)昼訪れました。
○ざ・はなみち「鶏の一撃」(800円)
ちょうど12時に入店。
予想通り満席でしたが、幸い券売機で食券を購入していると、4人が食べ終えて、待つことなく座ることができました。
しかし、私が座るなり隣の3席もあっという間に埋まるという人気ぶり。
私が座ったときに小泉店主がかけてくれた言葉が、最初に書いた一言。
やはり週末は「ざ・はなみち」が人気。
お客の半分は「ざ・はなみち」を食べています。
まもなく「ざ・はなみち」の「鶏の一撃」が着丼。
琥珀色の醤油スープには、調理の最後に鶏油をたっぷり入れていただけに、鶏油が浮いてオイリー。
肉厚の豚肩ロース肉の煮豚が2枚。
短い枕木メンマが3本。
ザク切りのネギがこれもたっぷり。
さらに、小口切りの青ネギ。
南部かしわから抽出した鶏油が覆うトロッとしたスープの表面をレンゲですくうと、鶏油の甘味とオイリー感、そして、鶏感が効いて鶏の濃厚な旨味が炸裂。
それに醤油ダレの旨味が染み込み、鶏主導で、醤油の旨味やコクがそれを追いかける「はなみち」独特の鶏そばの味に遭遇。
醤油ダレは、再仕込み2種、生醤油1種、鶏漬け込み醤油1種をブレンドしたもの。
徐々に鶏油と鶏ダシが混ざり、醤油とドッキング。
最初ほどではありませんが、甘めでオイリーで鶏の旨味が濃厚な「はなみち」の鶏そばワールドが展開。
ただオイリーで甘めというわけではなく、多めにトッピングされたザク切りのネギが、ネギの苦味とシャキシャキ感を添え、オイリーさのなかにも爽快感を与えています。
それにしてもいつになく鶏の旨味が濃厚だなと思っていると、小泉店主が「鶏と水」だけのスープではなく、「鶏と豚肉と水」のスープであると教えてくれました。
チャーシューに使う肩ロース肉と丸鶏を2時間ほどじっくり炊き、そのあとスープに使った肩ロース肉を取り出し、醤油・味醂・砂糖のタレに漬けて、チャーシュー(煮豚)に仕上げるという。
豚肉を一緒に炊くことにより、鶏スープのコクや旨味がさらに増し、小泉店主の言葉を借りると、「無化調ながら、化調を入れたような味になる」。
たしかに、そういえなくもありません。
鶏の旨味がいつも以上に濃厚。
鶏油のオイリー感と甘味も加わり、鶏の主張感がさらに高まっていますが、そこに豚肉の使用が一役買っているとは驚き。
もちろん、スープもタレも無化調です。
タレの醤油に鶏漬け込み醤油を1種使っているのも、鶏感アップに寄与。
麺は国産小麦を使った切り刃12番、加水率40%、厚み3.5ミリの太麺の手揉み縮れ麺。
自家製麺です。
やや固めのプリプリとした食感の麺は噛み応え十分。
小麦がぎっしり詰まった感のある麺は美味しいの一言。
鶏そばには中細麺が合うという常識にあえて挑戦。
太縮れ麺を合わせているのも、「はなみち」ならでは。
鶏感とオイリー感が強く、甘味もある少々ジャンクなスープには、存在感抜群の太縮れ麺が良く合います。
麺量は170g。
スープのダシに使った豚肩ロース肉。
たしかにダシが出た「出がらし」かも知れませんが、十分な旨味が残っていて、じっくりと煮込んでいるだけに厚めながら、ホロホロと柔らか。
しかも、タレの醤油・味醂・砂糖がチャーシューの旨味を補完。
良くある低温調理チャーシューをあえて使わず、肉肉しい煮豚(ダシをとった肩ロース)を使っているところも、ジャンキー感を高めるのに貢献。
短い枕木メンマはシャキシャキした食感で、味付けは薄め。
しかし、噛むとほのかな甘さが余韻のように広がるなかなかの出来。
すっかり鶏豚ダシと鶏油、醤油ダレが一体化。
ネギがアクセントを加えるスープを完飲。
食べ終わると、小泉店主が一言。
「ラーメン屋トイ・ボックスの醤油ラーメンを再現しようと始めて2年、結局こうなりました」(笑)
たしかにオーソドックスな鶏と水のスープに中細ストレート麺という「トイ・ボックス」の「醤油ラーメン」とは全く違う鶏そば。
でも、無化調で自家製麺ながら、「はなみち」らしいジャンキーでオイリーな「鶏そば」が出来たじゃないですか!
最後に、そろそろ「純煮干し」を食べたいなとリクエストすると、もともと来週末の「ざ・はなみち」は「純煮干し」に決めていたという。
楽しみです!
限定麺「塩煮干し」。背脂たっぷりの濃厚そうな見た目だが、塩ダレが効を奏し、ほどよい魚臭さ、苦味、エグ味の「はなみち」風「純煮干し」入門のラーメン。プリプリ食感の自家製手揉み縮れ麺もピッタリ!
10月19日(土)
今日はかなり強い雨が降り続くあいにくの天気。
気温も低めなので、ラーメンはやめて自宅で休養をとろうと、起床は何と午前10時。
遅い朝食のトーストを食べながら、岩手ローカルの土曜午前の情報番組をのんびり視聴。
念のために、11時過ぎに「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の週末限定麺(ざ・はなみち)をチェック。
最近「はなみち」の「ざ・はなみち」は「二郎系」などジャンクなメニューが多く、その反面、平日に突発的に1日だけの「ざ・はなみち」で「セメント煮干し」や「セメント煮干つけ麺」などを提供。
週末の「ざ・はなみち」は苦手なジャンク系、平日はことごとく食べ損ね。
そんな理由で、8月31日以来ご無沙汰。
今日も「ざ・はなみち」はジャンクかなと、何気なくTwitterを見ると、週末限定麺は「塩煮干し」。
これは行くしかない!と慌ててタクシーで、舘坂橋の「はなみち」へ。
○限定麺(ざ・はなみち)「塩煮干し」(800円)
相変わらずの雨のなか、店に12時過ぎに到着。
「はなみち」の限定麺が煮干しの時は、近くの岩手大学の学生をはじめ大混雑になるので、行列を覚悟。
ところが、ちょうど岩手大学の大学祭が開かれていたせいか(大学生が学祭に集中)、カウンター席に2席空席があり、すんなり座ることができました。
厨房には小泉店主と近くの独立予定の男性スタッフの2人。
最強の布陣てすね。
それほど待たずに男性スタッフが「塩煮干し」を運んでくれます。
ビジュアルはかなりジャンク。
塩煮干しというだけあって、スープの色は薄いセメント色。
しかし、縁には気泡がびっしり。
背脂がたっぷり入り、スープには粒子の細かい煮干し粉末が混ざる濁った様相。
具材は、分厚く大きめの豚肩ロース肉の煮豚(チャーシュー)が2枚。
やや変形の枕木メンマが3本。
ザク切りのネギもたっぷり。
さらに大きな海苔が添えられます。
さらっとしたスープを飲むと、予想通りの「はなみち」の「純煮干し」らしい魚臭さ。
もっとも、魚味と苦味、エグ味は、いずれもほどよい水準で、「はなみち」としては、おとなしめ。
煮干しは平子と長崎県産の片口を使用。
煮干しと背脂を別々に炊き、合わせたあと、ちょっとだけ醤油を使った塩ダレを加え、最後に背脂と煮干し粉末で仕上げています。
もちろん、無化調です。
醤油ダレの場合、煮干しを漬け込んだ醤油にたまり醤油や再仕込み醤油ほかをブレンド。
こうした濃いめで煮干し味も加味された醤油ダレと煮干しスープが相乗して強烈な煮干しのアタック感を創出。
これに対し、少し醤油を使っているとはいえ、塩ダレの場合、醤油ダレほどの強い煮干し感は出ず、「はなみち」の煮干しラーメンの味ながらも、おとなしめに出ています。
小泉店主にいわせると、「はなみちの煮干し入門」のラーメン。
強烈な魚味やエグ味を期待すると、少々物足りない感はありますが、たまにはこのようなおとなしめの煮干しもいいかも。
もっとも、仕上げの背脂がコクと甘味をプラス。
粒子の細かい煮干し粉末も入っていますので、ニボラーでなければ、十分濃厚な煮干し感。
麺は自家製麺。
切り刃12番、加水率34%、厚み3ミリの太め手揉み縮れ麺。
かんすいと塩を従来よりもやや多めにしているのは、昨日の「サンド」と同じ。
固めに茹で上げられた麺はプリプリとした食感と小麦をぎゅっと詰め込んだ感触。
麺の縮れが背脂を含んだ煮干しスープと良く絡み、麺とスープが一体となった濃厚な「はなみち」独自の煮干しワールドへの入門に絶好。
麺量は180g。
具材のなかで目立つのが圧倒的な厚みで大きめな肉肉しい見た目の豚肩ロース肉の煮豚2枚。
ところが見た目に反し、良く煮込み肉が柔らかく脂っぽくないうえ、醤油ダレが染み込む香ばしさ。
ジャンクなビジュアルを良い意味で裏切る美味しく食べ応えのある煮豚(チャーシュー)です。
やや変形の枕木メンマは食べ始めは柔らかく、それが徐々にシャキシャキ感に移行。
それとともに、最初の薄味が噛むにつれメンマと醤油ダレの旨味がじわじわとレの旨味が滲み出る絶妙な味と食感。
麺やチャーシュー、メンマを食べ終え、残りのスープを飲むと、スープとともにザク切りのネギが流れ込み、ネギのシャキシャキ感が実に印象的。
最後に大きな海苔を食べ、サッパリ感とともに、スープを飲み干します。
スープをつくるときに背脂を使っていますので、厳密にいえば「煮干しと水」だけの「純煮干し」とはいいがたい面がありますが、「煮干中華ソバ イチカワ」(つくば市)に触発され、「煮干しと背脂と水」だけでつくった無化調の「はなみち」風「純煮干し」。
その入門向けの魚味、エグ味控えめの「塩煮干し」は、誰にでもオススメてきる煮干しラーメンです。
淡麗でもなく、セメントでもなく、しかし煮干しの旨味を極限まで引き出した煮干しラーメンを是非味わってみてください。
限定麺「鰹出汁中華蕎麦」。3種の節と水のみのスープに濃いめ醤油ダレとオイルをブレンド。中細ポキポキ麺が濃いスープに良くマッチ。たっぷりの肩ロース肉チャーシューが圧巻!
8月31日(土)
毎週末楽しみにしている「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の限定麺(「ざ・はなみち」)。
今週末(8月31日・9月1日)の限定麺は「鰹出汁中華蕎麦」。
最近、節メインのラーメンや冷やしラーメン、まぜそばが気に入っているので、早速出掛けてみました。
○限定麺「鰹出汁中華蕎麦」(鰹だし中華そば)(800円)
正午過ぎに「はなみち」に到着。
いつも岩手大学生で賑わい、店内待ちが当たり前の同店。
ところが、今日は週末にもかかわらず、店に入ると先客は3人。
その後、席は徐々に埋まっていきましたが、いつもよりのんびりとした雰囲気。
厨房には小泉店主と助手さんの2人。
「ざ・はなみち」の食券を購入して、入口に近いカウンター席に座ります。
既に先客の3人はラーメンを食べている最中。
麺の茹で時間が短いので、すぐに「鰹出汁中華蕎麦」が着丼。
「はなみち」らしい凄みのある黒茶のスープ。
オイリー感もたっぷり。
それ以上にびっくりしたのが、スープや麺を覆い隠す大量のチャーシュー。
チャーシュー麺といっても過言でないチャーシューの量には驚き。
その他に短めの枕木メンマ3本。
チャーシューの上には白髪ネギが盛り付けられ、スープには輪切りのネギが浮かんでいます。
スープを飲むと、タイトルを裏切らない節の旨味。
ただし、節(とくに鯖節)特有の甘さは抑えられ、その代わりに強い醤油感と塩味の強さ。
それにオイリー感が加わります。
鰹節、鯖節、宗田節の3種の節と水だけでとったスープ。
それに、たまり醤油や再仕込み醤油、鯖を漬け込んだ醤油、味醂などをブレンドした醤油ダレを合わせています。
仕上油は、鶏油をベースに鯖節や煮干しなどを合わせたもの。
スープやオイルには鯖節特有の甘味が出ていますが、節の旨味やコク、香りを強調するために、醤油ダレを強めにして、節の甘味をシャットアウト。
その結果、スープの塩味が相対的に強くなっています。
しかし、節ダシながら、甘味よりも旨味の方が圧倒的に目立ち、それに濃厚な醤油ダレが合わさる塩味強めのスープは「節=甘み」という固定観念を打ち破る斬新さ。
もちろん、スープもタレも無化調。
麺は、切り刃18番、加水率33%の角ストレート麺。
自家製麺です。
茹で時間を少し短くして、中加水麺ですが、固めのポキポキとした食感にゆで上げています。
この歯切れの良い麺が、節の旨味が濃いめ・塩分も多めのスープにマッチ。
麺量は170g。
たっぷり入り、麺やスープを覆っているチャーシュー。
薄くスライスした豚肩ロース肉のチャーシューですが、良くみるとピンクの残るレア気味のチャーシューとしっかり焼き上げたチャーシューの両方があることに気づきます。
レア気味のチャーシューは柔らかさとしっとりとした食感、それにジューシーさが特徴。
対照的に焼き上げたチャーシューは、いくぶん固めになりますが、香ばしさと旨味の点では、レアに勝っています。
いずれも、脂身が多めに含まれていますが、食べてみると、見た目ほど脂っこくないので、加熱時間の違う肩ロース肉チャーシューの食感や風味の違いを楽しむことができます。
短めの枕木メンマは薄い味付けのシャキシャキ食感。
醤油やオイルが効いた塩味強めのスープですが、無化調なので、嫌な雑味が口に残りません。
節と水のみのスープと醤油ダレ、そして仕上油。
この3種をバランスさせた旨味と甘味の融合した味を避け、3者をあえて少々アンバランスにした「主張のある」節ダシのラーメン。
節の旨味とコク、濃厚な醤油味、醤油の濃さに伴う塩味の強さがそれこそ競い合う個性的なラーメン。
小泉店主はTwitterで「優しく染み渡る中華蕎麦」と書いていますが、いやいや相当「過激」な攻めのラーメンですよ(笑)
でも、それが「はなみち」らしいと思うのは私だけかな?
ともあれ、節ダシ好きの方は是非お試し下さい。
限定麺「豚バラ煮干しラーメン」。今回は苦味と塩味強めの濃密な純煮干しスープに手揉み麺を合わせ、絶品の豚バラ肉チャーシューを添えた一杯!
8月24日(土)
最近は「ラム肉づくしのラーメン」や鴨ダシなど、新たなチャレンジを続ける「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
そろそろ期間限定麺「ざ・はなみち」で「煮干しと水だけの純煮干し」を出す頃かなと思っていたら、予想通り。
今日(24日)、開店(午前11時)後にTwitterで公表された週末の限定麺は「豚バラ煮干しラーメン」。
純煮干しスープで、とくに苦味と塩味が強いという。
これは行くしかないと、慌てて準備をして、12時30分過ぎにタクシーで舘坂橋に向かいました。
いま大学は夏休み。
岩手大学の学生の圧倒的支持を誇る「はなみち」だけに、人気の煮干しラーメンといえども、それほど混んでいないのではないかと期待。
しかし、店についたら、13時過ぎなのに岩手大学生で店内は一杯。
店内待ちもできていました。
幸い、限定麺は売り切れておらず、食券を買ったあとは店内待ちの行列に接続。
約10分の待ち時間で、カウンター席の一番右端に座ることができました。
私以外は全員大学生。
若い大学生のなかに一人爺がいる何とも場違いな光景。
でも、美味しいラーメンを食べるためなら、そんなことを気にしているわけには行きません。
○「限定麺」(ざ・はなみち)「豚バラ煮干しラーメン」(800円)
座ってから約10分で提供された「豚バラ煮干しラーメン」。
濃く茶濁したスープは動物系不使用なので、さらっとしていますが、縁に煮干し気泡ができ、スープには粒子の細かい煮干し粉末がびっしり入っているなど、まさに「はなみち」流の濃密な純煮干しスープ。
スープを覆い隠すように、薄くスライスされた細長い豚バラ肉のチャーシューが3枚。
短い短冊状の枕木メンマ4本。
ザク切りのネギもたっぷり。
そして、大きな海苔が添えられます。
平子、背黒、銀いりこと水だけからとった「純煮干し」スープ。
同店は、これまで煮干しと水以外に背脂を加えてスープをつくっていましたが、ここにきて背脂をスープづくりから外し、仕上油に特化させるなど、「純煮干し」の度合いを一層高めています。
純煮干しスープに合わせる醤油ダレは「たまり醤油」をメインに、銀いりこを漬け込んだ醤油などをブレンド。
仕上げに、背脂に煮干し粉末を溶かした「ニボ背脂」を振りかけています。
一口目から、魚臭さ(魚味)、苦味、エグ味が一緒になった強烈な煮干し感と塩味の強い純煮干しスープに圧倒されます。
ただし、今日のスープは魚味を少し抑え、エグ味も軽め。
逆に苦味強めで、これにいつも以上濃い醤油の風味がドッキング。
苦味と醤油感、それに強めの塩味がタッグを組んだまさに煮干しを飲んでいるようなスープ。
もちろん無化調です。
スープにびっしりと浮かぶ煮干し粉末は、粒子が細かいためか、さらにニボ背脂とブレンドされ滑らかになっているためか、粉っぽさは微塵も感じません。
もっとも、食後は丼の底に煮干し粉末が残ります。
動物系スープとブレンドした粘度の強いセメント煮干しと全く違うタイプ。
煮干しそのものをぎゅっと詰め込んださらっとした濃密な煮干しスープ。
ニボ度という点からみれば、セメント系よりも「濃い」と言えるでしょう。
その代わり、塩味の強さも相当なもの。
でも、あまりにもスープが美味しいので、どんどん飲んでしまいます。
ハッと我に帰り、麺に着手。
国内産小麦5種を使った切り刃12番、加水率40%の平打ち麺を手揉みした「手揉み麺」。
自家製麺です。
今回はプリっとした食感よりもピロピロ感の方が強く、噛むと適度なモチモチ感。
幅広で縮れた麺が濃密な純煮干しスープを良く持ち上げ、小麦の香り豊かな麺と煮干しエキスのようなスープな口のなかで一体化。
麺量は180g。
商品名になっている「バラ肉チャーシュー」。
薄くて細長いバラ肉チャーシューは、ビジュアルはバラ肉とは思えないほどの見事な赤身とサシのバランス。
バラ肉というと「煮豚」にすることが多いのですが、今回のバラ肉チャーシューは低温調理したあと少し炙ったかのような風味と食感。
バラ肉の良さを活かし柔らかく食べやすいながらも、煮豚にありがちな脂っぽさはなく、肉の旨味をしっかり詰め込み、タレの醤油の風味が香ばしさを増幅。
最近の「はなみち」のチャーシューのなかでは、一番の出来です。
もっとも、スープの醤油感が強いうえ、チャーシューも醤油ダレが強く効いているので、両者の相乗により、さらにしょっぱくなっています。
短い短冊状の枕木メンマ。
食べ始めはとろっと柔らかく、次第にシャキッとしたメンマらしい食感に移行する食感の変化は見事。
味付けは薄味ですが、メンマ本来の旨味を味わえます。
濃厚な煮干しそのもののスープに負けないシャキシャキ食感のザク切りのネギ、そして最後をさっぱりと〆る大きな海苔。
スープの残りが少なくなり、スープ温度が下がるにつれ、一層苦味が強くなります。
濃すぎるし、しょっぱく、後で喉が渇くこと確実と思いながらも、結局は完汁させる純煮干しスープと強め醤油ダレ、ニボ背脂のオイリーさ三者のコラボレーション。
今回は豚バラ肉チャーシューの美味しさも加味。
「4.4」評価としました。
最近、「はなみち」は純煮干しスープに切り刃12番の太麺や手揉み麺を合わせる傾向。
この組み合わせは鉄板ですが、18番の低加水ストレート麺、それに今回のチャーシューのコラボを、食べてみたいものです。
ざ・はなみち「豚バラ煮干しラーメン」は明日(25日)も提供されますので、煮干し好きは是非お試しください。
限定麺「いわて鴨と南部かしわの冷たいつけ蕎麦」。鴨と鶏の旨味が重なる甘めの冷たいつけ汁に全粒粉を練り込んだ自家製麺をつけるさっぱりつけ麺。オーブンで焼いた皮付き鶏モモ肉チャーシューが絶品!
8月4日(日)
連日の猛暑に完全にダウン。
今日はラーメン休養日にして、クーラーの効いた自宅でごろごろしているつもりでした。
ところが、朝、「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)のTwitterを見たのが運のつき(笑)
今日の「ざ・はなみち」は「いわて鴨と南部かしわの冷たいつけ蕎麦」。
「鴨と鶏をブレンドしたスープ」の冷たいつけそばと聞くと、もう堪りません。
実は昨日、小泉店主はTwitterで呟き忘れ、私も土曜は「ざ・はなみち」が提供されないと判断。
ところが、実際は「鶏と鴨の中華そば」が提供されていました。
小泉店主が鶏そばへの挑戦の後に取り組んだのが鴨ダシへの挑戦。
まずは鴨と鶏をブレンドしたスープ。
その集大成が昨日のラーメンであり、今日の冷たいつけ蕎麦。
次はいよいよ鴨100%のダシ。
ならば、是非中間地点の鴨と鶏ブレンドの、しかも冷たいスープを飲んでおきたいもの。
出かける予定がなかっただけに、大慌てで身支度をして、11時30分に出発。
舘坂橋にタクシーで向かいました。
舘坂橋の橋の上でタクシーを下車。
「はなみち」に急ぎましたが、今日も34℃の酷暑。
涼しい「はなみち」にたどりつき、ホッと一息。
先週は土日以外に水曜と3日間、牛ステーキがたっぷり乗った油そばを「ざ・はなみち」として提供(「牛ステーキ油そば」)。
開店前から30人も並ぶ大行列をつくりだした「はなみち」(ちなみに、私は未食)。
今日は12時なのに7~8割の落ち着いた客の入り。
厨房の小泉店主も余裕があって、座るなり、声をかけてもらいます。
○限定麺「いわて鴨と南部かしわの冷たいつけ蕎麦」(800円)
今日の「ざ・はなみち」は、昨日のラーメンで提供した鴨と鶏とπウォーターのみでつくったスープを使った冷たいつけ麺。
私としても、鴨・鶏ダシのさっぱりとした冷たい無化調つけ汁で、同店の自家製麺を食べたかっただけに、昨日よりも今日来てよかった。
小泉店主が直接渡してくれた麺とつけ汁。
まず麺の盛られた丼を見ると、中細麺と中太麺のちょうど中間の太さのストレート麺が麺線美しく盛り付けられています。
麺は冷たい鶏ダシのスープに浸かって提供。
麺肌に斑点が見えますので、全粒粉入りの麺。
具は、皮付きの鶏モモ肉チャーシュー2枚と穂先メンマ3本。
つけ汁は琥珀色が少し薄め。
表面には鶏油が浮かび、オイリーなビジュアル。
輪切りと斜め切りの白ネギがたっぷり入っているのみというシンプルなつけ汁。
まず自家製麺から。
国産小麦を使い、全粒粉を4~5種類も練り込んだ切り刃18番の角ストレート麺。
麺の厚みは1.75ミリ。
「ほぐし水」と「割りスープ」を兼ねた冷たい鶏ダシのスープに浸った状態で提供。
通常は昆布水に浸かって提供されるのてすが、小泉店主は「昆布水」を好まないという。
その代わりの鶏スープ。
薄いながらも鶏スープの味が麺に移っているので、つけ汁につける前に麺そのものの純粋な風味を味わいたいという私には、ちょっと残念。
てきれば鶏ダシをさらに薄くするか、思い切って意図的に水切りを悪くして、丼の底に水を張っても良いと思うのですが。
そういえば、あの「東池袋大勝軒」の昔を思い出しました。
再開発前の超狭い店当時(1980年代)は、奥の客に割りスープをブーメラン方式で提供できなかったので、丼の底に水を残して、皆それを割りスープ代わりにして麺にドボンしていました。
さて麺を食べると、鶏スープの臭いが少々気になりますが、ツルツルとして啜りやすく、全粒粉が効き、小麦の風味も豊か。
冷水で締めているので、コシのある歯切れの良い麺。
麺量は200g。
次につけ汁を飲んでみます。
南部かしわ、いわて鴨とπウォーターのみでとった鶏と鴨と水だけのスープ。
これに、再仕込み醤油、生醤油、砂糖、味醂などをブレンドした醤油ダレを合わせ、鶏油を入れています。
つけ汁は味醂と砂糖が効いて、最初に強めの甘味を感じます。
それに続き、鶏と鴨の旨味が到来。
さすがに鴨を使っているだけに、鶏だけよりも旨味に厚みがあります。
醤油は鶏と鴨の風味をより強く感じさせるため、濃度をやや薄めに。
それがつけ汁の色に表れています。
甘味が強い割に、塩味もそこそこ感じます。
鶏と鴨の旨味たっぷりで、醤油は少し引いた冷たいさっぱり感のあるつけ汁が理想的。
それに比べると、味醂と砂糖の甘味がやや強すぎ。
しかし、麺をつけ汁に絡めると井街に甘味がそれほど気にならなくなり、むしろ鶏と鴨と醤油と麺の旨味が一体となった冷たい麺料理が展開。
私としては、もう少しつけ汁の甘味を抑え、冷たいスープのさっぱり感を最初から感じさせてくれるとさらに良いのですが。
それでも、鴨と鶏の無化調のつけ汁に自家製麺を組み合わせるという意欲ある試みを、高く評価したいと思います。
具の皮付きモモ肉チャーシューは、オープンで焼いた本格的なもの。
香ばしい風味とコリコリとした食感が絶品で、もっと食べたくなります。
大きな穂先メンマが3本も入っているのもお得。
メンマは発酵臭を敢えて残したインパクトのある味。
シャキッとした食感も魅力的。
麺と具を食べ終わったら、麺の丼に残った鶏ダシのスープをつけ汁に全量投入。
甘味が薄くなる代わりに、鴨と鶏のつけ汁に鶏ダシスープが足され、鶏と醤油の旨味がバランスした冷たい割りスープを飲んで終了。
ラム肉が入荷したので、ラム肉を使った「ざ・はなみち」を出したいと語る小泉店主。
今回は鶏と鴨のブレンドスープでしたが、次は鴨とπウォーターだけでスープをとりたいと抱負を語ってくれました。
岩手大生の圧倒的な支持を受けるレギュラーのジャンクなラーメンをつくる一方、鶏、煮干し、ジャンクなどすぺての分野で意欲的な試みを続け、快進撃を続ける「麺の極 はなみち」。
これからも、見守っていきたいと思います。
限定麺「はなみちの煮干ラーメン」。煮干しと水だけで炊いたスープに醤油ダレを合わせ、背脂ベースの煮干油で仕上げた濃密な無化調純煮干しラーメン。プリモチの手揉み縮れ麺もベストマッチ!
7月20日(土)
近くにある岩手大学の学生に大人気のジャンクなラーメン、つけ麺、まぜそばを提供する一方、週末には限定麺「ざ・はなみち」で、無化調の鶏そば、純煮干しそばなどを提供。
ラーメンマニアの支持も集める「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
私も最近土曜は、「ざ・はなみち」を食べるのが一番の楽しみ。
以前にも書きましたが、「ざ・はなみち」には提供のサイクルがあります。
基本的に、煮干し→鶏→ジャンクのサイクル。
そうすると、先々週は鶏の「南部かしわの鶏油そば」、先週はジャンクな「カレーまぜそば」。
そうなると今週末は煮干しに違いないと確信。
私はジャンクはパスして、鶏と煮干しのみ食べていますので、煮干しが予想される今日(20日)は、朝からやる気まんまん。
「ざ・はなみち」が発表されるのは開店11時から15~30分後。
ここで、鶏か煮干しと分かれば即タクシーで舘坂橋の「はなみち」に急がないと、「売り切れ」のおそれ。
今日はやや早めの11時15分頃にTwitterで、今週の「ざ・はなみち」が発表。
予想どおり「はなみちの煮干ラーメン」。
最近では珍しくスープ、麺、香味油に関する詳細なレシピも公表。
「はなみち」ならではの「純煮干し」。
もう行くしかありません。
そこで、11時40分に自宅を出発。
タクシーで舘坂橋に着いたのが12時少し前。
30℃を超える猛暑ですが、アツアツのラーメンを食べるのに何の迷いもありません。
店に入ると、やはり満員に近い状態。
「ざ・はなみち」が売り切れていないことを確認。
早速、食券を購入。
私が食券を買っていると、すぐ後にお客が並びます。
空席を発見して着席。
助手さんに食券を渡します。
もちろん、もう一人のスタッフは小泉店主。
あっという間に店内待ちが発生。
良く見ると、お客さんの約半分が「ざ・はなみち」を注文。
○ざ・はなみち「はなみちの煮干ラーメン」(800円)
割とスピーディーに到着した「はなみちの煮干ラーメン」。
その名のとおり、典型的な「はなみち」の「純煮干し」のビジュアル。
濃い茶濁したスープの表面には、背脂ベースの煮干油が点々。
さらに、煮干し粉末がスープに混ざっています。
表面の半分は、薄いピンク色の大判の豚ロース肉ローストポークで覆われています。
残った半分に枕木メンマ3本とザク切りのネギ、そして大きな海苔がトッピング。
平子、背黒、銀いりこと水だけで炊いた純煮干しスープに、銀いりこを漬け込んだ醤油ほかの複数の醤油をブレンドした醤油ダレを合わせています。
仕上油は、背脂に煮干し粉末をブレンドした煮干油。
「はなみち」では通常、煮干しと水と背脂を炊いてスープをつくり、炊き上がったあと背脂を抜いています。
今回はスープを炊く段階で背脂を使わず、仕上油として煮干し粉末と混ぜて投入。
その意味で、「純煮干し」の度合いがさらに高まっています。
とにかく動物系は香味油に使う背脂のみという煮干しと水だけの純煮干しスープ。
早速飲んでみます。
ビジュアルは濃厚ですが、動物系と合わせたセメント煮干しと違い、さらっとしたスープ。
飲むと、いきなり強烈な魚臭さ。
それに若干のエグ味も加わり、煮干しのエキスが詰まった濃密な煮干し感に圧倒されます。
これに醤油ダレが重なり、純煮干しプラス醤油の凄いバンチ力。
ちなみに苦味はありません。
大量の煮干しに醤油ダレが合わさり、塩分濃度も相当なもの。
これに比べると、動物系と合わせ苦味やエグ味を抑えマイルドなセメント煮干しが可愛らしく思えるほど。
それだけの凄まじい煮干し感ですが、魚臭さとエグ味と醤油感が一体化したしょっぱいスープは、ニボラーなら歓喜ものの濃密な旨味。
この煮干しの原液のようなスープにはまると、抜け出せなくなる中毒性があります。
スープを炊く際に背脂を使っていないため、背脂を使って炊いたスープに比べ、煮干し感がよりストレート。
あまりの美味しさと強烈さに、レンゲが止まりません。
スープには潰した煮干しの粉末や香味油から溶け出した粉末が混ざりますが、粉っぽさを全く感じさせないのも、さすがです。
ようやくスープを飲むのを小休止。麺に移ります。
麺は自家製麺。
キタホナミ、チクゴイズミ、全粒粉2種をブレンドした切り刃12番、加水率39%、厚み3ミリの太め手揉み縮れ麺。
プリっとした食感の麺は、厚みも十分あり、歯応えも十分。
噛むとモチモチ感のある「プリモチ麺」。
煮干し100%+醤油ダレの濃密なスープに負けない存在感のある麺。
麺量は160g。
豚ロース肉を低温調理して、醤油だけで味付けした巨大なローストポーク。
さすがに食べ応えがあり、あっさりとした中にも肉の旨味を感じます。
ただし、肉が少々パサついていたのが惜しい。
もっとしっとりと仕上げて欲しかった。
枕木メンマは、柔らかい食感のものとシャキシャキ感のあるものが混じる面白い仕上がり。
味付けは薄めです。
シャキシャキとした食感のザク切りのネギや大きな海苔も、濃密な旨味の純煮干しラーメンに不可欠な具。
「イチカワ」(つくば市)に端を発する純煮干しを「はなみち」流にアレンジした比類のない無加調の煮干しそば。
ニボラー専用の個性の強いラーメンですが、大学生をはじめこれだけの人が食べているのも驚き。
「純煮干し」の味に若い頃から慣れ親しんでいる学生たちが羨ましくなりました。
「はなみち」は不定期で限定麺として「純煮干し」を提供。
しかし今日の一杯は、スープを炊くときに背脂をあえて使わずに香味油に回すほか、銀いりこをスープと醤油ダレの両方に使うなど、より純ニボ度の高い傑作。
明日(21日)も提供されますが、小泉店主によると、明日は醤油ダレの調合を変えるとのこと。
ニボラー必食の一杯です。
限定麺「南部かしわの鶏油そば」。鶏油の甘味とコクを活かした「まぜそば」。鶏油ダレと弾力ある麺とのコラボがが絶妙。巨大な皮つき鶏モモ肉チャーシューが凄いインパクト!
7月6日(土)
週末の楽しみ「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の限定麺「ざ・はなみち」。
提供にはサイクルがあって、鶏→煮干し→ジャンクといったパターン。
先々週は煮干し、先週はジャンクだったので、今週末は鶏と予想していました。
原則ジャンクは敬遠。
鶏と煮干しのときに訪れるというサイクルです。
今週のざ・はなみちがTwitterで発表されるのは土曜の開店(午前11時)後。
毎週この時間になると、そわそわするのが恒例になっています。
もちろん「ざ・はなみち」は気まぐれ的に平日提供されることもあって、先週火曜も濃厚な煮干しつけ麺が40食ほど提供され、あっという間に売り切れたらしい。
今日(7月6日)は行く気満々だったのですが、金曜夜は午前1時過ぎまで職場で仕事。
自宅に帰り、明け方まで起きていたので、目を覚ますと既にお昼。
あわててTwitterをチェックすると、今週末の「ざ・はなみち」は「南部かしわの鶏油そば」。
「はなみち」が「鶏油そば」を出すのは久々。
「鶏油そば」は、脇役的な鶏油を主役にして、それに鶏ダシのスープ、醤油ダレなどをブレンドしたタレ(スープ)と中細麺(細麺)をまぜて食べる油そば(まぜそば)の一種。
「トイ・ボックス」(三ノ輪)や近く営業再開する秋田市手形の「リュウグウジョウ」などの「鶏油そば」が有名。
しかし、盛岡で鶏油そばを限定ではあれ、提供しているのは「はなみち」だけ。
この貴重な機会を逃してなるものかと、大慌てで身支度をして、タクシーで「はなみち」に向かいました。
それでも大幅な出遅れで、店に着いたのが13時40分!
