こんなところに、本格讃岐があるんです！！ : かばと製麺所

8月、第３水曜日。
帰省していた息子は昨日、東京へ帰ってしまったし、私は一カ月間の入院から退院して２日が経過。

体調的には元気どころか、退院当日から、あちこち出かけて食べ歩きフル稼働。
一応、量は減ったとはいえ、ステロイドの投薬はあるため、食欲の増進は、まだその影響であろうか・・・・・・。

仕事の方は、ちょうどお盆休みとぶつかったため、リハビリ感覚でもう少し自宅で療養？
しかし、実際にはあちこち飛び回って爆食いをしており、まったくもって、かつての日常が戻ってきているところ。

さて、今日はちょっと思うところがあって、当別・月形方面に出かけてみることに。
すると、この[国道275号線]を走っていると、必ず目につくのが、この【かばと製麺所】。

無類の麺好きの私が無反応なわけがない。
今までにも何度かこの道を通るたび、心揺れることがあったが、食事時のタイミングに合わず、いつもその利用は叶わず。

若い頃は、そう思ったら、お腹が減っていようがそうでなかろうが関係なく、その欲望のままに食べることができたんだけれどもねぇ・・・・・。
やはり、寄る年波には勝てないということであろうか・・・・・・。

今回は、最初から、今日のお昼は「ここにしよう！！」ということで、朝から調整しての訪問。
いつも、見かける時は激混みのため、今日はお昼のピーク時を外して「早めに行こう！！」と思ったが、なんだかんだモタモタして家を出るのが遅れ、実際に現地に到着したのは12：35分頃のこと。

いやぁ～、既に店前は長蛇の列。
時間については、完全にしくじったかな。

世間もやっぱりまだ、夏休み・お盆休み中の人も多いだろうしね。
これは仕方がないと、私達も覚悟を決めて、その列の最後尾に並ぶことに。

ここは、そもそもが並ぶにはとても気合が必要。
”うどん”なんでね。

しかも、手打ちだし。
茹で時間からして、他の麺類の５～６倍以上はかかるであろうか。

つまり、それは、お客さんの回転が悪いということを意味する。
当然ながら「覚悟して待とう！！」ということでもある。

ここ最近、こちら北海道はさすがに朝夕はめっきり涼しくなり、日によっては寒さを感じることもあるのだが、この日の日中は
結構、日差しも強く、汗が滴るほどの炎天下。
まぁ、これを予想し、帽子をかぶっていたのは大正解。

少しずつ、列も前に進むが、やはり客の回転に見合ったスピードのため、他の分野の飲食店での待ち方に比べると、かなり根気がいるようだ。
これは、まぁ、ホントに今日の日と時間が悪いとあきらめ、長期戦に備えることに。

すると、列の前方から、メニューが手渡しで廻って来た。
行列に並んで、およそ30分が経過した頃である。

想像通り、”うどん”の品目としてはそれほど多くはない。
この日の暑さもあってか、やはり冷たい”うどん”ということで、私も家内も”冷や・ぶっかけうどん”にすることに。

私は”２玉”（490円税込）で、家内は”１玉”（390円税込）にすることに決めた。
他に、ここで評判のいい”てんぷら”については、店内に入って”旬のてんぷら”にどんなのがあるのかを確認してから決めることにする。

さて、頭の中では、何を食べるかの計画がほぼ完了。
ただ、立ち待ちの状態は、まだまだ続きそう。

他の皆さんもお疲れのようで、子供たちは飽きてきているみたい。
[国道275号線]を行き来する車は、この長蛇の列をどんな思いのもと、横目で見ながら行き来しているのであろうか。

かつての私達である。
しばらくすると、店の入り口に近づいたところで、注文の流れという板書が見えてきた。

ここの店の注文から配膳までの流れが書かれているのだが、これがまた、初めての人間には非常にわかりにくい。
以下、原文。

《注文の流れ》
STEP1：レジにて御注文をどうぞ。
お盆の前はおうどんが出ますので開けてお並び頂けると助かります。

STEP2：お会計を済ませて番号札を受け取ったらお席でお待ちください。

STEP3:おうどんができましたら番号をお呼び致しますので、お盆の所でお受け取りください。

STEP4:ごゆっくりお召し上がり下さい。
食べ終わった食器は返却口にお戻しください。

とある。

う～む・・・・・・・。
中のお店の構造を一度も見たことがない人にとっては、かなり理解に苦しむ表現かな。

『お盆の前で・・・・』って、どういうことだろうと、結構、悩んでしまう。
「まぁ、中に入ればわかるのだろう・・・・・」と、とりあえず今は納得しておこうということに。

