呑んだ暮れ日記　尼崎武庫之荘　焼鳥 谷口編　～こんな所にこんなお店が～ : 焼鳥 谷口

｢武庫之荘の美味しい焼鳥屋へ行きませんか｣

そんなお誘いを受けて､この日は武庫之荘呑みです

休日のランチでは､何軒ものお店に訪れた事が在る街ですが

呑みでお邪魔するのは今回が初めて

駅前の立呑店『立呑み処 ちょっと奥』で軽くフライング呑みしてから店へ向かいました！


●開店１年経たずに人気店に

　尼崎の中でも閑静な有宅街が広がる武庫之荘エリア
　阪急神戸線武庫之荘駅南口から山幹通りへ真直ぐ伸びる通り沿い
　公共施設の｢尼崎女性センター｣の南側の二棟続きの三階建てマンションの１階
　飲食店のテナントが連なるほぼ中間辺りに店が在ります
　駅からは､真っすぐ通りの西側を歩いて５分掛からない距離です
　店の半分強がガラス張りで店内の様子が伺える店構え
　白木で組まれた目隠しの棚に店名が描かれた行灯が在るだけで
　看板も無く､暖簾も白無地なシンプルな造りです

　店内は奥に延びた造りで､焼場､調理場を囲む様に逆L字の白木のカウンター１０席
　店構え同様に､店内も極力シンプルでスッキリとした造りになっています
　店主ご夫妻とお手伝いの女性の三人で切盛りしています

　店主は東京の出身ですが､縁あって大阪の焼鳥店を手伝う事になり
　住まいを構えたのが､武庫之荘で､街が気に入り､独立して店を構えたとの事です
　お店は２０１８年４月に開業､まだ１周年も迎えてないお店ですが
　既に人気店となって予約なしでは､席を確保する事ができなくなっています


●おしながき

　｢焼鳥おまかせ｣から品数を選び，造り､一品､追加､〆を選ぶスタイルです

【焼鳥おまかせ】　※お口直し､鳥スープ付き
　■五種　２０００円
　■七種(野菜一種)　２５００円
　■九種(野菜二種)　３０００円
　※各種おまかせは人数分で承ります

　■ももたたき　１２００円
　■むねわさび　１０００円
　
　※お造りのご用意もございます

　■ジャンボマッシュルーム肉詰め　６５０円
　■長いも　４００円
　■れんこん　５００円
　■しいたけ　４００円
　■金針菜　２００円
　■レバーパテ　６００円
　■揚げたて厚揚げ　４００円
　■フルーツトマト　５００円
　■和風ピクルス　３００円
　■胡瓜と柚子もろみ　３００円

　■親子丼　９００円
　■鳥スープ　２５０円
　■焼おにぎり　３００円
　■焼おにぎりスープ　５５０円


●口の中で炭香がふわっと広がります

　幻の鶏と呼ばれている､丹波篠山の高坂鶏農場で生産された高坂鶏を使用
　手間暇かけた､独自の飼育技術で育てられ､極度に出荷量が少ない鶏です
　東京のミシュラン三ツ星店『Quintessence』を筆頭に名立たる店が注目する鶏なんです
　地元関西でも､数軒しか取り扱いが無いとの事､そんな希少な鶏を味わう事が出来るんです

　予約の段階で､お造りや〆ご飯は註文済みだった様で
　焼鳥おまかせ七種を選んで､胃袋と相談して追加する事にしました

　■ささみ造りともも昆布〆
　　高坂鶏は世界で唯一の無菌鶏なんだそうです
　　だから､寝かせたり､熟成させたりする事が可能との事
　　此方では､旨味をより引き出す為に５日間ほど熟成させています

　　ささみは､サッパリとした味わいなのですが
　　後味にコクの様な旨味が残ります
　　もも昆布〆は､口に入れた瞬間に旨み成分が広がる感じです
　　ただ､普段食べ馴れている鳥刺しに比べるとねっとり絡まる様な舌触りです