開店から2時間40分が経過。
売り切れていてもおかしくありません。
祈るような気持ちで引き戸を開け、店に入って、入口右奥の券売機に注目。
やった!「ざ・はなみち」に売り切れの赤ランプは点灯していません。
それにしても、14時近いというのに、この混雑はどうでしょう。
11席のカウンター席は満席。
しかも、どんどんお客が入り、店内待ちの行列。
道路の向かいに「まぜそば」や「濃厚ラーメン」など若者向きのメニューを揃えた新店が誕生。
結構繁盛しているというのに、「はなみち」には全く関係なし。
むしろ、最近ますます混雑しているのですから、凄いとしか言いようがありません。
近くの岩手大学の学生から絶対的な支持を受けている店です。
○ざ・はなみち「南部かしわの鶏油そば」(800円)
座ったあと、割に早めに提供された「南部かしわの鶏油そば」。
白い丼の底に、地鶏「南部かしわ」から抽出した鶏油と、同じく「南部かしわ」の鶏ダシスープ、そして醤油をブレンドした鶏油ダレ。
その上に麺が盛られ、麺の上には枕木メンマ3本と笹切りのネギがトッピング。
圧倒的なのが、丼の半分を覆う巨大な皮つきの鶏モモ肉チャーシュー。
まずは底の鶏油ダレをレンゲで少しすくってみます。
鶏油の甘さとコクをストレートに感じるタレ。
あくまでも鶏油が主役ですが、鶏ダシスープと醤油ダレがブレンドされ、やや甘味が強いながら鶏の旨味が凝縮されたタレ。
鶏油とともに主役の麺。
切り刃18番、加水率33%の角ストレート麺。
北海道産の小麦100%で、しかも今回はかん水と塩を使わず打った麺。
自家製麺だからこそできるユニークな試みです。
18番という中太と中細の間に当たる太さが本当に絶妙。
それ以上にブリッとして弾力があり、しかもモチモチ感もあるというまぜそばには絶好の麺。
小麦の香りもたしかに感じられます。
麺量は180g。
麺を鶏油ダレにまぜて食べると、最初少し気になった甘味がすーっと引き、さっぱりとした旨味に変化。
鶏油ダレだけだと、甘味を強く感じますが、麺と絡めることで、甘みが薄まり程よいレベルに。
その結果生まれた適度な甘みとコクのある鶏油ダレとモチモチして弾力もある麺のコラボこそ、「はなみち」の鶏油そばの魅力。
麺は通常の「鶏油そば」の麺ほど細くもないし、かといって「まぜそば」の麺ほど極太でもないというちょうど良い太さ。
鶏油ダレと自家製麺とのコラボは、油が過剰で、しかもしょっぱい通常のまぜそば(油そば)と比べると、さっぱりとした飽きのこない一杯です。
鶏油ダレの美味しさや麺の食感はもちろんのこと、多めにトッピングされた笹切りのネギの爽やかな辛さが、オイリー感や甘さをうまく抑えるのに貢献。
太めの枕木メンマはシャキシャキ食感で、味付けは甘め。
そして圧倒的な存在感の巨大な皮つき鶏モモ肉チャーシュー。
甘めに煮込んだチャーシューは柔らかくて食べやすく、それ以上にボリュームたっぷりで、おとなしめの鶏油そばに少々のジャンキー感を与えています。
同時に、若者たちにはやや物足りない麺量180gを、チャーシューの食べ応えがボリューム的に十二分に補っています。
最後は、底に少し残った鶏油ダレをレンゲですくって完汁。
鶏油ダレは、もちろん無化調。
「鶏油そば」を盛岡で食べることのできる貴重な機会。
明日(7日)も提供されますので、「鶏油そば」未食の方は是非食べてみてください。
限定麺「煮干ラーメン」。「はなみち」流の純煮干しスープに太め手揉み縮れ麺を合わせた魚臭さとエグミが堪らない醤油ラーメン。今回は煮干しのブレンドを変え、若干ライトな味に。
6月22日(土)
昨晩は金曜夜ということもあり、録画したドラマなどをみていたら、ついつい明け方に。
それから寝たので、目をさましたら11時30分。
あわててTwitterをチェック。
すると、今週末の「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の限定麺(ざ・はなみち)は「煮干ラーメン」。
これは行くしかない!
急いで支度をして、当然朝食抜きでタクシーで「はなみち」へ。
国道をはさんで向かいにあったラーメン店が閉店。
そこを居抜きで借りて、油そばメインの新店がオープン。
某グループの系列店のようですが、新店とあって、行列ができています。
「はなみち」は空いているかなと予想して店に入ると、ほぼ「満席」!
早速、券売機で「ざ・はなみち」の食券を購入。
わずか1つ空いていたカウンター席に座り、小泉店主に食券を渡しました。
○ざ・はなみち「煮干ラーメン」(800円)
到着した「煮干ラーメン」は、濃茶のニボ度高めな醤油スープに煮干し粉末が浮かぶ典型的な同店の「純煮干し」。
具は分厚い豚肩ロース肉の煮豚2枚と極太の枕木メンマ3本。
スープにはザク切りのネギが浮かび、さらに輪切りの白ネギが添えられています。
その他、大きな海苔が1枚。
スープを飲むと、「はなみち」の「純煮干し」ならではの魚臭さと若干のエグミ。
苦味はありませんが、この魚臭くエグミのある煮干しを丸ごと搾ったようなスープに、やや甘めの醤油ダレのブレンド。
ニボラーには堪らない味です。
煮干しと水と背脂を炊き込みスープをとったあと、背脂を抜いて煮干し粉末を加えた「純煮干し」スープ。
背脂を使っているので、厳密に言うと動物系不使用とはいえませんが、「純煮干し」のルーツ「イチカワ」(つくば市)やそれを継承した「児ノ木」(新宿区上落合)では、仕上油に「鶏油」を使用。
「はなみち」の「純煮干し」ではスープづくりに背脂を使う一方、仕上油を使わないところが特徴。
醤油ダレは生醤油にたまり醤油をブレンドしているようで、前記のようにやや甘め。
小泉店主はTwitterで、「煮干しのブレンドを変えて、ライトな作りになっています」と発言。
たしかに典型的な「はなみち」の純煮干しスープですが、通常を100とするなら、85ぐらいの煮干し感で、たしかに「ライト」なつくり。
小泉店主に聞いてみると、いつもは平子と背黒2種。
それを今回は平子といりこ2種に変えてみたという。
そのため若干ライトな仕上がりになったという。
なるほど。
麺は、切り刃12番、加水率41%の太め手揉み縮れ麺。
自家製麺のプリプリとした麺は、やや固めの茹で上げで、歯応え十分。
この固めプリプリ食感の太麺が、少々ライトとはいえ、塩味強く、醤油感たっぷりで煮干しのエキスがつまったスープに良く合います。
麺量は180g。
豚肩ロース肉の分厚い煮豚は、肉々
しい見た目に反し、柔らかく肉の旨味と醤油ダレの旨味がミックスした絶妙な味付け。
極太の枕木メンマは、シャシキャキとした食感で、味付けは薄め。
しかし、食べ終わる直前にメンマの旨味がぐっと盛り上がり、満足度高い仕上がり。
ザク切りネギのシャキシャキとした歯触りが、濃厚でオイリーなスープに爽快感を加えているのも見逃せないところ。
まわりの大学生たちがスープを少し残すなか、私はさくっと完飲。
煮干しと水と背脂の純ニボスープに、やや甘めの醤油ダレのブレンド。
このニボ度たっぷりのスープに多加水の太め手揉み縮れ麺という鉄板の組み合わせ。
ややライト加減なので、煮干し初心者の方でもぎりぎり大丈夫かと?
明日(23日)も提供されます。
限定麺「鶏のつけ蕎麦」。日本蕎麦風の自家製麺は硬質感と粘り気、小麦の香りをあわせもつ絶品。これを甘味とオイリー感強い鶏ダシのつけ汁につけて食べるまさに「鶏南蛮つけそば」風の「つけ蕎麦」!
6月8日(土)
今週末の「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の限定麺(ざ・はなみち)は、「鶏のつけ蕎麦」。
名称が平凡なので、普通の鶏ダシ醤油つけ汁のつけそばかなと考え、一瞬見送ろうかなと思いましたが、小泉店主のツイートには気になるフレーズが。
「麺がいいっす」、そして「スープは鶏と水のみのスープではありますが、そっち?って感じの味がします笑」
やはり「はなみち」店主自ら「麺がいいっす」という自家製麺を食べてみたい。
それから「そっち」って感じの味とは何なのか?
結局、それらが気になり、今週末も「はなみち」の限定麺を食べに、舘坂橋までタクシーを飛ばすことに。
まんまと小泉店主に釣られた(笑)わけです。
○限定麺「鶏のつけ蕎麦」(800円)
今日(6月8日)は、「ちゃぐちゃぐ馬コ」の日。
交通規制があるので、かなり遅い出発。
店に着いたのは13時30分。
まだ限定麺は残っていました。
昼のピーク時を過ぎているのに、L字型のカウンター席のみの店内は満席。
「ざ・はなみち」の食券を買ったあと、しばらく店内待ち。
券売機横の「ホワイトボード」にも「今日のざ・はなみちは、「鶏のつけそば」」の文字のみ。
説明は何もなし。
果たしてどんなつけそばが出てくるのでしょうか?
並んでまもなく目の前のカウンター席が空いたので着席。
若いスタッフに食券を渡します。
ちなみに、今日は小泉店主と若手スタッフの2人体制。
そして、いよいよ待望の「鶏のつけ蕎麦」を小泉店主が運んでくれます。
早速「そっち」って感じの味とは何を意味するのか聞いてみると、「まずは食べてみてください」と小泉店主。
そのとおりですね。
私が焦り過ぎていました。
麺はみずみずしく色の濃い中細角ストレート麺。
どうやら「ふすま」が練り込んであるよう。
そんな日本蕎麦を思わせるような麺が、実に綺麗に折り畳んで盛り付けられています。
このビジュアルだけで、もう食欲増進。
つけ汁は琥珀色がやや薄めですが、見るからにオイリー。
鶏のモモ肉チャーシューと鶏肉。
それにぶつ切りのネギが3つ。
麺が日本蕎麦風なら、つけ汁も日本蕎麦の「鶏南蛮つけそば(せいろ)」のつけ汁にそっくり。
まず麺をつけ汁をつけずに食べてみます。
切り刃18番、加水率33%の角ストレート麺。
小泉店主によると、小麦の表皮である「ふすま」だけを精製した「ふすま粉」、小麦を皮ごと丸ごと石臼挽きした「石臼挽き全粒粉」。
この両者を8種類の小麦にブレンドして打った自家製麺。
8種の小麦は、硬質感のあるものと粘り気のあるものを選択。
さらに日本蕎麦感を出すため、かん水と塩を少なめにして製麺したという。
そんな小泉店主こだわりの自家製麺は、硬質感のある日本蕎麦を思わせる食感。
しかし、噛むと粘り気とモチッとした食感が現れます。
しかも、ふすま粉と石臼挽き全粒粉のダブルの練り込みが効いて、小麦の風味が半端じゃありません。
日本蕎麦のような食感を実現しながら、そば粉の香りの代わりに小麦の香り豊かな麺は、つけ汁につけなくてもそれだけで啜ることのできる絶品。
麺量は200g。
つけ汁は親鳥のガラと熟成させた丸鶏とπウォーターだけの「鶏と水のみのスープ」。
それに甘口の醤油を数種類ブレンドして合わせ、さらに砂糖と鶏油を加えています。
そのため、鶏の風味はもちろんですが、甘味とオイリー感の強いつけ汁に仕上がっています。
恐らく、この甘味とオイリー感には好みが分かれるでしょう。
もちろん無化調のスープ。
つけ汁だけだと、甘さがかなり気になりますが、これが不思議で、麺をつけて啜ると、たしかに「鶏南蛮つけそば(せいろ)」を食べているようで、つけ汁の甘さがそれほど気にならなくなります。
具の鶏肉やぶつ切りのネギも、「鶏南蛮」感を強めています。
噛むと甘いジュースが口の中に広がるぶつ切りのネギも、なかなかユニーク。
鶏モモ肉のチャーシューは、醤油ダレにしっかり漬け込んでいるので、こちらも口に含むと、タレと鶏の旨味の両者がブレンドされて、口の中に広がります。
麺を食べ終えたら、今度はスープ割りをお願いします。
すると、鶏スープと輪切りのネギを足し、電子レンジで加熱。
アツアツのスープ割りは、甘味が薄まり、鶏の旨味と醤油ダレの風味、そしてネギのツンとした心地よい苦味が重なります。
食後、小泉店主に再度確認してみると、やはり「そっち」というのは日本蕎麦の「鶏南蛮つけそば(せいろ)」。
たまたま食べた「鶏南蛮」の味が印象的で、麺を日本蕎麦風に打つとともに、つけ汁も思い切って「鶏南蛮つけそば」風にしてみたという。
今回のつけ汁は、甘口醤油に砂糖をプラスした甘味が特徴的でしたが、小泉店主はもちろん甘さ控えめで、醤油のキレを重視した鶏ダシのつけそばも考えているという。
そちらは「冷やしつけそば」として提供する予定とのこと。
期待大です。
なお、「鶏のつけ蕎麦」は日曜(9日)にも提供されます。
ツイートによると、さらに味をブラッシュアップして提供されるよう。
関心のある方は、是非お試しください。
限定麺「濃厚煮干つけ麺」。1杯あたり180gもの煮干しを使用。動物系ベースだが、クリーミーさやマイルドさを微塵も感じないビター感MAXの無化調セメント煮干しつけ麺!
5月25日(土)
今日の盛岡は最高気温が31℃の真夏日。
この暑さではアツアツのラーメンはきついと思っていたら、今週末の「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の限定麺「ざ・はなみち」は、「濃厚煮干つけ麺」。
「つけ麺」はありがたいし、小泉店主のツイートでは、「一杯あたり180gの煮干ですので、苦手な人はご遠慮ください」と挑戦的。
では、早速受けて立ちましょう(笑)
○限定麺「濃厚煮干つけ麺」(800円)
12時過ぎに「はなみち」に入ると、空調の効いた涼しい店内は、意外に空いていました。
「あまりの暑さで、皆さん出足が遅いのかな」などと考えていたら、やはり続々と岩手大学の学生たちが入店。
学生たちで、一気に満席。
オジサンは私だけか!と場違い感満点ですが、これはいつものこと。
券売機横の説明書きにも、「1杯に180gの煮干し。苦手な方はやめたほうがいいかと」と、警告。
ニボラーを自認する私は、そんな警告を無視。
「ざ・はなみち」の食券を敢然と渡します。
厨房内は小泉店主と若い男性スタッフの2人。
やはり煮干しは人気があるのか、大学生たちも、続々と「濃厚煮干つけ麺」を注文。
麺が太麺のため茹で時間がかかるため、約10分強の待ち時間で「濃厚煮干つけ麺」が到着。
茶色っぽく瑞々しい角ストレートの自家製の太ストレート麺が、実に綺麗に盛り付け。
麺の上には、厚めで肉々しいビジュアルの豚肩ロース肉の低温調理チャーシューが2枚。
それ以上に凄いのがつけ汁。
表面はドリップコーヒーのような泡があちこちで立っている茶色の層。
それが盛り上がるように眼前に。
泡立った表面の隙間から黒茶色の煮干しブラックとでも表現できそうなサラッとした煮干しスープが顔を覗かせています。
両者の間には、セメント色のドロッとした層。
あくまでも、私の主観的な捉え方ですが、表層のあちこち泡立つ茶色のスープの下にセメント色のとろみのあるスープ。
その下のスープの大部分は煮干しブラックのさらっとしたスープ。
この3層構造とでも表現したいスーブの見た目の凄みが素晴らしい!
表面の茶色に泡立った部分には、白髭ネギが盛り付けられ、それにラー油を垂らしてあります。
茶色に泡立つスープにラー油の赤が混ざる色合いも見事。
さらに、煮干し粉末が添えられています。
薬味は白髪ネギ以外に、刻み玉ネギや小口切りのネギ。
さらにスープの頂上にナルトがトッピング。
煮干しと水と背脂だけの「純煮干し」を追求する「はなみち」には珍しく鶏ガラ、丸鶏、豚足など動物系のダシをしっかりとり、そこに背黒や平子など煮干しを大量に炊き込んでいます。
煮干しの使用量は、何度も言いますが、一杯あたり180g!
つけ汁を混ぜると、3層構造(?)のスープが混ざり合い、少し粘度はありますが、基本さらっとした茶濁の濃厚セメントスープに。
レンゲでつけ汁を飲んでみると、苦味やエグミを惜しげもなく出したビター感のある濃厚煮干しスープ。
最初はラー油の辛さが煮干し味を邪魔するのでは?と危惧しましたが、そんなことではびくともしない煮干し感。
むしろ醤油ダレのせいか甘味を少々感じますが、ラー油の辛味がスープの甘味をうまく中和。
ラー油の風味は感じず、ほんのりとした辛味のみが煮干しスープに加わります。
ベースの動物系は主張せず、動物系スープにありがちなクリーミーさやマイルド感は微塵もありません。
もっとも動物系は、煮干しを大量に使う場合につきものの「魚臭さ」を緩和する役割を果たしています。
もちろんスープのコク出しにも貢献。
そこそこの苦味やエグミがありながら、魚臭さを動物系がうまく中和してくれる(?)せいか、濃厚でビターですが、飲みやすいスープに(もっとも、私は煮干し100%の魚臭いスープが大好きですが)。
動物系のスープに煮干しを炊き込んだ「煮干しつけ麺」のつけ汁は、多くの場合、煮干し感は弱め。
その代わりにマイルド感や甘味などが目立つものが多い。
それに対し、「はなみち」の「濃厚煮干し」は粘度は弱いながら、従来の煮干しつけ麺の常識を破って、潔いほどのビターな煮干し感を前面に出したつけ汁。
ニボラーには堪らない出来。
しかも、無化調というのですから驚き!
麺はもちろん自家製麺。
切り刃12番、加水率41%の多加水角ストレート太麺。
瑞々しい麺肌と硬質感のある歯応えのある食感。
しかし、噛むと今度はモチッとした食感。
小麦の香りも豊か。
麺量は250g。
少し固めのストレート麺を、煮干し感溢れる粘度低めのつけ汁につけて食べると、煮干しの旨味や雑味と麺自体の旨味が口の中で一体に。
これこそ「濃厚煮干そば」の醍醐味。
途中、煮干し粉末を溶かすと、つけ汁の煮干し感がさらに高まります。
ラー油の辛さが煮干し感一杯のスープに混じり、良い意味でつけ汁にアクセントを加えています。
そして豚肩ロース肉の低温調理チャーシュー。
ピンク色とかロゼカラーのような鮮やかな色ではなく、やや錆びたようなくすんだ色合い。
肉厚で、いま主流の柔らかいチャーシューとは一線を画し、肉々しく噛み応えがあります。
低温調理したチャーシューを醤油ダレに漬けているので、醤油の風味と共に肉の旨味を感じることができるさすがの出来のチャーシュー。
見た目はいまいちですが、味は絶品のチャーシューが2枚ものっているのですから、贅沢。
難点を言えば、煮干しの使用量が半端じゃないので、その分しょっぱいということ。
それに醤油ダレに漬け込んだこちらもしょっぱいチャーシューが加わるので、塩分濃度はかなり高め。
これは、セメント煮干しのある意味宿命ですね。
麺が太いので、250gの麺量といえども、あっという間になくなります。
残ったつけ汁のスープ割りを頼むと、豚骨スープを足してくれ、さらに電子レンジでスープを温めてくれます。
煮干しが勝ったスープがいい意味で豚骨スープで薄められ、飲みやすくなったアツアツのスープ割り。
それを刻み玉ネギや小口切りのネギ、白髪ネギなど残った薬味のシャキシャキ感と共に楽しみながら、ゆっくりと完飲。
今日も満足して店を出ました。
限定麺「濃厚煮干そば」は、明日(26日)も提供されます。
限定麺「隠れ鶏煮干」。土日限定麺「鶏の出汁で喰う麺」の鶏ガラと丸鶏でスープを炊き、大量の煮干しを投入した動物系使用の「煮干しそば」。「鶏」が「隠れる」ほど「煮干し」のインパクトが強烈!
5月13日(月)
10連休が終わったあとは、「サンド」は別として、「南部屋路ばた」「はなみち」「HINOTORI」など同じ店ばかりに通っていますね(笑)
それほど、これらの店が出す無化調の限定麺の魅力が大きいんですよ!
実は今日(13日)は、はじめ別の店に行く予定でした。
が、12日夜に「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の小泉店主が気になるツイート。
11日と12日に限定麺「ざ・はなみち」として提供した仙台の某有名店リスペクトの「鶏の出汁で喰う麺」で使った鶏ガラと丸鶏がちょっと余ったので、鶏のスープを炊き、これに煮干しを投入。
あとは煮干しそば用の「背脂」、鶏そば用の「鶏油」の製作がうまくいったら、明日(13日)両者をブレンドして、「ざ・はなみち」として提供するという。
「はなみち」の煮干しそばは、原則「煮干しと水」だけでスープをとる純煮干し。
これに香味油として背脂を入れるのと、「銀いりこ」を漬け込んだ醤油ダレを合わせるのが「はなみち」の「煮干しそば」。
もちろん、動物系をベースにしたセメント煮干しを提供することもありますが、「鶏と水」だけのスープにこだわる小泉店主は、「煮干しと水」の純煮干しが一番好きだという。
その意味では、鶏ガラや丸鶏、鶏油に煮干しと背脂をブレンド。
銀イリコ漬け込みの醤油を加えたタイプの「煮干しそば」は非常に珍しい。
一体どんな味になるのか気になりました。
店がオープンしたあとにツイートされた限定麺(ざ・はなみち)の名称は「隠れ鶏煮干」。
要するに、鶏ガラと丸鶏、鶏油を使いながら、鶏を全く感じさせない量の煮干しを炊き込み、「純煮干し」に近い味を出したという。
「はなみち」の煮干しラーメンファンの私としては、もう行くしかないでしょう。
ということで、13時近くに店を訪れました。
〇限定麺「隠れ鶏煮干」(800円)
店は近くの岩手大学の学生たちでほぼ満席。
何とか限定麺が残っていたので、一安心。
厨房には小泉店主と蛯名スタッフの2人。
到着した「隠れ鶏煮干」は、一見しただけでは、「純煮干し」と違いはありません。
濃茶のいかにも煮干しと醤油ダレが詰まったような濃厚そうなスープ。
表面はオイリーで、スープには煮干しを粉砕した煮干し粉が混じる様相。
具は、土日に提供した皮付きの鶏モモ肉チャーシュー。
プラス、最近の「はなみち」では定番のチャーシューになりつつある厚みのある豚肩ロース肉の煮豚。
この2枚のチャーシューだけで、ものすごい重量感。
あとは、枕木メンマ3本とナルトと白髪ネギ、そして大きな海苔が添えられます。
見た目の濃厚さに反してスープはさらっとしているのが、「はなみち」流の煮干しそば。
スープを飲んだ途端、魚臭さとエグミが一緒にガツンと来ます。
苦みはなく、純粋に魚臭くエグミのある煮干し感。
そのあとも、魚臭さとエグミが衰えず、それに煮干しを丸ごとぎゅっと搾ったような純煮干し的な旨みと醤油感、オイリー感が凝縮されて押し寄せます。
あの煮干しそばの聖地であるつくば市の「煮干中華ソバ イチカワ」の「中華ソバ」をリスペクトしながらも、「はなみち」独自のジャンク感を加味した強烈な煮干しスープ。
煮干し中毒患者の私が泣いて喜ぶような魚臭さとエグミと純粋かつ強烈な煮干し感としょっぱさ。
そして醤油の旨みと背脂のオイリー感。
ところが、食べていると「はなみち」流「純煮干し」だけれども、何かが違う。
もちろん脂の多い背黒と脂の少ない背黒、それに背黒の倍もの量の平子をブレンド。
醤油ダレにも銀いりこを漬け込む徹底ぶりと背脂のジャンキー感。
ここまでは、「はなみち」の無化調純煮干しですが、今日は通常の純煮干しのニボ度を10とするなら、8から8.5ぐらいかな。
煮干しジャンキーでなければ、微妙な差をかぎ分けることはできないでしょうが、やはりベースに鶏ガラと丸鶏を使い、オイルも背脂に鶏油をブレンド。
鶏を使っていることは、「隠れ鶏」というタイトルからも分かるように、ちょっとやそっとでは分かりません。
でも、鶏を使うことにより、超ガツンと来る純ニボスープが少々まろやかに。
さらに、鶏ダシの効果なのか、スープのコクがいい意味で増しています。
純ニボの弱点は、煮干し感の凄さの反面、動物系なしなので、コクという点で少々劣るところがあります。
その意味では、今日の鶏と煮干しのブレンドは、85%「はなみち」の「純ニボ」でありながらも、鶏がうまく下支えしてスープを飲みやすくしている上、コクを出しています。
おそらく汎用性という点では、鶏をブレンドして食べやすくした今日の「隠れ鶏」の方に軍配が上がるでしょう。
でも、小泉店主は不満顔。
やはり煮干しは、煮干し100%で行きたいという心情は分かりますし、そんなこだわりの「はなみち」の無化調純煮干しそばが大好きなのです。
麺は、「鶏出汁で喰う麺」で使った自家製麺。
切り刃12番、加水率39%の太め手揉み縮れ麺です。
麺幅は約4ミリ。
麺にも厚みのあるプリッとした食感で、小麦粉の粉感を感じる噛み応えのある太麺。
手揉みの縮れが煮干しスープをうまく拾って、プリプリの太麺とオイリーな煮干しスープが口の中で混ざり合う快感を堪能。
麺量は200gと、「鶏の出汁で喰う麺」よりも40g増量。
さらにラーメンのボリューム感を高めているのが、2種のチャーシュー。
まずは、豚肩ロース肉の分厚い煮豚。
最近の「はなみち」の定番といえるチャーシューですが、これまではパサパサ感があり、私の好みとは距離がありました。
ところが今日は一段と厚くなりがらも、パサパサ感はゼロ。
お湯で十分茹でたあと、醤油ダレに漬けた煮豚。
サクサクとした食感で、醤油が滲みこみ、肉の旨みとうまく合流。
赤身の美味しさと脂身の甘さとのミックスが絶品。
鶏チャーシューは、「鶏出汁を喰う麺」でお馴染みの皮付きのブロックのような巨大な鶏モモ肉チャーシュー。
こちらも旨みを損なわずに、柔らかく煮てあり、醤油ダレの旨みと鶏の旨みが相乗。
少食の方なら、この2枚のボリューミーなチャーシューだけでお腹一杯になること必定。
太めの枕木メンマはシャキシャキ食感で、味付けは薄め。
白髪ネギのシャキシャキ感と適度な苦みも良いアクセント。
最後に海苔を食べて、さっぱりと終わる(否、スープを完汁するので、そうは行かないか?)仕掛けも見事。
一昨日と昨日は、醤油感を薄めにして、鶏出汁と鶏油で太麺を食べさせる鶏そば。
そのときに残ったガラと丸鶏を使い、それに大量の煮干しを炊き込んだ「隠れ鶏煮干」を提供するなど、いま小泉店主は脂が乗りに乗っていますね。
そんな絶好調の「はなみち」の無化調鶏そばや煮干しそばを食べることができるのは、本当に幸せです。
限定麺「鶏の出汁を喰う麺」。醤油控えめの黄金色のスープ。鶏油と鶏ダシがまろやかな旨味を構成。太め手揉み縮れ麺や皮つき鶏モモチャーシューなど、あの名店を想起させる鶏そば!
5月11日(土)
週末に加え、ときには平日にも提供される「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の限定麺「ざ・はなみち」。
最近はジャンクなメニューが続いていましたが、今回は鶏そば。
「ざ・はなみち」の鶏そばは「水と鶏のみのスープ」で無化調。
ただし、鶏の種類を変えたり、醤油ダレを変えたり、麺を太麺にしたり、中細麺を使うなど、変幻自在。
チャーシューも毎回違うなど、「通念」にとらわれない鶏そばを提供。
今回は一体どんな「鶏そば」かな?
開店ぎりぎりに発表された今回の限定麺「鶏の出汁で喰う麺」。
「塩分控えめな鶏醤油ラーメン。染み渡るやつです」というアバウトな説明のみ。
写真や簡単な説明からは、醤油の濃度を薄くし、鶏ダシに重点を置いたラーメン。
写真から太麺のよう。
この程度しか分かりません。
ともあれ店に向けてゴー!
○限定麺「鶏の出汁で喰う麺」(800円)。
店到着は12時30分と、少し出遅れました。
幸い空席があったので、食券購入後、カウンター席に着席。
もっとも、私の後からどんどんお客が入店。
あっという間に店内待ちが出る状態に。
厨房内に小泉店主はおらず、蛯名スタッフともう一人の若いスタッフの2人。
それほど待たずに提供された「鶏の出汁で喰う麺」。
説明書きの写真では(私の写真でも)、スープの色は濃いめに映っていますが、眼前のラーメンスープはむしろ薄めで、黄金色といった方が近いでしょう。
鶏油がやや多めに入っていて、黄金色のスープが表面を覆う鶏油で輝いています。
麺は予想どおり手揉みで縮れのついた太麺。
具で目立つのは、何といっても皮付きの大きな鶏モモ肉チャーシュー。
枕木メンマ4本と白髪ネギと輪切りのネギ。
このビジュアルから、あの仙台の鶏そばの名店の「中華そば」が浮かんできます。
名称や説明から想像もつきませんでしたが、こうして、さりげなくあの店を意識させる限定麺を出してくるとは!
このあとラーメンを食べてみて、以上の感想は確信に変わりましたが、あくまでも私の個人的な考えですので、店名は挙げないことにします。
スープは、おそらく「はなみち」が最近良く使っている「熟成鶏」のガラや丸鶏を使用しているのではないでしょうか?
鶏ダシと多目のマイルドでやや甘めの鶏油が重なり、オイリーで甘味とコクのある鶏の旨味が出現。
醤油ダレは、ビジュアルも味も薄めのチューニング。
醤油の風味や香りが薄い分、鶏油と鶏ダシのオイリー感のある旨味が前面に出てきます。
塩味は醤油の香りが薄いため、やや強めに感じます。
麺は自家製麺。
切り刃12番、加水率39%の多加水寄りの麺。
手揉みのプリっとした太縮れ麺。
麺量は160g。
固めの茹で上げでコシも十分。
噛むと、小麦粉がたっぷり詰まっているような凝縮した食感。
このプリプリとした手揉み麺がスープと良く絡み、鶏感の強いスープと麺が口の中で一体化。
この感覚も某店の中華そばに酷似。
そして極めつけは皮付きの大きな鶏モモ肉チャーシュー。
コリコリとした食感で、鶏らしい旨味一杯のモモ肉チャーシューは、しっとりとした淡白なムネ肉の低温調理チャーシューとは全く違う味と食感。
とにかく大きなチャーシューで、食べ応え満点。
コリコリとした鶏モモ肉チャーシューという点でも、某店と共通していますが、違うのは大きさ。
採算度外視ともいえるデカチャーシューは、チャーシューを食べるだけでも結構お腹が一杯になるほど。
枕木メンマは、やや太め。
シャキシャキ食感で、味付けは薄味。
「はなみち」は、某店インスパイアの鶏そばを、以前限定麺として出そうとしたことがあります。
そのときは、提供には至りませんでしたが、それから時をへて、こうしてさりげなく出してくるとは!(これも、あくまでも私の感想)
随所に某店の「中華そば」を思わせる要素をちりばめながら、あの古典的な丸鶏とガラと水だけでつくるスープを、もっと現代的に再解釈。
無化調にこだわり(某店は化調を少々使用)、「はなみち」らしいジャンクさも盛り込みながら、新しい一杯に仕上げています。
こんな予想外の面白さや発見があるので、限定麺「ざ・はなみち」のフォローはやめられないですね。
明日(12日)も提供されますので、関心ある方は是非訪問を。
限定麺「鶏のつけ麺」。鶏と水のみのスープに鶏を漬け込んだ醤油ダレを合わせたつけ汁。太め手もみ平打ち麺との相性が抜群!
