人気店になったんですね : そば家　和味

　「石切山脈」が見たくて、１０連休の初日に出かけて来ました。
　ガイドさんに案内してもらったので、見学に時間がかかり、１２時を過ぎてしまい、では蕎麦でもと近場を検索。
　出たのは「のざわ」と「和味」。「のざわ」は５０号沿いにありましたが、満車で停められず。
　では、また車を走らせ笠間市内に入る手前で左折。道なりに進んで到着。以前寄ったことがあるので、かなり奥だとは思っていましたが、初めてだと少し不安になるかもしれません。
　ここも満車ながら、タイミングよく１台空いたので、停められました。

　玄関はぐるっと回って南側の庭に面した所です。左の小さな建物が、以前は製粉をしていましたが、今はどうなのか分かりません。
　玄関の前にノートが置いてあり、記帳するようになっています。私たちが書いた前には一組だけでした。
　ちょうど、女将さん（違うかな？）が出てきて、私たちしか待っている人がいないのを確かめると、店内に案内されました。廊下の三人席だそうです。

　内廊下を挟んで右が厨房、左が8畳ほどの座敷を二つ明け放し、卓が6人掛けが２、４人掛けが３、それに廊下が１、3組には、まだ蕎麦が来てません。これは、待つな、と覚悟しました。そう、以前も待ったような気がしてきました。
　庭を眺めたり、本を読んだりして、ひたすら待ちます。

　頼んだのは、「せいろ」と「野菜天せいろ」。おろし蕎麦はありますか、と尋ねると、薬味に辛味大根が付いています、というので、ではそれで良いです、と頼んでみました。
　うーん、女将さんこんな感じだったかな、と少し記憶があやふやになっていますが、物腰の柔らかな丁寧な方ですね。

　さて、座ってから、45分、ようやく蕎麦が運ばれてきました。
　笊に盛られた蕎麦は、少なめに見えますが、いやいや、どちらかと言えば盛は良い方ですね。
　麺線は揃っています。茹でた加減なのか、エッジは少しボケている感じがします。
　やや太目で、しっかりとした食感です。噛み絞めると言うほどではありませんが、固めですね。
　10割という感じはしません。つなぎに強力粉を使っていると言われても、そうだろうな、という感じがします。
　
　ここも、自家製粉の落とし穴にはまった蕎麦になってしまっているのかもしれません。
　落とし穴と言うのは、10割でつなぎ易い蕎麦粉に製粉してしまうことです。つなぎ易い蕎麦粉は、味が薄くなってしまいます。
　味や香りを追究する蕎麦屋さんは、つなぎ難い蕎麦粉に挽いて、つなぎを使っていますね。まあ、これは考え方の違いですから、どちらが正しいとかではなかもしれませんが、私は味香りが濃い蕎麦が好きです。
　決して10割だから良いとは思いません。

　汁はやや薄めで、宗田節の香りが残る感じです。汁に蕎麦をどばっと漬けて食べる蕎麦ですね。
　季節の変わり目だからなのか、それとも「茨城岩瀬」産だからなのか、香りも味も薄い蕎麦でした。
　以前来た時も、こんな感じだったかもしれないな、と思い出しました。

　薬味は葱とほんの小さな大根おろし。葱はどういう訳か、細かく刻まれており、晒し過ぎなのか、何の味もしません。大根おろしは、辛み大根の訳でしたが、いや、ただの大根、辛みどころか、大根の味さえしません。

　天ぷらは後から運ばれてきて、筍とリンゴの天ぷらが入っているとの説明でした。
　筍は旬ですから、期待したのですが、何の味もしません。アクを取り過ぎて、旨味も消えてしまったのかもしれません。他には蓮根とインゲン、椎茸、パプリカ。
　リンゴはただ甘いだけで、柔らかすぎです。紅玉のようなリンゴなら、天ぷらでも良いと思いますが、王林系はいただけません。
　てんぷら粉のせいか、カリッとし過ぎで、旨味が少ない天ぷらでした。唯一パプリカは、らしい味がして、美味しかったですね。
　蕎麦も野菜も薬味も、全て薄味ですね。多分、有機食品や野菜など、気を使われている店のようですが、味が薄いのは、有機以前の事だと思います。

