大胆な店名のオーソドックスなインド料理店 : インド料理 INDIA

2014年３月、ＪＲ尼崎駅にもほど近い潮江にオープンしたインド料理店。オーナーは建設業系企業を経営する日本人のようであるが、店舗の運営等は川西市と伊丹市でインド料理店をやってる（自営なのか請負なのかは分からないが）某ネパール人が関わっているようだ。

ＪＲ尼崎駅周辺といえば「あまがさき緑遊新都心地区」と呼ばれる兵庫県尼崎市にある複合施設を含む再開発地域である。JR尼崎駅の北側にあったキリンビール尼崎工場跡地の他、中小工場があった工業用地および鉄道用地を主として利用したもので、UR都市機構により阪神間都市計画事業あまがさき緑遊新都心土地区画整理事業（都市機能更新型）として整備されつつある。この中核施設が「あまがさきキューズモール」（旧名称COCOEあまがさき）で、核テナントは「あまがさき阪神（阪神百貨店）」「アルプラザ（平和堂）」映画館の「MOVIXあまがさき」で、その他、専門店も137店舗を擁するコンパクトな複合型商業施設である。

当店は、この「あまがさきキューズモール」から東へ300ｍほど、ＪＲ尼崎駅北口から200ｍほど離れた尼崎市営コミュニティ住宅7-1号棟の１階に立地している。駅およびキューズモールから離れているので周辺の人通りは思ったより多くないようである。なお近隣には数棟の大型マンションや尼崎中央病院、「ヤン坊マー坊天気予報」で有名な農業機械メーカー「ヤンマー(株)（非上場・設立時は山岡発動機工作所）」の尼崎工場（この工場では大型船舶用の補機エンジンや発電用の巨大なエンジンを製作している）があったりする。

店のファザードは、こういう店舗を多く手掛けている設計事務所や工務店が最近よくやるインド国旗の配色やデザインを使ったものであるが、最近のインド料理店には珍しくＰＯＰな印象である。また驚いたのは店名で、インド料理店で「インド料理ＩＮＤＩＡ（インディア）」という店名は、たとえば分かりやすく説明すると「日本料理　日本」「フランス料理フレンチ」「イタリア料理イタリアン」「ドイツ料理ジャーマン」「イギリス料理グレートブリテン」（もういいって・・・）に匹敵する「ドベタ」なもの。おまけに漫画チックな今時珍しい「ターバンらしきものを頭に巻いたインド人のキャラクター（シーク教徒？）」が描かれており、これもたとえば海外の日本料理店などで見かけるような「ちょんまげ頭の漫画チックな侍キャラクター」に匹敵すると思う。たぶんこちらのお店がターゲットとしているファミリー層には親しみやすいと思うが、本格的料理を提供するとか美味しいとかいうイメージが湧いてこないデザインであるので、この部分ではマイナスであると思う。インド人はこれを見てどう感じるのか？興味深い。

それはさておき、店内に入ると比較的広々としており、カウンター席とテーブル席があった。厨房に沿ってカウンター席、厨房の対面側がテーブル席という配置になっている。一人での訪問であったが、あまりお客さんが多くなかったのでテーブル席に座らせていただいた。店内は居抜きではなくスケルトンの状態から施工したためかブラウン・ベージュ系主体の予想外に落ち着いた雰囲気で明るくきれいであった。スタッフはコック2名およびホール担当1名という陣容（全てたぶんネパールorインド人。しゃべっている言葉はネパール語系のように聞こえた。）であった。

ランチタイムのメニュー表を見てみるとメニュー構成等はこの手の店によくあるオーソドックスなタイプであった。カレー1種類にサラダ、ナン、ソフトドリンクのセットで850円税込がボトムであり、これにミニライスとタンドリー手羽元付が950円税込、これのカレー2種バージョンが1,050円税込、カレー1種でタンドリーチキン付が1,150円税込という構成。なおシンプルな日式風カレーライスは690円税込である。日式風カレーライスは別として、ボトムである850円税込のセットは、尼崎市内の同業他店ではだいたい700～780円程度であることを考えるとちょっと高いように思う。また日式風カレーライスも600円程度の店が多いと思う。価格について厳しい見方をする方が多い地域なので、余計に気になるところである。ただ他店では1,500円程度の豪華なセットもラインアップされていることが多いが、こちらのお店では設定が無いようである。また一般的な日本人に人気のある「チーズナンセット」がメニューに無いのも気になる。メニュー表に「ナンは＋180円でお好みのナンに変更できます」と書いてあるので、これによってサダ・ナンをチーズナンに変更できるということであろうが、普通はオーダーする時（特にランチ）に、いちいちそんな細かいところまで考えないので、ここは別途チーズナンセットを設定すべきであろう。

さて今回はボトムの850円税込のセットを豆カレー辛口でオーダーした。カレーは、チキンや野菜、日替わり（この日はチキンサグ）、豆などから選択できるが、初めての訪問であることやこういうタイプの店はチキンカレーや野菜カレーがクリーミー且つ濃厚ながら美味しくないことが多いので、豆カレーの設定があればそれをオーダーするようにしている。経験上いちばんハズレが少ない。ドリンクはマンゴーラッシー。

予想通り豆カレーは、グレーヴィーに玉ねぎを使用したレストランタイプのリッチなもので、ナーンにもよく合って美味しくいただけた。また他店では辛口でオーダーしても全然辛くないことが多々あるが、しっかり辛口で供されたところなど好感がもてる。ナーンは比較的軽めのサックリタイプで甘すぎるということは無かった。ランチタイムはおかわり自由なので、1枚追加していただいた。

ディナーはよくあるセットメニューやタンドールを使用した焼き物などオーソドックスなアラカルトをはじめ、カレーも代表的なものがラインナップされている。ただ昨今のチェーン店系で採用されることが多くなってきた「アラカルトでカレーを選ぶとナーン、サラダ、ドリンクがセットになる」に対して、アラカルトのカレー（サラダ付）＋ナーン＋ドリンクをオーダーすると結構な金額になってしまうので、そのようなチェーン系の同業店と比較して価格的な優位性は無いと思う。料理の内容やクオリティから見て、わざわざ遠方から足を運ぶような店では無いと思われるので、ターゲットとしているであろう近隣のファミリー層にウケるような店づくりや接客を心がけるべきであると思う。