加賀文化の美意識を見事に体現した、超絶技巧のモダンスパニッシュ！！ : レスピラシオン

日本が世界に誇る美食都市、金沢。料亭・お鮨が有名ですが、フレンチなどでも名店が軒を連ねています。今回お邪魔したのは、いま話題のモダンスパニッシュ「respiracion」さん。

金沢市を含む石川県は5月9日から独自の「石川緊急事態宣言」を出していましたが、新たに金沢市が「まん延防止等重点措置」の適用（5月16日から6月13日まで）となり、酒類提供の自粛を求められることに。ラッキーなタイミングでの訪店になりました。

金沢らしい風情のある築50年の建物に入り、ウェイティングルームに。今年（2021年）物置に使われていた蔵を改装したお部屋とのこと。

お料理は全員揃ったところで一斉スタートなので、全員が揃うのを、この部屋で待つのですが、当方は最後でした。開始時間より少し早めに着いたのですが、皆さんお早いです。

ここで、加賀棒茶に紅茶アッサムをブレンドしたお茶を頂戴して、落ち着き？ます。なかなかに良いお味です。
テーブルはオーナーさん三名を象徴した「三山」の隆起だそうで、面白いですね。

さて、冒頭触れたようにアルコールOKなので、ペアリングにするか、ボトルを入れるか・・・ワインリストをお願いすると、リストはないとのことで、ソムリエさんのご登場となりました。

お話を伺うと、ペアリングがよさそうだったので（コスパも良い？）、9種類のペアリングをオーダー。フランスものを中心に、9種類の提供です。

●当日のメニュー

1.【Impact】甘エビ
　同店のスペシャリテの一つでしょうか。皿代わりの説明文に詳しく説明されていますが、石川県産の甘エビの旨さを最大限に引き出した、驚くべき（インパクトのある）逸品でした。

2.【Ostra】岩ガキ
　岩ガキの下には新タマネギとホエーの、上には魚の出汁とクリームのソースがかかり、花山椒のオリーブオイルで仕上げる。素晴らしい！
　
　◆お口直し
　二品終わったところで、お口直しにガスパッチョ（トマト）スープがオリーブを垂らして供されます。
　
3.【Guisante la grima】ギサンテラグリマ　七面鳥/スナップエンドウ
「ギサンテラグリマ」はバスク料理で有名なのですね。私は存じ上げませんでした。七面鳥がこんなに美味しかったかな、という印象です。
　
4.【Pil-Pil】ピルピル まはた/カリフラワー
「ピルピル」も有名なバスク料理。通常、タラのオリーブオイル煮ですが、こちらはマハタです。大好きなカリフラワーソースに、なんと炭化させたユズをトリュフのように振りかけます。

5.【Ensalada de espárrago】アスパラガス/バイガイ
　生アスパラとバイガイにニンニク＆アーモンド効いたソース、それにタケノコが添えられます。当然アスパラは美味ですが、タケノコも美味しい！
　
6.【Arozz con leche】黒龍/羽咋（はくい）自然米
　日本酒「黒龍」が香る「お米料理」。福井のお酒を持ってくるのは少々、意外でした。兼六園を見立てたプレゼンテーションが美しい！
　
7.【Pescado】サワラ
　なんと8キロのサワラを「3週間熟成」させた逸品で、ソースも絶妙！お魚の火入れは難しいですが完璧でした。
　
8.【Ciervo con verduras de temporada】日本鹿
　能登産の鹿肉に、ウドとコゴミの付け合わせ。こちらも完璧な火入れでした。
　
9.【Chipirones】ホタルイカ
　やはり北陸といえばホタルイカ。パエージャで頂戴します。アイオリソースも美味です。
　
　◆締めの一品
　デザート前に、毛ガニのアロスが！
　
10.【Fresa y Fukinoto】イチゴとフキノトウ
　フワッとした、すぐに溶けてしまう、メレンゲの食感。言葉にならない美味しさです。
　
11.【Terta citrica】デコポン
　言わすと知れた、熊本の登録商標「デコポン」。柑橘系のケーキで締めくくり。

最後にミニャルディーズ（スペインでどう表現するか分かりませんが）四品が提供されます。ハーブティーもお味もさることながら、美しいプレゼンが心地良いです。

●当日のワインペアリング銘柄

A.【シャンパーニュ】レミー・マッサン スペシャル・クラブ ピノブラン2014
　ピノブランを使ったシャンパーニュは、飲んだ記憶がありません。なるほど、こういうお味なのですね。
　メニューの１と２とペアリングです。
　　
B.【オーストラリア】ソレンバーグ　ガメイ
　３のギサンテラグリマに合わせます。オーストラリアのガメイもなかなか良いです。
　
C.【フランス・ロワール】サンセール　サン・フランソワ　2017 アンドレ・ヴァタン
　４のピルピルに。サンセール好きにはたまりません。
　
D.【フランス・ラングドック】シャトー・ド・ラ・スジョール マルペール2017　ジェラール・ベルトラン
　ロゼで５の生アスパラに。
　
E.【イタリア】コスタ ダマルフィ フローレ ビアンコ フィオルデューヴァ マリーザ クオモ2018
　絶品サワラ（７）に合わせるのはアマルフィ。三つの土着品種からなる白。なかなか良いです。
　
F.【フランス・ローヌ】シャトー　ヌフ　デュ　パプ　ル ヴュー ドンジョン
　大好きなシャトー　ヌフ　デュ　パプと鹿肉（８）。鉄板のマリアージュでした。
　
G.【スペイン】コマンド・G　ラス・ウンブリアス
　ガルナッシャ（グルナッシュ）
　ここでやっと？スペインへ。ホタルイカのパエージャ（９）にはこれしかない、ですね。
　
H.【スペイン】ゴリアルド・ア・テレイラ
　リアス・バイシャスのアルバリーニョ。締めのアロスには、やはり合います。
　
I.【南アフリカ】ヴァン・ド・コンスタンス2016　コンスタンシア・エステート
　ここでこの銘柄が出てくるとは驚きです。さすが至宝の甘口ワイン。デザートと抜群の相性でした。

加賀の伝統工芸に通底する美意識を、図抜けた技術力で表現した素晴らしいお料理でした。こういうお店が存在するのは、やはり金沢の歴史の厚み、懐の深さでしょうか。さらに言えば、コスパも素晴らしい！

今後、さらに素晴らしいステージに昇っていくのは必然でしょう。
今回、運良く予約を取れましたが、今後、一層に予約困難なお店になりそうです。ほとんどが県外客だそうですし。

改めて、梅達郎シェフに感謝です。
お土産のスペイン伝統菓子「ポルボロン」も有り難うございました。
また、お邪魔したいです。

御馳走さまでした！！！