　そうそう、女将さんは、厨房に入っている方ですよね。
　店主は見覚えがあります。元気そうですね。

　帰って調べてみると、以前寄ったのは、なんと10年前になるのですね。
　その頃は、まだ、それほど賑わってはおらず、色々とお話を伺ったことを思い出しました。
　その時書いたものは、公開する時期を失してしまったので、非公開にしていたのですが、
　また改めて見ると、なにか時の流れを見るような感じもあり、敢えて今回公開することにしました。

　2時過ぎてもお客が途切れることなく、人気店になったんですね。
　良かったですね。
　やんちゃな息子さん達は、どうしているのでしょう。
　これからも精進して、頑張って下さい。

　常陸海浜公園にコキアを見に行った折り、出て来たのが遅かったせいか、北関東道
の笠間付近で、すでに１時近くになってしまいました。腹も減ってきたので、笠間に
興味のあるそば屋があるのを思い出しました。

　以前ＴＶで放映しているのを見ましたが、子供を本当の田舎で育てたいと脱サラし
てそば屋を始めた人がいました。
　その番組では、毎日ほとんどお客が来ない様子を映していました。夕食は、売れず
に残った蕎麦なので、子供がもういやだと、ほかの物が食べたいと言っている様子な
ども映りました。
　しかし、子供が田舎でたくましくなったこと、自分の好きなことをして、何とか生
活していけることなどを元気そうに語っていました。

　さて、そのそば屋の名前は「和味」（なごみ）。
　秩父の荒川村に同じ名前のそば屋がありますが、特に関係はないようです。（聞い
て確かめたわけではないので、もしかしたら、関係しているかも）
　まあ、どちらも自家製粉にこだわっているところなど、似てなくもないですが、最
近のそば屋さんは、これくらいのこだわりは当たり前ですね。

　さて、肝心の蕎麦ですが、１０割にしてはしっかりとした蕎麦です。最近の１０割
を標榜する店は、こんな感じ（のびない、柔らかくない、ぶつぶつ切れない）の麺が
多くなってきたように思います。偉いもんですね。以前は、１０割といえば、もそも
そして、少し時間がたつとプツプツ切れてくるようなものが多かったようです。

　う～ん、そば汁がねえ、あまり好みではないのです。
　まだもり汁はいいのですが、かけ汁は溜まり醤油の味香りが強いのです。
　溜まり醤油自体は嫌いではないのですが、どうしても漬け物臭い香りが強くて、そ
ばの香りを消してしまう、というより漬け物香が鼻につきます。味も、甘みが強いで
すかね。すっきり感が少ないですね。

　「とろろ」を頼んでいたのですが、これは、なかなか良かったですね。もしかした
ら、自然藷かもしれません。粘りけといい、野生味といい、少なくとも長芋ではあり
ません。誉めるのが、野生の味では仕方ないでしょうか。
　そんなことを言えば、蕎麦だって、蕎麦自体が良いか悪いかでほとんど決まって
しまいますからね。同じ材料を使用していて、技の上下を論ずるのだったら、楽かも
しれませんが、この店の蕎麦のうまさが、材料の善し悪しにあるのかそれとも、技術
の巧拙にあるのか混然としているので、判断しにくいのですが、まあ、それが蕎麦の
面白さ奥深さを生んでいるのでしょう。

　しかし、どうなんでしょうね、それほどお客が入っているわけでもないのに、結構
待たされました。
　「こだわり」の蕎麦だから許されるのでしょうか？　非常に丁寧に作っているからな
のでしょうか？
　いや、ただ、手順が悪いだけだと思います。

　ある程度のスピードというのは、蕎麦屋の必要条件だと思います。
　頑張ってください。