4月27日(土)
10連休初日の盛岡は、最高気温5℃。ほぼ一日中雨の肌寒いというよりも「寒い」天気。
急遽、ダウンジャケットとカイロの登場と相成りました。
今週末の「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の限定麺「ざ・はなみち」は「鶏のつけ麺」。
名称は平凡?ですが、同店が煮干しラーメンをつくるときと同じやり方で鶏を仕込んでみたスープという。
スープは「煮干しと水」の代わりに「鶏と水」。
醤油ダレに「銀いりこ」を漬け込む代わりに、「鶏」を漬け込んでいます。
さらに、煮干しでは背脂を仕上油に使いますが、その代わりに鶏油を使用。
「はなみち」らしい常識にとらわれれないユニークな手法でつくったつけ汁、そして自家製麺の出来が気になって12時過ぎに訪問。
○ざ・はなみち「鶏のつけ麺」(800円)
いつも「はなみち」の昼は、近くの岩手大学の学生で一杯。
でも、10連休だから学生は帰省するかアルバイトで少なくなるのでは?と予想。
しかし、予想は見事に外れ、12時過ぎの店内は岩手大学生で満席。
店内待ちも常時7~8人という大混雑。
そのなかで、1人中高年というのも目立ちますね(笑)
厨房では小泉店主と若いスタッフの2人がテキパキと注文をこなしています。
「ざ・はなみち」の注文割合は、カウンター11席で2~3人程度。
もちろん、時間帯によっては、もっと増えるかも知れません。
並んでいる途中で、食券を渡します。
約20分の店内待ちで着席。
それから約10分で、「鶏のつけ麺」が到着。
麺は自家製麺の切り刃12番、加水率39.5%の幅広の太め手もみ平打ち麺。
麺量は250gで、大盛は不可。
大きな海苔が1枚添えられています。
鶏ダシのつけ汁は濃い琥珀色。
鶏と水だけでとった鶏清湯スープに鶏を漬け込んだ醤油ダレを合わせています。
もちろん無化調のスープ。
ザク切りのネギがたっぷり振りかけられ、表面には鶏油が浮いています。
具は、極太の豚肩ロース肉の煮豚と枕木メンマ2本。
まずプリプリとした麺を食べると、ツルツルした手もみ麺が、冷水で締められ、コシが一層増しています。
噛む度に小麦の香りが広がる自家製麺は、麺だけ食べても十分な美味しさ。
つけ汁は、鶏の旨味たっぷりですが、それ以上にコクと甘みのある香り豊かな醤油ダレの存在感が光ります。
鶏を漬け込んだ醤油の他に、生醤油や再仕込み醤油を使っていると推測。
それほどの醤油感。
鶏ダシや鶏油が醤油の旨味や香りを引き立てているという印象さえ受けます。
醤油感が強いだけに、塩気もそれなりに感じますが、塩味よりも醤油の風味の方が勝っています。
幅広の手もみ平打ち麺をつけ汁につけると、麺がスープをたっぷり拾い、鶏と醤油、そして麺三者の旨味が口のなかで合流。
それに麺のプリプリ、モチモチとした食感が加わるのですから、まさに醤油味の「鶏つけ麺」の醍醐味が味わえます。
無化調だからこそ、雑味なしに鶏と醤油の風味がストレートに到来。
具の豚肩ロース肉の煮豚。
極太で醤油に漬け込んだ煮豚ですが、洗練された「鶏のつけ麺」のなかで、この煮豚のみがジャンク感を放っています。
脂をそぎおとした赤身のみの煮豚は少々パサパサしていて、独特の風味。
個人的には、豚肩ロース肉かロース肉のレアチャーシューの方が合うと思いますが。
シャキシャキとした食感の枕木メンマが薄味なだけに、煮豚の存在感が目立ちます。
さて麺と具を食べ終えると、恒例のスープ割りと思いきや、割りスープは用意していないという。
残念。鶏ダシと醤油ダレの効いたつけ汁を鶏ダシのスープで割れば、ほどよく薄くなったアツアツの鶏ダシ醤油スープで〆ることが出来たのですが。
そのままつけ汁を飲み干しましたが、今後限定麺をつけ麺にする場合
に専用のスープ割りを用意すれば、さらに満足感が高まること間違いなしだと思います。
限定麺「今一番作りたい鶏の醤油ラーメン」。熟成鶏と鴨と水のみの濃厚なスープにコクのある醤油ダレ、太麺を合わせた「鶏そば」。
4月6日(土)
岩手大学生に大人気のジャンクなラーメンをつくる一方、週末には限定麺「ざ・はなみち」を提供。
無化調、自家製麺の「鶏そば」や「純煮干しそば」を、「ざ・はなみち」として提供することも多い「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
今週末(4月6・7日)の「ざ・はなみち」は「今一番作りたい鶏の醤油ラーメン」。
これは食べに行くしかないでしょう。
○ざ・はなみち「今一番作りたい鶏の醤油ラーメン」(800円)
いつものように開店の11時を15分ぐらい過ぎたとき、小泉店主がTwitterで、公開レシピを発表。
それをみて自宅を出発。
タクシーで舘坂橋に急ぎました。
「はなみち」着が12時ジャスト。
土曜の昼なので、さぞや混んでだろうと思ったら、私の入った時間に店は比較的空いている状態。
しかし、食べているうちに続々とお客が入店。
結局、店内待ちが出る変貌。
注文から5分足らずで、「今一番作りたい鶏の醤油ラーメン」到着。
白い丼に鶏油が輝く琥珀色のスープ。
具はピンク色の鴨ロース肉の低温調理チャーシュー2枚。
醤油ダレの滲みた1センチ以上はあろうかという太めの豚肩ロース肉1枚。
穂先メンマが2本。
薬味は、中央に白髪ネギが盛られ、スープに小口切りの青ネギが散らしてあります。
スープは、熟成鶏と鴨の首ガラと水だけでとったもの。
タレは、生醤油、再仕込み醤油など6種類と鶏漬け入り醤油2種類。
醤油ダレの一部に、鶏を漬け込んだ醤油を使うという鶏づくしのスープとタレ。
重いレンゲでスープをいただくと、たっぷり入った鶏油も効いて、やや甘めの鶏の旨みが口一杯に広がります。
鶏油のオイリー感のあとに、熟成鶏の旨味と鴨の旨みが相乗した濃厚な旨みが到来。
醤油ダレはコクがあるものの、醤油が主張するというよりも、むしろ熟成鶏と鴨と鶏油の旨味をさらに引き立てる役割。
醤油ダレに仕込まれた鶏の風味も、鶏と鴨の旨味をさらに強化。
鶏と鴨の旨みが相乗した強い旨味というと、「らぁ麺 はやし田」(新宿三丁目)の「醤油らぁ麺」を思い出します。
しかし、「はやし田」は化調で鶏と鴨の旨味を人工的に増強。
その不自然な味に違和感を覚えましたが、無化調の「はなみち」では、これだけの鶏と鴨の厚みのある旨味にもかかわらず、徐々に味が落ち着き、違和感なくスープを飲み干せます。
麺は、鶏と水のスープには中細ストレート麺を合わせるという常識に反し、切り刃12番、加水率39%の太麺を合わせています。
自家製麺の太麺は、もっと詳しく言うと、麺幅約4ミリの平打ち手もみ麺。
手もみ麺といっても、麺に厚みがあるので、ピロピロ感というよりも、プリプリとして、モチモチとした食感。
国産小麦粉6種をブレンドして打った麺は、小麦の香りも十分。
コシもあり、濃厚な熟成鶏と鴨のスープに負けていません。
綿量は170g。
美味しかったのが鴨ロース肉の低温調理チャーシュー。
低温調理で、ピンク色のレアチャーシューでありながら、燻製を施しているので、香ばしさが一杯。
鴨肉特有の臭みは一歳感じません。
柔らかい食感も特筆もの。
これに対し、豚肩ロース肉の肉厚の煮豚は醤油ダレの風味は感じられるものの、肉がしっとりとするどころパサパサしていて、肉の風味に若干のクセを感じました。
個人的には鴨ロース肉に燻製を施したレアチャーシュー2枚のみで十分。
シャキシャキとした穂先メンマは薄めの味付け。
たっぷりのせられた白髪ネギも、濃厚な鶏と鴨のスープに対する箸休め的な存在。
熟成鶏だけで十分旨みが強いのに、これに鴨を足して、さらに鶏の旨味を増幅。
コクのある醤油ダレが鶏や鴨の旨味を引き立てるという仕掛け。
それは、オーソドックスな「鶏と水のみのスープ+生醤油」のめざす鶏と醤油との「同化」とは違ったアプローチであり、味わい。
ここに、「はなみち」独自の鶏そばのあり方を見る思いです。
無化調で、鴨の「水と鶏のみのスープ」に挑戦して1年3ヶ月で、ここまでの出来に達した小泉店主の力量を高く評価したい思います。
鶏の濃厚な旨みの中に浸りたいというコアな鶏好きにオススメしたいラーメンてす。
小泉店主によると、今回の「今一番作りたい鶏の醤油のラーメン」のほかに、もう1種つくってみたい鶏そばがあり、近く試したいという。
今から楽しみです。
今日の限定「超濃厚煮干しそば」(セメント煮干)。若手スタッフがつくった動物系ほぼ不使用ながら超濃厚な無化調セメント系。
3月21日(木・祝)
近くの岩手大学生に大人気のジャンクなラーメンをつくる一方、土日に「ざ・はなみち」(期間限定麺)として、自家製麺・無化調の鶏そばや純煮干しそばなども提供する「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
最近は、平日に店の若手スタッフが自分で作った煮干しそばを提供する「僕の煮干ラーメン」を、「ざ・はなみち」として提供し始めました。
今日(3月21日)は「僕の煮干しラーメン」の第二弾。
前回第一弾をつくった蛯名氏が第二弾の「セメント煮干」に挑戦。
スープ、タレ、オイル、麺、具すべて自分でつくったという力作。
楽しみです。
○今日の限定「超濃厚煮干しそば by エビナイオリ」(セメント煮干)(800円)
「はなみち」の「ざ・はなみち」は、当日Twitterで告知したときの商品名と、店で掲示されている商品名とが微妙に違う(漢字表記がひらがな表記になることを含め)こともあるので、タイトルでは両方示しました。
最初が店内掲示の商品名。
そのあとの括弧内がTwitter告知の際の商品名です。
以下、文中では店内掲示の商品名で表記します。
北上川に架かる舘坂橋近くの国道4号線沿いの「はなみち」到着は12時30分。
幸い、席に空きがあり、すぐに座ることができました。
今日は小泉店主は不在。
若手スタッフ2人に店を任せています。
そのうち、調理を担当しているのが、今日の限定をつくった蛯名氏。
「ざ・はなみち」の食券を渡すと、10分程度で、「超濃厚煮干しそば」を蛯名氏が渡してくれます。
Twitterの説明書きによると、「動物系はほぼ不使用で、背脂のみを少々使った不思議なラーメンです」
鶏白湯や豚骨スープなどの動物系に大量の煮干しを炊き込むのが、セメント煮干しの常識。
ところが、動物系の代わりに背脂を少し使い、ほぼ煮干しのみでつくってしまう「セメント」も提供するのが「はなみちグループ流」。
昨日レビューした「HINOTORI~火ノ鷺~(ヒノトリ)」(盛岡市北山)の限定「濃厚煮干そば」も、動物系使用だったり、不使用だったりします。
さて目前の「超濃厚煮干しそば」。
セメントそのものの灰濁したトロみのあるスープ。
スープのあちこちで泡が立っていて、見るからに濃厚そう。
この粘度のあるセメントスープを、煮干し+背脂だけでつくってしまう(しかも無化調)のだから大したもの。
具は分厚い豚肩ロース肉の煮豚1枚。
脂がびっしりとついて、ジャンクな雰囲気を醸し出します。
その他、極太メンマ3本。
刻み玉ネギとナルト。
灰色のトロみのあるスープを、まずレンゲですくってみます。
苦味やエグミはさほど感じませんが、さすが煮干し100%に近いだけに特有の魚臭さ。
この魚臭さと煮干しの旨味、そして大量のに煮干しを使った結果の強い塩気が一体となって押しの強い風味。
それでいて無化調なので、嫌な雑味はなく、濃厚ですが後味はさっぱり。
まぁ、塩味の強さが醤油ダレを凌駕するほどなので、これが好きか嫌いかが、「超濃厚煮干しそば」への好き嫌いを分けるでしょう。
それでも、動物系のまろやかさなクリーミーさを一切排除。
魚臭さと塩味も含め、煮干しの旨味に含めている「ほぼ動物系なしのセメント系」は、「純煮干しそば」のセメントバージョン。
濃厚煮干し好きには堪らない旨さです。
ちなみに、使っている煮干しは、「はなみち」の「煮干しそば」とほとんど同一といいます。
平子や背黒、銀いりこなどでしょうか。
これに背脂を少々ブレンドしてコクを出しています。
麺は見た目は中細のストレート麺。
食感が昨日食べた「ヒノトリ」の「濃厚煮干」で使っている麺に似ています。
太さは22番程度。
加水率は30%ぐらいかな?と想像。
最初は硬質の食感で固め。
しかし、噛むと意外にモッチリ感のある麺。
そのため、蛯名氏に「ヒノトリで煮干しに使っているカネジン食品の麺ですか?」と聞いたほど。
製作者である蛯名氏の回答は「自家製麺」という意外なもの。
自家製麺ということは、「はなみち」の場合、切り刃18番。
どう見ても、22番ぐらいの中細角ストレート麺にしかみえない麺。
もっと太いはずの18番で、平打ちでもないのに、どうやって中細麺のテイストを出しているのだろうか。
気になるところです。
加水率は35%ぐらいだという。
なるほど、中加水麺を茹で上げを工夫して固め食感とモチモチ感の両方を出しているのかな?
麺量は150g。
とにかく、煮干しスープも素晴らしいが、自家製麺のクオリティはある意味それ以上。
厚い肩ロース肉の煮豚は、見た目以上に柔らかく旨味も十分。
脂身がべったりついているので、くどいと思ったら、むしろ甘味が感じられ、ギトギト感はほとんどありません。
極太メンマはシャキシャキ感たっぷりで、味付けは薄め。
刻み玉ネギのシャキシャキ感と苦味が、しょっぱいスープのいい箸休め。
結局スープも完汁。
もう少し塩気を抑えて欲しいところですが、強い塩味と煮干しの旨味、そして魚臭さが一体になり、このセメントスープの肝を形成。
それを今後どう調整していくのか興味があります。
ともあれ、若いながら無化調、ほぼ動物系不使用で、ストロングなセメント煮干しスープと、それに負けない麺をつくった蛯名氏の力量を高く評価したいと思います。
「僕の煮干しラーメン第三弾」が、ますます楽しみ。
もっとも、「第一弾」のとき、その週末に師匠である小泉店主が「弟子の煮干しラーメンに対するアンサー」である「僕の煮干しラーメン by 店主」を、「ざ・はなみち」として提供。
そうなると、今週末の「ざ・はなみち」は、蛯名氏の「セメント煮干」に対する店主のアンサーかな?
もちろん、そうなるかどうかは「神のみぞ知る」です。
限定「鶏中華そば」。熟成丸鶏の旨味が強く出たスープにたまり醤油と自家製麺を合わせたクラシカルな醤油ラーメン
3月9日(土)
今週末(3月9・10日)の「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の「ざ・はなみち」(期間限定麺)は、「鶏中華そば」。
小泉店主の言葉を借りると、「理想の中華そば」に向けた第一弾。
「鶏そば」と「中華そば」の間をイメージしたという。
私が勝手に解釈すると、鶏ダシの清湯スープでありながら、「鶏そば」ほど鶏の風味が強くなく、かといって、鶏がそれほど主張しないバランス型の「中華そば」に比べれば鶏が感じられるクラシックなテイストのラーメンということだろうか。
ともあれ、小泉店主の公開した情報は「熟成丸鶏と水と南部かしわの脂のスープ」ということのみ。
一体どんな一杯だろうかと期待しながら店の訪れたのは13時。
いつもより1時間遅れたのですが、逆に店内はそれほど混んでなく、12時台よりも落ち着いて食べることができました。
○ざ・はなみち「鶏中華そば」(800円)
クラシックな唐草模様の丼に入って提供された「鶏中華そば」。
スープの色はかなり濃い琥珀色。
スープが澄んでいるので、中細麺ストレート麺が綺麗に盛り付けられているのが良く分かります。
具もナルトやほうれん草など、クラシックな中華そばを意識。
その他、豚ロース肉の低温調理チャーシューが2枚。
枕木メンマが2本。
薬味の輪切りの白ネギが少し。
スープに垂らされた鶏油が輝いています。
まずスープを飲むと、これは何だ!
まるで化調のような強い旨味と甘味が口の中で炸裂。
これにたまり醤油や鶏油の甘味が加わり、かなりの甘さ。
一瞬、今まで鶏と水のみの無化調スープにこだわってきた「ざ・はなみち」で、ついに化調を使ってしまったのかと思い込む始末。
さすがにショックだったので、小泉店主に「化調を使ってるんですか?」と聞いたくらい。
すると小泉店主は「無化調です」とのお答え。
今回は親鶏の丸鶏をドライエイジングという方法でじっくり熟成。
すると、遊離アミノ酸が生成され、まるで化調を使ったかのような旨味と甘味のあるスープになったという。
まさしく、熟成丸鶏の旨味が強く出たスープ。
これに合わせるのがたまり醤油と南部かしわから抽出した鶏油。
旨味と甘味の強い鶏ダシの醤油スープになったというわけ。
スープに慣れてくると、逆説的にいえば、クラシックな中華そばの化調感を熟成丸鶏で無化調でつくってしまうのも面白いと考える余裕がうまれました。
生成された遊離アミノ酸の旨味とたまり醤油の甘味の狭間から、鶏の風味もふわっと感じるという味の構成。
スープの色は濃いけれど、しよっぱさはそれほど感じません。
麺は国産小麦を使った自家製麺。
切り刃18番、加水率35%、厚さ1.25ミリの平打ち気味の中細角ストレート麺。
小泉店主によると、リスペクトする「ラーメン屋 トイ・ボックス」(荒川区東日暮里)の麺(同店の麺は大成食品製ですが)と同じスペックという。
たしかに平打ち傾向にした結果、18番ながら、20~22番に近い中細感を実現。
国産小麦を使った麺はツルツルとした食感と噛んだときのモチモチ感が両立したなかなかの出来の麺。
麺量は150g。
豚ロース肉の低温調理チャーシューは、ロース肉らしい淡白な味をベースに、それにブラックペッパーを効かせたスパイス感がのる実に美味しい味。
甘めのスープやタレの中で、スパイシーなチャーシューの味が、ラーメンをぐっと引き締める役割を果たしています。
シャキシャキとした枕木メンマは、薄めの味付け。
これにほうれん草やナルトなどの具が加わるどことなく懐かしさのある一杯。
鶏と水だけの無化調スープという枠の中でさまざまな実験を試みている小泉店主。
今回は、親鶏の丸鶏を熟成させるという手法を採用。
結果として鶏の旨味が強く出たスープに。
醤油ダレも含め、甘口の鶏ダシの醤油ラーメンが苦手な方にはオススメしませんが、スープ、タレ、鶏油、メンマ、具などがトータルでクラシックな中華そばに近い雰囲気と味を醸し出す一杯。
明日(10日)も提供されますので、興味のある方はお試しを。
(付記)
丸鶏の熟成手法について当初不正確な記述をしてしまい、申し訳ありません。小泉店主には、早速ご指摘いただき、ありがとうございました。
限定麺「塩そば」。「はなみち」が鶏と水だけのスープの塩ラーメンに挑戦
2月23日(土)
近くの岩手大学の学生に大人気のジャンクなラーメンを出す一方、週末の限定麺(ざ・はなみち)で、無化調の鶏そばや純煮干しそばにチャレンジし続ける「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
「ざ・はなみち」のサイクルは、おおむね「煮干し」→「鶏」→「ジャンク」。
通常は土日同じメニュー(日曜は土曜提供したラーメンを改善することもあるが)。
先週は土曜がジャンクな「二郎さん」。
日曜は「僕の煮干ラーメンby店主」という変則メニュー。
さらに火曜に「僕の煮干しラーメンby店主」を再度提供。
今週末は恐らく「鶏」だろうと踏んでいたが、小泉店主が早々とTwitterで「鶏」を宣言。
「来週末の限定麺は鶏です。今回は原材料の見直しと調理技術の向上を目指しています。色々浮かんでますので、詳しくはまた」
これを読んで、どんな鶏そばが提供されるのか期待が膨らんでいました。
そして今日(23日)を迎えました。
11時15分(開店15分後)にTwitterをチェックすると、出ていましたよ。
でも、予想とは大違い。
提供されるのは「塩そば」。
説明は「ほんのり鶏香るあっさりとした一杯です」とあるだけ。
「鶏と水」だけのスープの無化調塩ラーメンとは分かりましたが、記述
が最近の詳しい食材の説明とは大違い。
「何か事情があるのかな」と半信半疑で店に急ぎました。
○ざ・はなみち「塩そば」(800円)
12時過ぎに店に入ると、店内は7部の入り。
最近では一番空いています。
しかも、厨房に小泉店主の姿がない!
Twitterで詳しい情報が出てこない以上、店主に直接聞くしかない。
そう勇んで来ただけに、「あれっ」という感じ。
もっとも、店を任されている2人の若いスタッフは、いずれも独立を目指す実力の持ち主。
帰りがけに最小限確認してみようと決意。
調理過程を見ていると、丼に鶏油と塩ダレを入れたあと、鶏と水のみのスープを投入。
テボで湯切りをした麺を丁寧に盛り付け、具を入れ、最後に再度鶏油を垂らします。
提供された「塩そば」は、「鶏と水」のみのスープに塩ダレと鶏油を入れただけのシンプルな塩ラーメン。
「はなみち」初の「鶏そばの塩ラーメン」。
まず綺麗な黄金色の澄んだスープが美しい。
表面には鶏油が浮いています。
それ以上に目を引くのが大判の豚ロース肉低温調理チャーシュー。
それ以外に枕木メンマ2本、笹切りの白ネギと小口切りの青ネギが添えられています。
スープから飲み始めると、予想どおり最初は鶏油が効いてオイリーな鶏風味。
すぐ後にやや角の立った塩味。
おそらく塩ダレは数種の塩のみをブレンドしただけで、それ以上の食材を仕込んでいないのではないか?
そんな想像をするほどのシンプルな塩ダレ。
まもなく鶏ダシの風味が鶏油を凌駕するように。
多分、丸鶏と水だけのスープ。
たしかに銘柄地鶏を使わず、「普通の鶏」を使っているので、鶏ダシの風味は控えめ。
「ほんのり鶏香るあっさりとした一杯」というTwitterの説明がぴったり。
スープを飲み進むうちに、最初の鶏油感は次第に落ち着き、塩味もまろやかに。
そして、鶏ダシと鶏油、塩ダレのバランスがとれたさっぱりとした一杯に落ち着きます。
ジャンクラーメンの雄である「はなみち」が、こんな繊細な無化調の鶏ダシ塩ラーメンをつくることができたのには、改めて驚き。
もう少し鶏の旨味が出れば、もっと美味しいラーメンになったでしょうが、それには銘柄地鶏の使用が不可欠でしょう。
麺は切り刃18番、加水率37%の角ストレート麺。
もちろん自家製麺。
全粒粉練り込みの麺はザラザラとした食感で、固めの茹で上げ。
小麦の香り豊かで、存在感のある中細麺は、おとなしい塩スープとは対照的。
麺の良さが、塩ラーメンのレベルを高めています。
麺量は150g。
大判の豚チャーシューは、脂身の混ざる肩ロース肉ではなく、ほぼすべて赤身のロース肉の低温調理チャーシュー。
淡白なロース肉チャーシューが、塩スープを邪魔せず、しかもブラックペッパーのスパイス感がチャーシューそのものの美味しさを際立たせています。
太めの枕木メンマは柔らかく煮込まれ、薄味。
薬味の2種のネギが、ラーメンのさっぱり感をさらに増幅。
「塩そば」を完食したあと、ちょうど手のあいた若いスタッフに「今日は店長はいないの」と声をかけました。
すると、今回の「ざ・はなみち」は、もともと仙台市の某有名鶏そば店(店名は伏せておきましょう)の味を無化調で再現しようと意図したという。
しかし、鶏ダシの味がやや薄めだったことから、急遽、「塩そば」に変更。
小泉店主は「某店」のスープに近づけるため、食材の仕入れに行っているという。
なるほど。
「塩そば」というそっけない即興的なネーミングやあまりにも簡単な説明の背景には、そうした事情があったんですね(と勝手に納得)。
スタッフによると、明日も「塩そば」を続け、週半ば(平日)に「ざ・はなみち」として、「某有名店リスペクト」の「鶏そば」を提供するという。
鶏の旨味とキレのある醤油の香りと旨味が一体化した鶏そばが好きな私にとって、鶏と鶏油の味を強調しすぎる某店のタイプの鶏そばは、ちょっと苦手。
でも「是非来てください」と言われては、行かないわけには行かないでしょう。
ともあれ、ここ数日の「はなみち」のTwitterは要チェックですね。
限定「僕の煮干ラーメンby店主」。2月14日の弟子の「僕の煮干ラーメン」に対する店主の回答
2月17日(日)
昨日(16日)の「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の「ざ・はなみち」(期間限定麺)は、「二郎さん」!
「二郎インスパイア」のラーメンでは、ノーサンキューということで、昨日は「ラーメン休養日」に。
今週末は、このまま「二郎さん」が続くかと思ったら、夕方のTwitterで小泉店主が「二郎さんは売り切れたので、明日は別の限定麺を提供」という趣旨の発言。
どうせ明日もジャンク系だろうと思って、今朝は思いっきりゆっくり起き、朝食を済ませたあと、ちょっと気になって「はなみち」のTwitterを11時過ぎに見ると、愕然!
今日の限定麺は「僕の煮干ラーメンby店主」。
実は煮干しの日(2月14日)1日だけの限定麺(ざ・はなみち)として、「僕の煮干ラーメンbyえびないおり」を提供。
ちょうど当日同じ「はなみちグループ」の「煮干らー麺シロクロ」(紫波郡矢巾町)が限定麺「鯛煮干しの中華そば」を提供。
「はなみち」か「シロクロ」か迷った挙げ句、「シロクロ」を選択した経緯がありました。
食べ逃した「僕の煮干ラーメンbyえびないおり」は、「はなみち」で働く若いスタッフがスープ、タレ、チャーシュー、自家製麺まで一からつくった力作。
「シロクロ」を選んで食べ逃した私としては、何とかもう一回出してくれないかなと念じていました。
弟子のつくった「僕の煮干ラーメン」に対する師匠である小泉店主のアンサーが今回の「僕の煮干ラーメンby店主」。
数日前の弟子のレシピを師匠が再現したら、こうなりましたという限定麺。
こうなったら行くしかない!
というわけで、朝食を済ませたばかりなのに、タクシーを呼んで「はなみち」に急ぎました。
○ざ・はなみち「僕の煮干ラーメンby店主」(800円)。
小泉店主は先のツイートで、「ジャンキーでオイリーで極太で、流行りの煮干と全部逆を行く一杯」と発言。
ちなみに、今日の限定麺のレシピである2月14日提供の「僕の煮干ラーメンbyえびないおり」の概要は以下の通り。
・スープ:煮干しと水
・麺:国産小麦を中心に4種。これに全粒粉2種をブレンド。
切り刃12番、加水率39.5%。麺幅2.5ミリ、厚さ1.5ミリ。
・醤油:たまり醤油と生醤油
このレシピを小泉店主が再現。
チャーシューなどの具も、14日のものを再現(と思われる)。
12時ジャストに店につくと、幸い外待ちがないと安心して店に入ったら、ガーン。
店内待ちが既に6人。
お昼時どきなので、次からつぎにお客が入店。
約15分で着席。
さらに10分ほど待って、ようやく「ざ・はなみち」と対面。
茶濁したスープには頭やはらわたを取り除かず粉砕した煮干し粉末がびっしり。
それだけではなく、2週間前のざ・はなみち「煮干中華そば」で使った「ニボ背脂」(背脂に煮干し粉末をブレンドしたもの)を仕上油として投入していると推測。
スープ表面のオイルと煮干し粉末は、ニボ背脂が効いているのではないだろうか?
具は、豚肩ロース肉の肉厚で大判の煮豚が2枚。
枕木メンマが3本。
薬味に、刻み玉ネギと輪切りのネギのミックス。
煮干しの匂いが香るスープを飲んでみると、煮干しと水だけの動物系不使用のスープは、さらっとしています。
煮干しは平子と背黒2種を使用と推測。
これに多分「ニボ背脂」を加え、レシピ通り、たまり醤油と生醤油をブレンドした醤油ダレ(銀いりこを漬け込んでいるかな?)を合わせたスープ。
無化調スープです。
やはり味は先々週の「煮干中華そば」に酷似。
茶濁したビジュアルから想像できないようなサラッとしたスープ。
苦味やエグミは感じませんが、ガツンとした煮干し味とガツンとした醤油味がドッキング。
それにスープや「ニボ背脂」(多分)に含まれる煮干し粉末、さらに背脂が効いて、魚臭さとオイリー感が加わります。
たしかに煮干し感が強い上、醤油感やオイリー感、そして煮干しの魚臭さが一体になったジャンキー感が一杯。
「煮干中華そば」をさらにジャンクな方向にシフトさせたスープ。
しょっぱさもそれなりですが、気になるというほどではありません。
麺も、弟子のレシピに沿って小泉店主が自家製麺した太縮れ麺。
固めのプリプリ食感の麺は、コシがあり歯応えが十分。
ワシワシ食べるという印象。
太麺やワシワシした食感も、ジャンキー感を助長。
麺量も200gとたっぷり。
驚いたのが豚肉のチャーシュー(煮豚)2枚。
うち1枚は、厚さ2センチはある肉厚の大判チャーシュー。
肩ロース肉の「煮豚」は、醤油ダレがしっかり浸み込み、柔らかくて実に美味しいの一言。
しかし、もう1枚の豚肩ロース肉の角煮風の煮豚は、もっと肉厚。
それ以上に裏返すと、これも厚みのある脂身がびっしりついています。
一気に食べると、予想どおり脂っぽさは相当なもの。
正直いって2枚の豚肩ロース肉の煮豚のインパクトが強すぎ、肝心の煮干しスープの影が薄くなった印象。
2枚のチャーシューについていうと、若い学生には喜ばれるでしょうが、ちょっとやり過ぎかな?。
対照的に3本の枕木メンマはシャキシャキ感があるものの、味付けは薄め。
今回と同じレシピを使い若手スタッフがつくった「僕の煮干ラーメンbyえびないおり」を食べていないので、それとの比較はてきません。
むしろ、2週間前のざ・はなみち「煮干中華そば」の太麺バージョンと同じ方向性。
「イチカワ」「児ノ木」ライクの「純煮干しそば」をジャンクにした味が「煮干中華そば」。
それをさらにジャンクな方向に振り切ったのが今回の「僕の煮干ラーメンby店主」かな?
肉厚で脂身がたっぷりの煮豚やゴワゴワ感のある太麺、そして背脂や魚臭さなどが相乗して、ジャンキーでオイリーな「純煮干し」を実現。
いかにも「はなみち」らしい煮干しラーメンです。
しかし、たまには中細ストレート麺で、オーソドックスな「純煮干しそば」も提供してくれないかな?
限定麺「金の鶏そば」。醤油感と塩分控えめ。鶏ダシと鶏油で手揉み太麺を食べる鶏そば。
2月9日(土)
今日は厳寒の中、早朝出勤して昼前まで仕事。
仕事終了後、「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)に寄り、週末限定麺の「ざ・はなみち」を食べる予定。
予定通り、11時30分に仕事が終わり、「はなみち」のTwitterをチェック。
挙がっていますね。
今日明日の限定麺(ざ・はなみち)は、昨年9月以来久々の「金の鶏そば」。
「塩分超控えめの鶏の出汁で食べる麺」というコンセプト。
Twitterでのスープ、麺、醤油ダレなどの詳細な説明は秀逸。
盛岡市の無化調・自家製麺のラーメン店は詳しい説明を載せているところが多いのですが、「はなみち」はマニアが喜ぶ情報量を簡潔に掲載している点で、是非参考にしてもらいたい店です。
○ざ・はなみち「金の鶏そば」(800円)
12時ジャストに店に到着。
さぞや混んでいるだろうとの予想は外れ、意外に空いています。もっとも、私の入店後、どっとお客が入店。
一気に満席になったので、来るタイミングが良かったのでしょうね。
周りを見ていると、確実に「ざ・はなみち」の注文が増えているようです。
まもなく到着した「金の鶏そば」。
「金」という名前が示すように、まるで塩ダレか白醤油ダレかのような黄金色のスープ。
スープを良くみると、鶏油がキラキラと輝いています。
黄金色のスープに太縮れ麺が盛り付けられ、薬味であるザク切りの白ネギが浮かんでいます。
チャーシューは、豚肩ロース肉の低温調理タイプ。
もう1つは、鶏ムネ肉の低温調理チャーシュー。
2種のチャーシューの下に、枕木メンマ3本が隠れています。
前回の「金の鶏そば」は、名古屋コーチンや比内地鶏など銘柄鶏を使っていました。
今回は対照的に、「普通の鶏」親鳥の丸鶏、ガラ、モミジとπウォーターだけからスープをとっています。
鶏油は鶏皮から抽出。
醤油ダレは、薄口と濃口の醤油に昆布を漬け込んだもの。
スープを飲むと、醤油感はかなり控えめ。
同時に塩分濃度も控えめ。
前回の「金の鶏そば」に対し、銘柄地鶏を使っている割には鶏の旨味が弱いと書きました。
今回の印象も同じ。
「鶏の出汁で麺を食べる」というよりも、「鶏油で麺を食べる」といった方が適切。
前回気になった鶏油の甘味はかなり解消。
醤油感は抑えられていて、鶏ダシと鶏油の下支え。
醤油感が弱いので、鶏ダシと醤油との相乗が働かないところも、鶏ダシ感の弱さにつながっています。
その分、たっぷり入った鶏油のオイリー感が前面に出てきます。
個人的な印象としては「鶏油そばのラーメンバージョン」。
あっさりとしていますが、醤油と鶏ダシが控えめで、鶏油のオイリー感が強いところが、この鶏そばの特徴であり、同時に好みも左右します。
先に醤油感が弱いと言いましたが、鶏の引き立て役とはいえ、スープの底に昆布風味を加えた醤油の旨味がたしかに感じられます。
その意味で、鶏の旨味やスープのコクがもっと増せば、鶏油とのバランスが良くなり、醤油の旨味もほどよく感じられるさらに美味しいスープになるでしょう。
明日(10日)は、鶏挽き肉を加えるなどスープのコクを増すための工夫を加えるといいます。
その点で、明日の方が鶏の旨味、鶏油のオイリーさ、そして控えめながら感じられる醤油の旨味の三者がさらにバランスしたもっと美味しいスープになるでしょう。
麺は、北海道産の小麦に生卵を加えた自家製麺。
切り刃12番、加水率37%、麺の厚み2.5ミリ、麺幅3ミリの手揉み縮れ太麺。
麺の厚みがあるので、ピロピロ麺というよりもプリプリ麺。
プリプリとした食感のやや固めの麺は歯応えがあり、小麦の風味も感じられます。
卵がコーティングされているので、食べていても麺がスープに溶け出さず、最後まで変わらないスープの味を楽しむことができます。
麺量は160g。
肩ロース肉の低温調理チャーシューは肉の旨味が詰まった風味のしっとりとした食感。
ブラックペッパーも適度に効いて、実に美味しいチャーシュー。
鶏ムネ肉チャーシューは、細長い珍しい形状。
サクサクとした食感と淡白な味が、醤油感薄めのスープに良く合っています。
枕木メンマは、シャキシャキとした食感と薄めの味付けが特徴。
醤油感や塩分を抑え、鶏ダシや鶏油で太麺を食べさせる無化調の「金の鶏そば」は、「はなみち」ならではのユニークな「水鶏系の鶏そば」。
今回久しぶりに食べ、鶏こそ銘柄地鶏から「普通の鶏」になりましたが、むしろ味は向上。
あとは指摘したようにスープのコクをもっと強め、鶏油のオイリー感とのバランスを強化することでしょう。
スープの土台がさらに固まれば、太麺とのマッチングも一層高まるでしょう。
小泉店主も「課題が見つかったので、明日はもっと美味しくなるように頑張ります」とツイート。
1日で課題を発見。
それをすぐに修正できるところが小泉店主の凄さ。
その意味で、明日の「金の鶏そば」も食べたいけれど、「南部屋路ばた」(盛岡市上太田)の「鶏そば」ラストも迫っています。
悩むところです。
限定「煮干中華そば」。「太麺」にすると、七彩の「喜多方らーめん(煮干)」風に
2月3日(日)
昨日、細麺で食べた「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の週末限定麺(ざ・はなみち)「煮干中華そば」。
自宅に戻ったあと、「はなみち」のTwitterを確認すると、やはり私と同様、細麺を食べたファンとのやり取り。
小泉店主曰く「個人的には太麺がオススメ」「(太麺にすると)まったく違った味になります」
ここまで言われると、「太麺」バージョンを食べてみたい!
本当に「まったく違った味になるのだろうか?」
それを確認するために、結局2日連続「はなみち」に行くことに。
我ながら物好きだと思います。
○ざ・はなみち「煮干中華そば(太麺)」(800円)
今日は出遅れて、店に到着したのは12時30分。
おっと、外待ちが出来ている。
列の最後尾に接続。
私のあとにも、瞬く間に5人ほどが並びます。
店内の行列が見えますので、それが少し減ったところで、入店。
小泉店主に「太麺を食べたくなりました」と挨拶。
早速、券売機で「ざ・はなみち」の食券を購入。
店内待ちの列に並びます。
同時に、食券をスタッフに渡します。
そのとき、太麺を指定。
復習すると、今週末の限定麺(ざ・はなみち)「煮干中華そば」は、太麺と細麺から選択できます。
昨日の細麺(切り刃18番、加水率33%の中細角ストレート麺)に続き、今日は太麺を選択。
太麺は使用小麦を昨日と変えてきました。
昨日は細麺と同じ「石臼挽き春よ恋全粒粉」を使用。
それを、「ふすま入り国産小麦」に変更。
切り刃12番、加水率38.5%、麺幅4.75ミリの手揉み麺。
自家製の平打ち麺を、茹でる前に手で揉んで縮れをつけています。
小泉店主が提供してくれた「煮干中華そば(太麺)」。
スープは相変わらず丼に一杯入っています。
スープの表面をよく見ると、琥珀色の煮干し醤油スープの上に、セメント色のニボ背脂(オイル)がびっしりと浮かぶという二層構成。
煮干しスープは水と煮干しだけでとった煮干し100%の純煮干し。
煮干しは、平子と背黒2種を使用。
昨日、小泉店主のご厚意で、小皿に入れた煮干しスープを飲ませてもらいました。
煮干しをぎゅっと搾った煮干し汁のようなスープは、煮干しの頭やハラワタをそのまま投入。
しかし、苦味やエグミを抑え、純粋に煮干しの旨味(イノシン酸)のみを抽出。
さらに頭やハラワタに多く含まれる脂質をうまく旨味に転化させることに成功。
これにより、「純煮干し」特有のオイリー感さえ感じるピュアで分厚い煮干しの旨味が結実と推測。
この煮干し100%スープにたまり醤油など2種に銀いりこを漬け込んだ醤油ダレをブレンド。
さらに、背脂に煮干し粉末を混ぜた「ニボ背脂」オイルを「追い煮干し」。
今日改めてニボ背脂を煮干し100%+醤油ダレのスープと混ぜると、煮干し感がさらにアップすると同時に若干の魚臭さや雑味が加わります。
それにより「純煮干し」感よりも雑味感を含むジャンクな煮干し感が増幅。
実はこのことを、昨日の細麺ではそれほど感じなかったのですが、太麺にすると、明確に感じました。
太麺は麺の厚みも十分(厚みは2.5ミリ)あり、固めの茹で上げ。
手揉み麺にありがちなピロピロ麺というよりも、プリプリとした噛み応えのある食感。
太麺が煮干しスープとニボ背脂をダイナミックにブレンドさせ、両者がブレンドしたスープに絡みます。
昨日の細麺とはまったく違ったラーメンになった印象。
太麺の麺量は180g。
同じスープ、同じ醤油ダレ、同じニボ背脂を使いながら、細麺ではぎりぎり「イチカワ」「児ノ木」ラインの「純ニボ」。
太麺では、それが「麺や 七彩」(八丁堀)の「喜多方らーめん(煮干)」に近い方向に変貌。
これは麺が七彩似になったこともありますが(七彩のピロピロ麺よりも、ずっとコシがありますが)、麺の違いにより、手揉み麺+ニボ背脂(七彩でも、煮干し粉末を溶いたオイルを追加)+純煮干し&醤油スープのマッチングが全開。
その結果、「純ニボシ系」よりも「七彩の喜多方(煮干)」に接近したと勝手に推察。
かなりしょっぱいので、食べたあと喉が渇きますが、それはご愛敬。
スープ、タレともに無化調です。
具の豚肩ロース肉低温調理チャーシュー2枚と枕木メンマ3本については、昨日のレビューを参照してください。
具で変わったのが薬味のネギ。
昨日の紫玉ネギが白髪ネギに変わり、輪切りのネギとの組み合わせに。
2日続けて煮干し100%の無化調「煮干中華そば」の細麺と太麺を実食。
今回は細麺と太麺の選択というアプローチを採用。
しかし、ここまで鮮やかに違いが生まれたのなら、太麺はこのまま「ニボ背脂」を生かしたジャンク志向。
対照的に細麺では今回のやや甘めの醤油ダレを以前のブレンドに戻し、ベースの煮干しと水のみのスープを醤油ダレが増幅し、逆に仕上油のインパクトを抑える「純煮干し」の志向を強めるなど、差別化を進めて欲しいと勝手に願っていますが、どうでしょうか?
