支笏湖産チップの魔力。 : 居酒屋入舟

毎年6月は楽しみな支笏湖産チップの解禁月。

淡水魚のそもそもの味は、棲息する水質と捕食する餌で決まってくると言っても過言では無い。日本屈指の透明度と深度を誇る貧栄養湖、支笏湖の果てしなく澄んでストイックな環境は、チップ（姫鱒）の味わいにも大きな影響を与えている。道内各湖でもチップは獲れるが、はっきり言って支笏湖産チップの味わいは頭一つ抜けると断言できる。刺身、塩焼き、フライとどれも美味しい食べ方があるが、私的に一番のオススメは刺身である。

■支笏湖産チップの刺身 800円

板前人生約60年、包丁仕事が綺麗、これは食感と味わいにも好影響。チップの鮮度は魚の眼を見れば一発。トロリと滑らかな食感、シャープで上品な鱒の旨味がパッと口の中に広がる幸福感！支笏湖産はキリッとしていて澄んだ旨味と適度な脂感が特徴だ。これぞ季節と自然の恵みであり、合わせるお酒もどんどんススム。

他にも、ふっくらホクホク、香ばしい皮の焼き目で塩と旨味の相性も抜群、がぶっとかぶりつきたい塩焼きや、ジュワっとジューシーでリッチな脂感、サクサク衣とソースがご飯にも良く合うフライ、この時期ならでは「支笏湖産チップ」の味わいを楽しんで頂きたい。

■揚げ出し豆腐 400円

基本に忠実な感じで、若干甘くて濃いめの味わいは素朴感のある板前料理風。

三度目の訪問は金曜日だったが、店内は混雑。大将と女性3名でのやりくりだったが、オペレーションにやや苦しさがあった。これは致し方ないとも言えるが、若干ストレスに感じる方も居そうなので、評価は若干だけマイナスとさせて頂く。

なんと！二夜連続の訪問です。そしてやはり美味しいものには貪欲です。この店の常連になると決めたらもうまっしぐら。マスターに顔を覚えてもらいましょう。早速「流れ星ボトル」も入れました。店にボトルを入れるのは20年振りくらい。おっさんぽくて敬遠していましたが、私も歳をとったのかな。ってか立派なおっさんなのかな。

カウンターに座れば尚解る店の清潔さ。ステンレスがピカピカの店は心地よい！そしてそのような店はハズレ無しです。まずはビール。お通しは鴨ハムに枝豆、一仕事加えた枝豆も良いね。

さあ、今回のお目当ては初訪問の昨晩、会計時にマスターが熱心にプチ自慢してくれた鯛メニューだ！

■鯛の骨蒸し 900円 +その後の 雑炊 300円

２０分は調理に時間がかかるそうです。「あと１３分です！」等と声をかけてくれます。余程このメニューに思い入れがあるんだろうなあ(笑)　程なくしていよいよ、大きな丼ぶりでの提供。

おーっ、鯛アラは鯛アラで無難に美味しい。但し頭である以上、身は少ないです。そして黄金色で熱々の汁を一口…おおおっ！うーまーいっ！昆布と鰹のシンプル出汁に、鯛の出汁が加わり三位一体、余計な味のしない上品な旨味は至福、鯛出汁って良いよね。つい夢中で味わっていると「少しだけならそのまま味わって下さい！あとは雑炊用に…」と、やんわりストップがかかります(笑)

一通り楽しんだ後は汁を店員さんに戻し、雑炊に調理してもらいます。おおおっ！今度は鍋で提供。程よく出汁を吸った柔らかい白米に、適度な煮加減の卵がコーティング。出汁感もマイルドに、更なる三位一体感、これも旨ーい！途中ポン酢を少量注いで味変、これもGOODで嗚呼、幸せ気分。

そこそこ分量のあるメニューなので、少食で吞みたい気分なら、このセットともう１～２品で十分かも。

満足して焼酎を呑んでいると、マスターが「鯛型の骨」を手渡してくれた。聞けば胸鰭の奥にある骨だそうで、ピンクのマネキュアを塗れば「鯛そのもの」だそう。その昔、芸子さんがお気に入りの旦那衆に、袖からそっと出して手渡したという骨…　出来れば華やかな女性から頂きたかったけどね(笑)　フレンドリーで味わい深いマスターです。欲を言えば、今度はチヌでは無く「真鯛」で味わいたいな。

苫小牧市は中心部から少し西エリア、啓北町の住宅街に店を構える小料理居酒屋。かねてから地元客の評判は高く、知る人ぞ知る存在の店だったが、ようやく今回が初訪問。思ったよりも店は開放的で広く、清潔感も保たれている。長いカウンターも雰囲気が良いね。

注文は画像で判断して頂きたいが、どれも手が込んでいて美味しい。最初はお通しの「すどけの鰹煮」、もうこの時点で味加減が絶妙。そして何かのコンテストで日本一になった事があるという「イカ刺し」の芸術的な美しさは圧巻、そしてお見事！勿論食べて美味しい。

「〆さば」は穏やかで素材の魅力を引き出すような〆加減で美味しい。「カレイから揚げ」も豪快でクォリティ高し、パインの付け合わせもニクイね！酸味あるつけタレにも手を抜かない。「ラム和風ステーキ」は焼き加減良く、さっぱり和風ソースが良く合う！但し少し筋っぽいのが残念。

そしてこの店が得意とするらしい鯛料理「鯛の兜煮」は、しっかりと染みた煮込み具合は勿論の事、汁が味わい深くて美味しく、しっかりとした調理感で手抜き無し。付け合わせと見た目も良いね。

老齢の御主人の穏やかなる客あしらいにも高い好感。店の評判はかねてから知ってはいたが、料理は町の居酒屋さんのレベルを超えている。今まで訪問しなかった事への後悔がスゴイ。郊外の居酒屋さんでこの料理、そして技量は素晴らしい。この店は間違いなく通います。

今回は苫小牧系レビュアー、「MochaMilkTeaさん」と「まっちゃんかんちゃんさん」とのプチオフ会です。初対面のまっちゃん、急な誘いにも応じてくれてありがとうございます。まさか苫小牧レビュアーオフ会が開催される時が来るとは！感無量です。またよろしくね。