そして、少しして、やっと店内に足を入れることができた。
この時点で、並び始めてからおよそ40分が経過。

さすがに、立ちっぱなしのため、足も疲れてきた。
そうなのだ、あちこち動き回って、至って普通にしているが、一応、私は病み上がりなのである。

さて、店内に入ってすぐに目に付いたのが、”うどん”を打っている様子。
入口脇ににガラス越しで見せることで、ここの”うどん”のクォリティのアピール。

この暑い中、リアルタイムの手打ちの姿には、とても気合が入っていて、食べるのも楽しみになってくる。
これはこれで、並んで待つことへの納得感も出てくるというもの。

そして、”うどん”茹での現場も見えてくるし、その先には各種の”てんぷら”も見えてきた。
ここは、もちろん”うどん”も楽しみなのだが、その”てんぷら”も楽しみなのである。

ただ、ここからが待ち行列の流れが悪くなる。
やっぱり、”うどん”の茹で時間の影響だろうかね。

本物のおいしさを求めるのなら、当然、”うどん”の茹で置きは避けるべき。
おいしく茹でたてを提供するなら、当然、茹で時間は、大きく待ち時間にも影響する。

家庭で市販の太めの”讃岐うどん”を茹でるのでさえ、軽く15分以上の時間（その製品にもよるが、20分くらい要するものある）が必要となる。
これは、本物志向の人気店がゆえの我慢どころで、これに耐えられなければ、そのおいしさも体験できないということ。

さぁ、ここからも、立ち待ちとなり辛抱が続く。
目の前においしそうな”うどん”や”てんぷら”が見えるだけに、心理的にもちょっと辛いかな。

それでも、少しずつ前進するので、いよいよ私達も、楽しみにしている”てんぷら”の注文を決めることに。
壁の上部に掲示されているボードから、私達はデフォの”てんぷら”メニューではなく、季節モノであろうか『当別産 オススメてんぷら かばと（樺戸）夏フェスin当別』と題している、”旬の野菜のてんぷら”から選ぶことにした。

これがまた、結構、悩むんだよねぇ・・・・・。
私も家内も、一旦決めたものを取り消したり、すったもんだの上、やっとのことで決断したものが、私は”白ナス：ホワイトベル”（200円税込）、家内は”朝採りアスパラ”（120円税込）ということに。

さらに、”朝採りブロッコリー盛”（250円税込）を２人で半分ずつ食べることにした。
さらに列が進むと、やっと注文を受付てくれるスタッフの前に到達。

そして、さらに前へ進み、まず先に会計を済ませて、番号札（引換券）を渡される。
その後、店内外の好きな場所で”うどん”の完成を待つという仕組みのようなのだ。

私達は、店内のカウンター席がガラガラで空いていたため、そこでいただくことに。
さて、カウンター席で、やっと腰を降ろせた。

この時点で、行列に並び始めてから、およそ52分が経過。
ふ～む、この間、暑い中の立ちっぱなしは、さすがにちょっと、病み上がりにはキツかったかもしれない。

「いやぁ、待ったなぁ～」とは思いつつも、ここからがまだまだで、”うどん”のお膳が手に入るまで、さらに20分待たされることになる。
待ち時間総計で、およそ70分強・・・・・・。

これを、この陽気、この環境で妥当と思うかどうかは、ホントに人それぞれの認識と思うところ。
私達は、さすがにこんなに待つとは予期していなかったが、”手打ちうどん”という性質上から、ある程度の待ち時間は覚悟していたため、気分的なストレスは思ったほどない。

ただ、身体的にはちょっときつかったかな。
で、自分達の番号を呼ばれ、”うどん”のお膳を受け取りに行く時に初めて、入り口脇の《注文の流れ》の板書の意味が理解できた。