「煮干しをまるごとかじっているような煮干しラーメン」をめざす小泉店主。
この目標は9割方成功しているといえます。
あとは、ジャンクな煮干し、そしてピュアでオイリーな煮干しの両方を、前者は太麺、後者は中細麺と、いずれも自家製麺+煮干し100%+無化調で完成させて欲しいですね。
「煮干中華そば」。無化調・煮干し100%「純ニボ」の「はなみち」的完成形!
2月2日(土)
2月2・3日(土・日)の「麺の極 はなみち」限定麺「ざ・はなみち」は、「煮干中華そば(煮干中華蕎麦)」。
いつものように、仕込んだあと開店(午前11時)直前まで最終調整をして、良かったらゴーサインが出ます。
その結果、Twitterで詳細が告知されるのは開店から25分ぐらい過ぎてから。
もちろん、告知を待たずに「提供」を確信して(今週末に煮干しそばを提供予定ということは、小泉店主のツイートから分かっていたので)、見切り出発する手があります。
しかし、それではスープや醤油ダレ、麺、仕上油などの詳細が分からず、混雑した店で忙しく働く小泉店主に確認することに。
それはなるべく避けたいので、ツイートでレシピが発表されてから出発したい。
11時25分頃小泉店主が「煮干中華そば」提供を告知。
今回はいつも以上に詳細にレシピを公表。
聞きたい内容がほとんど載っています。
マニア心を分かってくれ、ちゃんと対応してくれる小泉店主に感謝。
レシピ確認のあと、タクシーを呼んで、舘坂橋の「はなみち」に直行。
○限定麺(ざ・はなみち)「煮干中華そば」(800円)。
「はなみち」到着は12時少し前。
店に入ろうとしたとき、うしろから声をかけられました。
振り返ると、何と小泉店主。
「告知を見ました。あそこまでスープ、タレ、麺、オイルなどの素材について詳しく書いてくれたら、聞くことないですよ」と話すと、「麺は太麺か細麺か選べますよ」と小泉店主。
それは告知にはなかったな。
告知では細麺のスペックのみでしたから。
実はここで、店主は太麺・細麺のどちらを薦めるのか聞くべきでした。
店に入ると、券売機上の「ざ・はなみち」のPOPには、たしかに「太麺か細麺選べます」の一文あり。
「煮干しそばには細麺」という信念(?)に従い、食券を渡すときに「細麺」を選択。
スタッフは小泉店主を含め3人。
12時の時点で、厨房を取り囲むL字型カウンターには空席2つのみ。
まもなく満席となり、店内待ちが発生。
さすがに「煮干し」は人気があるのか、今日は「ざ・はなみち」の注文が多いですね。
待っていると、小泉店主が「今日のスープです」と、小皿にスープを入れて出してくれます。
飲むと、タレなしのスープのみの段階で、もう「純ニボ」の風味。
平子と背黒2種と水だけの無化調スープ。
煮干しを搾り、苦味やエグミを抑え旨味のみを凝縮して詰めた「煮干し汁」。
それに特有のナチュラルな煮干しのオイリー感(?)が加わる「純ニボ」のエッセンスが、小皿に入ったスープからはっきり分かります。
この段階で期待感マックス。
まもなく、丼にスープがなみなみと注がれた「煮干中華そば」が到着。
濃い茶の濁ったスープがたっぷり。
スープの中には砕いた煮干し粉末が漂っています。
具は、豚肩ロース肉の低温調理チャーシューが2枚。
枕木メンマが3本。
刻んだ紫玉ネギに小口切りのネギが混じります。
醤油ダレは、たまり醤油など2種に銀いりこを漬け込んだもの。
いつもより、醤油の種類を大幅にシェイプアップ。
仕上油は、同じ「純ニボ系」の「煮干中華ソバ イチカワ」(つくば市)や「中華そば 児ノ木」(新宿区上落合)では鶏油がベース。
それに対し、「はなみち」は背脂に煮干し粉末を溶かした「ニボ背脂」を使用。
これが、「はなみち」の純ニボに独特のジャンキー感を与えています。
びっしり入る煮干し粉末は全く気にならず、粉っぽさをほとんど感じなく、煮干しの旨味のみを最大限に抽出したピュアでありながら濃厚なスープを堪能。
醤油ダレは「純ニボ」スープの旨味を増幅する役割。
今回は醤油ダレが少し薄め。
そのためか、スープの純ニボ感はMAX時に比べると、少し抑えた印象。
麺は、国産小麦の春よ恋臼挽き全粒粉を使った自家製麺。
細麺は、切り刃18番、加水率33%、麺の厚さ約1.5ミリの角ストレート中細麺。
麺量は150g。
最初はツルッとした感触。
口に含むと、やや硬質感があり、小麦がぎっしり詰まった密度の高い感触の麺。
歯応えも十分。
存在感があり、小麦の香りが感じられる素晴らしい麺です。
ただし、醤油ダレをいつもより多分意図して薄めにしており、その結果、スープの濃度が通常よりもやや薄め。
そのスープに硬質感と存在感のある細麺を組み合わせると、麺がやや浮いてしまう感。
食後、小泉店主に「太麺」のスペックを確認すると、春よ恋石臼挽き全粒粉を使いながら、切り刃12番、加水率38.5%のピロピロした手揉み麺。
サラリとして、若干濃度の低い今回のスープには存在感のある固めの細麺よりも、ピロピロして、フワッとした多加水寄りの手揉み麺の方がスープと良く絡んで、合っているのかも知れません。
実際、食後に小泉店主は「太麺の方が合っている」と、はっきり語っていました。
やはり、事前に店主オススメの麺を聞くべきでした。
とはいっても、これはスープやタレとの相性だけで、もっと醤油ダレを強くして、純ニボ感をさらに引き出したら、細麺の方が相性抜群でしょう。
最近「はなみち」は豚ロース肉の低温調理チャーシューを使う傾向。
しかし、今回は肩ロース肉の低温調理チャーシュー。
見た目はいかにも肉肉しい感じ。
厚みもそこそこありますが、食べてみるとサクッとした食感。
サシが適度に混じった赤身主体のチャーシューは、肉の旨味と醤油主体のタレの香ばしさがうまくミックスした逸品。
穂先メンマは薄味ですが、良く噛むとメンマの旨味を生かした味付けが施されていることが良く分かります。
今回新たに導入された量多めの紫玉ネギ。
シャキシャキ食感も、普通の玉ネギ以上。
スープを飲む合間に、紫玉ネギを口に含むと、独特のほろ苦さがとシャキシャキ感が、純度の高い旨味濃厚なスープにアクセントを加えます。
スープを完飲して満足。
終盤こそスープに混じる煮干し粉末の粉っぽさが少し気になります。
丼の底には、煮干し粉末が一杯。
今日(2月2日)は、小泉店主のツイートを読むと、40杯ほど仕込んだものの、昼営業(11時~14時30分)途中で売り切れたとのこと。
明日(3日)は仕込み量を増やすといいますが、確実に食べるためには12時30分頃までに行くのがオススメ。
あの東京唯一の「純ニボ」の名店「児ノ木」で評判の「純煮干そば」を食べたとき、盛岡の「HINOTORI~火ノ鷺~」(盛岡市北山)の「ど煮干肉そば」のスープの味との酷似に驚き。
さらに、「HINOTORI」の師匠に当たる「はなみち」が、限定で「純煮干そば」を提供することをのちに知りました。
そして、「児ノ木」「はなみち」双方が「イチカワ」の影響を色濃く受けていることを知るにいたって、「イチカワ」→「児ノ木」「はなみち」の「純ニボ」の系譜を確信(「児ノ木」「はなみち」双方は互いに食べたことはないといいますが)。
この系譜に属する4店(と勝手に考えている)中2店が盛岡にあることに感謝。
明日(3日)も引き続き提供されますので、煮干し好きの方は訪れることをオススメします。
鯛そのままの味が躍動する「真鯛白湯ラーメン」!
1月19日(土)
最近すっかりはまっている「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の週末限定麺(ざ・はなみち)。
レギュラーのジャンクなラーメンとは一線を画し、無化調・自家製麺の「鶏そば」「純煮干しそば」をはじめ、レベルの高いラーメンを提供。
今年に入り、小泉店主は鶏や煮干し以外の食材への挑戦を表明。
その第一弾として、昨日(18日)、19日に「鯛の白湯系ラーメン」を「ざ・はなみち」として提供することを表明。
ところが、19日朝になっても、なかなか詳細が告知されません。
そのうち午前11時の開店時間。
相変わらず、昨日のツイートのまま。
11時30分。
やむなく見切り発車で自宅を出て、タクシーで「はなみち」に行く途中、Twitterをチェック。
すると、ようやく本日の「ざ・はなみち」の告知。
しかし、その内容たるや。
「大量の鯛の中骨と少量の鶏で仕上げました。鯛そのままの味です。凄いです!個人的には好きではないです。おススメしません。絶対におススメしません」
店主自ら「絶対おススメしません」というラーメンを出すという異例の事態。
でも、「鯛そのままの味」が出たスープを飲みたいもの。
もしや、これは小泉店主の巧みな戦略的か?と疑いつつ(笑)、店に12時ジャストに到着。
○限定麺「真鯛白湯ラーメン」(800円)
店に入ると、ちょうどカウンター席が3つ空いたところ。
券売機上の「ざ・はなみち」のPOPを見ると、「真鯛白湯ラーメン」という商品名に続き、「かなりどぎつい一杯。オススメしません」と、ここでも否定的な言い回し。
「オススメしません」と言われると、なおさら食べたくなるのが人情。
まして、「どぎつい一杯」と表現されては、食べないわけには行かないですね。
食券を渡してから約5分で出来上がった小泉店主のオススメしない「真鯛白湯ラーメン」。
説明にあるように、大量の真鯛の中骨と少量の丸鶏を炊き上げたホワイトで、わずかなとろみのある鯛白湯スープ。
塩ダレで味付けされています。
スープを飲むと、見た目よりもずっとさっぱりしています。
それ以上に、真鯛の塩焼きをそのまま搾ったような香ばしい風味の、まさに「鯛そのままの味」。
これほど鯛の香りや旨味がストレートに出たスープは初めて。
もちろん無化調。
「どぎつい」どころか、さっぱりとした中に、鯛の旨味がぎっしりと詰まった美味しいスープ。
丼の中央に、薄くスライスされたピンクの豚肩ロースのレアチャーシューが綺麗に積み上げられています。
レアチャーシューの上には、柚子皮が数片。
その他、野沢菜漬けがトッピング。
麺は、春よ恋全粒粉を使った自家製麺。
切り刃18番、加水率33%の断面四角の角ストレート麺。
加水率低めなので、やや固めの麺。
全粒粉が効いてポクポクとした食感。
噛むと、モチモチとして、小麦の香りが強い存在感のある麺。
麺量は180g。
柔らかいローストポークはしっとりとした食感。
ジューシーで、肉の旨味が詰まっています。
チャーシューにのった柚子皮が、鯛の風味をいい意味で中和。
面白いのが野沢菜漬け。
「真鯛らーめん 麺魚」(錦糸町)の小松菜トッピングにヒントを得たのでしょう。
しかし、小松菜の代わりに、塩味が強く、旨味と独特の発酵臭のある野沢菜漬けを持ってきたところに、小泉店主のセンスを感じます。
単品では個性の強い野沢菜ですが、これが柚子皮とともに、鯛特有の魚臭さをうまく中和する役割を果たしています。
スープを一滴残さず完飲。
鯛白湯に鶏がうまく融合。
鯛の旨味や香りをそのまま生かしながら、飲みやすいマイルドなスープに仕上げています。
塩ダレの塩加減もちょうど良い塩梅。
マイルドでさっぱりと仕上げた鯛白湯スープに、少々硬質ながら噛むとモチモチの麺が良く合い、ローストポーク、柚子皮、野沢菜漬けなど最小限の具のみを添えた鯛白湯ラーメン。
随所に「麺魚」の影響を感じますが、「はなみち」の個性もしっかりと感じる逸品。
初めての鯛への挑戦にしては、十分な完成度。
小泉店主の「オススメしません」という警告から想像すると、もっと完成度の高い鯛ラーメンを目指していたのかも。
そうすると、今後一層の伸びしろが期待できますね。
夕方、改めて「はなみち」のツイートをチェックすると、「鯛は今日で無くなりそうなので、明日はまた別のラーメンを作ろうと思います。気になる方は是非」と気になる小泉店主の発言。
「真鯛白湯ラーメン」は19日で終わりで、20日は別の限定麺が登場するのか!「気になる」ので、明日も行く羽目になるのかな?
再仕込み醤油のコクと濃厚な旨みが主役の「中華そばネオクラシック」!
1月14日(月)
1月の3連休は「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)で始まり、「はなみち」で終わった感じ。
土日に限定麺(ざ・はなみち)「純ニボ塩」で、煮干し100%スープ+塩ダレにチャレンジ。
これで3連休の「ざ・はなみち」は終わったと安心していたら、またまた来ました。
連休3日目の「はなみち」のTwitterで、14日(月)のみの限定麺(ざ・はなみち)を提供するという。
レシピがほぼ完璧に載ったお手本にしてもらいたいような告知。
名称は「中華そばネオクラシック」。
そういえば13日夜にも、「この前買った再仕込み醤油がめちゃくちゃ好みだったので、明日も何かしらチャレンジしたいと思います」とツイートしていたっけ。
「中華そばネオクラシック」は、今までの「鶏そば」と違って、再仕込み醤油メインの醤油が主役の無化調ラーメン。
丸鶏と水のみのスープと豚肉、水、野菜のスープのWスープ。
醤油ダレは、再仕込み2種、濃口2種、薄口1種、生醤油3種の計8種(!)の醤油をブレンド。
麺は、国産小麦を使った切り刃18番、厚み1.2ミリの自家製麺。
ここまで書いてくれたら、店で聞くのは加水率と麺量、仕上油程度で済みますね(笑)
○限定麺(ざ・はなみち)「中華ネオクラシック」(800円)
朝食もそこそこに自宅を出て、タクシーで舘坂橋近くの「はなみち」へ。
到着は12時少し過ぎ。
連休3日目だけあって、初日のような混雑にはいたらず。
それでも店内待ち2人目。
すぐに着席。
小泉店主曰く「連日ありがとうございます」
いやいや、小泉店主が3日目にも限定麺を出してくるから、来ざるを得なかったんですよと、心の中でつぶやきましたが・・・
待ち時間5分ほどで、スピーディーに限定麺「中華そばネオクラシック」着丼。
丼がつくなり、醤油のいい香りがプーンと立ち上ってきます。
再仕込みメインの8種の醤油が主役というだけあって、濃い琥珀色の醤油スープが印象的。
仕上油の鶏油が浮かびますが、丼の表面は大きな具で覆われています。
まずは大判の豚ロース肉低温調理チャーシュー1枚。
その上に、これも大きな海苔が1枚。
太めの枕木メンマ3本。
輪切りのネギに、「ネオクラシック」を意識したのか、ナルトものっています。
早速スープを一口。
8種類の醤油のブレンドがきっちり決まって、主役中の主役である再仕込み醤油の香り高く、深みとコクのある濃厚な旨みが押し寄せます。
ちょっとオーバーですが、醤油の旨みをこれほど強く感じたのは、「中華そば しば田」(仙川)の「中華そば」、「ラーメン屋 トイ・ボックス」(三ノ輪)の「醤油ラーメン」(昨年のバージョン)以来。
しかも、主役の醤油を鶏の旨みがしっかりと支えています。
豚肉は表面にこそ出ないものの、スープのコクを増すのに貢献。
もともと淡麗醤油ラーメン大好きな私としては、好みのど真ん中のスープ。
レンゲを持つ手が止まりません。
鶏の旨みをほのかに感じる「ザ・醤油」ともいえるスープを十分堪能したあとで、今度は麺を啜ります。
切り刃18番、加水率37%の角ストレート麺。
国産小麦を使った自家製麺です。
麺の厚みは、先に書いたように1.2ミリ。
麺の厚みを標準サイズよりもほんの少し薄くしているせいか、18番というよりも20番程度に感じます。
ツルツルと啜れる麺は、噛むとモチモチとした食感。
小麦の香りをしっかり感じることのできる素晴らしい出来の麺です。
麺量は150g。
個人的には、これだけのスープと麺であれば、「かけラーメン」でも十分。
しかし、贅沢にもいずれも大判の具がたっぷり。
豚ロース肉の低温調理チャーシューは、柔らかく淡白な風味。
シャキシャキ感抜群の太め枕木メンマは、薄めの味付け。
そして、どこか和風感を醸し出す醤油スープに、大きな焼き海苔がぴったり。
薬味のネギやナルトも存在感を発揮。
小泉店主は同日夜に「今日のは醤油のみにフォーカスした偏った一杯になってしまいました」とツイートしていますが、そこまで謙遜することはありません。
「醤油にフォーカスしながら、丸鶏や豚肉、野菜等のダシがしっかり下支えする古典的なようで、しかし新しい醤油ラーメン」と表現した方が妥当でしょう。
まさにネオクラシックな「中華そば」。
3連休最後を飾る価値ある一杯でした。
純煮干しの「塩」!
1月12日(土)
いやー!1月早々から凄いラーメンを食べましたよ。
何って?
「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)が「ざ・はなみち」(限定麺)として本日(12日)提供した「純ニボ塩」です。
煮干し100%の、煮干しと水だけの無化調の「純煮干し」といえば、これまでは「醤油ダレ」と合わせるのが通例。
「純ニボ」の二大名店「イチカワ」(つくば市)、「児ノ木」(新宿区上落合)のいずれも、タレは「醤油」であって、「塩」はありません。
「はなみち」でも、「塩」は、今回が初挑戦。
アニマルオフでありながら、あの煮干しの旨味をギュッと詰め込んだような濃厚だけどクセのない味は、純ニボスープと醤油ダレとの相乗で生まれると思っていただけに、果たして塩でどこまで「純ニボ」の味に迫ることができるか?
本当に楽しみ。
しかし、小泉店主はチャレンジャーですね。
○ざ・はなみち(限定麺)「純ニボ塩」(大盛不可)(800円)
店に到着したのは12時少し過ぎ。
小泉店主の元気の良い掛け声で迎えられます。
まずは券売機上にある「ざ・はなみち」のボードをチェック。
「純ニボ塩」の名を確認して、券売機で食券を購入。
店は大変な賑わいで、店内待ちも発生。
それでも、後から続々と入店。
それに対応する小泉店主ともう一人のスタッフも大変。
約7~8分待ち時間の後、「純ニボ塩」を小泉店主が渡してくれます。
大きめの白い丼の半分ぐらいまでスープが入っています。
第一印象は、スープがちょっと少なめというもの。
スープは塩ダレですが、濁っていてセメント色。
そこに大判の豚ロース肉の低温調理チャーシューが1枚。
肉の表面は薄ピンク色。
枕木メンマが3本。
薬味は笹切りの白ネギと小口切りの青ネギ。
スープは、平子と背黒2種と水だけから抽出。
「煮干しと水」だけの引き算の極致のような無化調スープ。
これに醤油ダレの代わりに塩ダレを合わせています。
この塩ダレがなかなか手の込んだつくり。
ヒマラヤ岩塩など数種の塩と銀いりこなど4種の煮干しをブレンドした上に、鯖節、宗田節など節類を足しています。
スープを飲むと、醤油ダレに比べると若干薄めですが、「純ニボ」特有のあの煮干しのエキスが詰まったような独特の旨味をしっかりと感じます。
実は、あとで塩ダレを少し飲ませていただいたのですが、たしかに塩のみのタレに比べると、煮干しや節の旨味が足されています。
その意味で、醤油に比べると旨味のない塩に煮干しや節類を補い、「醤油」に迫る味を出すことに成功しています。
しかし、塩ダレにいかに旨味を足そうが、やはり煮干し100%のスープがしっかり炊けていないと、「純
ニボ」の味はできません。
その点で、今回「塩」を食べることで、実はスープの段階で、「純ニボ」特有の旨味がかなり出ていることを再確認。
「醤油」ではスープとタレが一体化してしまうので、スープの素の味がなかなか分かりません。
しかし、塩ダレの場合、いい意味で、素のスープと塩ダレを区別がつき、両者の重なりがはっきりと分かります。
もともと大量の煮干しを使ったスープで塩味が強いだけに、これに塩ダレを合わせるので、最初は塩味高めな印象。
ただし、スープを飲むうちに旨味が塩味を凌駕するので、それほど塩味が気にならなくなります。
とにかく醤油よりは弱いとはいえ、しっかり抽出された「純ニボ」の味は圧倒的。
昆布などを足した淡麗系とも、動物系を足したセメント系とも異なるクリアでありながら濃厚な旨味。
苦味やエグミを抑え、煮干しの旨味を純粋に抽出した濃くても飲みにくくない旨味抜群のスープ。
「イチカワ」や「児ノ木」では仕上油に鶏油を使っていますが、「はなみち」では背脂を使用。
それでいて、この3店しか出せない「純ニボ」の味を出しているのが素晴らしい。
「純ニボ」では難しい塩にチャレンジ。
ちゃんと期待の味を出しているところはさすが。
しかも、醤油に比べるとニボ感がやや控えめですので、「純ニボ入門」には、打ってつけ。
麺は、切り刃18番、加水率39%の多加水の自家製麺。
麺幅は1.7ミリと18番手では標準的ですが、麺の厚みは3ミリとかなり厚め。
この麺を茹でる前に手で揉んで縮れをつけています。
肉厚の縮れ麺はプリプリとして適度のコシがあり、モチモチしています。
この麺が煮干し風味の高いさらっとしたスープに良く絡み、麺の食感と煮干しの旨味が口の中で融合。
麺量は160g。
薬味のネギの中でも、笹切りの白ネギのシャキシャキ感と苦味が出色。
「純ニボ塩」は醤油よりもサッパリ感がありますが、薬味のネギがさらに爽快感を加えています。
大判の豚ロース肉低温調理チャーシューは淡白な味付け。
その分、ブラックペッパーの風味が映え、食べ応えがあります。
枕木メンマは薄い味付けのシャキシャキ感のあるもの。
煮干しラーメンの中でも難しいとされる「純ニボ系」に無化調でチャレンジし続け、今度は「塩」にチャレンジ。
しつかり「純ニボ感」を出しながらも、「醤油」とは違ったさっぱり感のある味を見事につくり出した小泉店主のチャレンジ精神に拍手。
こんな素晴らしいラーメンの完成過程をリアルタイムで見守ることのできる喜びに感動し、「4.4」を進呈。
「純ニボ塩」は、明日(13日)も提供されますので、今日逃した方は是非明日お試し下さい。
1杯当たり200g以上の煮干しを使う苦味・エグミの強い「セメント煮干」
12月22日(土)
今週の「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の週末限定麺(ざ・はなみち)は、「セメント煮干」。
「バランスよりもやりすぎ感に偏った一杯」という説明が何とも興味をそそります。
珍しく開店の午前11時前にTwitterで告知。
11時30分に自宅を出発。
タクシーで舘坂橋の「はなみち」に着いたのが11時50分。
店に入ると、意外にも空席があります。
「ざ・はなみち」の食券を買い、「本日のざ・はなみち」=「セメント煮干」の説明書きを撮影してから、最近の定位置のようになっている入口に近いカウンター席に座ります。
厨房内は小泉店主と助手さんの2人。
すぐに満席になりましたが、面白かったのが、いつもの大学生中心ではなく、今日はたまたまなのか客層が私を含め割合高め。
妙齢?のお姉さま方がジャンクなラーメンを頼んでいたのに、ちょっと驚き。
まもなく小泉店主が、クラシックな模様の底浅のラーメン鉢に入った「セメント煮干」を渡してくれます。
○ざ・はなみち「セメント煮干」(800円)
凄みのあるドロッとしたセメント色のスープ。
具は、これもスープに負けないワイルドで肉々しいビジュアルの大判の豚肩ロース肉低温調理チャーシュー2枚。
枕木メンマが3本。
セメント煮干定番の薬味である刻み玉ネギ。
スープは丸鶏を大量に炊き込んだ白湯スープに、平子、背黒などの煮干しを、これも大量にブレンド。
醤油ダレを合わせています。
前日煮干しスープを炊くと、当日になって苦味やエグミが弱くなってしまうので、当日朝追い煮干しをしてビター感を強めているという。
その結果、1杯当たり200gもの煮干しを使っています。
とくに仕上油を使わず、炊き込んだ丸鶏から出る脂分をそのまま生かしています。
動物系と煮干しとのバランスを無視して、苦味やエグミをあえて強めるため、煮干しの使用量を増やしたやり過ぎの一杯。
果たして、ニボ度はどの程度かな?
ドロッとした粘度の強いセメントスープを飲むと、強い苦味とエグミ。
さすがバランス無視のやり過ぎだけあります。
しかし、苦味やエグミだけでなく、「水と煮干しと醤油ダレ」のみの「純煮干し」を提供する小泉店主らしく、煮干しの風味を十分に出し切っています。
たしかに動物系のまろやかさと煮干しの苦味やエグミとのバランスは無視してますが、煮干しの苦味・エグミと旨味とのバランスは絶妙。
無化調で、これだけ濃厚なセメント煮干しスープを仕上げる小泉店主の力量は大したもの。
ただし煮干しが濃いだけに、この分、塩味が強くなっています。
麺は、「自家製の中細麺」とありますが、切り刃18番なので、中細麺というより、食感的には中麺から中太麺という印象。
加水率30%、麺幅1.7ミリ、厚さも1.7ミリの正方形のストレート麺。
低加水麺をアルデンテ風に茹でているので硬質感のある食感ですが、その一方、小麦が麺にぎゅっと詰まっているような密度の濃さを感じる麺です。
麺量は、「麺をたくさん打ってしまった」(小泉店主)ので200gと多め。
具の肩ロース肉の低温調理チャーシューは柔らかく、しかも醤油ダレが良く滲みた実に美味しい仕上がり。
枕木メンマはシャキシャキしている上、甘味をさりげなく感じる味付け。
このメンマの甘味が、ビター感の強い煮干しスープに対し、いい意味でアクセントを与え、食べ飽きさせません。
麺や具を食べたあと、残ったドロドロのセメントスープを飲み干しますが、このとき刻み玉ネギが大きな役割を果たします。
スープの底に沈んだ刻み玉ネギが、セメントスープを飲むと、一緒に口のなかに入ってきます。
そのとき、刻み玉ねぎのシャキシャキシした食感と適度な苦さ、爽やかさが、セメントスープをスムーズに飲むための助けになります。
最近岩手県内でも、「セメント煮干し」を出す店が出てきましたが、無化調で自家製麺、しかもこの濃厚さとビター感は出色。
明日(23日)も提供されますので、ニボラーの方は是非お試しを。
南部かしわの旨味を最大限に生かした限定麺「岩手の地鶏そば」
12月16日(日)
ジャンクなラーメンやつけ麺で若者に絶大な人気を博する一方、週末の限定麺(「ざ・はなみち」)では、無化調の「鶏そば」や「純煮干しそば」を中心に高水準のラーメンを提供。
ラーメンマニアの支持も集めている「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
今週末の「ざ・はなみち」は、「岩手の地鶏そば」。
岩手の地鶏「南部かしわ」の旨味を存分に味わえるよう醤油ダレにも工夫を凝らしているといいます。
本当に楽しみ!
○限定麺「岩手の地鶏そば」(800円)
今日(16日)も朝11時と遅い起床。
当然朝食抜きで、慌てて支度をして、タクシーで「はなみち」に急ぎました。
「はなみち」には昼12時の到着。
既に店内は満席。
「ざ・はなみち」の食券を購入後、店内待ちの列に続きます。
まもなくカウンター席が空いたのは良いものの、座った途端にどっとお客が入店。
何と店内待ちが12人に!
すると、小泉店主がこのあと忙しくなりそうなのでと、あらかじめ今回の限定麺の麺のスペックを教えてくれました。
感謝。
10分ほどの待ち時間で、「岩手の地鶏そば」が到着。
スープの色は通常の「鶏そば」よりもやや薄め。
南部かしわの丸鶏とガラにπウォーターの鶏と水のみのスープ。
もちろん無化調。
鶏油も南部かしわから抽出するという「南部かしわづくし」。
これまでの「鶏そば」の醤油ダレに、焼いた南部地鶏の肉を漬け込むことで、より一層鶏の旨味や甘味が増しているという。
たしかに醤油ラーメンというより、醤油味の鶏だしの鍋のような醤油スープ。
醤油のキレやコクを強調するのではなく、むしろ鶏と一体化して、鶏の旨味や甘味を味わえるような醤油ダレ。
具は、二つ折りの白っぽい豚ロース肉の低温調理チャーシューが2枚。
それに極太メンマ2本。
薬味のネギは、輪切りの白ネギと小口切りの青ネギ。
鶏油がたっぷりと振りかけられています。
スープをいただくと、鶏油と鶏肉を漬け込んだ醤油が相乗した甘味が到来。
南部地鶏の甘味と旨味が強調され、醤油はむしろ引き立て役。
「鶏そば」の醤油ダレに醤油のキレやコクを求める方には合わないかも知れません。
しかし、鶏と水と醤油のみのラーメンでも、いろいろなアプローチの味が楽しめるのが、盛岡のいいところ。
自家製麺は、最近導入した18番の切り刃を「鶏そば」に初めて使用。
加水率37%、幅1.7ミリ、厚さ1.1ミリの断面角の平打ちに近いストレート麺。
「はなみち」の自家製麺としては、おそらく初めての滑らかでシルキーな中細ストレート麺。
素麺のような麺で、シコシコとした食感の啜りやすく喉ごしの良い麺。
麺が鶏の旨味や甘味をしっかりと持ち上げ、口のなかで麺と鶏、醤油が融合する醍醐味。
麺量は160g。
薄くスライスした豚ロース肉の低温調理チャーシューは、淡白な味ながらブラックペッパーの味付けが効き、絶妙なスパイス感。
極太メンマは噛み応え満点。
噛むと、タレの醤油味が滲み出し、メンマの旨味が一層際立ちます。
スープを飲み進むうちに、最初目立った甘みがすーっと引いていき、鶏の旨味と適度な醤油感を感じながら食べ終えることができます。
今年1月から小泉店主がチャレンジを始めた鶏と水だけの無化調スープの鶏そば。
途中、自家製麺を導入。
当初、切り刃12番の太麺のみでしたが、そこで試した様々な工夫が18番切り刃の導入により見事に花開いています。
鶏と醤油のバランスも、鶏の旨味や甘味を生かす方向にシフト。
独自の境地に達しています。
鴨ダシにも挑戦。
ここ1年で飛躍的に進化した「はななみち」の「鶏そば」が来年さらにどのような進化を遂げるのか?
今後も注視していきたいと思います。
はなみち「純ニボ系」の到達点!その名もシンプルに「煮干しらーめん」
12月6日(木)
「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)が今月、1年の締めくくりとして、1年間「ざ・はなみち」として提供してきた期間限定麺を、不定期に平日に提供すると知ったのが先週。
それから1週間も経たずに、平日バージョンの「ざ・はなみち」が登場。
昨晩、「はなみち」のTwitterを見たら、最新の記事で、小泉店主が「明日(今日)は自分の一番好きな煮干ラーメンを作ろうと思います。上手に出来たら、明日(今日)限定でやろうと思います」と発言。
要するに、今日(12月6日)、平日限定の「ざ・はなみち」として、「純煮干そば」が提供されると確信。
幸い、出先が「はなみち」へ徒歩15分程度の場所。
午前中の仕事が12時に終わり、職場の仕事が始まる14時40分には十分間に合う。
そんな計算をして、今日の午前の仕事終了後、急いで「はなみち」に駆けつけました。
店に入ると、さすがに12時15分。
近くの岩手大学の学生で一杯。
店内待ちができています。
問題は「ざ・はなみち」があるかどうか?
券売機を見ると、「ありました」!
