多彩なアンコウ料理や納豆料理の数々を、地元茨城の地酒とともにいただける郷土居酒屋さん。 : てんまさ

JR水戸駅北口エリアで、水戸らしさ、そして茨城らしさを手軽に味わうことのできるお店の代表格といえばやはり「てんまさ」さんですね。
こちらは駅からの距離も非常に近く、またランチタイムからずっと中休み無しで通し営業されていること、さらに年中問わず「あんこう鍋」をはじめとする名物アンコウ料理の数々を味わうことができること等々、利便性の高い非常にありがたいお店です。
便利過ぎていつでも立ち寄れるという思いが無意識に働いていたのか、前回訪問からずいぶん間隔が開いてしまいましたが、今回久しぶりに再訪させていただくことにいたしました。

駅北口ロータリーのすぐ近くの雑居ビルの階段を下りた先の地下にお店はあります。
店舗入口には以前はなかった水戸市のご当地キャラクター「みとちゃん」がお出迎え。
やはり「納豆」「梅花」「印籠」は水戸らしさを表す代表的シンボルのようですね。

地下の店内は意外とキャパが広いです。
カウンター席はなく、全ての客席がテーブル席か座敷席となっていますが、いかにも昔からある庶民的な大衆酒場という雰囲気がそのまま残っており、どの席に座っても居心地は悪くはありません。
メニューのバリエーションもなかなか豊富ですね。
納豆料理だけでもなんと10種類以上。
その他の一般的な居酒屋メニューもとても充実していて、しかもそのほとんどが300～400円台とそのリーズナブルさもまた非常に魅力的なところです。

それではまず地元の名物のひとつであるアンコウ料理からいきましょう。
アンコウ料理の代表格といえばやはり「あんこう鍋」。
「てんまさ」さんでは一人前から注文可能です。
またこの「あんこう鍋」を中心に構成されたお得な「あんこうフルコース」というメニューも一人前から注文可能ですが、これだけでお腹いっぱいになってしまうよりももっと他にいろいろ食べたかったので、とりあえず「あんこう鍋」そして「あんきも」をそれぞれ単品でいただくことにします。

先に運ばれてきたのは「あんこう鍋」のほうですが、カセットコンロで火が通るまで少し時間を要しますので少し遅れてきた「あんきも」から先にいただいていきます。
「あんきも」は濃密でしっとりとしていてチーズのような濃厚な味わい。
これにまた濃厚なタレとがとてもよく合います。
そしていよいよ火の通ってきた「あんこう鍋」のほうもいただいていきましょう。
おつゆは味噌仕立てで比較的あっさりとしており、喉や胃に何の抵抗もなくスーッと入っていくかのよう。
少々クセのある本格的な「ドブ汁」仕立ては苦手という方もこちらのおつゆなら受け入れられやすそうですね。
そしてアンコウの部位ですが、お店によっては皮も内臓も全て使用するというところもよくあるのに対し、こちらは身が中心となっています。
ただ豪快に骨付きのブツ切りのまま入ってはいますが、そこはむしろ醍醐味を楽しみたいもの。
コラーゲンも多く含む骨周りの身も出来るだけ残さずにいただきます。

続いては納豆料理のほうもいただいていきましょうか。
これだけバリエーションがあるとなかなか迷いますね。
「いか納豆」や「まぐろ納豆」などというシンプルなメニューも惹かれますが、ここは欲張って「ばくだん」とも呼ばれる「五色納豆」をいただいてみることにします。
美しく盛り付けられたトッピングの数々をベースの納豆とともに無慈悲なまでにぐちゃぐちゃにかきまぜていただきます。
納豆だけでなく、とろろやオクラ、めかぶなどのネバネバ仲間とのコラボレーション。
最初はタレを少な目にかけ、少しずつ増やしていきます。
これは日本酒にぴったりの味わいですね。

続いていただくのは「納豆唐揚げ」。
さくっと薄めの唐揚げの衣の内側は、レア感の残るしっとりネバネバの100％納豆です。
衣に唐揚げの味がついているので何もつけずにこのままいただきます。
思ったほど唐揚げと納豆の味の違和感はなく、ちょっと新鮮な美味しさですね。
こちらもお酒にとてもよく合います。

納豆料理の三品目は「納豆オムレツ」をいただきます。
オムレツの上にはあんがかかっていますね。
醤油とダシの味わいが印象的な和風のあんです。
味付けはやや濃い目でしょうか、できれば別添えにして好みにあわせてかけられるようであればなお良かったですね。
納豆と玉子の分量的な割合は納豆がやや多め。
その分納豆の味わいはしっかりと味わうことができます。

さて、ビールに続くお酒はもちろん茨城の地酒をいただいていくこととしましょう。
こちらの「てんまさ」さんは県内の豊富な地酒の揃えの多さもまた魅力なのですよね。
ということでまず最初の一杯目は茨城県笠間市の「磯蔵酒造」さんから「稲里」の石透水仕込み生酒をいただきます。
純米酒ではありませんが後味も良く飲みやすいお酒ですね。
スッキリした中にも程よい旨みと甘みがあってやや濃い目の味付けの料理にもよく合います。

続く二杯目は茨城県石岡市の「府中誉」さんから「渡舟」の純米吟醸を。
吟醸酒らしいフルーティさとしっかりとした味わいがあり、あとからくるスッキリ感とキレの良さが印象的なこれも美味しいお酒です。

最後の三杯目は茨城県笠間市の「須藤本家」さんの「郷乃誉」の純米大吟醸をいただきます。
まろやかで優しい味わいとスッキリとした辛口感のバランスのいいお酒ですね。
こちらも幅広い料理に合いそうです。

久しぶりの再訪ということで、ついつい料理のほうもお酒のほうも欲張って多めになってしまいましたが、それでもこのリーズナブルさは嬉しいですね。
サクッと飲みであればかなり安く抑えられそうです。
通し営業で駅からも近く、昭和の大衆飲み屋らしい雰囲気にも酔えるお店。
その利便性と使い勝手の良さをあらためて再認識させていただくことができました。