それは、並んでいる人たちの列を中断してお膳を受け取るというレイアウト。
ちょうど、並んでいる人達の中間地点に受取場があるため、その混雑の中で、お膳を受け取るというやっかいさがあるのだ。

並んでいる時、「ここのスペースは空けてお待ちください！！」と注意を受けている人が何人もいた。
なるほどこういうことなのだ。

この動線・・・・・。
なんとかならないのだろうか？

配膳の場所と会計の場所を入れ替えれば解決しそうなものだが、そうすると、逆に狭い厨房の中でスタッフが行き来することになり混乱もあるのかと思われる。
そうなると、”うどん”完成後、秒単位で少しでも早く提供を！！と考えると、支障も出るとのことなのであろうか。

でも、現状のままでは、配膳を受け取る客側に混雑の負担がかかってしまう。
小さい子もいるし、客同士ぶつかってお膳をひっくり返してしまったら、どうするのか？という疑問もないことはない。

どちらがいいのかはわからないのだが、これは、最初の店舗設計の時点から熟慮しておくポイントだと思われる。
さてさて、前置きがかなり長くなってしまったが、肝心の”うどん”と”てんぷら”をいただいてみよう。

まず、”うどん”・・・・・・・。
うん、さすがに、長蛇の列ができる店だけあって、まさに本格派。

まさに”讃岐うどん”として本物。
よく、”讃岐うどん”という看板を上げながらも、似ても似つかぬモノを出しているところも少なくない。

これは道外での”札幌ラーメン”でも同じこと。
でも、ここのはホンモノである。

コシはもう当然のことで、深みのある小麦粉の味わいなどはさすがのお味。
また、暑い日でもあるため、”冷たい”メニューとして、しっかり冷えているところもなかなか心憎い。

これは、時間をかけて待った甲斐もあるというもの。
ただ、”つゆ”が思ったより普通であったかな。

冷たい”つゆ”であるせいなのか、正直なところ、これよりおいしい”うどんつゆ”を体験しているため、ちょっとここは残念なところであろうか。
それでも、”うどん”全体としては、ワンコインを切る提供として考えると、今のご時世では、神がかった逸品といっても、決して過言ではないのではなかろうか。

これには長蛇の列もうなずける。
そして、もう一つの楽しみの”てんぷら”。

う～む・・・・・。
これはねぇ・・・・・・。

私の余計な文章がいらないほどおいしい。
これは、すごい。

”ブロッコリー”が、こんなにおいしい野菜だったかなと思えるほど。
家内の食べている”朝採りアスパラ”も同様のよう。

”てんぷら”としての完成度、揚げ方もさることながら、おそらく素材となる野菜自体のうまさが爆発しているんだろうね。
さすがに当別産の新鮮野菜である。

私が注文した”白ナス”。
品種は”ホワイトベル”という、西洋品種の丸い形の茄子。

結構、ホクホクで柔らかぁ～という食感。
目をつぶって食べたなら、とても茄子とは思えない感じでもある。

家内は塩をかけて食べているが、私は最初だけ塩を使い、後半はやはり好きな食べ方で、醤油をほんの少し垂らして食べる食べ方に切り替え。
本当は”天つゆ”がいいのだけれども、ここには”天つゆ”は用意されていない。

”うどん”に放り込んでも・・・・とは、考えてみたものの”うどん”は冷たいし、”うどんつゆ”も少な目のため、どんぶり投入はあきらめることにした。
醤油をホントに少しだけ垂らして食べる。

ちょっと貧乏くさいのだが、これはこれで、なかなかオツなのである。
ただし、醤油をかけすぎてはいけない。

ホントに少しだけ垂らすのがポイント。
うん、うまいねぇ。

私と家内、二人合わせて、これだけのおいしさとボリュウムで、1,500円を切る提供なのだ。
これは、わざわざやってきて、時間をかけて並んでも、割に合う満足度。

ただ・・・・・・・。
どうしても、場所や所要時間的にも、「お手軽に！！」っていうことにならないのが、とっても残念なところ。

普段使いにしたいところなのだが、現実には、そうもいかない。
近所にお住いの方が、大変、うらやましく思える。

とにかく、大満足！！
また今度、いつの日か、温かい”うどん”を食べてみたい。