その名も「煮干しらーめん」。
何の説明もなく、本当にそれだけ。
躊躇なく食券を購入。ウェイティングの列に接続しました。
○ざ・はなみち(本日限定麺)「煮干しらーめん」(800円)
座ってまもなく提供された「煮干しらーめん」。
見た目から煮干しと水のみからスープをとった無化調の「純煮干し」と分かりますが、同店の「純ニボ」といっても、いろいろバリエーションがあります。
その中でも、7月1日(日)に提供された「煮干王」そのもののビジュアル。
煮干王を提供したときの小泉店主のTwitterにも、「自分の一番好きな煮干ラーメンにトライ」とありましたから、純ニボ系でも「煮干しブラック」に傾斜したスープの「煮干王」、それをさらにパワーアップして再現した今回の「煮干しらーめん」が、小泉店主の一番好きな煮干しラーメンなのでしょう。
濃い茶褐色のスープには、仕上油の背脂が浮かび、クラッシュした煮干しの粉末がスープ内に浮遊します。
表面の大半を覆うのが豚チャーシュー。
豚肩ロース肉のチャーシュー2種と豚バラ肉チャーシュー。
太めの枕木メンマが3本。
そして、ザク切のネギがスープに浮いています。
スープは平子を中心に、背黒2種、銀イリコを加えた煮干しと水だけからとった「純煮干し」。
煮干しの頭やハラワタなども取り除かずに、そのままクラッシュ。
クラッシュした結果の煮干し粉末がスープに混じっていますが、背脂が良く効いてオイリーですが、粉っぽさは微塵も感じません。
この「純煮干し」(背脂を除く)スープに、たまり醤油など数種の醤油をブレンドした醤油ダレを合わせています。
ラーメンの外観は、あの「純ニボ」の聖地・つくば市「イチカワ」の「煮干ソバ」(醤油)のスープをさらに黒っぽくしたよう。
スープを飲むと、あの「煮干王」の味がよみがえってきます。
煮干しのエグミ、苦み、渋味、魚臭さなどすべてを適度に含んだうえで、それらのトータルをはるかに凌駕する強烈な旨みを発散。
まさに煮干しそのものをぎゅっと絞りだした原液のようなスープ。
それに醤油ダレや背脂がうまくブレンドされ、やや塩味が強いですが、淡麗ともセメントとも表現できない濃厚な旨みを堪能できます。
一心不乱にレンゲでスープを飲みまくりますが、「イチカワ」リスペクトの「純ニボ系」がここ盛岡の地で、独自の進化を遂げた姿を改めて確認。
麺は、昨日打って一晩寝かせた自家製麺。
切り刃12番、加水率42%の平打ち麺を提供直前にしっかり手揉みして縮れをつけています。
自家製麺になって、さらにラーメンとしての質がアップ。
プリッとした食感とモチモチ感が味わえる多加水麺ですが、次回はもう1つの切り刃18番で打った中細ストレート麺バージョンを食べてみたいですね。
ちなみに、麺量は180g。
二つ折りにした豚肩ロース肉の低温調理チャーシューは、柔らかい上にブラックペッパーによる味付けが絶妙。
もう1種は豚肩ロース肉の煮豚。
黒っぽいチャーシューは、見た目はボソッとした印象ですが、食べると意外にしっとりしていて、醤油ダレのしみ込んだ味わい豊かなもの。
最後のバラ肉チャーシューは、赤みとサシのバランスが良く、こってりとした風味。
柔らかく煮込まれていて、とろけそうな食感。
シャキシャキとした食感で薄味の枕木メンマ、こちらもシャキシャキ感のあるザク切りのネギは軽い苦みも含め、濃厚なスープの箸休め的な存在。
「煮干王」をさらにパワーアップしたその名もシンプルな「煮干しらーめん」は、「イチカワ」由来の「純煮干しそば」の「はなみち」流アレンジ版としては、今のところ最高峰。年末を飾る出来です。
「イチカワ」の「煮干ソバ」を踏襲しながら、さらにジャンクかつワイルドに仕上げた「はなみち」オンリーの無化調「純煮干し」の到達点「煮干しらーめん」を食べることができ、満足。
煮干しと節類を絶妙にブレンドした和風ダシ香る限定麺
12月1日(土)
昨晩から今朝にかけて、盛岡では雪。
積りはしませんが、いま(12月1日・土・夕方)外ではまた雪が降っています。
暖冬といわれていますが、北国の冬は厳しいですね。
そんな12月初日と明日の「麺の極 はなみち」の期間限定麺(ざ・はなみち)は、「和風だし香る魚介醤油ラーメン」。
小泉店主のTwitterから引用すると、
「煮干、鰹節、鯖節、宗田節の香る優しいらーめんです。麺は中細のパキパキしたヤツです。久々に優しいらーめんをつくりました」
既に「はなみち」の次の限定麺が「魚介醤油らーめん」であることは分かっていて、土曜朝スタンバイしている予定でしたが、やはり金曜の夜は開放感があって、朝5時まで起きているという滅茶滅茶な生活。
今日の朝いったん8時30分頃目が覚め、1時間ほど朝の情報番組をみていましたが、また寝てしまい、次に目覚めたら11時30分。
「はなみち」開店の30分後。
「やばい!」ということで、Twitterで「和風だし香る魚介醤油ラーメン」の提供を確認。
慌ててタクシーを呼び、国道4号線舘坂五差路近くにある「はなみち」に急ぎました。
○期間限定麺(ざ・はなみち)「和風だし香る魚介醤油ラーメン」(800円)
12時15分頃、「はなみち」に入店。
ところが、混んでいるかなという懸念に反して、意外に空いています。
やはり雪が影響したのかな?
まずは「ざ・はなみち」の食券を買って、小泉店主に渡します。
それほど待たずに、待望の限定麺到着。
外側が朱色の丼にスープと麺、具が盛られています。
スープを見ただけでは、同店の「純煮干しそば」とあまり変わりません。
やや濃いめ琥珀色の濁ったスープには魚粉が混ざり、仕上油が浮きオイリー。
中央に、薄くスライスされ、食べやすくカットされた鮮やかなピンク色の豚肩ロース肉のレアチャーシュー(低温調理チャーシュー)がうず高く積み上げられています。
枕木メンマが3本。
それにザク切のネギが、薬味として添えられます。
スープを一口。
純煮干しを思わせる煮干しの濃厚な風味を節類が包み込み、トータルとしてはやや節類にシフトした甘味と香り豊かな優しい風味に仕上げています。
でも、単に煮干しだけとも、あるいは節類だけとも違うバランスが絶妙。
ベースは丸鶏と豚肉という動物系。
これに平子を中心に背黒の大小を加えた3種の煮干し、そして鰹節、鯖節、宗田節など節類を合わせるWスープ。
魚介系のうち、煮干しと節類の割合は1対1。
平子や背黒2種、鯖節は粉砕して投入(その名残が魚粉としてスープに浮いています)。
鰹節、宗田節は削り節を使用。
醤油ダレは愛知県半田特産の「底引たまり醤油」がメイン。
それに市販の醤油など計4種類をブレンド。
さらに、銀イリコのダシを足しています。
市販の醤油中に、小泉店主が成分をみたら、「アミノ酸」が含まれていたものがあったので、残念ながら完全無化調ではなく、準無化調。
下支えの動物系に煮干しと節類を炊き込み、醤油ダレを合わせて、鶏油を垂らす今回の限定麺は、簡単にいえば魚介豚骨系。
しかし、煮干しと節類の良さをそれぞれ生かしながら、しかも両者がミックスし、優しいけれど濃厚な味に収斂させた傑作。
醤油ダレも効果的に効いています。
スープづくりにあたっては、πウォーターを使用。
麺は切り刃18番、加水率30%の「中麺」の角ストレート麺。
自家製麺です。
小泉店主は低加水麺を「パキパキ」と表現していますが、むしろツルツルした食感ですが、それでいながら硬質感がある噛み応えのある麺という表現の方が近いかも知れません。
麺をつくる際にはπウォーターは使っていないという。
独特の硬質感とツルツル感を合わせもったユニークな自家製麺が、コクと旨みがたっぷりな反面さっぱり感もある優しいスープにぴったり。
麺量は150g。
肉そば並みに大量に入っている豚肩ロース肉の薄めスライスのローストポークは柔らかくてジューシー。
ブラックペッパーの効いたスパイス感のある味付けが光っています。
長めの枕木メンマはシャキシャキ感が抜群。
薄めですが、メンマの素材の旨みを生かした丁寧な味付け。
敷いていてば、少々しょっぱいかなというところでしょうか。
それでも、これだけ完成された動物系・魚介系MIXのWスープをつくり、しかも煮干しと節類それぞれの良さを感じながら、両社がミックスした旨みを作り出している点に感動。
明日(12月2日)も提供されますので、魚介豚骨系の醤油ラーメンが好きな方は必食の一杯でしょう。
もちろん、凡庸な魚介豚骨系とはひと味もふた味も違う水準の高い準無化調ラーメンです。
なお12月に「はなみち」は今年1年を振り返り、週末には新作の期間限定麺を出す一方、平日にこれまで提供した「鶏そば」「純煮干しそば」「まぜそばメキシカン」「蒙古タンメンはなみち」「肉そば」などを期間限定麺で提供する予定。
このラインナップを見ると、「はなみち」がこの1年で無化調の「鶏そば」「純煮干しそば」の二点に限ってみても、飛躍的な進歩を遂げたことが良く分かります。
食べ逃した方は、是非この機会にリベンジしてみてください。
「はなみち」が鴨ダシに挑戦
11月24日(土)
レギュラーのジャンクなラーメンと週末限定で提供する無加調の「鶏そば」「純煮干しそば」とが対照的な人気店「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
11月24日(土)と25日(日)の2日間提供する限定麺は、当店やファンにとって3つの画期的な意味があります。
1つは、浄水器πウォーターの導入。
2つは、これまで12番の切り刃しかなかった製麺機に18番の切り刃をセットして打つ初めての麺。
3つは、同店初めての鴨ダシへの挑戦。
そして本日(24日)、限定麺(ざ・はなみち)が正式に発表されました。
○限定麺「鴨の地鶏そば」(800円)
昨日、寝不足で登米市の「麺匠独眼流」に行ったというのに、またまた朝5時過ぎまで起きているという無謀さ。
タイマーをセットしていなかったので、起きたら11時30分。
6時間以上の睡眠がとれましたが、「はなみち」開店時間を30分過ぎています。
あわてて「はなみち」のツイートを確認すると、今日・明日の週末限定麺(ざ・はなみち)の詳細が発表されていました。
「鴨の地鶏そば」
水はπウォーター。
ガラは、阿波尾鶏と鴨。
丸鶏は、南部かしわと鴨。
鶏油は、鶏ぼんじりと鶏皮、鴨脂
醤油ダレは、生醤油、たまり醤油など6種類の醤油をブレンド。
麺は、チクゴイズミ、キタホナミ、春よ恋など5種の小麦をブレンドした切り刃18番、加水率38%、厚さ1.1ミリ、麺幅1.8ミリのシルキーな麺。
これを見たら、もうたまりません。
起きてから10分強でタクシーを呼び、12時には「はなみち」に到着。
店に入ると、幸い「ざ・はなみち」は売り切れていません。
満席なので、食券を購入したあと、店内待ちの列に続きます。
10分ほどでカウンター席に着席。
周りをみると、限定麺を頼むお客さんが多いようです。
まもなく到着した限定麺「鴨の地鶏そば」(800円)。
ガラ、丸鶏ともに地鶏と鴨をブレンド。
フレンドの割合は、いずれも鴨の方が多いという。
鶏油にも鴨脂をブレンドする徹底ぶり。
これに6.種の醤油をブレンドした醤油ダレを合わせたスープは、明るい琥珀色。
鶏油が輝いています。
同店初めての切り刃18番の自家製麺がスープに盛り付けられ、具の中では大判の豚ロース肉低温調理チャーシューが、目を引きます。
麺の上には白髪ネギ。
その上に小口切りの青ネギが散らしてあります。
それ以外に大きな穂先メンマが2本という大サービス。
ややオイリーなビジュアルのスープを飲むと、いつもの鶏そばに比べ鶏油の甘味がそれほど目立たない反面、スープのダシ感が以前と比較にならないほど強くなっています。
鴨のじんわりとした甘味のある味とすっきりとしながらもコクのある地鶏の旨味が重なっていますが、それにはπウォーターが威力を発揮。
スープの出が良くなり、醤油ダレのと相性もぴったり。
そのため、鴨と地鶏がブレンドされた濃厚な旨味が結実。
あまりの旨味に、つい「化調を使っているんですか」と小泉店主に質問したほど。
化調で鶏や鴨の旨味を増幅している店があるので、念のために聞いた次第。
安心してください。
スープは無化調です。
スープの旨味が強く、華やかな味になり過ぎているので、個人的にはもう少し落ち着いたナチュラルな旨味にして欲しいところ。
もっとも、πウォーターや鴨とのブレンドに慣れてくれば、調整可能な範囲でしょう。
πウォーターを使って初めて打った18番手の麺。
加水率38%のしなやかな角ストレート麺。
シルキーで優しい食感の麺は、おそらく同店では初めて経験するもの。
柔らかめの茹で上がりの麺が、水と鴨と地鶏と生醤油等のスープをよく吸い上げます。
それでも小泉店主は麺の出来に完全に満足していないようなので、2日目の明日(25日)は、さらにシルキーな麺を追求してくるでしょう。
25日は終日仕事のため、「はなみち」に行けないのが残念。
麺量は160gです。
具の大判のチャーシューは、薄いピンク色。
一瞬、豚肩ロース肉かと迷いました。
しかし、食べて豚ロース肉の低温調理チャーシューであることを確信。
念のために小泉店主にも聞きましたが、やはり豚ロース肉。
柔らかいチャーシューは、香ばしい醤油ダレに浸けられ、さらにペッパーでスパイシーな味付け。
このスパイス味と醤油味、それに肉の旨味が一体となった絶品のチャーシュー。
これも大きな穂先メンマは、シャキッとした食感と素材の旨味を生かした味付けが印象的。
「はなみち」初めてのπウォーターの使用、初めての切り刃18番、加水率38%のシルキーな麺の製麺、初めての鴨と地鶏のスープへの挑戦は、いずれも大成功。
スープの旨味が強すぎる(この点についての感じ方には個人差があるでしょう)点を除けば、満足の行くレベル。
次回は18番の麺を低加水で打って、πウォーターの煮干しダシへの効き目を試すためにも、「純煮干し」
にチャレンジして欲しいな。
昨日よりも「鶏感」アップの「鶏そば 初心」
11月11日(日)
原則土・日に提供される「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の期間限定麺「ざ・はなみち」。
初日の土曜に食べることが多いのですが、2日目の日曜にはさらに改良され味のアップした一杯が提供されることも。
そんなときは2日連続通うことになります。
今回のざ・はなみち「鶏そば 初心」もそんな例。
昨日(土曜)の営業終了後に小泉店主がツイート。
「明日の限定麺は醤油を変えて、よりはなみちらしい一杯に仕上げます。スープも今日よりも鶏感を出せるように頑張ります」
こんなことを書かれると、今日も行かざるを得ません。
我ながら「しつこさ」は相当なものですな。
○ざ・はなみち「鶏そば 初心」(800円)
12時少し過ぎに店に到着。
満席で慌ただしかった昨日と変わり、今日は8割程度の入り。
店内もゆったりとした雰囲気。
「ざ・はなみち」の食券を購入して小泉店主に渡すと、「味が劇的に変わっているわけではありませんよ」と言われてしまいました(笑)
今日の小泉店主は結構余裕。
つくりながら話しかけてくれます。
「今年の課題はπウォーターを導入すること。それに鴨ダシのそばをつくること。鴨は高くて失敗できないんで、いま鶏でいろいろな炊き方を試しているんですよ」
なるほど。
最近の「鶏そば」は、「鴨ダシそば」に向けた実験だったんですね。
まもなく昨日と同様、スチールの皿にのった小ぶりの白い丼に、スープと麺、具が盛られた「鶏そば 初心」が登場。
醤油を変えたというだけあって、昨日よりも琥珀色の濃くなったスープ。
ただし、鶏油がたっぷり入るオイリーなビジュアルは昨日と同じ。
具も、白っぽい厚みのある豚ロース肉の低温調理チャーシュー2枚とほうれん草。
それにナルト。
スープからいただくと、「南部かしわ」の丸鶏に「普通の鶏」のガラを足した鶏と水のみの無化調スープは変わらず。
ただし、鶏油は作り方を変えたということで、濃度が増しています。
鶏油は、やや甘味のある「はなみち」特有の風味ですが、以前よりも甘味はかなり抑えられています。
しっかりとした旨味のある鶏と水のスープに濃厚な鶏油を重ね、これでもかというほどの分厚い鶏感を出す今回の「はなみち」のアプローチ。
醤油ダレはたまり醤油など数種類の醤油をブレンドした今朝つくったばかりのもの。
昨日の醤油ダレよりもコクがありますが、鶏油+鶏ダシの強烈なインパクトに比べると、おとなしめ。
醤油ダレにキレは感じないものの、鶏油+鶏ダシに合わせ、圧倒的な鶏感を抑え、飲みやすくする役割を果たしています。
麺は昨日と同じ自家製の平打ち麺。
切り刃12番の麺は、ツルツルとして瑞々しく喉ごしの良い昨日の麺よりもプリプリとしてコシのある麺。
麺の厚みも増している感じ。
思わず小泉店主に「麺の加水率を下げたんですか」と聞いたほど。
麺は同じで加水率は40%。
麺の厚さ2.25ミリ、麺幅2ミリも変わらず。
しかし、昨日の麺が当日の朝打ち立てであったのに対し、今日の麺はそれを1日寝かせて熟成させた麺。
1日寝かせただけで、これほど麺の食感が変わるというのも驚き。
麺は生き物という事実を実感させられました。
麺量は、昨日の170gから160gに変更。
白っぽい肉厚の豚チャーシューは赤身が中心。
そのビジュアルや食感から、もしや「ロース肉」かなと思ったものの、自信がなかったので、「肩ロース肉」としましたが、今日、小泉店主に確認したら、やはり豚ロース肉の低温調理チャーシュー。
いろいろ試していますね。
ロース肉らしくあっさりした味ですが、肉厚な分、やや固めで噛み応えがあり過ぎ。
パサつきは解消されていますが、ロース肉チャーシューは、今後一層の改善が必要でしょう。
ほうれん草は、鶏感たっぷりで、かなりオイリーなスープに清涼感を加味するという点で、実に効果的。
スープの炊き方、鶏油の作り方、醤油ダレのブレンドなどを変え、さまざまな無化調の鶏そばを提供してくれる小泉店主。
ときには2日目に微調整をするなど、完成された味というよりも完成途上にある味を敢えて公開。
私たち同店のファンに、「実験」に立ち会う貴重な機会を与えてくれる
小泉店主の試みに、今後も付き合って行きたいと思います。
鶏油と醬油ダレの好バランスと「フワフワモチモチ」の自家製平打ち麺が特徴の限定麺「鶏そば 初心」
11月10日(土)
ジャンクなラーメンと無料のライスなどで、近くの岩手大学生をはじめ若者の支持をがっちり獲得している「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
そのかたわら、週末(土・日)の期間限定麺(「ざ・はなみち」)では、無化調の「鶏そば」や「純煮干しそば」を頻繁に提供。
盛岡のラヲタの支持も集めています。
○週末限定麺「鶏そば 初心」(800円)
小泉店主が週末限定麺の内容をツイートするのが、開店11時を過ぎた頃。
こちらは、小泉店主のツイートを見てから、急いで支度をしてタクシーを呼ぶことになります。
今回の週末限定麺は「鶏そば 初心」。
ツイートによると、「色んなスープの炊き方をしましたが、セオリーを無視したはなみちらしい炊き方『初心』でスープを炊いてみました」という。
店には12時ジャストに到着。
幸い、「ざ・はなみち」は残っていました。
食券を小泉店主に渡し、カウンター席に座ります。
まもなく「鶏そば 初心」が着丼。
スープの色からして、最近の「鶏そば」と違いますね。
最近は醬油ダレを濃いめにして、それに対応してスープの色も濃い琥珀色。
ところが今回は、やや赤めというか金色というか、そちらに近い琥珀色。
明らかに醬油ダレは、最近の傾向から離れ、やや控えめにしています。
同時に、スープに鶏油がたっぷりかかっています。
スープの表面に鶏油が浮き、チャーシューの上にも鶏油がのっています。
具は、やや白っぽい厚めの豚ロース肉低温調理チャーシュー2枚。
ほうれん草とナルトのみというシンプルの極致。
レンゲでスープをすくうと、見た目どおり鶏油の量が多め。
鶏油が醸しだす鶏の風味が、かなり強く感じられます。
同時にオイリーで、食べているうちに口の周りがベトベトになります。
鶏油は少々甘めですが、以前のような強い甘めを感じなくなったのは大きな進歩。
鶏油にくらべると、鶏ダシはおとなしめ。
「南部かしわ」の丸鶏に「普通の鶏」のガラを足して炊き上げた「鶏と水」のみの無化調スープ。
「普通の鶏」をブレンドしているせいか、鶏ダシはあっさりしていて、旨味不足は否めません。
むしろ、鶏ダシの旨味を鶏油が補って余りあるといえるでしょう。
さらに醬油ダレの濃度をあえて最近よりも薄めにして、鶏油とバランスをとっています。
これにより、鶏油の香りを醬油ダレがマスキングせず、鶏油の鶏感を醬油ダレがうまく引き出す一方、鶏の風味が過剰にならないように抑える役割も果たしています。
醬油ダレは、以前使ったあと寝かして熟成させていたタレに新しいタレを加えたもので、全部で9種類もの醬油をブレンド。
その割には控えめの濃度で、地味ですが、鶏油や鶏ダシの引き立て役の役回りをうまく演じています。
麺は、先週のカネジン食品製に代わり、「はなみち」の自家製麺になりました。
切り刃12番、加水率40%の多加水平打ちストレート麺。
麺の厚みは約2.25ミリ、麺幅は約2ミリで、厚みのある麺です。
最初のふわっとした食感と、その後のモチモチとした噛み心地がうまくドッキングした「フワモチ麺」。
厚め平打ち麺らしい食べ応えのある麺です。
やはり「はなみち」の限定麺は自家製麺に限ります。
切り刃12番という太めの麺を平打ちにしたり、厚みを変えてみたりなど、鶏そばに合わないとされる太麺の可能性を徹底的に追求。
麺量は170g。
具のロース肉低温調理チャーシューは、最近の薄くスライスされたロゼ色の軟らかい肩ロース肉のローストポークとは対照的。
白っぽいチャーシューは肉厚で少々固め。
同時に少しパサパサした食感。
ここは、先週と同じ薄切りの軟らかくしっとりとしたローストポークを合わせてほしかった。
あっと驚く具のほうれん草。
それでも、鶏油たっぷりのオイリーなスープに清涼感を与えています。
今回はメンマのトッピングはなし。
昼時の大変混雑した時間帯のため、「『はなみち』らしいセオリー無視のスープの炊き方」の詳細を伺うことができなかったのは残念。
それでも食べ終わったあとのほんの僅かな時間の立ち話で、調理に忙しいにもかかわらず貴重な情報を提供してくださった小泉店主に感謝。
今回は鶏ダシが少し薄めな分、鶏油を増強。
さらに鶏油とのバランスの良い醬油ダレを調製し、両者を合わせるという「実験」を披露してくれました。
同じ「水と鶏と醬油」のスープながら、毎回微妙に違った味で楽しませてくれる「はなみち」。
弟子に当たる「煮干らー麺シロクロ」(矢巾町)の深瀬店主と競いながら無化調鶏そばのブラッシュアップを続ける「はなみち」。
両店が今後提供する「鶏そば」の動向から目が離せません。
20杯限定の「純煮干麺」
11月5日(月)
一昨日(3日・土)に、「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)で、週末限定麺(「ざ・はなみち」)「背脂煮干肉そば」を食べました。
昨日も提供したものの、早々と完売。
その後の小泉店主のTwitterでの発言を見ると、「背脂煮干肉そば」について、「本当は違う煮干をやりたかったのですが、色々ありまして」など、必ずしも本意ではなかったことをもらしていました。
私のこの点を実食して感じ、レビューで指摘させていただきました。
その小泉店主が、月曜にも「煮干をやります」と発言。
「醬油を変えて、よりにぼにぼしたヤツにしようと思います」
これを読んだら、もう行くしかないでしょう(笑)
土日に提供した「背脂煮干肉そば」も、煮干しと水だけスープをとった無化調の「純煮干し」。
ところが、醬油ダレが強すぎ、背脂も過剰(「背脂煮干し」なのでやむを得ないが)。
さらに麺が自家製麺じゃないなどの点で、「純煮干し」の醍醐味を味わうには今一息とちょっと辛口のコメント。
そしてリベンジではありませんが、小泉店主が「醬油を変えて、よりにぼにぼ」した煮干しラーメンを提供するなら、これはより「純ニボ」に近いと確信。
でも、提供杯数がわずか20食程度。
ということで、「はなみち」の開店午前11時の5分前に同店の前に到着。
○ざ・はなみち「純煮干麺」(800円)
実は開店15分前に着いていたのですが、誰もいないので、いったん北上川に架かる館坂橋の欄干で川をみながら、時間をつぶしました。
いよいよ開店5分前。
店の前に行くと、今度も待ち人ゼロ。
先頭で並び始めると、どこにいたのか?後に続々と並び始めます。
11時の開店時点で7人。
そして、店に入り、発券をしてカウンター席に着く頃には、満席で店内待ちも出ていました。
早速、小泉店主から「今日は早いですね」との一言。
満席のお客の中で限定麺を注文したのは私を含め4人。
私が店を出た頃に小泉店主がツイートしたと思われる発言には、「15杯だけ」とありました。
今日は製造工程をじっくり観察。
丼にオイルと醬油ダレを入れたあとで、煮干し粉末を入れます。
その後、温めた「純煮干しスープ」を投入。
この瞬間、調理場から煮干しの良い香りが漂ってきます。
茹で上がった麺を丼に盛り付けたあと、メンマ、ネギ、チャーシューなどの具を添えて完成。
スープは「背脂煮干肉そば」よりも若干薄めの色。
茶濁というよりも、灰濁という表現がぴったり。
スープには、いつものように煮干しを粉砕した煮干し粉末に加え、追加投入した粉末が混ざっています。
具は、大きな豚肩ロース肉のロゼ色のローストポーク2枚。
厚めの枕木メンマ4本。
それに輪切りのネギと白髪ネギ。
早速スープを飲んでみると、やはり「純煮干し」らしい「純粋に」煮干しだけの旨味をぎゅっと詰めた濃厚な風味。
もちろん、動物系不使用で、平子、背黒大、背黒小、銀いりこを、頭やはらわたを取らずに粉砕。
それにもかかわらず、苦味やエグミ、魚臭さなどの雑味は適度なレベルに抑えられ、煮干しだけから抽出された旨味を濃縮した濃厚な煮干し感が圧倒的。
これぞ、「イチカワ」「児ノ木」などに匹敵する「純煮干しそば」の味。
もちろんスープはさらさらで、浮遊している煮干し粉末はスープを飲む際には全く気になりません。
小泉店主によると、仕上油は、背脂をメインに一手間加えたもの。
ここまでなら「背脂煮干肉そば」から醬油や油を変え、よりストレートに「純煮干し」感が出たと全面的に賞賛したいところでしたが、スープを飲んでいると、ちょっと「薄い」。
「純煮干し」は、「煮干し」と「水」と「醬油」ダレ(さらに仕上油)の三者(ないし四者)のバランスが肝要。
この点から見ると、「背脂煮干肉そば」は醬油が強すぎ。
逆に今日の「純煮干麺」は醬油が弱すぎ。
「はなみち」出身の「煮干らー麺シロクロ」(矢巾町)が開店当初に「煮干らー麺(白)」で使った醤油(=薄口醬油)を使っているという。
うーん、それでは醬油ダレが煮干し100%のスープを引き立てるという「純煮干し」の醍醐味を味わうには弱すぎますね。
結局、「純煮干し」感を味わえるとはいえ、煮干し100%スープと醬油ダレがベストマッチした完成形までは一息。
それでも食べやすいので、「純煮干し」入門には最適かも。
麺は「背脂煮干肉そば」と同じで、姉妹店「HINOTORI~火ノ鷺~」(盛岡市北山)から取り寄せたカネジン食品製の切り刃14番・多加水の手もみ平打ち縮れ麺。
麺幅は約3ミリ。
たしかにプリプリした食感とモチモチ感のある美味しい麺ですが、自家製麺と比較すると小麦の風味や麺自体の旨味、そしてコシに欠ける点がマイナス。
そういえば、小泉店主はツイートで「正直細麺でやりたかったんですが」とつぶやいています。
現在、製麺機には12番の切り刃しかついていませんが、とうとう18番の切り刃を買うことに決めたという。
そうなると、今後自家製の中細麺や中麺で提供される「鶏そば」や「純煮干しそば」が期待でき、胸がワクワクしますね。
ちなみに、今日の麺量は170g。
ロゼカラーの大きな豚肩ロース肉のローストポーク。
軟らかい上に、肉の旨味とブラックペッパーによる味付けがうまく融合した美味しいチャーシュー。
太めメンマは薄味ですが、シャキシャキ食感の中にも、噛むごとに少し甘めの汁が口に溢れ出て、飽きさせません。
今回はいろいろあって、「背脂煮干肉そば」「純煮干麺」とも、必ずしも小泉店主の思い通りには行かなかったようですが、「背脂煮干肉そば」の課題を迅速に修正。
醬油ダレを変えて、よりニボニボした「純煮干し」のノーマルなスタイルに寄せていった手腕を高く評価したいと思います。
今日の「純煮干麺」でも「煮干しスープ」と「醬油」とのマッチングが完全ではなかったため、「4.1」のままにしようかとも思いましたが、素早く課題点を修正した小泉店主の姿勢を評価して、少々甘めの評価となりますが、「4.2」に戻すことにします。
純煮干しスープに背脂と濃いめ醤油ダレを合わせた「肉煮干しラーメン」
11月3日(土)
ジャンクラーメンの雄にして、週末の限定麺では「ラーメン屋 トイ・ボックス」(三ノ輪)インスパイアの「鶏そば」、「煮干中華ソバ イチカワ」(つくば市)インスパイアの「純煮干しそば」を時々提供する2つの顔をもつ「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
私は、もっぱら週末の限定麺(「ざ・はなみち」)ねらいで、「はなみち」に通っています。
もっとも、毎週末無化調の「鶏そば」や「純煮干しそば」が提供されるわけではありません。
先週の週末限定麺は、ジャンクな「台湾まぜそばストロング」だったので、見送り。
なにせ、「週末限定麺」が何になるのかは、土曜の開店約20~30分後に小泉店主がツイートするまで分かりません。
そんなわけで、毎週土曜の午前は、「はなみち」の週末限定麺にやきもきさせられます(笑)
限定麺がジャンクなラーメンだと見送り。
「鶏そば」や「純煮干しそば」だと、タクシーで店に急ぐことに。
今週は、事前に小泉店主が週末は煮干しをやることを明言していましたので、ツイートが出る前からスタンバイ。
ツイートが出るのを待ちます。
そして、開店(午前11時)後約25分、ようやく「ざ・はなみち」が「背脂肉煮干麺」とツイート。
そこで、タクシーを呼んで「はなみち」に向かいます。
○週末限定麺「背脂煮干肉そば」(800円)
「はなみち」到着は11時50分。
さすがに昼時とあって、店内は満席に近い混雑。
さっそく「ざ・はなみち」の食券を購入。
券売機上のPOPでは、名称が「背脂肉煮干麺」から「背脂煮干肉そば」に変わっています。
でも、これは良くあること。
食券を助手さんに渡し、カウンター席に着席。
お冷やを飲みながら待っていると、まもなく小泉店主が「ざ・はなみち」を提供してくれます。
茶濁したスープには背脂が混じり、ビジュアルはかなりオイリー。
煮干しを粉砕した粉末がスープにびっしり。
スープ自体はさらっとしていますが、いかにも濃厚そうな見た目。
具は、「肉煮干し」をうたうだけあって、薄めにスライスした真空低温調理豚肩ロース肉のピンク色のローストポーク。
それが丼いっばいに積み上げられています。
それ以外に極太メンマ2本と小口切りのネギ。
スープは、水と煮干しのみでとった無化調の「純煮干し」。
動物系は不使用。
使用している煮干しは、平子、背黒大、背黒小、銀いりこ。
純煮干しスープに濃いめの醤油ダレを合わせ、仕上油に背脂を大量に投入。
スープを飲むと、「イチカワ」や「中華そば 児ノ木」(新宿区上落合)などと共通する煮干しの旨味をぐっと凝縮させた「純煮干し」ならではの味。
煮干しのはらわたを下処理せずに一緒に粉砕して使っています。
その割にエグミや苦味はほどよいレベルに抑えられ、純粋に旨味を強烈なレベルで押し出しています。
これこそ「淡麗」でも「セメント」でもないさらっとしていながら濃厚な「純煮干し」の味。
「イチカワ」や「児ノ木」と共通するこの味を出せる店は、東北では「はなみち」だけ。
スープに大量の煮干し粉末が混ざっていながら、粉っぽさを全く感じさせないのも素晴らしい。
ただし、今回は「背脂」を大量に加えているので、純煮干しスープに背脂の甘味やコクが混じり、プレーンな「純煮干し」よりもオイリーな仕上がり。
もちろん、仕上油に「鶏油」メインのオイルではなく「背脂」を使うのは同店の「個性」。
しかし、今回は「背脂煮干し」をうたっているだけに、「背脂」が過剰気味。
オイリーな反面、プレーンな「純煮干し」よりも煮干し感が若干おとなしく感じられます。
醤油ダレは強めで、時に煮干しスープよりもタレが目立ってしまうときも。
塩分濃度もかなり高め。
麺はいつもの自家製麺ではなく、カネジン食品製の切り刃14番の多加水中太縮れ麺。
系列店の「HINOTORI~火ノ鷺~」(盛岡市北山)が限定の「ローストビーフ油そば」に使っている麺。
「ローストビーフ油そば」の提供が本日(3日)で終了するため、麺があまったので、それをもらってきたと小泉店主。
プリプリして弾力があり、噛むとコシを感じる良く出来た麺ですが、やはり個人的には、「はなみち」の自家製麺で提供して欲しかった。
麺量は200g。
たっぷりトッピングされた柔らかいローストポークは、調理に一手間を加えたというだけあって、香ばしい肉の旨味にブラックペッパーの風味が重なる絶品ともいえる出来。
それが「肉煮干し」だけに、大量にのっているので、満足度は非常に高いといえます。
極太メンマはら今回はかなり歯応えのある出来。
味付けは薄めです。
久々に「はなみち」の無化調「純煮干し」を食べ、同店の実力を改めて感じました。
強いて言うと、「背脂肉煮干し」にせずに、プレーンな「純煮干し」で食べたかった。
それに、「煮干しと水」のみのスープに対し、醤油ダレが強くて、スープとの融合感がもう一つ。
最後に、自家製麺でなかったのも少し減点。
ということで、評価を「4.2」から「4.1」に0.1下げました。
次回こそプレーンな「純煮干し」スープとそれにぴったり噛み合った醤油ダレ、そして自家製麺のコラボを期待したいものです。
フワッとしてモチモチの中太麺と熟成させた醤油ダレの組み合わせが絶品の「鶏そば」
10月20日(土)
ここ3週ジャンクなメニューが続いた「麺極 はなみち」(盛岡市前九年)の週末限定麺「ざ・はなみち」。
今週末は「鶏そば」を提供する予定と比較的早めに小泉店主が発言していましたので、期待が高まります。
それでも、具体的な中身が分かるのは、開店(午前11時)後30分近く経ってから小泉店主が発するツイート。
開店直前まで微調整をしているのでやむを得ませんが、結構やきもきさせられます。
今日もツイートをフォローしていましたが、「鶏そば」の提供がアナウンスされたのは11時30分少し前。
それから慌ててタクシーで駆けつけるのもいつものとおり。
店到着は11時50分。
大丈夫だとは思いつつも、週末限定麺が売り切れていないかどうかヤキモキさせられます。
店に入って券売機をみると、幸い「ざ・はなみち」は残っていました。
今日はアナウンスどおり「鶏そば」(大盛不可)。
座ろうとすると、小泉店主の姿が見えない。
一瞬助手さんだけかと焦りましたが、しばらくたってから小泉店主が現れてホッとしました。
なにせ、レシピを知っているのは店主だけですから!
食券を助手さんに渡してから、「鶏そば」の到着を待ちます。
○週末限定麺「鶏そば」(800円)
それほど待たずに「鶏そば」着丼。
白磁の丼に濃いめ琥珀色の醤油スープが映えます。
鶏油が垂らされオイリーな醤油スープにザク切りのネギが浮かび、真ん中にはロゼピンクの薄くスライスした豚肩ロース肉のローストポークが積み上げられています。
ローストポークの下には極太メンマが2本隠れていますが、本当にシンプルなビジュアル。
麺は、見た目は平打ち麺。
まずスープから飲もうとレンゲを手に取ると、新しいレンゲは大きくて重い。
こんなに大きなレンゲは初めて(笑)
これは、小泉店主の遊び心かな?