　■肝と心の淡雪塩
　　全く臭みとか雑味が無いんです
　　正直云って物足りないくらいなんです
　　淡雪塩は､北新地の名店｢カハラ｣や｢鮨処 多田｣でも使われています
　　広島県呉市の瀬戸鉄工が｢瞬間高温高圧焼成法｣と云う独自製法で作りだした
　　米粉が混じったオリジナルの塩なんです
　　淡雪のようなサラッとした感触とひらひらとした口溶けのとても上品な塩です

　■焼鳥おまかせ七種　ももタタキ
　　皮目はしっかりと焼きが入っていてパリッと香ばしく仕上がっています
　　内側は､ほぼレアな状態で柔らかくしっとり
　　皮目と肉との間の脂身部分が上質な鶏油で旨味たっぷりです
　　此処でチューハイから日本酒にチェンジしました！

　■焼鳥おまかせ七種　せせり
　　独特な串打ちがされています　　
　　せせり肉を串を中心に螺旋状に巻き付け在ります
　　ほど良い噛み応えで噛むと旨味たっぷりの脂が口の中を巡ります
　　脂切れが良く､後に残りません

　■焼鳥おまかせ七種　金針菜
　　最近､焼鳥店で金針菜に出会う事が増えています
　　何か理由が在るのでしょうか？
　　百合の花の蕾だった様な・・・
　　少し苦みが在って､個人的には癖になる味わいです

　■焼鳥おまかせ七種　お口直し 胡瓜の柚子もろみ
　　お口直しって云うよりも､酒の肴って感じです
　　柚子の風味の爽快感を感じる味噌で酒が進みます
　　味噌と胡瓜の相性は､間違い在りません

　■焼鳥おまかせ七種　つくね
　　丸々とした愛嬌の在る形をしたつくねです
　　かなり丁寧に捏ねて在るのかふわふわの食感
　　粗びきで肉々しいつくねも良いですが
　　口の中で肉の味わいと共に溶けてなくなる様な食感です

　■焼鳥おまかせ七種　ねぎま
　　焼鳥と云えば真っ先に頭に浮かぶのこれですね
　　もも肉の弾力も在りながらしっとり柔らかな噛み応え
　　肉と脂の旨味と甘さと葱らしい味わいとが重なって
　　相性抜群の美味しさです
　　他の串以上に口の中で炭の香りが広がりました

　■焼鳥おまかせ七種　かわ
　　高坂鶏の皮だからなのでしょうか？
　　一般的なものより厚みが在る様な気がします
　　脂もたっぷりで､皿の上には沢山の脂が滲んでいます
　　でも脂くどくないから不思議なんです
　　表面が香ばしく､厚みが在る分噛み応えも在ります

　■焼鳥おまかせ七種　こころ
　　筋肉質で､噛むと押し戻される様な弾力が在ります
　　鉄分満点の様な濃厚な味わいです
　　塩との相性も抜群です
　
　おまかせ七種は､〆のスープを除いて此処まで・・・
　〆のご飯は予約済みなので､追加を註文する事にしました
　まだまだ食べられそうな感じです

【追加焼鳥】
　価格は記載されていません
　■ささみ
　■せせり
　■ねぎま
　■手羽先
　■かしわ
　■ふりそで
　■ぼんちり
　■つくね
　■かわ
　■こころ
　■砂肝
　■肝
　■つくねチーズ
　■うずらたまご
　■せせりおろしポン酢

　■追加　砂肝
　　砂肝って好きなんですよね
　　随分と周囲をそぎ落として丸くなっています
　　硬いのとは違う弾力満点の歯応え
　　内臓系らしい味わいが濃く塩との相性が抜群です

　■追加　かしわ
　　高坂鶏をストレートに愉しむって感じのひと串です
　　ぷりっぷりで弾力が在って噛むとしっとりのもも肉
　　肉厚な切り方で皮の脂と肉汁で口の中が狂乱状態の旨さの塊
　　これが､おまかせにラインナップされて無いのは反則ですよ
　　この日１番の串でした！

