大陸的な味のお肉と、金沢の新鮮魚介の双方が味わえるビストロ : ビストロ パザパ

前回お邪魔した時にも素朴で直球のお味のお料理の数々を楽しませてもらった。今回のお邪魔では前回と違うものを頼もうと思っていたが、リエットは好物なのでこれは前回通り。バゲットがついてくるというのがポイントが高い。この日注文したのは、

・鴨と豚のリエット（バゲット付き）
・太刀魚の冷製　ラピゴットソース
・万寿貝、ホタテ、大黒しめじの香草パン粉焼き
・キンメダイのポワレ
・鴨のリエット
・グランマニエ風味のチョコレートケーキ、イチジクのアイスクリーム

太刀魚は一度炙ったものに、ラピゴットソースという野菜のソースをかけたもの。このソースがさっぱり感を強調。魚介としめじの香草パン粉焼きはこの日一番興奮した一品。一度軽く火を通してから香草パン粉と白ワインをたっぷり振ってオーブンへ。焦げた香草パン粉と白ワインが最高のソースになる。隣のお客様も「あれぜったい美味しいよね」と追加注文されていた。キンメダイのポワレはラタトゥイユがたっぷり。ここでもハーブを使ったソースで、思いのほかさっぱりといただける。鴨のリエットはビストロの定番。一本一本、お肉の繊維をほぐしながらいただく。デザートのチョコレートケーキに添えられていたイチジクのアイスクリームが、違和感のない味に仕上がっているのが驚いた。

お店の看板はジョージア料理ということで、胡桃やハーブを使ったお料理が多いのだが、日本人向けのアレンジがしっかり入っているので、必ずしも現地のものと同じというわけではないのだそうだ。グループでいらした皆様には豪快なお肉のローストの盛り合わせが出ていて、これがとっても美味しそうだった。ふらっとやってきて好きなものをアラカルトでいただいても良いし、グループでワイワイとお肉をつつくでも良いし、ジョージアワインとのマリアージュを楽しむのもまた良い。

美味しいものがお腹いっぱい食べたいなーと思った時に気軽に足を向けられるビストロ。また伺います、ごちそうさまでした！

出張の帰り。家に帰って食事の用意も億劫なので外食にする。でも遠出もしたくないし近場がいいなあとあれこれ調べていたら、ジョージアの日本大使公邸料理人が始めたビストロがつい最近オープンしたとのこと。これは面白そうだ。

…はにゃ？（これがわかる人はたぶん４０代以上）ジョージア料理？……グルジアって言ってたよね？お相撲さんの栃ノ心関？……知識ゼロ。だからよいのだ。行ってみよう。

場所は金沢２１世紀美術館の裏手の通り。お気に入りのビストロ『アンサンブル』さんからもう少し入ったところ。青いファサードでよく目立つ。予約をしておいたカウンター席にお邪魔する。

今日のおすすめのメニューと、ご主人のおすすめのメニューを取り混ぜて注文。「うちは一人分のポーションが大きいので、仰っていただければ調整します」とのこと。初めて伺うお店で、量を尋ねるのは気が引けるし、大きくしてとか小さくしてとは言いづらいところがあるが、これをお店の方から言ってもらえると気持ちも楽になるし、色々食べたかったのでこれはありがたい。

というわけで頼んだのは、

・鴨と豚のリエット（バゲット付き）
・カマスの炙り　フェンネルのソース
・ヒラメのポワレ　ズワイガニのビスクソース　加賀太胡瓜と金時草
・ハルチョー（牛肉と胡桃のトマト煮込み）
・オレンジのタルトにキャラメルアイス

鴨と豚のリエットにはバゲットが２切れ。確かにリエットをバゲットにたっぷり塗って食べるととっても美味しいが、これがセットで出てくるお店は案外ないように思う。リエットは繊維がしっかり残って、いい意味でお肉感たっぷり。脂がしつこくなく、塩味も控えめなのでバゲットに塗って食べるとこれは食が進む。
カマスの炙りは今日のおすすめメニューだった。しっかり脂がのったカマスを炙って、香草のソース。カマスは水分の多いお魚なのでこうやって火を通したほうが味が引き出されて美味しい。付け合わせのお野菜もいろいろ入っていてサラダ感覚でいただける。
お魚はお任せのポワレにした。鮃のポワレに、ソースがなんとズワイガニのビスク。付け合わせには加賀野菜の加賀太胡瓜と金時草。加賀太胡瓜を付け合わせにしたお料理は初めて。金沢人としては、幼少の砌からこの時期にはじゃがいもと加賀太胡瓜のあんかけを飽きるほど食べさせられているので、こんな風になるのかーという驚きがあった。皮目がパリハリ、身がふんわりのヒラメに、濃厚なズワイガニのビスクソースを絡めると、口の中が完全に海。蟹に火を通しすぎると出てくる臭みもゼロ。純粋にうまみがググッと濃縮されている。加賀太胡瓜もズッキーニのような感じになっていて違和感がない。さっぱり＆こってりのコンビネーションが絶妙！
お肉はジョージア料理という牛肉と胡桃のトマト煮込み。ハルチョーというらしい。現地ではタイ料理のトムヤムクンのようなスープ料理とのこと。それを煮込みにアレンジされたのだそうな。とろけるように柔らかい牛肉に、たっぷり入った胡桃が独特のコクや甘み、渋みなどを加えている。トマトがベースなので、ハッシュドビーフに近い感じかな。とっても食べやすい。白いご飯が欲しくなる。デザートにはオレンジのタルトとキャラメルアイス。焦げて甘くなったオレンジがおいしい。キャラメルアイスも苦すぎず甘すぎずさっぱりといただける。

気さくなマスターもカウンターの中から色々話しかけて下さり、ジョージア料理の面白さを教えてくれた。お肉料理から感じる大陸的なワイルドさと、お魚料理から感じる日本のフレンチの繊細さ、その両方のいいとこどりで楽しめるお店。今度はもう少し遠慮せずにしっかりしたポーションでいただこうと思う（笑）。

また伺います、ごちそうさまでした！