「普通の鶏」の丸鶏とガラを従来より増量してとった鶏と水のみのスープ。
生醤油やたまりなど6種類の醤油をブレンドして十分寝かせた醤油ダレ。
それに鶏油を加えるのみの無化調スープ。
スープを飲むと、鶏油が効いて鶏の香りとわずかな甘味が到来。
それに熟成させた醤油ダレの深みのある旨味と香りが重なります。
鶏ダシ自体の旨味は、鶏油や醤油ダレのインパクトに比して控えめ。
要するに、鶏ダシをあえて下支えに使い、鶏油で鶏感を増幅し、醤油の旨味と香りが全面展開するという味の構成。
地鶏を使わないのはコスト面もあるでしょうが、地鶏だと鶏の旨味が強すぎバランスを崩すというのもあるでしょう。
鶏油は、以前かなり甘味の強いブレンドでしたが、最近は甘味を抑え、鶏の香りが出るように調整。
最初は鶏油で鶏感を出し、それ以降は適度の鶏感に熟成醤油ダレを重ね、むしろ醤油ダレをメインに押し出した味付け。
キレと深み、香りを備えた醤油ダレの旨味を堪能できる比較的さっぱりした味の「鶏そば」。
鶏ダシをベースにしながら、むしろ醤油の旨味を味わうという点は、小泉店主がリスペクトする「ラーメン屋 トイ・ボックス」(三ノ輪)の「醤油ラーメン」を踏襲(「トイ・ボックス」は銘柄地鶏を使っていますが)。
今回の主役は麺。
「はなみち」の製麺機にセットされている切り刃は、いまのところ12番のみ。
そのため、麺の形状や厚みなどを調整しながら、太麺や中太麺と鶏スープとの整合性を探っています。
今日は新しい小麦粉を導入。
「キタホナミ」「チクゴイズミ」という国産の粘りの強い小麦と、硬質感のある「春よ恋」の3種の小麦をブレンド。
小泉店主自ら「今までで一番の出来」と語る切り刃12番、加水率40%の多加水麺。
最初は平打ちを目指したようで、実際スープに綺麗に盛り付けられた麺を上から見ると、平打ちのように見えます。
しかし、実際には麺幅2ミリ、麺の厚さ3ミリの厚みのある中太の角ストレート麺。
これはモチモチ感を強調した麺かな?と思って麺を啜ると、最初はふわっとした食感。
それに続くモチモチ感。
まさしく「フワフワモチモチ」の麺。
思わず、小泉店主に「もち姫」を使ってるんですかと尋ねたほど。
もちろん、使用小麦は前記3種のみ。
コシはそれほど感じませんが、それを上回るフワフワ感とモチモチ感の融合。
あの「もち姫」100%使用の「純手打ち 麺と未来」(下北沢)の「フワモチ」の太麺を思わせる麺。
これが醤油の旨味の強いスープと良く合います。
鶏そば=中細麺という常識に挑戦した小泉店主の「実験」が、見事に結果を出しています。
麺量は170g。
しっとりとした薄スライスのローストポーク。
肉の旨味はもちろんですが、コショウで味付けしたスパイシーな風味が絶妙。
スープに浸かった下の部分は変色していますが、変色しても食感や味が落ちないのはさすがです。
シャキシャキ感の強い極太メンマは、比較的薄めの味付け。
ザク切りネギの独特の食感も、シンプルな醤油スープにアクセントを加えています。
小泉店主は今後再度地鶏にチャレンジしたいと語りますが、「トイ・ボックス」リスペクトの醤油ダレが強く出た味は変わらないともいいます。
「鶏と水と醤油」のみの無化調のシンプルな醤油スープに太麺(中太麺)を合わせる「はなみち」の「鶏そば」。
今回は、「フワモチ麺」と醤油スープとのマッチングが新鮮。
明日(21日)も40食ほど提供する予定です。
牛白湯ベースの濃厚セメント煮干し
9月24日(月)
3連休最終日。
今日はマイレビュアー様絶賛の「南部屋路ばた」(盛岡市上太田)の「煮干しそば(醤油)」を塩ダレで食べることに九分どおり決まっていました。
しかーし、午前11時過ぎに、念のために「麺極 はなみち」(盛岡市前九年)のツイートを確認。
すると、今日も「ざ・はなみち」を提供するという。
しかも、何と「牛骨セメント煮干ラーメン」!
これで「はなみち」は3連休すべて牛骨ラーメンを「ざ・はなみち」として提供。
しかも、毎日違ったメニュー。
22日(土)は「牛清湯スープ」
23日(日)は「牛白湯スープ」
そして、本日(24日)は前日出した牛白湯スープに大量の煮干しを炊き込んだ無化調の「牛骨セメント煮干」。
23日こそ逃しましたが、22日に牛清湯醤油を食べているだけに、牛白湯と煮干しの組み合わせは魅力的。
しかも、小泉店主自身「無化調セメントとしては、今までで一番の出来です」とツイート。
ここまで言われると、食べないわけには行かないでしょう。
そこで、「南部屋路ばた」の「塩煮干し」は木曜に回し、本日限りの「ざ・はなみち」を選択。
12時ジャストに自宅を出て、タクシーで「はなみち」へ。
「はなみち」に入ったのが12時25分。
まずは「ざ・はなみち」がまだ残っているか?
開店(午前11時)から1時間20分経過。
普通なら残っているはずだが、「セメント煮干」は人気があるので、油断できない。
券売機の「ざ・はなみち」のボタンには幸い、売り切れの赤ランプは点灯せず。
食券を買って、券売機上の説明書きを見たら、残り3杯の表記。
私が購入したから、残り2杯。
危ないところでした。
もし、10~15分出遅れたら、売り切れを前に茫然自失していたところてした。
実際、座って横の券売機をみていると、入店10分で「ざ・はなみち」は完売。
時刻は12時35分。
券売機に売り切れの赤ランプが点灯。
説明書きが撤去されるのを、複雑な心境でみていました。
そんなところで、「牛骨セメント煮干ラーメン」を小泉店主が渡してくれます。
○限定麺「牛骨セメント煮干ラーメン」(800円)
提供されたラーメンは、かなりインパクトのあるビジュアル。
灰濁したドロドロのスープ。
まさしく「セメント煮干し」。
牛骨という説明がなければ、鶏白湯か豚骨と誰もが思ってしまうでしょう。
大判の肉々しいローストビーフ2枚が、丼からはみ出しています。
枕木メンマが2本。
玉ネギのみじん切りがたっぷりトッピング。
まずはドロドロのセメントスープから。
苦味がちょうど良いスパイスの強烈な煮干し感。
もう鼻腔から口の中すべて、煮干しの苦味でいっぱい。
これぞ、セメント煮干しという出来。
さすがに、小泉店主が豪語するだけあります。
これだけの煮干しの旨味・苦味を無化調で抽出してしまうのですから、大したもの。
でも、煮干し味が強すぎ、牛骨スープのコクや甘味ほとんど感じません。
それは小泉店主も覚悟済み。
あくまでも、牛白湯スープが鶏白湯の代わりとなるかの実験。
小泉店主にいわせると、表には出ないが、牛骨スープの甘みやコクが煮干しの苦味をマスキングしているという。
でも、かなりの煮干しの苦味ですので、もし牛骨を使わなければ、どれだけの苦味なのかと想像するだけで怖くなる(笑)
それだけ大量の煮干しを投入しているということか!
小泉店主に確認すると、牛白湯スープに炊き込んだ煮干しは、背黒の大・小2種、白口、平子、銀いりこ。
醤油ダレはここ2日と同じブレンド(6種の醤油)だろうか?
そうだとすると、醤油ダレが効きすぎた感のあった一昨日の牛清湯と違い、醤油感を吹き飛ばすような強力な煮干し感。
ドロドロのセメントスープに入っている麺は、切り刃12番の中太平打ち麺。
自家製麺です。
麺幅は約3ミリ弱。
ツルツルとした食感ですが、噛むと独特なサクサク感。
これは、一昨日小泉店主不在のとき食べた「牛骨醤油ラーメン」の麺と同じ。
そこで、小泉店主に「低加水麺てすか?」ともちかけると、「そうです。加水率は30%です」のお答え。
やった!一昨日の推測は正解でしたね。
平打ち麺がドロドロスープを良く拾ってどんどんスープが減って行きます。
2枚の巨大なロースビーフ。
今日は味が表に出ない牛骨に代わって、牛の存在感をローストビーフが示しています。
少しパサついていますが、牛の旨味がギュッと詰まった食べ応えのあるローストビーフ。
セメントスープまみれになっていますが、ローストビーフがセメント煮干しに意外に良く合うとは、面白い発見。
枕木メンマは、いつものように薄味でシャキシャキ感のあるもの。
地味な存在ですが、これだけスープやローストビーフのインパクトがあるのですから、メンマはこれで良いのかも。
セメント系定番の玉ネギのみじん切りは、やはりシャキシャキ感と苦味が、濃厚なスープの中で一服の清涼剤。
麺量160gを一気に食べ、ドロドロスープも飲み干し、満足。
牛骨感はあまり感じられませんが、牛白湯を使っても、鶏白湯に劣らないセメント煮干しができることを証明。
今後も無化調牛骨スープの可能性を追求していきたいと語る小泉店主の次なる挑戦から目が離せません。
「はなみち」が「牛骨醤油ラーメン」にチャレンジ
9月22日(土)
昨日(21日)から始まった「いわてラーメン博2018」(イオンモール盛岡)。
そこに出店している「みそ味専門 マタドール」(北千住)。
同店は「牛骨らぁ麺 マタドール」(北千住)の2号店。
牛骨ラーメンで成功した「マタドール」に刺激されたのか、22日に発表された「南部屋路ばた」(盛岡市上太田)、「麺極 はなみち」(盛岡市前九年)の限定麺は、いずれも牛骨ベースのつけそばとラーメン。
結局、欲張って両店の牛骨つけそば、ラーメンを連食。
まず「南部屋路ばた」で、限定麺「岩手和牛と香茸のつけそば」を食べたあと、タクシーで舘坂橋の「麺極 はなみち」に向かいました。
「はなみち」到着は13時50分。
11時開店から既に約3時間。
「ざ・はなみち」(期間限定麺)の「牛骨醤油ラーメン」は売り切れかも知れないという危惧が。
店に入り、券売機を見ると、「ざ・はなみち」は残っていました。
ホッとして、券売機を提出して重大な事実に気付きました。
「小泉店主がいない!」
店は2人のスタッフで回していますが、麺は小泉店主が打ち、スープも店主が調合。
スタッフに麺のスペックやスープの中身を聞いても分からないので、実に残念。
麺量だけ聞くことにして、あとは店主がツイートで食材を公表しているので、それに加える細かい部分は食べた上での私の推測です(主に麺)。
○限定麺「牛骨醤油ラーメン」(800円)
提供された「牛骨醤油ラーメン」。
濃い琥珀色のスープに大判のローストビーフがのっています。
ローストビーフといっても、しっとりとした仕上がりではなく、「マタドール」に似た肉厚で見た目も肉々しいチャーシュー風のローストビーフ。
ローストビーフの下に、枕木メンマが隠れています。
ネギは3種。
小口切りの青ネギ、輪切りの白ネギ、そして玉ネギのみじん切り。
面白いのはコンビーフがトッピングされていること。
おそらく、「マタドール」の「牛骨らぁ麺」の定番トッピング「牛肉のしぐれ煮」の代わりでしょう(あくまでも推測)。
小泉店主のツイートによると、牛骨と牛スジと水だけのスープ。
「マタドール」が牛骨、牛スジ以外に牛アキレス腱、香味野菜、魚介や乾物など30種類もの食材を使っているのとは対照的。
素材面から見ると、香味野菜や果物、昆布、鰹節などを牛骨や牛スジに加える「南部屋路ばた」の方が、「マタドール」に近いスープの作り方をしていると言えるでしょう。
「はなみち」の「牛骨醤油ラーメン」のスープは、先にみたように、牛骨、牛スジと水だけのスープに、先週の「ざ・はなみち」である「朝炊きスープの鶏そば」で使った生醤油6種をブレンドしています。
スープを飲むと、濃いめの醤油味の中から、確実に牛特有の旨味が感じられます。
タレに甘味はなく、むしろ、ややしょっぱめですが、牛の旨味や甘味とうまく融合しているので、あまり気になりません。
「はなみち」初の牛骨ラーメンですが、あのシンプルな素材からこれだけの芳醇な牛の旨味と醤油の香りのブレンドが生まれるとは驚き。
強いていえば、6種の生醤油は鶏そばにはぴったりてすが、牛骨にはやや強めな感じ。
今のままでも、十分牛の風味が味わえますが、醤油ダレを牛骨スープ専用にもう少し薄めに調整れば、さらに牛の旨みが引き立つでしょう。
しかし、「はなみち」にとって「牛骨醤油ラーメン」は、あくまでも「試作」してみたということ。
それだけに、指摘したようなタレの細部にいたるまでのこだわりは不要かも知れません。
むしろ、短時間でここまでの完成度の牛骨ラーメンをつくった小泉店主の力量を評価すべきでしょう。
麺は切り刃12番の平打ち気味の自家製麺。
麺幅は約3ミリ弱。
ツルツルとして、噛むとさくっとしたやや硬質な食感。
以前「ざ・はなみち」の「純煮干そば」で使った麺に似ています。
となると、加水率30%程度の低加水麺ということになりますが、これもあくまでも推察。
チャーシューライクなローストビーフは肉厚ですが食べやすく、牛肉の旨みを十分感じとることができます。
ただし、肉が少々パサつき気味なのが惜しい。
コンビーフはトッピングとしてそのまま食べてもよし。
またはスープに溶かしてもよしと、「マタドール」の牛肉しぐれ煮の簡易バージョンとして機能。
3種のネギは、それぞれの味と食感の違いを楽しむことができます。
メンマは、シャキシャキ感と薄めのさっぱりとした味付けが特徴。
醤油ダレが鶏そばそのままであることなど、もっと詰めて欲しい点があることもたしか。
それでも、ローストビーフを含め、本格的な牛骨醤油ラーメンを堪能させていただきました。
「南部屋路ばた」の懲りに凝った洗練された牛骨つけそば。
「はなみち」のシンプルだが、「マタドール」を随所に意識した骨太(?)な牛骨ラーメン。
盛岡のラーメンのつくり手の実力を実感した一日でした。
醤油の香りが出色の朝炊きスープの鶏そば!
9月16日(日)
いま盛岡市やその周辺で一番勢いのある「はなみちグループ」。
「麺極 はなみち」(盛岡市前九年)をはじめ、「煮干らー麺 シロクロ」(矢巾町)、「HINOTORI~火ノ鷺~」(盛岡市北山)の3店が連携・協力、そして競い合い、若者向けの化調のジャンクなラーメンから通向けの無化調鶏そば、純煮干しそばまでバラエティーのあるメニューを提供。
盛岡のラーメンレベルの向上に、多大な貢献をしています。
なかでも、グループの総本山である「麺極 はなみち」が週末の土・日(ときには平日にも)に提供する限定麺「ざ・はなみち」は、何が出てくるのか分からないビックリ箱的な面白さがあり、目が離せません。
9月15日(土)の「ざ・はなみち」は「角煮つけ麺」。
小泉店主や自ら「ただただボリューミーでジャンクな一杯」とコメント。
15日は仕事で行けないし、16日も同じメニューなら、ジャンクなラーメン、つけ麺は私の好みから外れるので、今週の「ざ・はなみち」はパスと決めていました。
しかし、15日で「角煮つけ麺」は売り切れ。
すると、小泉店主が15日夜、「新しい鶏そばのスープの作り方を試してみたかったのと、いい麺が出来たので、明日(16日)は朝炊き鶏そばにチャレンジしたいと思います」とツイート。
そして16日(日)の開店時間(11時)直後に「朝炊きスープの鶏そば」が正式に16日の「ざ・はなみち」として発表されました。
前夜、「今日から」で遅くまでラーメントークに夢中になっていた私は、今朝は午前10時と遅い起床。
小泉店主のツイートを確認後、朝食抜きで出発。
店には12時少し前に到着。
○限定麺「朝炊きスープの鶏そば」(角煮のまぜごはん付)(800円)
いつもなら、日曜の12時といえば、店内は満員。
店内待ちの客が出るのも当たり前。
ところが、今日は先客3人のみ。
後客も4人だけで、普段とのあまりの違いに驚き。
どうやら、盛岡秋祭り(盛岡八幡宮例大祭)の最終日が日曜と重なったため、八幡宮や参道に人が集中。
逆に郊外店はガラガラ状態の模様。
純粋にラーメンのみ食べたかったので、付属の「角煮のまぜごはん」は遠慮しました。
まもなく到着した「朝炊きスープの鶏そば」。
濃い琥珀色の醤油スープの表面には鶏油とザク切りネギがたっぷり。
それ以上にインパクトがあるのが、表面の大部分を占める大判の豚肩ロース肉の低温調理チャーシュー。
チャーシューの下には、枕木メンマが4本隠れています。
スープからいただくと、最初こそ「はなみち」らしく鶏油の甘さと鶏の旨味が到来。
ここまでは想定内ですが、次に来たのが、これまで「はなみち」の「鶏そば」では経験したことがなかった強い醤油の香り。
いつしか鶏油の甘味は消え、鶏の旨味がベースとなり、その上にキレとコク、そして深みのある醤油の香りが重なる味の構成に。
鶏を支えにして、むしろ醤油が主張する鶏そばは、まさに「ラーメン屋 トイ・ボックス」(三ノ輪)の「醤油ラーメン」タイプ。
丸鶏とガラに水を足して炊いた「水と鶏」だけのスープ。
ここで、小泉店主の新しいスープの作り方が炸裂。
通常前日に炊くスープを朝一で当日炊きながら使用するスープに変更。
これにより、雑味は出るものの、いつもより鶏感が強くなるという。
これが「朝炊きスープ」。
もうひとつタレにも工夫が加えられています。
2週間前の「ざ・はなみち」である「金の鶏そば」で使った醤油ダレを寝かせ、これに新しい醤油ダレをブレンド。
熟成した醤油ダレを半分使う結果、今までにない醤油感が出るという。
醤油ダレは、生醤油やたまり醤油など6.種類の醤油をブレンド。
朝炊きの鶏スープと熟成させた醤油ダレを加えたタレを合わせた結果が、鶏の旨味をしっかり感じさせながらも、それを上回る醤油の旨味や香りが感じられる醤油スープ。
醤油の分厚い旨味が、朝炊き鶏スープの雑味をうまくカバーして、旨味のみを出しています。
麺は切り刃12番、加水率36%。
麺幅2.5ミリの中太縮れ麺。
麺の厚みは十分あって、固めの茹で上がり。
プリっとした弾力のある食感と縮れ麺らしいライトな食感のミックスが絶妙。
麺量は160g。
鶏そばに固めの中太縮れ麺という常識外の組み合わせを、いとも簡単にこなしてしまうところが同店の凄いところ。
ランチタイムでは、上記のように麺を固めで出しましたが、夜の部では柔らかめで出したという。
後者も食べてみたかった!
肉々しい様相の大判で厚みのある豚肩ロース肉の低温調理チャーシュー。
歯応えがありそうですが、実際には柔らかくて食べやすく、肉の旨味がぎゅっと詰まった美味しいチャーシュ。
枕木メンマはシャキシャキ食感で、味付けは薄め。
しかし、ちゃんとメンマ本来の風味を感じとることができます。
独自の工夫を凝らしながら、スープ、タレ、麺とも確実に進化。
鶏そばでは、「トイ・ボックス」、純煮干しそばては「イチカワ」(つくば市)をリスペクトしながら、無化調の「水と鶏のみ」「水と煮干しのみ」のスープをブラッシュアップし続けている姿勢を高く評価。
「はなみち」の「純煮干し」は抜群の旨さ!
9月8日(土)
ジャンクなラーメン、つけ麺、油そばで若者の圧倒的な支持を誇る「麺極 はなみち」(盛岡市前九年)。
その一方で、土・日の週末限定で、頻繁に無化調の鶏清湯醤油ラーメンや鶏油そば、そして純煮干しラーメンを「ざ・はなみち」として提供。
私は「ざ・はなみち」の大ファン。
先週の「ざ・はなみち」は鶏清湯の「金の鶏そば」。
その後、月曜にゲリラ的に「ざ・はなみち」として、「ローストポーク鶏油そば」を10食限定で提供。
あっという間に売り切れたという。
私は食べ損ねましたが、ちょうどその頃、小泉店主がTwitterで、今週の「ざ・はなみち」を「純煮干にしようかと」と発言。
そして、本日(8日)の開店時(午前11時)」に、「今週末の限定麺は純煮干そばです」とアナウンス。
実は昨夜は遅くまで仕事に追われ、起きたのは朝10時。
これから朝食にしようかと考えていたところで、このツイート。
予想はしていましたが、急遽、朝食はとりやめて、タクシーで「はなみち」に急行。
「はなみち」到着は12時少し前。
混雑を予想していましたが、雨模様の天気のせいか、空いていたのは意外。
入店するなり、早速券売機に突入。
「ざ・はなみち」(800円)の食券を購入。
もちろん、「本日のざ・はなみちは純煮干そばです」の説明書きを、しっかりと確認。
○限定麺「純煮干そば」(800円)
提供された「純煮干そば」は、茶濁したスープ。
さらっとしたスープに、粉砕した煮干し粉末がたっぷりという純煮干し特有の様相。
まず目につくのは、丼の大半を占める大判の豚肩ロース肉低温調理チャーシュー。
短い枕木メンマが今回は2本。
白ネギの輪切りが、丼の端に積み上げられています。
スープは、平子を中心に、背黒大、背黒小、鰺の4種類の煮干しに水だけというまさに「純煮干し」。
昆布すら使わないという潔さ。
一杯に120gもの煮干しを使っています。
煮干しと水だけでつくった「純煮干し」スープに醤油ダレと豚の背脂を加えています。
スープを飲むと、煮干しの雑味は排除され、旨味のみを抽出し濃縮させた「ザ・煮干し」ともいえる濃厚な煮干し味。
煮干しの下処理を丁寧に行っているため、エグミや苦味はなく、純粋に煮干しの旨味のみ。
しかも、その濃度は群を抜いています。
煮干し粉末の粉っぽさは全く感じず、適度の背脂がスープにコクと奥行きを与えています。
醤油も味を整えるという程度で、純粋に煮干しの濃厚な旨味に浸ることができます。
もちろん、スープは無化調。
麺は、自家製の専用麺。
切り刃は12番。
硬質の小麦を30%の加水率で打っているという。
麺は平打ち気味で、麺の厚みは薄めなので、12番手というほどの太め感はありません。
ツルッとした滑らかな食感と硬質の小麦粉らしいさくっとした独特の食感。
濃厚な煮干しラーメンには、低加水の中細パツパツストレート麺か、中加水の中細パツモチストレート麺が定番。
その常識を打ち破り、太め12番手の麺の可能性を試し続ける小泉店主の研究熱心さには、感心させられます。
麺量は160g。
大判の豚肩ロース肉の低温調理チャーシューは、柔らかく食べやすくてジューシー。
肉の旨味を堪能できます。
シャキシャキ感のある枕木メンマは、薄い味付け。
薬味は白ネギですが、やはり玉ネギのみじん切りの方が、濃厚な煮干しスープには合っています。
スープは塩分濃度も適度で、すべて飲み干します。
私は満足しましたが、小泉店主は不満そう。
聞いてみると、煮干しのコンディションがあまり良くないため、煮干しの旨味がやや弱いという。
そういえば、同じことを昨日「サンド」の阿部店主からも聞きました。
天候の異変や海水温度の変化は、煮干しの質にも影響を与えているのですね。
しかし、「煮干中華 イチカワ」(つくば市)の「中華ソバ」の味を継承。
同じく「イチカワインスパイア」である「中華そば 児ノ木」(新宿区落合)の「純煮干しそば」に匹敵する完成度の煮干しと水のみのピュアで濃厚な「純ニボ系」のラーメンを盛岡で食べることができるのに感謝。
小泉店主は「たまに作りたくなる」と言っていますが、「たまに」じゃなく、「児ノ木」のようにレギュラーで提供して欲しいものです。
今週の限定麺「金の鶏そば」
9月1日(土)
ちょうど「麺極 はなみち」(盛岡市前九年)オープンの午前11時とほぼ同時刻にツイートされた今週の限定麺「ざ・はなみち」。
先週はジャンクなメニューでしたので、今週もそうかなと思って、遅い朝食の最中。
なにげなく習慣的に「はなみち」のツイートを見ると、ちょうどいまスタートした「ざ・はなみち」は「金の鶏そば」。
説明を読むと、名古屋コーチンと比内地鶏でつくった黄金色のスープ。
これに粘りのある柔らかい自家製麺の平打ち麺を合わせているという。
おおむね次の趣旨の文面がとくに心を引きました。
今までつくってきた鶏そばとは全く違い、醤油は下支え程度で、あくまでも鶏ダシを喰う一杯。
今回はダシが主役の一杯。
これを見たら、食べないわけには行かないでしょう。
そこで朝食もそこそこに、北上川に架かる舘坂橋近くの「はなみち」に急ぎました。
店到着は12時。
厨房を囲む11席のカウンター席は満席。
既に店内待ちが手来ています。
「ざ・はなみち」の食券を購入。
助手さんに食券を渡したあと、店内待ち3人目に接続。
それほど待たずに、一番右奥の席に案内されます。
ただ、この席は暗いんで、光線不足でラーメンがクリアに撮れないのが難点。
そんなことを心配していると、今週の限定麺「金の鶏そば」が着丼。
○今週の限定麺「金の鶏そば」(800円)
やや小さめの丼に黄金色のスープがといいたいところですが、一番暗い席なので、あまり陽が当たらず、少しぼやっとした色になっているのが残念。
でも良く見ると、鶏清湯に生醤油を合わせた鶏そばにくらべると、スープの色が薄く、塩ラーメンの澄んだスープよりも少し濁った感じ。
鶏ダシの塩ラーメンほどクリアなスープではありませんが、それでも若干濁った黄金色のスープが、少しくすんだ感じで写真に映っているのが残念。
小泉店主がTwitterであげている写真では、本当にきれいなきらきらとした黄金色に撮れているんですが。
一応「黄金色」のスープに平打ち麺が綺麗に盛り付けられ、薄くスライスされ、小さくカットされたワインレッドの豚肩ロース肉のレアチャーシューが真ん中にこんもりと積み上げられています。
もちろん、スープの表面には鶏油が注がれ、メンマが2本添えられています。
あれっ!ネギが見当たらない!
実は、ネギはレアチャーシューの下に隠れていたのですが、ちょっと驚いたのもたしか。
もちろん、鶏そばにはネギをトッピングしないことも多いので、この時点では「ネギ抜きかな」などと考えていました。
スープを飲むと、まず「はなみちグループ」の鶏そばらしく鶏油の甘味を強く感じます。
タレの醤油は白醤油かな?
生醤油や塩とも違ったタレの風味。
小泉店主に聞いてみると、やはり白醤油ともう1つの醤油をブレンド。
醤油ダレを白醤油メインにすることで、生醤油のように醤油のコクや香りが強く出るのではなく、かといって塩ダレほどクリアなスープにはならない。
鶏油と鶏ダシ、そしてカエシの白醤油等がブレンドされ、たしかに鶏そば(生醤油味)とも鶏清湯の塩ラーメンとも違った「不思議な味」。
あえて言うと、「鶏油そば」のタレをそのままスープにしたというのが、このユニークな鶏そばの味を一番良く表現しているかも?
個人的な感想として、鶏油+白醤油の甘さが前面に出る一方で、鶏ダシは思ったよりもおとなしい感じ。
「出汁で喰う一杯」というほど鶏ダシ感が強くないので、もうちょっと鶏の旨味を出して、甘味とのバランスをとった方が良いと思います。
麺は、切り刃12番、加水率34%の平打ち麺。
もちろん自家製麺。
麺幅は約3~4ミリ。
麺量は150g。
ツルツルとして粘り気があるのが特徴ですが、滑らかな食感の反面、ちゃんとコシも感じられる実に美味しい麺。
しっとりとして軟らかい豚肩ロース肉のレアチャーシューがたっぷり入っていて、シンプルなラーメンの中で、存在感を発揮しています。
メンマは薄味で、シャキシャキした食感。
現時点では、名古屋コーチンと比内地鶏のガラと肉を使うという贅沢さの割には鶏の旨味が出切っていない感。
そのため、相対的に鶏油や白醤油の甘味が目立ち、「鶏油そばのラーメンバージョン」という印象が濃厚。
その意味で、完成度はまだまだですが、「いろいろ試してみたい」という小泉店主のチャレンジ精神を高く評価したいと思います。
ジャンクなラーメンで若者の人気を集める一方、無化調の鶏清湯ラーメンや純ニボ系ラーメンに挑戦し続ける小泉店主。
次にどのようなラーメンを提供してくれるのか、今から楽しみです。
煮干しと水のみの「純ニボ系」の限定麺
8月5日(日)
本日の盛岡は、朝から雷混じりの激しい雨。
昼過ぎには小降りになったものの、最高気温は23.4℃どまり。
猛暑も小康状態。
さて、ジャンクラーメンと無化調鶏清湯系・純ニボ系という2つの顔をもつ「麺極 はなみち」(盛岡市前九年)。
いま凄い勢いの「はなみち」グループの総本山でもあります。
「はなみち」今週土日の限定麺「ざ・はなみち」は「煮干らー麺」。
「ジャンクでオイリーな一杯」という説明が気になりましたが、おそらく煮干しと水からとった煮干しスープに鶏油を多目に入れたのかなと想像。
本日の昼前、雨のなか舘坂橋近くの店にタクシーで急ぎました。
○限定麺「煮干らー麺」(800円)
11時30分ちょうどに店に入ると、客の入り具合は半分程度。
これなら食べたあと、小泉店主に少し話を聞けるかなと喜んだのもつかの間。
すぐに若い客がどっと入店。
店は満席に。
「ざ・はなみち」の食券を小泉店主に渡したあと、水を飲みながら到着を待ちます。
助手さんが運んでくれた「ざ・はなみち」の「煮干らー麺」。
茶色のさらっとしたスープですが、煮干しを粉砕した煮干し粉末がスープにたっぷり入る同店特有のビジュアル。
表面のほとんどを、豚肩ロース肉の低温調理大判チャーシューが覆っています。
残ったスペースにメンマ3本とザク切りのネギ。
それから大きな海苔が添えられています。
チャーシューを押しのけ、レンゲで煮干しスープを飲みます。
煮干し粉末が混ざっていますが、粉っぽさは全く感じません。
まず甘めが来るので、これは鶏油かなと推測。
次に煮干しの旨味がどっとやってきます。
動物系不使用の煮干しと水のみのスープ。
これに醤油のカエシと香味油を加えています。
苦味やエグミはなく、純粋に煮干しの旨味が凝縮。
とにかくスープの見た目よりもはるかに強い煮干し感。
見た目は淡麗寄りで、さらっとしたスープですが、雑味を抑えたストロングな煮干し味。
これこそ、名店「煮干中華ソバ イチカワ」(つくば市)、「児ノ木」(新宿区落合)などとも共通する「純ニボ系」の煮干しラーメン。
もちろん無化調。
麺は、最近馴染みになった切り刃12番の自家製麺平打ち麺とは明らかに違います。
中太の手揉み麺で、加水率は高め。
プリプリとした食感の噛み応えのある麺。
なかなかの麺ですが、「はなみち」でこういったタイプの麺は食べたことがないので、ちょっと意外感。
これは自家製麺なのだろうか。
あるいはカネジン食品製なのだろうか?
大判の豚肩ロース肉低温調理チャーシューは、厚めの肉々しいものではなく、赤身と脂身のバランスがとれた薄めスライスの柔らかいもの。
メンマは、やや甘めの味付け。
ザク切りのネギのシャキシャキ感と苦味が、少々甘めに傾きがちなスープにいい意味でのアクセント。
食べ終えたあと、後続のお客の調理のために忙しく麺を茹でる小泉店主。
麺がすべて茹で上がるまで、水を飲みながら声をかけるタイミングを伺っていると、先に小泉店主が声をかけてくれました。
感謝。
もともと、先週の名古屋コーチンと水のみでスープをとった冷やし鶏そばに続き、今週は「冷やし煮干しそば」を予定。
ところが天気予報が週末の天気の崩れと気温低下をアナウンス。
そこで急遽、冷やしをやめて「煮干ラーメン」に変更。
麺は自家製麺ではなく、「煮干らー麺シロクロ」(矢巾町)から、同店の「煮干醤油」「塩煮干」用の太麺(カネジン食品製)を取り寄せたという。
切り刃14番、加水率38%の多加水寄りの中加水麺(手揉み麺)。
麺量は200g。
Twitterで告知した「煮干ラーメン」から「煮干らー麺」に名前を変えたのは、麺を提供してくれた「煮干らー麺シロクロ」へのリスペクトかな?(考えすぎかも)
煮干しは、背黒、白口、平子、銀いりこを使用。
鶏油を使って甘味を出しているのではなく、背脂に手を加えコクを出しているという。
すると、甘味は背脂とカエシの組み合わせに由来しているのかな?
急遽「冷やし」から変更しただけに、完成度は7月第一週の「煮干王」に及びませんが、「純ニボ系」の味がすっかり定着。
動物系ベースの濃厚セメント系でもなく、かといってニボ度軽めの淡麗煮干しでもない。
煮干しと水だけで、強い煮干し感を出す無化調「純ニボ系」を、限定ながら食べることができる本当に貴重な店です。
このあと、来週一杯雨模様の比較的涼しい日(最高気温22℃前後)の続く盛岡。
暑さの苦手な私には好都合ですが、「はなみち」の「冷やし煮干し」は、ずっと先のお楽しみになってしまうかな。
それ以上に涼しい盛岡から、灼熱の東京へのお盆帰省が怖い!
名古屋コーチンと水だけのスープの冷やし鶏そば!
7月28日(土)
いまや岩手一の人気店にまで上りつめた「煮干らー麺シロクロ」(矢巾町)、新進気鋭の「HINOTORI」(盛岡市北山)などを輩出した「麺極 はなみち」(盛岡市前九年)。
「はなみち」「煮干らー麺シロクロ」「HINOTORI」の「はなみちグループ」(私が勝手に命名)は、岩手で今もっとも勢いのあるグループ。
その動向から目が離せません。
「はなみち」は、若者向けのジャンクなラーメンやつけ麺をメインにしつつ、週末の限定麺「ざ・はなみち」では、無化調・自家製麺の「鶏そば」「純煮干しそば」などを提供。
私は、もっぱら「ざ・はなみち」を楽しませてもらっています。
ここのところ、「ざ・はなみち」では「豚骨らーめん 無限」「肉味噌豚骨らーめん 無限」などジャンク系メニューが連続。
ところが、先週小泉店主が今週末の「ざ・はなみち」で、初めて冷やしラーメンに挑戦するとTwitterで宣言。
ただし、中身は明らかにされないまま。
土日のみ提供される「ざ・はなみち」の詳細が発表されるのは、土曜の開店(午前11時)直前。
ところが本日は11時を過ぎても発表なし。
そこで迂闊にも昼寝!
1時間半ほど寝たあと、12時30分に目を覚まし、念のために「はなみち」のTwitterをチェックしたら、今週の「ざ・はなみち」の詳細が発表されているではないか!