　■追加　ささみ
　　かなりレアな火入れ加減のささみに､すりたての山葵が添えられています
　　柔らかく､レアな内側はねっとりした舌触り
　　さっぱりとした､ささみを美味しい山葵の刺激と風味で戴きます
　　これ､かしわの次に美味しかったです

　■追加　肝
　　肝って生で食べるのが好きなんです
　　焼くとパサッとした食感になるので進んでは食べません
　　でもその先入観を覆す肝焼きでした
　　角々しくないタレとの相性が良く､濃厚な味わいです
　　でもやっぱり､生が良いなぁ・・・

　■追加　つくねチーズ
　　おまかせ七種で食べたつくねの中にチーズが入ってます
　　上からも削り節の様に削ったチーズがたっぷり
　　火が入って柔らかくなったチーズ､削ったチーズが
　　ふわふわの食感の鶏ミンチと口の中で混ざり合って洋風な味わいに変化
　　チーズの淡い塩梅が程良く味付けとなります
　　これ食べたらチョッと胃袋にずしりと来ました

　■ジャンボマッシュルーム肉づめ　
　　おまかせ七種を註文する際に一緒に註文して在りました
　　画像からは伝わりに憎いのですが､本当にジャンボなんです
　　直径が１０ｃｍは在りそうなブラウンマッシュルームに
　　鶏ミンチが立体的に目一杯詰め込んで在る感じです
　　そして削り節の様な削ったチーズが山盛り
　　こんなに肉厚なマッシュルームですが､良い感じで火が通っています
　　つくね同様に美味し鶏ミンチも相性良く美味しいです
　　とにかく､ボリュームが半端じゃなく､胃袋はほぼ限界の満腹状態
　　この後の〆ごはんが食べられるか？心配になりました

　■〆 金柑醤油漬け 卵かけご飯
　　高坂鶏を丸鶏で仕入れて､店主が全てを自分でさばくから出せる一品です
　　店主に聞こえる様に｢これって何処かで見た事が在る｣って云うと笑ってました
　　卵に成長する前の金柑と呼ばれている黄身を漬けにして
　　ご飯に乗せてＴＫＧで食べる〆ご飯です
　　表皮の膜の弾力が半端では無く､箸で軽く突いた程度では破れません
　　少し強めに箸を刺すと､ドロッと濃厚な黄身が流れ出てきます
　　ご飯にしっかりと混ぜ合わせて食べると激アツな旨さ！
　　塩分は多少､足りない感じですが､濃厚な黄身の味わいで十分食べ進む事ができます
　　満腹だったのに別腹で食べれちゃいました

　■焼鳥おまかせ七種　鳥スープ
　　最後は､鳥スープで〆ます
　　鶏の旨味が凝縮した様な濃厚で深みのあるスープです
　　胃袋にすーっと吸収されて行くようです

日本酒
田中六五 糸島産山田錦純米酒　白糸酒造(福岡)
花巴 山廃純米吟醸 無添加生 うすにごり　美吉野醸造(奈良)　　


●最後に

　とにかく｢美味しかった｣の一言に尽きると思います
　他所に比べると､ネタが肉厚でレア感を微妙に残す感じの火入れ加減なんです
　だから､しっとりとジューシーで､旨味満点に食べられるのでしょうね
　炭の香りも程良く口の中に広がるのも美味しさに加味されます

　店主とのテンポの良い会話もカウンターならではって感じで愉しめます
　若い頃に芸人を目指していたって経歴を､後から知って妙に納得です
　
　希少な高坂鶏を使用した､店主拘りの串打ちと焼きの美味しい焼鳥を
　小洒落た雰囲気で気軽に食べられる､人気の程が分るお店でした
　滅多に夜に訪れる事のない街ですが､美味しい焼鳥の為に､またお邪魔したいと思います
　ご馳走様でした！