刺身定食 : かつ茶屋 次屋店

友人に誘われてランチをごちそうになることになって久々に訪店した。最近は『松のや』のおかげでトンカツをよく食べているので、『かつ茶屋』と聞いた時は正直あまり気乗りしなかった。おごってもらうとはいえ、友人にそんなに金を遣わせても悪いような気がしたのもある。『かつ茶屋』に対する印象は、味はいいけど値段もそこそこかかる、というものだったから、「どうせトンカツを食べるなら『松のや』へ行こうよ。」と言ったら、「今日の目的はトンカツじゃない。」とのこと。最近『かつ茶屋』にお得な「刺身定食」があると言う。刺身とトンカツ等を組み合わせた「〜御膳」という名前のメニューは以前からあったが、刺身だけのメニューが新たに加わって、しかも千円以下であるらしい。
それなら！ということで『かつ茶屋』に行くことになった。

二人して自転車で店に着いたのは正午前で、まだ客はそれほど多くはなかった。民芸調の店内は落ち着いた雰囲気。僕たちはテーブル席に着いたが、座敷の席もあるようだ。
テーブル席は、椅子が小さめだがテーブルはそこそこ大きくてゆったり使える。ちょっと高級な和風ファミレス、という感じだ。

注文は当初の目的通り「刺身定食」(¥972)。
ごはんと味噌汁がおかわり自由とのこと。

温かいお茶を飲み友人と喋りながら待つことしばし、料理が到着。例によって写真を撮りながら見た目を観察する。
刺身は五種盛りである。鮪、はまち、イカ、サーモン、イクラ。切り方はやや小さめで量としては物足りないが、値段を考えればこれでも上等だろう。
ところで、刺身や寿司ネタとしてサーモンが人気で、、刺身の盛り合わせを頼むとかなりの確率でサーモンが入ってくるが、僕は実は苦手である。焼鮭やスモークサーモンは嫌いではないが、生のサーモンは食感も味も、何が良くてこんなに人気なのかわからない。
さらにイクラも好きではない。上質なイクラであっても、調理次第では味には天地ほどの差が出てしまう。そして味つけの良いイクラには滅多に出逢えないと思っているのだ。
五種盛りの内、二種類も苦手なネタが入っているのは残念だが、人気のサーモンは想定の範囲内であるし、食べられないわけではないのでヨシとするしかない。ただ、五種の選定はあまりにも無難過ぎる気はする。
メインの刺身以外に小鉢が二つ。冷奴と何かの味噌和えのような物だ。
全体に豪華とまでは言えないがきれいに盛りつけられて、なかなか美味しそうだ。

さあ実食である。メインの刺身に行く前に、まずは小鉢に手をつける。豆腐が非常に美味しいことに驚く。あまりに少量なのが残念に思えるほど美味しい豆腐だと思う。もう一つの小鉢も良い味だ。食べてからかなりの時間が経過してしまったので、何の味噌和えだったか思い出せないが、味が良かったことだけは記憶している。ひょっとしたらヌタだったかもしれないが判然としない…。
やはりレビューはすぐ書かなければ(反省！)
副菜はとても良かったし、味噌汁もごはんもたいへん美味！で、期待を膨らませてメインの刺身に取り掛かったのだが…、残念ながらこちらは良く言ってまずまずというレベル。
鮮度も質もそれなりで、なにより致命的なのがポーションの小ささ。メインの皿としては物足りないとしか言いようがない。

もちろん、おごってもらってお金を払ってもいない身で料理に文句を言う気は全く無く、各テーブルに置かれた取り放題の漬物の力を借りてごはんをおかわり。完食である。

食べ終わった感想として、この店の特にこの「刺身定食」は女性向きだろうなと。色々な物を少量ずつ食べたい人には小鉢の味の良さ等うれしいメニューなのかもしれないが、僕のような大喰らいには頼りない食事だった。
鮪はキハダ、イカは紋甲、はまちも天然ではないだろうが、値段的にそれは当たり前で、別に鮪を本鮪やミナミ鮪に、イカを剣先に、はまちを天然鰤にしろ等と言う気はないが、刺身を食べた〜！という満足感なり、魚の美味しさを実感できるような工夫は金をかけずともできると思う。五種盛りを三種に減らしポーションのサイズを倍にするだけで食べる側の満足感は違うはずだ。
僕としては値段が多少高くなってもいいから刺身を質・量ともに上げてほしい。

一つ発見したことがある。サーモンが意外に悪くなかった。イクラは残念ながら論外で、質も良くないし味つけもよくわからなかったが、サーモンは質・味ともにまともだった。だからと言ってサーモンが好きになるほどに気に入ったわけではないが、他のネタの質の低さが気になった中でサーモンだけはそれが気にならなかったのだ。僕が普段サーモンを食べつけていないせいかもしれないが、サーモンは値段によって味に差があまり無いのかもしれない。

食後しばらく歓談してから、友人にごちそうさまを言って別れた。次回は僕が勘定を持つからと約束したが、その友人は食が細いことがわかったので、どこの店を紹介しようか迷っている。僕の好みはボリュームたっぷりの店ばかりなので、どうしたものだろうか？
帰り道コンビニでサンドイッチ等を買い込み腹の足しにした。この食欲、どうにかしないと…。悩み多き秋である。

ランチメニューのロースカツ定食（¥950）を食べた。最も低価格なこのメニューでもごはんのおかわりは自由だし、味も決して悪くない。これに食後のコーヒーをつけて千円台。決してコスパ的にも悪くはないが…。
それでも、このレベルの味のとんかつ定食なら¥700前後で出す定食屋はいくらでもあるのではないだろうか？
価格的に上を見れば、黒豚やイベリコ豚などを使ったメニューもあり、それらを食べればあるいは味の違いに納得させてもらえるのかもしれないが、それらは¥2,000以上。しかも食べ方はランチと同じソースを漬けて食べるわけで、どうにも割高感が拭いきれない。
家族で車でやって来るようなら駐車場のあるこの店は便利だろうが、僕のように一人で自転車で食べに来るような客にとってはそれもメリットにはならないし、どうにももやもやした感覚が残った。
僕がとんかつという料理にそれほど執着が無いから、というだけのことなのかもしれないが、とんかつ専門店にはやはり割高感を感じてしまう。この店もそんな感じだった。
同じ価格帯の同業種の店なら、JR立花駅前のかつアンドかつの方が、衣の軽さとキャベツの千切りの美味しさでより僕好みだと思う。残念だ。