「名古屋コーチン」と水だけのスープに生醤油など4種の醤油を合わせ、自家製の平打ち太麺を添えた「名古屋コーチンの冷たい鶏そば」。
既に開店から1時間半。
今から店に急いでも、売り切れの可能性大。
しかし、とにかく行ってみようということで、「はなみち」に急ぎました。
○ざ・はなみち「名古屋コーチンの冷たい鶏そば」(800円)
北上川に架かる舘坂橋の近くにある国道4号線沿いの「はなみち」に着いたのが13時。
扉を開け、恐るおそる券売機を見ると、ラッキー!「ざ・はなみち」が残っているではありませんか。
早速食券を購入したあと、スタッフの指示にしたがい、カウンター席に座りました。
約5分ほどで「名古屋コーチンの冷たい鶏そば」が到着。
小ぶりの切立丼がアルミの皿にのっています。
濃い琥珀色のスープには鶏油がふりかけられ、少しとろみのある様相。
豚肩ロース肉の低温調理チャーシューが丼の表面大半を覆っています。
チャーシューの上に白髭ネギ、小口切りの青ネギ、ミョウガが綺麗に盛り付けられています。
その他、枕木メンマが2本。
まずはスープを一口。
冷たいスープは、実際にはサラッとしています。
スープを飲むと、名古屋コーチンの旨味がまずガツンと来ます。
しかし、そのあとはむしろ醤油ダレの旨味や香りの方が鶏の風味を上回り、鶏の旨味全開の冷やし鶏そばというわけには行きません。
この点を小泉店主に聞いてみると、名古屋コーチンの丸鶏を大量に使ってスープをとっていますが、冷やしを意識し、鶏の旨味を醤油の旨味が上回るような味の組み立てをしたという。
なるほど鶏の旨味をあえて抑えたのは計算済みだったのですね。
醤油ダレは生醤油やたまり醤油など4種の醤油に昆布ダシを加えています。
冷やしスープをあまりキンキンに冷やすと、鶏や醤油の旨味が出にくくなるので、ほどほどの冷たさに抑えています。
スープや醤油ダレに合わせる麺は、北海道産の小麦2種をブレンドした自家製麺。
切り刃は12番ですが、厚さ1.15ミリの薄め平打ち麺にして、冷やしスープに合う麺にしています。
麺の幅は約4ミリ。
うっかり加水率を聞くのを忘れましたが、おそらく42~43%の多加水麺ではないでしょうか(誤っていたらご指摘ください)。
麺量は170g。
ツルツルとした麺は適度のコシがあり、喉ごしも良好。
冷たいスープに良くマッチする麺です。
冷たいスープだけに、低温調理チャーシューも色変や味の劣化を心配せずにじっくり食べることができます。
大判ですが、薄めにスライスしたチャーシューは赤身中心の淡白な味付け。
この淡白さが冷やし向き。
淡白な味付けのチャーシューとは対照的に、枕木メンマは甘めの比較的濃いめの味付け。
白髪ネギやミョウガが、冷やしラーメンの清涼感を増しています。
良い食材を使っているとはいえ、初めて挑戦した冷やしラーメンを、無化調でここまで仕上げてくる力量はさすが。
しかし、小泉店主はまだまだ不満そう。
醤油ダレのキレをもっと増すとともに、カボスなどをトッピングして清涼感をさらにアップしたかったといいます。
それ以上に、鶏や醤油の旨味とスープの冷たさとのバランスをどのくらいにするのかが課題としています。
これだけの向上心や問題意識がある以上、次回の冷やし鶏そばがさらに美味しくなるのは間違いなし。
以下は個人的な要望。
鶏そばと並行して煮干しと水だけで濃厚な「純煮干しそば」をつくった小泉店主。
そこで、今度は「純煮干しそば」の冷やしバージョンを期待したいものです。
「煮干王」の名にふさわしい煮干しの旨味のみを凝縮した煮干し100%のラーメン
7月1日(日)
ついに7月に突入。
本日の盛岡は昨日以上に暑く、最高気温は何と34℃。
そんな中、午後から日曜出勤。
どうせなら職場に行く前に、昼食で「麺極(麺の極)はなみち」(盛岡市前九年)の土・日のみ提供の「ざ・はなみち」を食べようではないか。
今週末の限定麺「ざ・はなみち」は「煮干王」。
凄いネーミングですね。
小泉店主の言葉を借りると、「最近盛岡でも美味しい煮干ラーメンが食べられる店が増えてきましたが、自分の一番好きな煮干ラーメンにトライ」した意欲作。
これは食べないわけには行かないでしょう。
○ざ・はなみち「煮干王」(800円)
北上川に架かる舘坂橋の近くにある「はなみち」。
昨日(土曜日)は提供開始3時間で売り切れたと知り、開店1時間後の12時に訪問。
とにかく暑い!
本来なら冷やしラーメンを食べたいところ。
しかし、煮干しと水だけからスープを抽出した無化調の「純煮干し」を追求してきた小泉店主が「煮干王」と豪語するラーメンを食べたい。
その一念が暑さに打ち勝ちました(大げさ?)。
レギュラーのジャンクなラーメンには目もくれず、週末限定の無化調「鶏そば」「煮干しそば」だけを食べる酔狂な客。
本日も店に入るや、真っ先に券売機で「ざ・はなみち」の食券を購入。
相変わらず、近くに住む岩手大学生で一杯の店内には似合わないオジサン?
提供された「煮干王」は、茶色と灰色のまざったような濁ったスープ。
スープの中には粉砕した煮干し粉末が一杯。
具は、大判で厚めスライスの豚肩ロース肉のローストポークが2枚。
ロースト時間に差をつけたローストポークを1枚ずつ提供するという凝りよう。
枕木メンマが3本。
ザク切りのネギがたっぷり。
それに大きな海苔がトッピング。
スープは、オイリーで煮干し粉末が目立つビジュアルに反し、サラッとしています。
スープを飲むや、「煮干しが濃い!」
これが第一印象。
大量の平子を中心に、背黒大と背黒小、鯵など5種類の煮干しと水だけでとった純煮干しスープ。
苦味やエグミは感じず、純粋に煮干しの旨味のみをギュッと濃縮させた濃厚な旨味。
もちろん、ニボ度がMAXに近いので塩気も強い。
しかし、たまり醤油中心にブレンドしたカエシの甘味が塩気をうまく中和。
さらに煮干し由来のオイリーさが、クラッシュした煮干し粉末を絶妙に包んで、粉っぽさを全く感じさせません。
煮干しの旨味を凝縮したオイリーで、カエシの甘味を感じる濃厚だがさらっとしたスープ。
あの「煮干中華ソバ イチカワ」(つくば市)の「煮干中華ソバ」、「児ノ木(チゴノキ)」(新宿区落合)の「純煮干しそば」の系譜に連なる煮干しラーメン。
「淡麗煮干し」では煮干し感が弱く不満足。
かといって、動物系をブレンドしたセメント系にも違和感を感じる。
そんな方は、煮干し100%の濃厚な「純煮干し系」を是非試して欲しいと思います。
おそらく「はなみちグループ」の「HINOTORI~火ノ鷺~」(盛岡市北山)が近く提供するであろう「煮干ラーメン」も、「純煮干し系」のニボ度高いラーメンになるでしょう。
「イチカワ」「児ノ木」は、中細のパツパツ系あるいはパツモチ系の麺を使用。
これに対し、「煮干王」の麺は、多加水の手揉み縮れ麺。
切り刃12番、加水率43%のモチモチした自家製麺。
麺量は170g。
手揉みのモチモチ麺が、塩気多めだが甘味も感じる濃厚な純煮干しスープに良く絡みます。
レア度の高いローストポークは、赤身と脂身が混じった柔らかくジューシーな仕上がり。
対照的にロースト時間を長くとった白っぽいローストポークは、モモ肉に近い食感。
いずれもブラックペッパーをまぶしたスパイシーな味付け。
枕木メンマは少々甘めの味付けですが、ガツンとした煮干しスープに良く合います。
ザク切りネギのシャキシャキとした食感も、ラーメンの完成度に貢献。
煮干しのエキスが詰まった無化調純煮干しラーメンは、「煮干王」の名にふさわしい出来。
旨さの凝縮に酔い、一瞬暑さを忘れ
て、スープを飲み干しましたが、店を出ると猛暑が直撃。
ちょうど良いタイミングで、職場行きのバスが来たのが幸いでした。
鶏スープに浸かった麺を鶏ダシ+生醤油のつけ汁で食べる鶏づくしのつけ麺
6月24日(日)
ジャンクなラーメンで人気を集める一方で、週末の限定麺では無化調の鶏そばや煮干しそばを提供する「麺極(麺の極) はなみち」(盛岡市前九年)。
今週の限定麺(ざ・はなみち)は、「鶏と生醤油のつけ麺」(800円)。
先週の限定麺「鴨せいろ風鶏つけ麺」は、つけ汁が甘過ぎました。
今回はどうでしょうか?
○限定麺「鶏と生醤油のつけ麺」(800円)
鶏と水だけでスープをとり、生醤油のカエシを合わせた「鶏そば」。
そのつけ麺バージョンです。
つけ麺用の麺に自家製麺を使っている同店がどんな麺を出してくるか?
そして、つけ汁がどんな出来だろうか?
そんな関心をもって、先週の日曜に続き、またしても日曜の昼、店を訪問。
厨房を囲むL字型カウンターは日曜出勤のサラリーマンや近くに下宿している岩手大学生で一杯。
幸い席が1つ空いていたので、「ざ・はなみち」の食券購入後、着席。
小泉店主に食券を渡します。
よく見ていると、若者はジャンクメニュー専門かと思っていたら、結構本格派の限定麺を注文しているではありませんか!
「今の大学生はいいものを食べてるな」などと感慨に耽りながら、待つことしばし。
待望の限定麺「鶏と生醤油のつけ麺」を小泉店主が出してくれました。
まず麺。
先週の「鴨せいろ風鶏つけ麺」の麺は、茶色っぽいコシの強い麺。
今回は、通常のつけ麺用の麺と差別化した「鶏つけ麺専用麺」。
北海道産の小麦を使った麺は、薄黄色の滑らかでツルツルとした麺。
先週の麺は噛み切るようなコシの強い麺。
鶏つけ麺用の麺としては、やや違和感を感じました。
さすが小泉店主。
今回は軌道修正して、鶏つけ麺にぴったりのしなやかな麺を打ってきました。
切り刃12番ですが、加水率は先週の34%から37%に上げています。
麺は厚さ1.5ミリの平打ち麺。
麺幅は約4ミリ。
うっかり麺量を聞くのを忘れましたが、200gぐらいでしょうか。
ちなみに、大盛は不可です。
面白いのは、麺が冷たい鶏スープに浸かっていること。
小泉店主に言わせると、「昆布水」の代わり。
なかなか面白い発想。
麺の上には具のチャーシューとメンマ。
チャーシューは、豚肩ロース肉のローストポークですが、ローストする時間が違う2枚が添えられています。
ロースト時間の短い方は、鮮やかなピンク色のレア感の強い肉厚のローストポーク。
ロースト時間をもう少し長くした方は、薄切りの白っぽいロースハムのようなローストポーク。
それに枕木メンマが3本。
熱々のつけ汁は、濃い琥珀色の醤油感の強いスープ。
たっぷり鶏油が垂らされたオイリーなつけ汁には、ザク切りのネギが浮かんでいます。
冷たい鶏スープに浸かったツルツルの平打ち麺は、小麦の香りが楽しめると同時に、喉ごしの良さも抜群。
ワシワシと食べるコシの強い麺も良いのですが、鶏つけ麺用の麺としては、今回のツルツル麺の方がずっと合っています。
丸鶏と水だけでとったスープに、生醤油を含む8種の醤油を合わせたつけ汁。
鶏油が鶏の香りを増幅しますが、銘柄地鶏を使えないのが響き、鶏の旨味が今一つ。
そのため、醤油の香りや旨味が鶏に勝っている感があります。
もっとも、鶏の風味が強いスープは苦手という方には、醤油感の強い今回のつけ汁の方が入りやすいでしょう。
特筆すべきは、今回は砂糖も味醂も入れていないだけに、同店のつけ汁の特徴である「甘過ぎ」という「欠点」を回避していること。
そのため、つけ汁がさっぱりとして、醤油のコクが十分楽しめます。
ツルツルとした平打ち麺はつけ汁と良く絡み、啜るときの快感はMAX。
これで、もっと鶏の旨味が強ければ最高なんですが。
肉厚のレアチャーシューと薄切りの低温調理チャーシューは、ともに黒コショウで薄く味付けされています。
肉厚のレアチャーシューは、噛むと肉のジュースが口のなかに溢れ、肉そのものの濃厚な味を堪能できます。
対照的に、ロースト時間を少し長くした薄切りのチャーシューは、ロースハムのような淡白な味。
ロースト時間の違いとカットする厚さの違いによる味や食感の違いを実感できる面白い趣向。
枕木メンマは、適度な味付けとシャキシャキした食感が持ち味。
麺を食べ終えたあとは、昆布水つけ麺と同様、残った冷たい鶏スープでつけ汁を割ります。
鶏スープが加わったつけ汁は、醤油が薄められると同時に、鶏の風味がわずかながら増し、醤油と鶏のバランスが少し上昇した印象。
つけ汁を全部飲み干して終了。
「昆布水」の代わりに冷たい「鶏スープ」を使うという斬新な手法。
自家製の平打ち麺も、鶏つけ麺にベストマッチ。
これで、つけ汁に鶏の旨味がもっと感じられればベストでしょう。
今後に期待します。
「鴨せいろ」風の鶏つけそばは面白いが、つけ汁が甘過ぎ
6月17日(日)
「ら~麺 豚」や「辛味噌ら~麺」「激辛味噌」「一撃」「まぜそば」「つけ麺」などジャンクなラーメンが大学生に大人気の「麺極(麺の極) はなみち」(盛岡市前九年」。
ジャンクなラーメンを出す一方、週末のみの限定麺「ざ・はなみち」で無化調の鶏そばや鶏油そば、セメント煮干しや淡麗煮干しなどを提供。
「ジャンク」と「正統派」という2つの顔をもつ店。
最近、つけ麺やまぜそば用の太麺を自家製麺に切り替え、麺のクオリティがアップしています。
今週土・日の限定麺「ざ・はなみち」は「鴨せいろ風鶏つけそば」(800円)。
虎ノ門にある蕎麦の名店が出す「鴨せいろ」を再現しようとしたものの、鴨肉がない。しかし、鴨油はある。
そんなわけで、鶏肉と鴨油で、「鴨せいろ風のつけそば」を作ってみたという意欲作。
麺も自家製麺で、そば風に打ったという。
「見た目は太いそば、食べたらラーメンみたいな不思議なやつ」という小泉店主の言葉に釣られ、本日の昼出掛けてみました。
○限定麺「鴨せいろ風鶏つけそば」(800円)
店到着がちょうど12時。
カウンターのみの店内は大学生中心に満席。
後からあとから大学生が入店。
回転が早いので、店内待ち少々でカウンター席に着席。
先客のラーメンづくり、そして限定麺は太麺なので、提供までかなり待たされますが、それは折り込み済み。
店内待ち5分、座ってから10分で、「鴨せいろ風鶏つけそば」と対面。
自家製麺は切り刃12番、加水率34%の角麺。少し平打ち気味。
2種類の全粒粉を入れた麺は、それだけからではないものの、かなり茶色っぽい色。
見た目太いそばといえなくもありませんが、やはりつけそばの麺ですね。
艶々とした麺が、実に美味しそう。
つけ汁は割に多め。
鶏ダシに店主いわく18種類の醤油を合わせ、鴨油を加えています。
鴨油が背脂のようにスープに浮いているのが印象的。
具は鴨肉の代わりの鶏肉と笹切りのネギ。
綺麗に丼に盛り付けられた麺は、太麺で水で締めているので、固めでコシは十分すぎるほど。
小麦の香りも楽しめます。
麺量は250gと、たっぷり。
ただし、同店の製麺機の切り刃が12番しかないのでやむを得ませんが、鶏つけそばなら、もう少し細い麺がいいかな?
理想としては16~18番手のもっと平打ちのツルツルの麺が合っているように思います。
今でもつけ麺やまぜそばは自家製麺の太麺。
それ以外は製麺所製の麺を併用しているので、鶏つけそば用の麺も製麺所で良いかも知れません。
問題はつけ汁。
鶏ダシに醤油のカエシを合わせ、鴨油を風味付けに使ったオイリーですが、切れのあるスープを期待。
しかし、今回のつけ汁は「はなみち」のジャンクなつけそばと同じで、砂糖がかなり入った甘い汁。
甘いというより、「甘過ぎ」といった方が正解。
砂糖の甘さで、せっかくの鶏ダシ、醤油の香り、鴨油の風味が書き消されています。
豚骨魚介のつけ麺なら、この甘さも何とか許容できますが、「さっぱりつけ麺」をうたっている以上、甘さを抑えて欲しかった。
「鴨せいろ」のつけ汁にも甘味はありますが、これほどではありません。
小泉店主も、「甘味を控え、柚子を加えるなどもっとさっぱり感を出すべきだった」と振り返っていました。
再チャレンジを期待します。
スープ割りはできないということで、甘いスープを飲み干しました。
これまで、どんどん評価を上げてきた「はなみち」の限定麺。
今回は自家製麺それ自体は上出来だが、鶏つけ汁には合わない点、それ以上につけ汁が甘過ぎるので、前回の「4.0」から「3.7」にダウン。
鴨肉を使い、つけ汁の甘さを抑えてくれれば、さしあたり麺はこのままでも十分ですし、次回こそ、とりあえずそんな鴨つけそばを食べたいですね。
もちろん、今回のように鶏ダシ+鶏肉+鴨油でも構いません。
自家製麺の鶏油そばが最高!
5月27日(日)
大学生やサラリーマンに大人気の豚骨醤油や激辛味噌などジャンクなラーメンの店「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
その一方で、「ざ・はなみち」という「期間限定麺」で、首都圏の名店をリスペクトした無化調の「鶏そば」「鶏油そば」「煮干しそば」などを提供。
さらに、最近自家製麺をつけ麺やまぜそばに導入。
前回の「鶏油そば」では、製麺所の中細麺でしたが、ついに自家製麺で「鶏そば」「鶏油そば」をつくってきました。
実は22日のTwitterで、小泉店主が「理想の鶏そばを目指して自家製麺にて作ってみました。(中略)いつかお披露目出来る日を夢見て頑張りまーす」と発言。
ついに鶏そばと自家製麺を合わせたのかと驚き。
「いつかお披露目出来る日を夢見て」とあるくだりから、提供はかなり先と思いがち。
しかし、小泉店主のこれまでの言動を見ていると、そんな先ではなく今週末の「ざ・はなみち」で、自家製麺を使った鶏そばを提供するだろうと推測。
そこまで推測しながら、週末(26・27日)の「ざ・はなみち」(期間限定麺)の案内を見落とすという痛恨のミス。
実は、26日朝に今週の限定麺は「鶏と小麦」。これは鶏そばの進化系。麺は国産小麦100%の中太平打ち麺など告知されていたのに、それを見たのが「人力俥」の「スパイス味噌中華そば」を食べて、自宅に戻ってから(26日午後)。
26日夜の「はなみち」夜の部に行く手もあったのですが、「明日があるさ」と日曜(27日)に延ばしたのが失敗。
本日(27日)昼前に、「はなみち」に行く前、念のためにTwitterを確認すると、「昨日の限定麺が売り切れてしまいましたので、急遽「鶏油そば」をつくりました」の発言。
ガーン!
「鶏と小麦」は昨日で売り切れてしまったのか!
教訓。
「はなみち」の週末限定麺を食べたかったら、必ず土曜に行くべき。土曜で売り切れ、日曜はメニューを変更する可能性あり。
「鶏と小麦」の代わりに、前回製麺所の麺でつくった「鶏油そば」を自家製麺に変更。
具も変えて「国産小麦の自家製平打ち麺+極上鶏油+九条ネギ」の組み合わせ。
これって、前回のレビューで指摘した点に見事に対応しているではないか?
自家製麺の鶏そばを食べ逃したのは痛いけれど、自家製麺の「鶏油そば」になって、どこまで味がアップしたか確認しろということではないかと勝手に解釈。
本日(27日)昼、「はなみち」に向かいました。
○限定麺「鶏油そば」(800円)
レビューに入る前に、長々と駄文を書いてしまい、申し訳ありません。
期待した自家製麺の「鶏そば」から、自家製麺の「鶏油そば」
になり、トーンダウンは否めません。
それでも、11時30分過ぎに店に入ると、大学生中心に満員の盛況。
早速「ざ・はなみち」の食券を購入。
小泉店主に渡します。
周りを見ると、前回にくらべ、「鶏油そば」を食べているお客が確実に増えています。
「鶏油そば」は、盛岡ではまだ認知されていないと前回書きましたが、「はなみち」の精力的な提供により、大学生など若い世代から徐々に浸透し始めているようです。
到着した「鶏油そば」は、麺や具が一変。
鶏油と醤油、鶏スープをブレンドしたタレは、前回よりも多め。
タレとよく和えた麺は、製麺所製の中細麺から自家製の平打ち麺に変わっています。
麺量も増えたようです。
具は豚肩ロース肉のピンクのレアチャーシューを短冊状にカットしたものがたくさん。
枕木メンマ2本と九条ネギがたっぷり。
タレは醤油は少なめにして、鶏油の旨味や香りがくっきりと浮かび上がるように工夫。
少々甘味さえ感じる極上の鶏油ダレ。
麺は、切り刃12番、加水率40%の多加水の平打ち麺。
麺を厚さ薄めの平打ちにすることにより、番手(12番)ほどの太め感は感じません。
国産小麦100%使用の自家製麺は、ツルモチ麺。
それでいて、口に含むと、パツンとした噛み応えのあるなかなかユニークな食感。
自らが理想とする麺をつくりたいという小泉店主が、自家製麺に切り替えた効果を、この麺を食べて実感できます。
しっとりとして柔らかい短冊状のレアチャーシュー。
少し甘めの味付けが、鶏油そばのタレとよく合う枕木メンマ。
見た目が美しいだけでなく、シャキシャキ食感とほのかな苦味が特徴の九条ネギは、鶏油そばの良いアクセント。
鶏油ダレと麺、具をよくまぜて、まぜそば風に食べます。
「トイ・ボックス」の「鶏油そば」に比べると、ぐっとシンプルな味わい。
パンチ力は劣りますが、ツルモチの平打ち麺に淡い甘味の鶏油ダレが良く絡み、麺と鶏油の旨みがドッキングした鶏油そばの醍醐味が楽しめます。
鶏油ダレの風味がさらに向上。
具がぐっと洗練されました。
そして、何と言っても自家製麺と鶏油ダレのコラボという理想を実現。
これを高く評価。
評価を「4.0」にアップさせました。
次回こそ、自家製麺を使った鶏そばを、是非食べたいものです。
名店をリスペクトした鶏の旨味全開の「鶏油そば」
5月13日(日)
大学生やサラリーマンに大人気のジャンクなラーメン、つけ麺、まぜそばの店「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
その一方で、「ラーメン屋 トイ・ボックス」(三ノ輪)、「煮干中華ソバ イチカワ」(つくば市)をリスペクトした無化調の「鶏そば」「煮干しそば」などを限定で提供。
最近はつけ麺やまぜそば用の麺を自家製麺にするなど、意欲的な姿勢が目立ちます。
Twitterで、5月11・12日の土日2日間、限定麺で「鶏油そば」を提供すると知りました。
「トイ・ボックス」の名品「鶏油そば」リスペクトの一品と直感。
早速訪れてきました。
○限定麺「鶏油そば」(800円)
13日(日)のちょうど昼(12時)に店に到着。
店内は近くに住む岩手大学生で一杯。
店内待ち3人目に接続。
ちょうど待っている場所が券売機の横。
さっそく限定麺の「ざ・はなみち」の食券を購入。
もちろん本日の「ざ・はなみち」は「鶏油そば」(800円)。
Twitterでは、「鶏の旨味全開の油そば。鶏の脂にこだわりまくってます。通常のまぜそばや油そばとは全くちがった1杯」と説明。
「鶏油そば」の認知度がゼロに近い盛岡で、2日間の限定とはいえ、名店をリスペクトした一品を提供する小泉店主の意欲に拍手を送りたい気持ち。
すぐにカウンター席につき、まもなく「鶏油そば」が到着。
ちなみに、店内の若者のほとんどがジャンクなメニューを注文。
昼は無料のライスを、セルフサービスで食べています。
そんな中で麺量150g。
大盛不可で、馴染みのない「鶏油そば」を注文するのはマニアのみかも?
小泉店主が徹底的にこだわったという鶏油に醤油と鶏スープをブレンドしたタレ。
鶏油の旨味や香りを生かすために、醤油は本当に薄め。
かといって、鶏油が決してくどくならず、醤油やスープとミックスされ、ちょうど良い具合に鶏の旨味が感じられるタレ。
この絶妙なタレで和えた麺。
実は自家製麺を期待しましたが、いまのところ全粒粉入りの太麺は「鶏油そば」には合わないため、カネジン食品製の麺を使用。
店のPOPには「極細麺」とありますが、切り刃22番、加水率30%の低加水ストレート麺。
「中細麺」ないし「細麺」という表現の方が適切かも。
「煮干しそば」には、茹で時間を短めにしてパツパツに仕上げますが、今回はもう少し茹でて、コシがありながらも、少しモチッとした食感に仕上げています。
麺にのる具は、ほぐした鶏ムネ肉チャーシューたっぷり。
チャーシューには鶏油入りのタレがかかっていて、しっとりすると同時に鶏の旨味が倍増
筒切りの青ネギと白髪ネギ、そして輪切りのネギなど、ネギもたっぷり。
それ以外はナルトと味玉。
醤油でしっかりと味付けされた味玉は、黄身にも醤油味が染み込み、あっさりした鶏油そばの中で異彩を放っています。
小泉店主に確認すると無化調とのこと。
決め手となる鶏油入りのタレが「トイ・ボックス」に迫る出来で、店主の力量を改めて再確認。
あえて希望をいえば、中細麺で150gは少々物足りないかな?
中太の平打ち麺で、麺量200gならもっと満足度が高かったかも。
今後、是非自家製麺で提供して欲しい。
そして、具に豚肩ロース肉の短冊レアチャーシューがないのが、やや寂しい。
メンマを加えることと合わせて、期待しています。
原価も考えず、勝手なことばかり書きましたが、これも既にレベルの高い「鶏油そば」をもっとレベルアップさせて欲しいから。
今後も「はなみち」が限定で提供する無化調の鶏そばや煮干しそばに、引き続き注目して行きたいと思います。
「ライトなセメント煮干し」というものの、魚臭さと塩分濃度は相当なもの
4月8日(日)
盛岡市前九年にある岩手大学の学生に大人気のラーメン店。
豚骨醤油ラーメンや辛さを10段階から選べる味噌ラーメン、そしてつけ麺やまぜそばなど化調を使ったジャンクなラーメンがメイン。
その一方で、「ざ・はなみち」という名称で期間限定麺を提供。
主に土・日に提供されますが、最近は無加調の「南部地鶏そば」や「セメント煮干し」を提供。
徐々に完成度を高めていて、いま盛岡で最も注目したい店の一つ。
先日Twitterで、4月7日(土)と8日(日)限定の「ざ・はなみち」を発表。
それが「濃厚煮干中華そば」(800円)。
説明によると、「スープはライトなセメント。タレはたまり醤油を中心に3種類で甘め」という。
同店の「セメント煮干し」は外れがないので、本日(8日)の昼前訪ねてきました。
○期間限定麺「濃厚煮干中華そば」(800円)
店到着は11時30分(11時開店)。
既に入学式も終わり、授業開始も近いので、大学生が殺到と懸念していました。
幸い(?)、入店すると、L字型カウンターのみの店内には先客3人。
早速、券売機で「ざ・はなみち」がまだ残っていることを確認。
「POP」を写真におさめました。
厨房には小泉店主と若い助手さんの2人。
食券を助手さんに渡し、ラーメンの到着を待ちます。
程なく「濃厚煮干中華そば」が到着。
スープは灰色の典型的なセメント系。
スープの粘度は低めで、むしろサラッとしていると言った方がいいかも。
丼から直接スープを飲むことができます。
丼の半分を大きく厚い豚肩ロース肉の低温調理チャーシューが占めています。
「はなみち」独特のチャーシューで、醤油ダレがしみて、煎餅のような薄いキツネ色。
中央で割けていることから、柔らかく仕上げていることが分かります。
他には、枕木メンマ3本、刻み玉ネギ、ナルト、そして大きな海苔。
スープは背脂以外の動物系は不使用。
背黒や平子主体の煮干しのみから抽出したスープに背脂をまぜ、コクをつけています。
タレはたまり醤油中心に3種類の醤油をブレンド。
以前、「はなみち」と「煮干らー麺シロクロ」(矢巾町)がコラボで開発。
「HINOTRI~火ノ鷺~」(盛岡市北山)で提供された「NIBOSI BLACK」で使用した醤油ダレです。
スープは、煮干しの絞り汁を濃縮したような感じ。
サラッとしていますが、動物系のスープとブレンドしていないため、かなりの魚臭さ(生臭さ)。
煮干しの苦味やエグミもそれなりにあります。
魚臭さや雑味と煮干しの旨味が一体化しているマニア向けの味。
この魚臭さや雑味を和らげているのが濃いめの醤油味。
Twitterでは、醤油は甘めと書かれていますが、むしろしょっぱめ。
煮干しを大量に使っている上、醤油ダレが効いているので、塩分濃度は相当高いです。
まさに、「しょっぱ旨い」という表現がぴったり。
動物系でマイルドにしない魚臭く雑味もあるワイルドな煮干しスープと強めの醤油ダレの組み合わせ。
しょっぱさが気になるものの、煮干し好きには癖になる味。
麺は、カネジン食品製の切り刃22番、加水率30%の低加水麺を固めに茹でています。
麺量は150g。
パツパツとして、ポキポキとした歯応えのある麺は、セメント系煮干しスープにぴったり。
豚肩ロースチャーシューは、醤油ダレで味付けされた柔らかい食感の独特なもの。
たしかに醤油ダレが効いて香ばしい味ですが、その分やはりしょっぱめ。
シャキシャキとした枕木メンマは、対照的に薄めの味付け。
塩分濃度が高いので、スープを全部飲むのは止めようと思いながらも、結局最後の一滴まで飲み干してしまいました。
「ライトなセメント」と小泉店主は書いていますが、食べた感想は決して「ライト」ではないというもの。
サラッとしているものの、魚臭く「しょっぱ旨い」セメント色のスープは、やはりニボラー専用。
食後、小泉店主に「煮干中華ソバ イチカワ」(つくば市)について聞いてみました。
すると、「イチカワの味は大好きな味」とした上で、「あの煮干しの旨味と苦味のバランスがとれた味が好き」とのお答え。
動物系とのブレンドをなるべくせず、煮干し100%に近い「旨味と苦味とのバランス」にこだわる姿勢も、「イチカワ」の影響でしょう。
「児ノ木」(新宿区上落合)に行ったかどうかを聞こうとしたところで、大学生のグループが大挙入店。
店が一気に忙しくなったので、質問はそこまでとしました。
それにしても、鶏そばでは「ラーメン屋 トイ・ボックス」(三ノ輪)を、そして煮干しそばでは「イチカワ」をリスペクトする小泉店主。
同店の人気を不動にしたジャンクなラーメンを出す一方で、高い目標を掲げ、無加調の鶏そばや煮干しそばにチャレンジし続ける姿勢に拍手を送りたいと思います。
「今は麺づくりに夢中なので、スープづくりにあまり時間をさけません」と謙虚に語る小泉店主。
昨年の店内改装を機に、店内に製麺スペースを設け、製麺機を導入。
まずは、つけ麺やまぜそばに使う太麺から自家製麺に切り替える予定とのこと。
「麺の極 はなみち」の飽くなきチャレンジを、今後も見守っていきたいと思います。
ドロドロベトベトの超濃厚な鶏白湯煮干し
3月25日(日)
最近、2日間ないし3日間限定で無化調の鶏そばや濃厚煮干しに意欲的に取り組む「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
Twitterで、昨日(24日)から「鶏白湯煮干ラーメン」の提供が始まったことを知りました。
提供2日目(最終日)の本日(25日)は、昨日よりもさらに濃厚に。
小泉店主自ら「ここまで濃いスープ、今後二度と作ることはないと思うので」と発言。
これは行くしかないと、タクシーを飛ばし、開店30分後の11時30分に店に到着。
前回来たのは3月14日。
そのときの限定麺(ざ・はなみち)は煮干し100%の「濃厚セメント煮干ラーメン」。
今回は鶏白湯と合わせています。
どうやら使う鶏白湯スープの量が半端じゃないらしい。
○限定麺「鶏白湯煮干ラーメン」(800円)
前回(3月14日)は、ほぼ同じ時間に訪ねたのに、店の外までの行列。
それが本日は店に入ると、先客2人。
後客もパラパラ。
何でこんなに違うのだろう。
そうだ。数日前に近くの岩手大学の学位記授与式。
大学が完全に春休みモード。
多くの学生が帰省中。
岩手大学生が客の多くを占める同店も、春休みの影響をもろに受けているようです。
入学式まで、この状況が続くのかな?
ともあれ券売機で「ざ・はなみち」の食券を購入。
助手さんに渡します。
小泉店主がつくる様子をみていると、真っ白の鶏白湯スープを丼にたっぷり注いでいるので、ちょっとびっくり。
まもなく丼が運ばれてきます。
ビジュアルが凄い!
濃厚系・セメント系の煮干しスープは茶濁、灰濁したビジュアルが多いのですが、今回は少し違います。
乳化した白い鶏白湯スープがメインで、そこに灰色の煮干しスープが混入している感じ。
通常のセメント系スープよりも白っぽいスープ。
具は、ピンクの豚ロース肉の低温調理チャーシュー(ローストポーク)を薄くスライス。
くるっと巻いて、丼の中央にきれいに盛り付けています。
「らぁめん小池」(下北沢)のレアチャーシューの盛り付けを連想させます。
刻み玉ネギもたっぷり。
さらに枕木メンマが3本とシンプル。
レンゲでスープをすくうと粘度が凄まじい。
ドロドロベトベト。
丼から直接飲もうと思っても、それが無理と思えるほど。
スープがびくともしません。
小泉店主が話しかけてきて、昨日の「鶏白湯煮干」は煮干しがメインだったものの、本日は残った鶏白湯スープを全部使ったので、鶏白湯メインになったという。
それを示すのが、この凄い粘度。
しかし、煮干し風味が弱いというわけでは決してありません。
背黒、平子など3種の煮干しを使用。
煮干しをクラッシュする際に工夫を加え、少々の魚臭さと軽い苦味を含んだ強烈な煮干し感が出るようにしてあります。
その煮干し感が大量の鶏白湯により若干マイルド方向にシフト。
鶏白湯のクリーミーさと煮干し感がうまくバランスした一杯となっています。
言い換えれば、大量の鶏白湯スープにもかかわらず、煮干しがしっかり主張するスープになっています。
姉妹店「HINOTORI~火ノ鷺~」が以前提供していた「ど煮干し肉そば」の煮干しスープをさらに濃くしたような味。
麺はカネジン食品の切り刃22番、加水率30%の低加水率ストレート麺。
麺量は150g。
パツンとした固め食感の麺がドロドロの鶏白湯煮干スープを良く持ち上げます。
麺を食べ終えると、スープの残りがわずかになるという粘着度。
驚いたのが、チャーシューの抜群の美味しさ。
豚「肩ロース肉」ではなく、「ロース肉」を贅沢に使ったローストポーク。
しっとりとした肉の食感と柔らかさ。
そして、薄味が多い肩ロースのローストポークに比べ、肉の旨味が十分に閉じ込められ、これだけで一品料理として十分通用するレベル。
最近盛岡で食べたチャーシューの中でも、群を抜いています。
さすが、実家が精肉店だけあり、チャーシューへのこだわりは並みではありません。
シャキシャキとした食感のメンマは、薄めですが、やや甘めの味付け。
たっぷり入った玉ネギのみじん切りでも、ドロドロスープのインパクトに負けています。
玉ネギをお好みでもっと追加できれば、さらに良いのですが、限定でそこまでするのは難しいかな?
