船泊産のガンゼは6〜7月の2カ月間のみの宝物 : あとい食堂

この日はレンタバイクで西上泊へ向かい、レブンアツモリソウ群生地を訪れるも6/16に閉鎖されていた。
レブンアツモリソウもほぼ終わっていたが２株だけ花が半分枯れていない状態で残っていた。
これはうすゆきの湯で得た情報だ。

最後のアツモリソウに別れを告げ、利尻島行きフェリーの乗船時間からスコトン岬へ向かうか金田ノ岬へ向かうか選択となる。
薄曇な上何度もスコトン岬は行っていること、朝食がまだなのでガンゼ(蝦夷馬糞海胆)を食べたいと思い金田ノ岬を選択。

店に到着したが、開店は以前は10時からだったがまだやっていない。
なんと11時からの開店となっている。
それでは金田ノ岬の"野生"のアザラシくん達が居るか観にいくと、いるわいるわ。
数え切れない程のアザラシくんが柔らかな日差しの下日向ぼっこをしている。
そんな彼等を観ていたら時間もすぐ経ち、開店の時間。

ガンゼはあるか確認したところ有るとのことでうに丼を注文。
この日は団体の受入が直ぐあるということで店内は慌ただしかったが、商品の提供は素早くて良かった。

うかがったところ、船泊産のガンゼも香深と同様まだ２回しか漁が出来ておらずこの日は初回の漁の物。
とはいえ４日前なので鮮度は抜群で鮮やかなオレンジ色。
ガンゼ固有の潮の香りが素晴らしく、明礬未使用なのに粒もシッカリとしておりプリンとした舌触り。
甘味も旨味も半端無い。
ガンゼは80g皿に盛られて来るのでご飯の熱の影響を受けずにそのままの素材の味わいも愉しめる。
タッパで海苔が付いてくるスタイルは変わっていないが、団体が多いからか以前にあった一品サービスが無かったのは残念だ。
また、以前はガンゼでもノナでも同額だったが、現在ではガンゼの方が500円アップとなっている。
それだけ激減して漁れ無くなってきているという悲しい現実を受け止める。

それでも船泊産のガンゼが食べられたのが何よりもの僥倖なので満足度は高い。
ガンゼは漁獲高が激減しているため、７月も早目に漁のシーズンが終了する可能性もあるという。
いつまでもこの美味しい自然の恵みを後世に残して頂く為にも必要な措置であるならば仕方の無い事だ。
ガンゼが終わればノナ(北紫海胆)が再開するのでこちらもお勧め品なので是非！

９月に入り、夏の盛りもピークを過ぎ、一般的な海胆のシーズンは終焉に近づいている。色々な産地で様々な海胆を堪能しているが、当方は世界一の海胆は利尻島および礼文島の蝦夷馬糞海胆であると思っている。礼文島は船泊へ行くことがあれば寄ることをお勧めする店がここだ。

朝10時から営業している船泊漁協直営の食堂で、船泊の集落からは金田ノ岬まで行く道の手前にある。岬まで行ってアザラシでも観て戻ってくるもよし。礼文島は北海道はロシアの樺太に近い細長い島で、上から船泊、香深、元地と蝦夷馬糞海胆や紫海胆が生息しているが機微な差異ではあるが微妙に香りも旨味も違うのだ。生息している海藻類、ちょっとした気温の温暖差等の環境の違いから同類の個体といえども違った表情を魅せてくれる。

メニューは船泊前の海の幸満載の内容。６〜８月ならお目玉は有無を言わず蝦夷馬糞海胆！漁期は短く６月初旬に始まり、８月中旬には漁期を終えてしまうのだ。資源保護の為、水揚げ量が決められており規定水揚げ量に達すれば早い年では７月下旬で漁期が終了する幻の蝦夷馬糞海胆だ。８月からは蝦夷紫海胆にバトンタッチで始まるのでそれはそれで愉しめる。

うに丼を注文。サービスで１人何かおまけが付くのだが、今回は茹で牡丹海老が１尾付いていたが店終いなので２尾戴いた。ごはんも一杯ならおかわりOK！獲れたて新鮮な蝦夷馬糞海胆の剥きたてを戴けるなんて何という贅沢だろうか。もちろん明礬など不使用で、東京や京都のどんな高額高級店といえどもこんなに新鮮で状態の良い海胆は食べられない地元だからこその美味！150g以上はあると思われる海胆は、餌である利尻昆布の味がダイレクトに来て正に海そのものを戴いているという感じだ。強いて言えば蝦夷馬糞海胆の媒体を経由して、餌の昆布を味わっているような。極上の昆布出汁の吸物を戴いているような。

北からのリマン海流と南からの対馬暖流がぶつかることにより栄養豊富な海となっており、利尻昆布の生育する環境に最適なのだとか。この豊かな海の環境が悪くならない様今後もこの自然を保ち、守り続けていただきたいし、観光客側も小さな事(ゴミのポイ捨てや動物への餌やり等)が自然環境へのダメージ、破壊に繋がることを理解して節度ある態度とルールを守っていくことが大事である。