手を尽くした日本料理に、大満足の夏の夜 : 八寸

2016年8月

はじめての夏の「八寸」も素晴らしかったので、追記です。

昨年は秋と晩秋に訪問したものの、冬　春と伺うタイミングがなく夏を迎えてしまいましたが、早めの予約で広い和室でゆったりと食事することができました。

最初にいただいた八寸は夏らしいガラスの市松模様のお皿に、つぶ貝、車海老、茄子などがそれぞれ一番おいしくいただける味付けをされた煮物、出汁巻玉子、枝豆、ミニトマトをくりぬいた中に蟹身を詰めたものや色とりどりのお野菜と、添えられた小鉢には、甘鯛と春菊とわさび菜を味噌和えにしたものでした。

なかでも、つぶ貝の味付けとミニトマトのお料理が抜群に美味しくて、心の中で何度もガッツポーズ。

続いてはうなぎの押し寿司で、ほどよい味付けと香りが食欲を刺激します。

お造りはキンキンに冷えた石の器に氷を敷き詰め、その上に笹の葉を乗せて、車海老、鮪、甘鯛、キンメ、それと別盛で雲丹でしたが、どれも最高のクォリティでした。

車海老はこりっとした歯触りも楽しく甘みもあり、鮪は脂がしつこくないのにとろける美味しさ、鯛はさっと昆布で〆られていて食感も楽しめますし、キンメも弾力があり味わい深いのですが、なんといっても雲丹の新鮮さと甘さには驚かされました。

8000円というコースのお値段で、こんなに上質なお刺身をいただけるのは、本当にすごいと改めて感動しました。

蒸し物は、たっぷりの蟹と牛蒡を玉子でとじた、お汁も楽しめる味わい深いものでした。

揚げ物は季節の野菜の天ぷらで、甘いズッキーニやベビーコーン、大きなのしし唐とオクラが、最高の加減で提供されました。

焼き物は、皮目がパリッと焼き上げられた脂ののった鯛で、サツマイモなどが添えられていました。

そして、今回一番感動したのが土鍋で炊きあげられた、生姜ご飯でした。

毎度のことながら、最高のタイミングで炊きあげられたご飯ですが、この度はたっぷりの千切り生姜とホタテの貝柱に牛蒡などが入り、さわやかで絶妙なハーモニーを醸し出しているのです。

夏の一番暑い時期、身体を冷やしがちな我々に染み渡る美味しさは、お酒の後のご飯はいらない派の私も、ハハー参りましたとひれ伏したほどでした。

さっと漬けられた胡瓜と、しじみのお味噌汁とともに、疲れた身体を癒してくれました。

最後はメロンでごちそうさまでした。

下品な私たちは毎回、「京都で食べたら3倍はかかるよね～」とほくそ笑み、お店をあとにするのでした。

今回も最高の食事をありがとうございました。

また必ず伺います。


2015年10月

ミシュラン北海道に掲載されたことで気になっていた「八寸」さん。

口コミがあまりに少ないこともあり、少ない滞在の中、こちらを予定に組み入れて良いのか迷いましたが、伺って大正解、正直予想以上の素晴らしいお店でした。

お店は駅前中心部から、歩いて10分くらいの便利な場所ながら、住宅街の中にあり、ひっそりと佇んでいます。

きれいに整えられた店先、玄関口は入って良いのかと思うほど静かです。

予約より早めに到着しましたが、待つことなくお部屋に案内していただきました。

お願いしていたのは8000円のコースで、お酒を注文するとまもなくお料理が…

うわ～～～京都の料亭みたい♪

黒豆の枝豆から作ったお豆腐は濃厚そのもので美味しいわさびが添えられています。

八寸の器には季節にピッタリの三日月型の焼き物が使われていて、そこに盛り付けられたお料理も素晴らしい。

季節の栗を炊いたものに、さっぱりと味付けられたプリプリの車海老、蟹のしんじょうも極上で、ごぼうの子和えや、河豚の皮の湯引きなどの豪華なラインナップです。

驚いたのは続いて出たのが、少量ながら　煮アナゴの押寿司、さっぱりといただけます。

お造りは白身が2種類（甘鯛にソイ）、鮪が赤身と中トロ、それに透き通った身が美しい秋刀魚です。

煮物は、スープ仕立てになっている蟹たっぷりのお料理で、きのこやインゲンにとろみのあるお汁が絡んで、蟹の風味を口いっぱいに感じることができます。

続いての揚げ物は、蟹の湯葉巻き（湯葉に巻くことで蟹の風味が閉じ込められて、しっかりとした甘みが引き出されています）、ししとう、アスパラ（これが直径2ｃｍほどもあるのにスジっぽくなくて、味の良いものでした）などなど…

お食事は土鍋で登場の、しめじご飯です。

食事のペースに合わせて炊きあげられた、炊きたてで提供されるのは、嵐山吉兆さん以来かも…

しめじの種類には詳しくありませんが、スーパーで売っているようなしめじとは違い、歯ごたえがあり、味と香りの良いものでした。

匂い松茸、味しめじとは良く行ったものだ、などと思いながら、シジミのお椀とともにいただきます。

個人的な好みを言えば、きのこを引き立てるべく、もっとさっぱりと仕上げていただけると、なお良かったと思いました。

こちらのしめじご飯は、薄味ながら鶏の出汁を使っているようで、その香りが立っていることと、鶏の味がしめじに勝っているように感じたことだけが残念でした。

ただ、このタイプの方が好きな人が多いのかもしれません。

最後に、美味しいブドウで締めくくりです。

京都流の素晴らしいお料理に、ほどよいもてなしの心、帰りには大将にお見送りをしていただき、大満足の夜でした。

ぜひ、また伺いたいと思います。

ごちそうさまでした。