丼の底に残ったスープはドロドロベトベトですので、丼を傾けても全く動きません。
スープ割りが欲しいほど。
やむなく、レンゲで丹念にすくって最後まで飲み干しました。
それにしても、煮干し100%のセメント系煮干しに加え、鶏白湯煮干しも無化調で仕上げてしまう小泉店主の手腕はさすが。
今回の限定の前には、名店「トイ・ボックス」(三ノ輪)インスパイアの「鶏油そば」を限定で提供。
化調のジャンクな(失礼)ラーメンで人気を集めながら、ここに来て限定で無化調の「南部かしわそば」(鶏そば)「セメント煮干し」「鶏白湯煮干し」などを怒濤の勢いで提供。
ウイングを広げている「麺の極 はなみち」。
姉妹店の「煮干しらー麺シロクロ」(矢巾町)、「HINOTORI~火ノ鷺~」(盛岡市北山)とともに、今後が楽しみな店です。
煮干し100%の無化調濃厚セメント煮干しラーメン!
3月14日(水)
いま盛岡では新店の参入、既存店の新メニューが入り乱れ、全国有数の煮干しラーメン競争が勃発。
その中、本日(3月14日)既存店が有力なニューフェイスを発表。
それが「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)が本日のみの限定麺(ざ・はなみち)として提供している「セメント煮干ラーメン」。
「はなみち」は、もともと豚骨醤油ラーメンや辛さ10段階の激辛味噌ラーメン、つけ麺などジャンク系のメニューで大学生等の人気を博する店。
それが、小泉店主が今年になって意欲的な挑戦に乗り出しました。
まず、南部地鶏のガラと丸鶏と水だけでとった無化調スープに生醤油を合わせた「南部地鶏そば」を「ざ・はなみち」として提供。
そして今回は煮干しと水だけでとった無化調スープに醤油ダレを合わせたセメント煮干しを発表。
何せTwitterで告知があったのが本日の開店(午前中11時)数分前。
昼・夜各10杯という狭き門なので、大慌てで店までタクシーを飛ばしました。
○限定麺「セメント煮干ラーメン」(800円)
「はなみち」到着は開店30分後の11時30分。
店の前に来ると、既に店外に行列。
当然店内にも行列。
この時点で、昼限定10食の「ざ・はなみち」を諦めかけました。
すぐに店内に案内。
店内は、カウンターに座り、ラーメンをすする客の背後に立ち待ち客がずらり。
厨房内は小泉店主と奥様の2人。
大変な忙しさ。
何といっても券売機に注目。
ところが、これほどの客なので、絶望的と観念しかかった「ざ・はなみち」(本日の限定麺)がまだ残っていました。
ラッキーと「ざ・はなみち」の食券を購入。
奥様に渡し、行列の最後尾に続きます。
要は、これほどの混雑であっても、客の大半は近くの岩手大学生。
彼らにとって、昼前のこの時間混雑するのは当たり前。
注文もレギュラーメニューが大半。
私のようなラオタやニボラーが少ないのが幸いしました。
回転も速く、入店10分後には着席。
券売機のPOP.には、「思ったよりも食べやすいですが、それでも濃いので苦手な方は頼まない方がいいです。上級者向け」。
読むと、ファイトが湧いてきます。
まもなく「セメント煮干ラーメン」が到着。
灰濁したもろセメント色の濃厚スープ。
スープの随所が泡立ち、濃厚さを想像させます。
丼の半分を占めるのが大判の豚肩ロース肉チャーシュー。
これがレアのピンクと脂身の白、醤油を塗ったか炙ったようなオレンジ色の部分に3分割される三色チャーシュー。
刻み玉ネギも大量にトッピング。
具はこれだけという潔いほどのシンプルさ。
セメント色のスープは豚骨や鶏白湯を使っていないのに軽いトロみがあります。
飲み始めると、まずはさすが煮干し100%のだけあって強烈な魚臭さが襲います。
でも、それは折り込み済み。
鮮魚系ラーメン好きの私には、魚臭さは苦になりません。
苦味やエグミはほとんど感じられず、魚臭さのあとには煮干しがぎゅっと濃縮した旨味と香りが立ち上ぼります。
動物系スープによりまろやかに希釈されていないので、煮干し風味がストレートに伝わります。
あとで小泉店主に聞くと、背黒と平子を中心に数種類の煮干しと水だけで炊き、濾したあと「南部地鶏そば」で使った生醤油や生揚げ醤油等から作った醤油ダレと合わせていまるといいます。
たしかに背黒の苦味と平子の上品さがうまくミックス。
濃いめで、動物系不使用ですが、食べやすいスープに仕上がっています。
麺は、カネジン食品の切り刃22番、加水率32%のストレート麺。
中加水と低加水のいいとこ取りのような麺。
敢えていうと、「弱低加水」。
パツパツ感も感じますが、ボキボキした食感とまでは行かず、モチッとした食感もある折衷的な麺。
私の好みでは、思い切って低加水に振り切り、パツバツボキボキの麺にした方が、煮干し100%の濃厚スープの良さをさらに生かせる思います。
柔らかなチャーシューは、文字通り3種の味(レア、脂肪、醤油を塗ったか炙ったか?)が同時に楽しめる意欲的な出来。
多目に添えられた刻み玉ネギの苦味とシャキシャキとした食感が、濃い煮干しスープの良いアクセント。
東京や青森のセメント系濃厚煮干しでは、動物系と煮干しを合わせる店が多数。
ところが、盛岡では動物系とのミックスの店がある一方、魚介100%あるいは煮干し100%でセメント煮干しスープをつくる店が目立ちます。
今回「ざ・はなみち」として1日限定提供された「セメント煮干ラーメン」はチャレンジ第1号として十分合格レベル。
今後さらにブラッシュアップすることを希望します。
最後に、本日(14日)夜の部(18時~)でも10食提供。
ハードルは高いですが、ニボラーの方は訪れる価値十分です。
鶏油と鶏ダシ、醤油ダレのバランスのとれた「鶏そば」
3月3日(土)
このところ煮干しラーメンや魚介系ラーメンを食べることが多く、「鶏清湯」ラーメンに飢えていました。
そんななか、盛岡市前九年の人気店「麺の極 はなみち」が本日と明日の限定で、「南部かしわそば」を出すとの情報を入手。
早速、昼前に訪れてきました。
いま盛岡やその周辺でもっとも勢いのあるのが、「はなみちグループ」(勝手に命名)。
メンバーの「煮干らー麺シロクロ」は岩手県屈指の人気店。
「HINOTORI~火ノ鷺~」は好評の「ど煮干し」ラーメンを止めて、3月5日から味噌ラーメン専門店になるなど迷走気味ですが、若い店主の意欲は評価。
そして、グループ総本山の「はなみち」。
昨年の店内リフォーム後、週末のみ期間限定の「ザ・はなみち」を精力的に展開。
豚骨醤油ラーメンや辛さ10段階の激辛味噌ラーメン、つけ麺、まぜそばなど同店の定番ラーメンとは敢えて違った原価無視の実験的なラーメンをどんどん投入。
とくに今年に入り、東京の名店「トイ・ボックス」(三ノ輪)インスパイアの鶏と水だけでスープをとる無化調鶏清湯ラーメンに挑戦。
「鶏そば」(1月20・21日)→「南部かしわそば」(2月3~5日)と着実にレベルアップ。
本日と明日(3月3・4日)提供するのは「南部かしわそば」の第2弾。
今回は南部かしわのガラと丸鶏を増量。
鶏の旨味をさらに増強するとともに、前回甘めだった醤油ダレをキレのあるものにバージョンアップするのがねらい。
結果はどうでしょうか?
○「南部かしわそば」(800円)
店には午前11時30分過ぎに到着。
昼営業開店後既に30分強経過。
店内は先客5人、後客3人と、行列はできていませんが、まずまずの入り。
券売機の「ザ・はなみち」は、予想通り「南部かしわそば」。
「ザ・はなみち」の食券を購入。
POPには、「岩手の地鶏南部かしわを使った一杯。前回よりも南部かしわを多く使っており、おいしくなっています」
期待が膨らみます。
厨房内では、小泉店主と若い助手の方が忙しく働いています。
「南部かしわそば」到着まで約10分程度かかりましたので、その間、掲示されている過去の「ザ・はなみち」の数々を興味深く拝見。
とくに今年に入ると、「鶏そば」以外に「はなみち」初めての「濃厚煮干し」を提供するするなど意欲系なラーメンが目立ちます。
そんななか、小泉店主自ら「南部かしわそば」第2弾を運んでくれます。
「南部かしわそば」専用の白い逆円錐形の底の深い丼に入っています。
専用の丼までつくったということは、レギュラーメニューになる日も近いということかな?
琥珀色の鶏清湯スープの上には、麺を覆い隠すような大判の豚肩ロース肉の低温調理チャーシュー。
チャーシューの上に鶏油がたっぷり注がれ、キラキラと輝いています。
さらに、大判チャーシュー上に九条ネギがトッピングされているビジュアルは、「トイ・ボックス」の「醤油ラーメン」そっくり。
その他に穂先メンマの代わりに、太めの枕木メンマ2本とワンタン2個。
スープをレンゲですくうと、鶏油と鶏スープが一体となった鶏の濃厚な旨味が口一杯に広がります。
南部かしわのガラと丸鶏と水だけの鶏100%のスープ。
ガラと丸鶏を前回よりも増量。
これに、前回とは別の生醤油や生揚げ醤油など4種類の醤油のみをブレンドしたダレを合わせています。
鶏油は、前回は南部かしわだけから抽出していましたが、今回は数種の鶏から抽出。
一口めこそ鶏の旨味がガツンと来ますが、徐々に鶏の旨味は穏やかに収斂。
南部かしわのガラと丸鶏を多くした割には、それがストレートに濃厚な旨味に繋がっていません。
前回甘さが目立った醤油ダレは微かな甘味は感じられますが、甘さが大幅に緩和。
ただし、キレはそれほど感じず、こちらもおとなしめ。
鶏清湯ラーメンの場合、鶏の旨味と醤油ダレの旨味や香りとのバランスが難しいところ。
鶏が強すぎてもクドくなりますし、醤油が目立ちすぎると、鶏の旨味を消してしまいます。
おそらく小泉店主は、今回は鶏と醤油とのバランスに腐心したと想像されます。
その結果、鶏100%のスープ、生醤油等の醤油100%のタレとのバランスがとれ、鶏の旨味、醤油の旨味それぞれがうまくミックスした無化調清湯スープをつくりあげています。
その反面、やや小ぢんまりとした「程よい」バランスに落ち着いたという感想。
この種のラーメンに慣れていない人には、これで良いでしょう。
ただし、鶏と生醤油のバランスだけでなく、両者の相乗効果が醸し出す深くてさわやかな旨味や香りを期待すると、そこまでは届いていない感想をもちました。
驚いたのは麺。
前回は切り刃22番、加水率37%の真空麺を使っていました。
今回は切り刃16番、加水率39%の中太ストレートの多加水角麺。
カネジン食品製です。
うどんのような感触のモチモチとした麺ですが、やや固めでコシを感じます。
麺そのものは良くできていますが、この種の中太多加水麺が鶏清湯に合っているかというと、?を感じます。
一言でいうと、スープとタレがおとなしいだけに、麺の存在感がありすぎるという印象。
大判のチャーシューは脂がよく乗り、柔らかく、トイ・ボックスにかなり寄せてきました。
これは個人的な好みですが、鶏清湯に合わせるチャーシューは、脂の少ない生ハム的なあっさりとした味の方が良いと思うのですが。
前回味付けが濃すぎ、スープに雑味をつけていたメンマは、大幅に改善されました。
かなり歯応えのある筋ばったメンマですが、味付けは薄めで、メンマ本来の甘みを生かしています。
味付けされた豚挽き肉を柔らかい皮が包むワンタンは上出来。
もっとも、鶏そばにワンタンをデフォでつける必要はないというのが私見。
無化調の水と鶏だけのスープ、そして生醤油ダレへの果敢な挑戦は、素晴らしいと思います。
何よりも、小泉店主が実に楽しく原価無視?の限定麺をつくっている様子、そして課題を確実にクリアしつつあるのも素晴らしい。
鶏清湯ラーメンという分野には名店がたくさんあり、そこに比べると一歩及ばずというところ。
ですが、短時間で独学でここまでもってくる力量と意欲に敬意を表します。
その意味で総合評価を0.1アップさせました。
まだまだ課題は多いですが、それをクリアして、いずれ「はなみち」の鶏そばとして完成させることを期待しています。
また、私にもリアルタイムで鶏清湯ラーメンが完成度を増すプロセスを見る機会を与えてくれることに対し、感謝を述べたいと思います。
鶏の旨味、醤油の香りともアップした「南部かしわそば」!
2月3日(土)
先々週の週末に限定麺(ザ・はなみち)で、無化調+水と鶏だけのスープにチャレンジ。
「トイ・ボックス」(三ノ輪)をリスペクトした「鶏そば」を提供した「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)。
これまで、豚骨醤油の濃厚ラーメン、辛さが10段階で調整できる味噌ラーメンなど化調使用のジャンクなラーメンで人気を博してきた同店のスタイルと真逆の鶏清湯ラーメン。
私も訪れ食べてみました。
結論は、最初にしてはまずまずで、チャレンジ精神を買いますが、鶏そばとしての完成度はまだまだ。
鶏の旨味は薄め。
醤油の香りも十分出ていなく、鶏と醤油の旨味を楽しむ鶏そばの醍醐味を味わうためには、さらなる改良が必要と感じました。
チャーシューは脂身が多く、ネギは白ネギというのもマイナスポイント。
要するに、店主の意欲に味が追い付いていない印象。
小泉店主も第一弾で出た課題を認識。
Twitterで、「もっとブラッシュアップしてやりたいので、リベンジ決定。スープの甘みや醤油の旨味をパワーアップさせれば、グランドメニューも夢じゃない」と発言。
そして、本日(2月3日)と明日(2月4日)の限定麺として、鶏そば第2 弾の「南部かしわそば」を提供。
今回は限定麺の杯数を増やすため、人気のつけ麺、まぜそばなどの提供を休止する力の入れよう。
○ザ・はなみち「南部かしわそば」(800円)
国道4.号線舘坂橋の五差路にある「麺の極 はなみち」。
開店(11時)を15分過ぎた頃に店に到着。
店内に入ると、L字型カウンターは満席。
ほとんどのお客さんが限定の「南部かしわそば」を注文。
10分ほどの待ち時間の後、「南部かしわそば」が到着。
たっぷり入った鶏油がキラキラと輝き、スープはオイリーで華やかな琥珀色。
豚の肩ロースチャーシューは、明らかに「トイ・ボックス」の巨大なガリシア栗豚(スペインの希少豚)のチャーシューを踏襲。
脂身が目立った前回と異なり、脂身はほとんどなく、「らぁめん サンド」の豚チャーシューを連想させるあっさりとした仕上がり。
チャーシューの上には緑の輪切り青ネギ。
メンマは穂先メンマ。
あとはデフォで味玉がついてきます。
スープをいただくと、オイリーな鶏油と南部かしわの旨味が一体となった芳醇な甘みが口のなかに広がります。
醤油ダレの香りも前回と比較になりません。
さすがにブロイラーを地鶏に変えただけあって、旨味がまるで違います。
南部かしわのガラと丸鶏と水のみでとったスープ。
今回も無化調。
鶏油も、南部かしわから抽出するというこだわり。
麺は、切り刃22番、加水率37%の「真空麺」。
真空状態で小麦をミキシングすることで、多加水なから締まった伸びにくい歯応えのある麺ができるという。
「はなみち」では、真空麺を煮干しそばよりも少し長めに茹で、鶏スープにうまく絡む麺にしています。
そのお陰か、37%の加水率が信じられないようなシャキッとした一方で、少々のモチっとした食感も出ています。
低温調理の大判の豚肩ロース肉は、薄めにスライスされ、鶏の清湯スープを邪魔しない淡白な味付け。
味玉は、よく煮込まれていて、黄身はネットりとした濃厚な旨味。
ここまでは良かったのですが、やはり課題が浮上。
まず、スープを飲み進めるうちに、次第に甘味が気になってきます。
前回の鶏そばでは、4種類の醤油に味醂や砂糖を加えていました。
にもかかわらず、甘味は気になりませんでした。
今回は、生醤油をはじめやはり4種類の醤油をブレンド。
味醂や砂糖は使わず、醤油のかえしに昆布や鶏を加えて、旨味を足しています。
しかし、飲んでみると、前回よりもはるかに甘味を感じるという不思議さ。
この甘味のため、醤油ダレにキレが感じられず、鶏や鶏油が織り成す濃厚な旨味とのバランスをやや欠いています。
スープを飲んだあと口のなかに甘味が残るのも残念。
多分醤油のブレンド由来の甘味かと思いますが、もっと甘みをおさえ、切れのあるシャープな味に調整して欲しいもの。
さらに穂先メンマの味付けが、「桃屋のメンマ」に似たかなり濃い味。
その結果、メンマ味付け用のごま油(?)がスープに流出。
メンマの辛味に使ったと思われる鷹の爪もスープに混じります。
そこ結果、後半になって、せっかくの鶏清湯スープに余計な雑味がのってしまうのが惜しい。
総体的に、地鶏スープと鶏油のオイリーさが合わさり、「トイ・ボックス」の「醤油ラーメン」というよりも、むしろ「らぁ麺 やまぐち 」(西早稲田)の「鶏そば」に近い印象。
醤油ダレ由来?のスープの甘さ、メンマの味付け改善など課題は見えてきました。
それにしても、従来の店の路線と全く違う無化調鶏清湯スープの醤油ラーメンをここまでのレベルまで仕上げてきた小泉店主の力量はたいしたもの。
是非グランドメニュー化をめざし、ブラッシュアップを重ねて行って欲しいと思います。
「麺の極 はなみち」初の鶏清湯!
1月20日(土)
盛岡市前九年。
国道4号線・舘坂橋五差路の近くにある「麺の極 はなみち」。
濃厚豚骨醤油の「ら~麺・豚」、10段階の辛さから選べる濃厚豚骨味噌の「味噌ら~麺」、濃厚魚介豚骨の「つけ麺」などが代表的なメニュー。
とにかく豚骨ベースの濃厚でジャンクなラーメンで、近くの岩手大学生やサラリーマンに大人気。
もちろん化調店。
最近では、出身者が「煮干らー麺シロクロ」(矢巾町)、「HINOTORI~火ノ鷺~」(盛岡市北山)などを立ち上げ、大活躍。
3店の連携も深く、私が「はなみちグループ」と呼ぶ盛岡ラーメン界の一大勢力に。
「はなみちグループ」総本山「麺の極 はなみち」の小泉店主は、今週、東京のラーメン店を食べ歩き。
「トイ・ボックス」や「麺処 晴」「蔦」「らぁ麺 やまぐち」など計8店を回っています。
小泉店主がもっとも感動したのが「トイ・ボックス」(三ノ輪)の「醤油ラーメン」。
水と鶏だけでとった無化調の鶏清湯スープと7種の醤油をブレンドした深みとコクのある芳醇な醤油スープに感動。
小泉店主の言葉を借りれば、「トイ・ボックスが旨すぎた。いつかこんなラーメンをつくってみたい」との思いで、何と丸鶏を発注してしまいました。
そこで、今週末(1月20・21日)の限定麺は「トイ・ボックス」インスパイアの水と鶏だけで炊いたはなみち初の鶏清湯・無化調「鶏そば」(800円)。
1日10食限定なので、昼営業開始30分後の11時30分に「はなみち」を訪れました。
○本日のざ・はなみち(期間限定麺)「鶏そば」(鶏五目ご飯付)(800円)
最近リニューアルされた店内。
以前あった小上がりを撤去。
厨房が広くなり、それを囲むL字型カウンター席。
真新しい木目のカウンターが美しい。
本日は小泉店主と男性スタッフの2人体制。
10食限定なので、開店30分後でも、売り切れを心配しましたか、「はなみち」のジャンクなラーメンと全く異なる鶏清湯にお客も当惑したのか(私の勝手な解釈)、残っていました。
「ざ・はなみち」の食券を購入。
大盛と追加トッピングは不可です。
ほどなく「鶏五目ご飯」と一緒に運ばれてきた「鶏そば」登場。
琥珀色の澄んだ醤油スープの色は、この種の鶏清湯醤油と比較すると、ほんの僅か薄め。
「トイ・ボックス」の「ガリシア栗豚」大判チャーシューの影響を受けた大判の豚肩ロース肉のチャーシューが表面の3分の2を覆っています。
チャーシューの上には、白ネギの輪切りが少々。
これは、彩りも考慮して、「トイ・ボックス」同様に九条ネギにして欲しかった。
それ以外の具は極太メンマ2本のみと実にシンプル。
スープ表面の鶏油がキラキラと輝いています。
スープは丸鶏を中心に水を加えただけのもの。
醤油ダレは、生揚げ醤油など4種類の醤油をブレンドして軽く火入れしています。
醤油以外に、タレには塩味や砂糖、ミリンを加えています。
スープは鶏のピュアな旨味をたしかに感じさせます。
ただし、濃厚な鶏の旨みがガツンと来るというよりも、もっと淡く感じると言った方が良いでしょう。
これには醤油ダレの大人しさも影響しています。
生醤油の旨みと香りが広がるというよりも、やや甘味のある醤油味がほどほどに効いているという感想。
鶏の3つの部位と鴨からそれぞれとった油をブレンドした鶏油。
スープの甘みやコクのアップに成功していますが、やはりベースの鶏スープと醤油ダレの「弱さ」を補うには至っていません。
濃厚な鶏と水のスープに、香り高い生醤油をブレンドすることから生まれる相乗効果。
この鶏清湯醤油ラーメンの醍醐味を生むには、もっとスープとタレそれぞれの旨味を増すべきでしょう。
しかし、化調を使って旨味を増幅する店があるなか、あえて無化調にこだわり、「今」出すことのできる味をそのまま提示している姿勢は潔いと言えるでしょう。
麺は「シロクロ」の細麺をそのまま使っています。
となると、カネジン食品製の切り刃22番、加水率35%の中加水ストレート麺でしょう。
「シロクロ」の「煮干らー麺(白)」「セメント煮干」にはピッタリだったのですが、鶏そばには少々麺が固めで、一回り太い印象。
ベストマッチといえなかったのが残念。
大判の豚肩ロース肉チャーシューは少し脂身が多く、あっさりとした鶏清湯スープに合わないかな?
その反面、火入れし過ぎたので、赤みがボソボソとした食感になっています。
「はなみち」ならではの極太メンマは、味付けが薄い割には、筋ばった固めの食感で、存在感があり過ぎ。
穂先メンマを使って欲しいところ。
一緒についてくる「鶏五目ご飯」。
鶏肉やニンジンなどの具が入っていますが、何といってもご飯が柔らかすぎ。
ご飯の量が多い反面、具が少ないのが残念。
私見では、「鶏そば」だけで十分。
現状では、スープや醤油ダレが弱い割に、麺やチャーシューが目立ち過ぎ、まとまりや完成度は今ひとつ。
それでも、豚骨ベースの濃厚なラーメンがメインで、化調使用が当たり前だった「はなみち」が、180度違うラーメンにチャレンジ。
きわめて短時間で、それなりのレベルの鶏そばに仕上げてきた小泉店主の意欲と力量を高く評価したいと思います。
これで終わることなく、今後も定期的に鶏そばに挑戦。
ブラッシュアップを重ね、いずれ「トイ・ボックス」に迫る鶏そば(醤油ラーメン)を完成させて欲しいですね。
それでこそ、ジャンクなラーメンと正統派ネオクラシカルなラーメンの両者を提供できる「懐の深い」名店になることができるでしょう。
甘口の節系つけ麺
9月18日(月・祝)
9月最初の3連休は、初日に江刺まで遠征。
2日目の日曜は、胃と財布のためのラーメン休養日。
3日目の本日は台風が通過。
午前中こそ、ものすごい風が吹き荒れたものの、午後には風も収まり、晴れ間も。
13時過ぎの遅い時間になったので、さっと行ける近めの店をチョイス。しかし、今日はすべて臨時休業。
そこで、15時まで営業している店を探して浮上したのが、「麺極 はなみち」(盛岡市前九年。バス停は「館坂橋」)。
2010年8月オープン。
「はなみち」という店名から、中野区野方の「味噌麺処 花道」と関係があるかに思いますが、全く無関係。
濃厚な豚骨醤油ラーメンと辛さ8段階の味噌ラーメンが人気の店。
それ以上に同店を人気店たらしめているのが、無料で食べ放題のライスと鶏の唐揚げ。
同店は、隣にある弁当や惣菜でも人気の「小泉精肉店」の息子さんが店主。
「小泉精肉店」一番人気の弁当「唐揚げ弁当」の唐揚げが昼営業では無料食べ放題とあって、近くの岩手大学の学生中心に人気爆発。
私は2010年8月のオープン後、一時足しげく通っていました。
いつも「つけ麺」ばかり注文。
当時、盛岡では魚介豚骨のスープに太麺という「またおま」系のつけ麺を提供する店が皆無。
「またおま」系つけ麺を提供する貴重な店として重宝。
その後、盛岡でも同種のつけ麺を出す店が増加。
それ以上に、私の嗜好が無化調淡麗系にシフトするにつれ、同店に行くことがいつしかなくなりました。
本日の訪問は6年ぶり。
しかし、淡麗系好きの私が「麺屋 わかな」「自家製麺 江刺家五大 杉の町店」「麺極 はなみち」と、最近4回中3回も濃厚なラーメンを食べているのはどうしたことか?
ちなみに、東北本線矢幅駅近くに4月にオープンした「煮干らー麺 シロクロ」の店主は、「麺極 はなみち」の出身。
さて「麺極 はなみち」到着は14時20分。
幸い営業中で、行列もなし。
店内に入ると、先客5名。
厨房に沿ったL字型カウンター8席に、小上がりには4人卓が2つ。
小上がりの2卓の間にライスの入った大きなジャー。
そして、食べ放題の鶏の唐揚げ。
客層は大学生から家族連れまで多様。
もっとも、濃厚系なので、私のような中高年のおじさんは少ないですね。
入ってすぐ左に券売機があります。
メニューは、大別すると以下のとおり。
①「ざ・はなみち」(月替わりの限定麺。9月は「肉みそまぜそば」)
②「らー麺 豚」(豚骨醤油。辛味入りの「赤」とマー油入りの「黒」)
③「味噌らー麺」(辛さは「アマメ」「フツウ」「カラミマシ」「シビレマシ」「ダブル」「ワルフザケ」「トラウマ」「サヨナラ」の8段階)
④「つけ麺」「辛つけ麺」「味噌つけ麺」
その他、「一撃醤油」「一撃RED」
「一撃味噌」など多彩。
私は、券売機一番下左端の「つけ麺」のボタンを押します。
念のために、麺量を確認。
厨房には店主と奥様らしきお二人。
回答は、並盛で茹で上げ前260gとのこと。
これなら、並盛で十分。
○「つけ麺」(750円)
私が「つけ麺」の食券を渡した直後、大学生7名がどっと入店。
あっという間に満席どころか、店内待ち発生。
ちなみに、「つけ麺」の食券を出すと、ひやもりとあつもりのどちらにするか尋ねられます。
私は「ひやもり」を選択。
「つけ麺」は太麺のため、提供まで10分以上かかります。
最初に「つけ汁」、その後すぐに具が麺の上にのって提供。
麺はカネジン食品製の平打ち太麺。
麺線が実にきれいに揃えられています。
平打ちですが、麺の厚さが結構ある黄色っぽい太麺。
小麦の香りはあまりしませんが、ツルツルとしてモチモチの食感。
コシが適度の多加水麺は、喉ごしが良く、つけ麺用の麺として文句なし。
具は、豚バラ肉の甘煮。
それに太めのメンマが3本。
つけ汁は一般の魚介豚骨醤油スープの茶濁色よりも、もっと醤油の琥珀色が強いもの。
かつての「麺極 はなみち」のつけ汁は典型的な「またおま」系。
魚介豚骨のドロドロとしたスープでした。
それが、シャバ系のさらっとしたスープに変わりました。
つけ汁には、みじん切りの青ネギが
振りかけられているのみ。
豚骨スープに鰹節を主とする節系を強くきかせ、さらに醤油のカエシを合わせ、魚粉も加えています。
節系や醤油の味がメイン。
しかし、節や醤油以上に目立つのが、つけ汁の「甘さ」。
ミリンか砂糖が入っていると思われるつけ汁は、とにかく甘いの一言。
せっかくの節や醤油の旨味も、圧倒的な甘さを前に影が薄くなっています。
当初の「麺極 はなみち」のつけ汁は粘度が強烈でしたが、「甘かった」
という記憶はありません。
豚バラ肉も、甘く煮込まれ、太いメンマもシャキシャキとした食感ですが、味付けはやや甘め。
せっかく麺が美味しいのに、つけ汁が甘く、これにバラ肉やメンマの甘味が加わる甘味の三重奏。
シャバ系で甘口のつけ汁は、やはり考えもの。
繰り返しますが、以前の同店のつけ汁はドロドロした「またおま系」。
濃厚すぎて胃もたれすることはあっても、甘さに閉口することはありませんでした。
支店であるつけ麺専門店「つけ麺 はなみち」の味と差別化しているのでしょうか。
麺を食べ終えたあと、割りスープをお願いします。
すると、すっかりさめたつけ汁にスープを加え、電子レンジで加熱。
青ネギのみじん切りを追加。
熱々のスープにして戻してくれます。
こうした細かい気遣いや丁寧な接客。
以前は気になった店内の豚骨臭は消えていました。
換気が改善されたようです。
それだけに、「つけ麺」に限りますが、つけ汁の過剰な甘味は残念。
鰹節や醤油の旨味は現行のまま。
その上で、甘味を抑え、スープにもう少しとろみを加えてくれれば、麺やバラ肉、太めのメンマとマッチしたバランスのとれたつけ麺になるでしょう。
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hidey803164
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店名 |
麺の極 はなみち
|
---|---|
ジャンル | ラーメン、つけ麺、油そば・まぜそば |
お問い合わせ |
019-647-1432 |
予約可否 |
予約不可 |
住所 | |
交通手段 |
青山駅から1,359m |
営業時間 |
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
予算(口コミ集計) |
~¥999
¥1,000~¥1,999
|
支払い方法 |
カード不可 電子マネー不可 |
席数 |
10席 (カウンターのみ) |
---|---|
個室 |
無 |
貸切 |
不可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
有 正面に5台程度、お店の裏に20台 |
空間・設備 | カウンター席あり |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
公式アカウント | |
オープン日 |
2010年8月4日 |
初投稿者 | |
最近の編集者 |
|
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6月27日(土)
明後日に東京への引っ越しが迫る週末。
週末と言えば、「麺の極 はなみち」(盛岡市前九年)の限定麺「ざ・はなみち」の提供日。
前回「ざ・はなみち」を食べたのは5月17日。
それ以降、「ざ・はなみち」で煮干しは登場せず。
東京に行く前に「はなみち」の「煮干し」が食べたいと思い、期待をもちつつ、11時過ぎにTwitterをチェック。
すると、今週末の「ざ・はなみち」は「濃厚煮干つけ麺」。
つけ麺専用に新たに投入した切り刃が使われるという。
これは行くしかないと即断即決。
すぐにタクシーで舘坂橋の「はなみち」に向かいました。
○ざ・はなみち「濃厚煮干つけ麺」(850円)
11時40分、「はなみち」の店前につくと、外待ちはなし。
念のために、ガラス戸越しに店内を覗くと、L字型のカウンター11席は満席。
その後ろに店内待ちのお客がびっしり。
列は、入口に近い券売機まで延びている。
かなり「密」な状況。
そこで、店外待ちすることに。
私のあとにすぐに後続客が並びます。
まもなく食べ終えたお客が数人店を出てきたので、再度店内を覗くと、店内待ち客の数もリーズナブルに。
そこで入店。
券売機で「ざ・はなみち」の食券を購入。
店内待ちの列に加わります。
すぐにスタッフが店内待ちのお客から食券を収集。
約15分の待ち時間後、席に案内されます。
今回の麺は極太麺で、茹で時間10分。
気長に待つことにします。
そして約10分後、小泉店主から「濃厚煮干つけ麺」の麺とつけ汁ののった盆を渡されます。
このとき、すかさずつけ汁のスープについて確認。
豚骨スープに伊吹いりこを炊き込んだ濃厚煮干しスープ。
つけ麺を見ると、まず麺の入った丼には、極太の艶々とした茶色っぽい角ストレート麺が綺麗に盛り付けられ、惚れ惚れするビジュアル。
海苔が1枚添えられます。
つけ汁は、ドロッとした灰色のスープ。
まさしく濃厚なセメントスープ。
中央に輪切りや小口切りのネギが浮かび、ラー油が辛味として振りかけられています。
小さな海苔に魚粉がたっぷり置かれる懐かしいスタイル。
枕木メンマがつけ汁のなかに3本潜み、薄くスライスされたロゼカラーの大判の豚肩ロース低温蝶理チャーシューが丼の端に立て掛けられ、先端がつけ汁に浸っています。
「はなみち」は切り刃12番で自家製麺をスタート。
その後、18番の切り刃を導入。
さらに最近つけ麺専用の10番の切り刃が加わりました。
この最新の切り刃(10番)を使った極太麺。
約10分茹でたあと、氷水で締めた麺は極太の角ストレート麺。
加水率は40%の多加水麺。
瑞々しく艶のある麺。
茶色っぽい色からも、全粒粉が練り込まれているのが分かります。
まずは、麺を少々食べてみます。
太くて角型が食感からも分かる麺。
しっとりとした麺で、硬質感(ソリッド感)満点の噛み応えのある麺。
噛むごとに、麺に練り込んだ全粒粉が効き、小麦の香りが炸裂。
つけ麺用の麺としては、もっとモチモチ感が欲しいと思う方もおられるるかも知れませんが、濃厚なつけ汁には、ソリッドな食感の極太麺が最適。
麺量は250g。
豚骨ベースに伊吹いりこをメインの煮干しを炊き込み、ドロドロに仕上げたセメントスープのつけ汁。
レンゲでトロみのあるつけ汁を飲んでみると、まずは強い塩気。
そして、程よい苦味とエグミに微かな甘味をときおり感じる強い煮干し感。
それにラー油の辛味が混じる中毒性の高い旨味抜群の煮干しつけ汁。
動物系不使用の同店の「純煮干し」スープに比べると魚感こそ控えめですが、代わりに豚骨のコクが加わり、煮干し感が強いながら、見た目のワイルドさの割には飲みやすいスープ。
旨味やほのかな辛味が塩気を凌駕。
塩気はむしろ煮干しの旨味を引き立てる存在に。
先に「純煮干し」に比べ「魚感」が控えめと書きましたが、海苔の上に置かれた魚粉を溶いていくと、「純煮干し」には及びませんが、「魚感」が徐々に高まります。
濃厚なセメント煮干しスープに、しっとり感のあるソリッドな極太麺を潜らせ食べるのが、「濃厚煮干つけ麺」の醍醐味。
しかも、つけ汁は無化調。
250gの麺量も、麺が太いので、食べ終えるのはあっという間。
具の豚肩ロース肉低温調理チャーシューは、肉の旨味やチャーシューの香ばしさを満喫できる味や柔らかい食感が秀逸。
短く太い枕木メンマは、シャキシャキした食感で、やや甘めの味付け。
スープ割りがないので、麺と具を食べたあとは、残ったスープをそのまま飲み、濃厚なセメント煮干しの旨味を満喫。
盛岡を離れる直前に、「はなみち」の無化調「濃厚煮干し」を食べることができ、満足。
自家製麺のグレードアップも確認でき、収穫のある訪問でした。
つい先ほど「はなみち」のTwitterを見たら、「明日は同じスープでラーメンにするかもしれません」という小泉店主の意味深な発言。
明日も行き、今度は「濃厚煮干ラーメン」を食べたいところですが、残り2日とあっては、明日は明日で行く店があるのです。
もっと、盛岡に居たかったなぁ!