ここホントに旨いよ！ : WA

【2015.10.10再訪】
この季節になるとサンマの刺身が無性に食べたくなる。とはいえ本当に新鮮なものはなかなか手に入らないし、自分で捌くのも骨だ。ひょっとして WA に行ったらメニューに出てるんじゃないか・・・？ 買い物帰りに妻と娘を連れて寄ってみた。期待は裏切られなかった。

サンマの他に、イナダと「白イカ」の刺身もとった。ちなみにサンマとイナダは390円、白イカは590円と、相変わらず「冗談だろ？」と言いたくなるような値段である。これで量は一人前きっちり出てくるのだ。

サンマは期待にたがわず脂がのってたいへん旨かった。白イカは剣先イカの仲間だそうだが、やはり軽妙な歯ごたえが堪能できて旨みも濃い。しかし一番驚いたのはイナダである。「硬さ」さえ感じるようなコリコリした食感があり、噛みしめると立ちのぼる脂の香りがじつに軽やかだ。フロアの方のお話では、今朝たまたま非常に鮮度の良いイナダが入って、まだ「死後硬直」（その表現ちょっとリアルすぎるよ、お姉さん）が解けていない状態だとのことだった。

こんな魚に出会えるからこの店は面白い。これで訪問は４～５回目になるが、なんか来るたびに刺身の質が上がっている気がする。今後が楽しみだ。

あと、前に寿司のワサビが粉ワサビだったと書いたが、今回行ってみたらワサビが大幅にグレードアップしていた。鮮やかな萌葱色で、箸の先につけてほんのちょっと醤油にひたし、口に含むと清冽な辛みがツンと鼻に抜けてスッと消える。これだけでいくらでも酒が飲めそうだ（笑）。これはまさか、皮をむいたワサビ根を自分のとこでおろしてるのか？ ・・・今度聞いてみよう。

〆に松茸の土瓶蒸しをとった。けっこう大きく切った松茸がいくつも入っているし、魚介類やギンナンも入って旨い。しかし・・・以前うどんを食べたときにも思ったが、この店は出汁がいま一つなのである。もちろん味加減はきちんと整っているのだが、出汁の風味そのものに広がりや奥行きが不足している気がする。もっともこの土瓶蒸しにしても690円という驚異的な価格である。これ以上を求めるのも何なのだが、他のレベルが高いだけに「あと一歩」と思ってしまうのだ。

今回は車なので酒を飲んだのは私だけである。純米酒「白瀧」はまろやかで秋の味覚によく合っていた。妻と娘はこの店の「超強炭酸水」（だったか？）がお気に入りだ。デキャンターで頼むと310円でタンブラー２杯半ほど出てくるので、こっちとしても大いに助かる。妻の弁によればウーロン茶などより刺身に合うという。お試しあれ。

買い物帰りの短い訪問だったがたいへん楽しめた。また近いうちに伺いたい。

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妻と２人でふらっと訪れた。２度目である。前回、ご主人が寿司屋で修業したのち独立したという話をうかがっていたので、今回はメニューボードにある寿司を食べてみたいと思っていた。

とりあえず４種類を２カンずつ握ってもらったが、どれもネタがよく、仕事もしっかりしている。マグロも悪くなかったし、ヤリイカはねっとりとした歯ごたえで甘みがあり、シメサバは脂がのっているのに締め加減が適切でクセがない。アンキモはぜんぜんくさみがなく、口の中でさらっとほどけるようだった。シャリも甘さが控えめでよく合っている。唯一難点をあげるとすればワサビが粉ワサビだったことか。まあこの値段では無理ないだろう。

酒は「黒龍」をとった。これも旨い。吟味して選んであるのだろう。

次は何にしようか、と思っていたら、「極上釣アジ」というのが目についた。聞いてみると北海道で一本釣りしたのを仕入れたもので、普通のアジとはまるで違うという。注文すると「まず刺身でお出しして、２カン分を握りにしましょうか」と嬉しいことを言ってくれるので、そのようにお願いした。

まず刺身が運ばれてきたので、口に入れてみてホントに驚いた。まるでヒラメか何か食べているようなコリコリした歯触りなのに、ブリにも劣らぬほど脂がのっており、しかも少しもくどさやクセがない。たしかに普通に寿司屋で「アジ」として出てくる魚とは別次元だ。もちろん寿司も最高だった。

この「極上釣アジ」が、刺身と寿司にしてもらって500円ちょっとと、とにかくやたら安いのである。メニューボードを見直すと「カキフライ 500円」というのがあった。今のアジが500円ていどならこのカキフライはどんだけ出てくるんだ？ と思って聞いてみた。

「このカキフライは何個ぐらい出るんですか？」
「１個です。」
「え？」
「１個です。」

まごつく私に、ご主人は冷蔵庫から、掌に乗りきらないほどの巨大な殻つき牡蠣を出してきて見せた。「これを開いて丸ごと揚げてお出しします。」

これを見ては後に引けない。「・・・じゃあ、それを２つ。」

これはもう詳述するまでもないだろう。出てきたカキフライはマジで拳ほどの大きさで、ハフハフしながらかぶりつくと熱くて旨い汁が口いっぱいに広がった。間違いなく１個で500円以上の値打ちがある。

ここまで夫婦２人で、寿司とアジとカキを食べ、酒を２杯ずつ飲んで、計4,500円！ 信じられないほどのコストパフォーマンスの良さだ。

ただ、どうしても気になるのが店の雰囲気だ。テーブルや椅子はまるで学食みたいだし、百均で買ってきたようなチープなクリスマス飾りがあちこちに飾ってある。少なくとも女性が入りたいと思う内装ではない。「立ち呑み」なんだからいいじゃないか、とおっしゃるかもしれないが、せっかくこれほどレベルの高い酒と肴を出しているのに、これは少々惜しいのではないか。

ともあれ、ここは本当にいい店である。上述のように料理や酒は最高だし、厨房からいつもニコニコして話しかけてくれるご主人も、フロア担当の女性もたいへん感じがいい。ついでに言っておくとサービスで出してくれた自家製の糠漬けもとてもおいしかった。

今後もぜひちょくちょく顔を出したいと思っている。