広がる海、波の音… 五感で楽しむカフェランチ : カフェ&ダイニング 海音

すっきりとした青空が広がる今日は、広がる海を前にカフェランチを楽しみたい。ということで訪れたのが “CAFE&DINING 海音” さん。海音と書いて “シーネ” と呼び、アルファベット表記では “sea・ne” と書く。海音さんは “うのしまヴィラ(※)” の施設の一部で、基本的には宿泊客の夕食及び朝食の場であるが、昼間のランチ＆カフェ時間は誰でも予約無しで利用できる。通称 “鵜の島” がある太田尻海岸を前に建つ黒い二階建は、うのしまヴィラのフロント棟。海音さんは入口を入って左奥、広がる海を見ながら、そして波の音を聞きながら食事を楽しむことが出来る。

日立駅からシーマーク(商業施設の名前)行きバスに乗って終点まで約15分、そこから歩いて約10分。時間的にはそれ程かからないが、本数が少ないので帰りのことも含め注意が必要だ。

かなり早めに着いたので、周辺散策も含めて時間を調整し開店10分前に到着。既に二組が入口から離れた場所で待っている様子。記名して待つ方式では無いようなのでフロントで確認すると、お一人様で賜りましたとのことで一安心。開店時間の11:30間際になると車が次々にやって来てお客さんが一気に増えたが、誰も列を作る様子が無いところを見ると皆予約済みなのかもしれない。

順番が来て入口を入る。明るい色の木で組まれた天井の高い建物は、内装も綺麗で気持ちが良い。海音さんの特等席は奥の突き当りから右に続くスペースの窓際の列。もちろん海が良く見える席だ。自分が案内された席は窓際から一列離れているが、それでも十分気持ちが良い。

メニューには魅力的な料理が7種類並んでいたが、気分に従い下記を注文した。
□特製和風ハンバーグ (一口発酵スムージー・季節のサラダ付) (1540円)
□ドリンクセット／オレンジジュース (330円)

■特製和風ハンバーグ，オレンジジュース
▨一口発酵スムージー
注文して間もなく、エスプレッソほどの分量の “りんごとマンゴーの発酵スムージー” が供された。食前酒的な位置付けだろう。発酵させてあるためか、とろみと共にふわっとした感じがする。喉越しに少し抵抗を感じるが、果物の甘みが美味しい。もっと飲みたいと思わせる一品は、食欲を引き出す効果を十分発揮したと言えるだろう。
▨季節のサラダ
次に供されたのは葉物類、紅芯大根、ポテトサラダなどで構成される季節のサラダ。ドレッシングは醤油豆など醤油ベースの自然な旨味が感じられるもの。またポテトサラダには粒マスタードが混ぜられているようで、酸味がほんのりと効いていて旨い。何れもくどさやしつこさが無く、幾らでも食べられそうな味わい。発酵食品がここでも大活躍だ。
▨特製和風ハンバーグ
青みを含んだ灰色の大きな皿の中心に紅芯大根のすりおろしが乗ったハンバーグ、そしてその周囲を色とりどりの野菜が囲むように配されている。彩りが実に美しい。タレは酢を効かせた醤油ベースで、さっぱりとした味わいだ。
まずはハンバーグから。切って断面の様子を見る。溢れるかと思った肉汁はほとんど出て来ない。脂身の少ない部位の挽き肉を使用しているようだ。やはり健康への気遣いなのだろう。何も付けずに一切れ食べる。肉汁は少ないながらパサツキ感は無く、ねっとりした感じのやや淡白な味わいである。ところが次に断面をタレに浸して食べてみると、これが実に相性が良く、美味しい和風ハンバーグとなった。皿の中央にタレがたっぷり入っていることからもこの食べ方が正解のようだ。タレを吸った大根おろしが肉の旨さを引き上げ、その上に添えられた大葉の千切りが爽やかさを演出する。刺身やパスタにも合う大葉は本当にいつでも良い仕事をしてくれるものだ。
次に野菜を順に食べていく。蓮根はシャキシャキと甘い。黄パプリカは柔らか。ナスはねっとりとして肉感があり、フライドオニオンは甘く軽やかだ。ブロッコリーは小ぶりな房と長い茎が特徴的。市場に出回るよりもかなり早摘みなのだろう。とても柔らかく瑞々しい。かぼちゃはホクホクではなくねっとり。これだけでデザートになるような強いコクと甘みが印象的だ。どの野菜も素材の良さが感じられ、タレとの相性も抜群だった。
再びハンバーグへと戻り、ご飯と共にゆっくりと味わっていく。噛んでいくほどにご飯の甘みが増し、口の中でたまらない美味さが作り出されていく。すべてを食べ終えた時、正に適量とばかりタレがちょうど無くなった。
何という食後感の良さだろう。体に良いものだけを取り入れたような感覚が体の中から自然に湧き上がってくる。最後にオレンジジュースを頂き、体も気分もすっきりして席を立つ。^⁠_⁠^

景観、雰囲気、素材、味、量、食後感のすべてにおいて満足したランチとなって気分は最高。会計後、フロント前の茨城の魅力を発信するコーナーに展示されていた笠間焼のカップなどを拝見する。珈琲を淹れて試したいと以下を購入した。
□みずのくみこさん作 コーヒーカップ (2200円)
□横山知加子さん作 カップ (1980円)

海を見て、波の音を聞き、体に良い食材の香りと味に浸り、木の温もりや焼物の質感に触れる、正に五感で楽しむひと時は、即ち体の調子を整えてくれる癒やしの時間。うのしまヴィラの CAFE＆DINING では、そんな素敵なおもてなしが待っていた。(⁠^⁠ ⁠^⁠*⁠)⁠/

帰りのバスまで1時間半。気温は低いが風は無く、日差しが意外に強いのでじっとしているととても暖かい。気分も良いのでシーマークでゆっくり買い物でもしてのんびりと帰ることにしよう。(⁠˘⁠⌣⁠˘⁠ ⁠)


※ うのしまヴィラ
1959年創業の鵜の島温泉旅館が2011年の東日本大震災で津波の被害を受け、その後3年をかけ再建。2014年4月にうのしまヴィラとしてオープン。
海音さんは日本野菜ソムリエ協会の認定を受けたレストランで、地元の野菜、水産物、畜産物にこだわった料理を提供する。杉の木に囲まれた開放的空間の館内から大きな窓越しに見る太平洋は抜群の眺望であり、同時に耳から入る海の音が心地良い。
館主は野菜ソムリエの資格を持ち常陸野菜に精通しているだけでなく、茨城観光マイスターの最上グレードであるS級の認定を受けているとのこと。
オープンからまもなく10年、うのしまヴィラさんは再建に込めた思いと茨城ならではのおもてなしに満ちた宿泊施設として、長く皆に愛されていくことだろう。