繊細なバランス感から生まれるインパクト。 : Mari iida

２年前の前回訪問時は、味わいを大幅にリニューアルした直後のタイミング。その味わいと出来栄えには、自分なりの主観として「超・酷評」したのだが…最近更にモデルチェンジをしたとの話を聞いての再訪問。


■特製醤油らーめん　￥1,250
■トリュフ醤油のたまごかけごはん　￥400


今回はスープが熱々。水と鶏のみの出汁がしっかりと下支えになり、コク深い醤油がさりげない。これ以上だと煩い、これ以下だと物足りない、絶妙な加減を押さえている。そして香味油がしっかりと「ラーメン」だと言う事を認識させてくれる。

自家製麵もスープとの相性が良く、一体となってシンクロ。そしてチャーシューは今回もハイクォリティ。しっとりと旨味多く、薫香漂う豚バラも個性的で好み。味玉のトロリ感も絶妙。チラッと柑橘が香ったり、シャキッと感のある野菜も飽きさせず麵を食べ進めさせてくれる。

今回は完成度の高いらーめん。言うならば、繊細な味わいを組み合わせて究極のバランスを保つ事により完成される「作品」。無化調だから…でも無化調なのに…等はもう無用の領域だろう。美味しかった。

トリュフ醤油のたまごかけごはんは鶏節の量も増え、前回同様、実に美味しい。ボリュームと価格の組み合わせとしては1,000円以下のらーめんとの組合わせがバランス良く満足出来そうだ。店内は大雑把な点も見受けられるが、店主は気さくで感じが良い。

たまたまかな。ラーメンはヌルくてがっかりしたけれど、サイドで頼んだTKGは美味しかったよ。TKG・・・LOVEなのです。

■トリュフTKG　350円

トリュフは‥‥トリュフ醤油です。質の良い卵黄に鶏節が降り注ぐルックス。まずは卵黄をザックリ混ぜて、トリュフ醤油を垂らして頂く。うん、美味ーい！トリュフ醤油の味わいは、個性派でありながらも上質であろう醤油の角と、トリュフの風味がジワジワと来て縁取りアリな味わいがブレンドされて、良い意味での尖がった味わい。そこにマイルド濃厚な卵黄、そして鶏節の穏やかな旨味が相まって素晴らしいハーモニー。炊き上がりの良いご飯と共に、一気に平らげてしまう美味さです。後半はしっかり混ぜると、また纏まった味わいで楽しい。

このサイドメニューはアタリだな。あくまでもサイドだけどね・・・

大人気店、平日昼も並び客発生。フレンチ出身の女性店主が創るラーメンやサイドメニューは、食べる事が好きな人、そして真性の食べログレビュアーには魅力的。

■特製生中華そば 1,200円

ラーメンとしては強気価格。但し、料理の内容からすれば「ちょい高」なのかな。…まずはスープがぬるい。私としてはこれでもうTHE・ENDだ。調理光景を見ていると、丼を温める工程が無かったので、ぬるいスープはデフォルトなのかなあ。スープはスッキリと、出汁感と鶏油のバランスを探しに行くような設定のハズだが、ぬるいとその味わい要素がチグハグに主張してアンバランスかつ物足りない。麵の湯切りもチャチャっと甘い感じがあったので、当然スープも薄まるのだろう。2種から選べる麵はオススメの「手揉み麵」を選択。これも好みでは無かった。加水率高め、プリプリの太縮れ麵、淡麗なスープに太麺は合わない。但しこれでもか！と入る叉焼は、加減、塩梅、旨味、食感、どれも美味しくてハイレベルに感じた。

さて、5月からレシピリニューアルで変貌したというこの「特製生中華そば」、ワンタンは手揉み麵の食感と同化、他具材の食感も似たような感じであり、味わい・食感共にメリハリが無し。葉っぱの使い方も格好良いとは言えないね。麵はこれ、スープはこれ、具材はこれ…　そこにどんな融合があるのだろう。これはフレンチが云々以前に、丼内のバランスが全く取れていないように感じる。言わば「独りよがりなラーメン」、チグハグで何を表現したいのか解らない。そしてラーメンを甘く見ないほうが良い。

店主の接客姿勢も良く、不思議と応援したくなるようなオーラもあったのだが、今回のラーメンではリピートは無し。でも大人気店、百歩譲って、もしもスープが熱々で麵は全粒粉を選択、尚且つ具材がシンプルな「生中華そば」ならば、今までに無いタイプ！と好意的に思えたのかも知れないが、食は一期一会でもある。そして客だまりに地べたに食材を置いてはいけません。要は大人気店にしては脇が甘いのだ。但しサイドメニュー「トリュフTKG」はとても美味しかった‥‥のだが、レビューは次回にさせて頂く。