穴子ご飯が美味しかった。 : 手打そば やま賀

お盆期間、新そば前のこの時期に訪問。やはり混み合っている。


■せいろ　石臼挽き自家製粉十割そば（摩周産）　760円
■穴子ご飯　330円


名物の一つ、桜エビのかき揚げは友人とシェア。やま賀に関しては、前回訪問時の更科の印象が良くなかっただけに、リベンジ注文を試みようとするも、ついつい限定十割の文字に反応して並粉を選択した。

蕎麦は良く繋がっており、中細でやや乱切り。心地良い弾力コシで出来栄えは良し。しかしながら蕎麦粉に関しては、新蕎麦前の時期におけるパワーダウンがダイレクトに反映されており、風味こそ保ちつつも幾分弱い。

今回の当たりは「穴子ご飯」だった。炊き上がり良くて、淡い風味も活かされたホクホクの穴子ご飯…季節のサイドメニューがいつも秀逸な、この店らしいメニュー。これには友人共々高評価。注文して良かった。

流石は札幌屈指の人気を誇る店、居心地や接客を含めた総合力は、やはり素晴らしいものの、蕎麦に関しては何処か微妙なパワーダウンを感じてしまう…

それは私の感じ方の問題か、店の変化か‥‥今一度検証してみる必要がありそうだ。

蕎麦喰い仲間Hiro’s氏との雑談で、昨年度こちらの並粉新そばが劇的に気に入ったとの情報を得て、久しぶりに手繰ってみようと訪問。そう言う情報はどんどん取り入れていくと、ある程度蕎麦屋は回り尽くした私でも新たなる発見がどんどんあって楽しいものだ。

しかしながら今回の日曜訪問日には並粉の取り扱いは無かったので、通常の更科を注文した。しかし…


◾️せいろ　600円


やはり、この店の立ち位置でこの価格はありがたい。

しかし、ん？ん？やま賀の白糸（更科）と言えば、微かにザラつき、しっかり目の水切りでしっとりながらもハラリと箸通りの良い状態が特徴だったはず。

しかしながら今回は、加水高めの透明感、そして水切りが緩すぎす。大袈裟に言えばザブザブ。これはキビシイ。

この変化はブレの範疇にはあらず。もしかしたらご主人とは異なる方が打ち、調理したのでは？と推測する。

今回、入り口暖簾のくたびれ具合が気になったが、その答えがこの蕎麦という事か。


いずれにしても食の世界は一期一会。今回でこの店の印象は下がったし、次回訪問まで少し間が空きそうだが、やはり必ず再訪問して再検証してみたい。

【2011/11再訪】

気になっていた「石臼挽き十割」を頂く。100円増しでこのスタイルに出来る設定だ。しかし出されてビックリ・・・並粉蕎麦。あれ？写真では更科だったはず・・・しかし良くメニューを見直すと「各種出来ます」との表記が・・・店員さんには特に何も聞かれなかったので、デフォルトでは並粉なのかもしれないが、きちんと確認したほうが親切だろう。やま賀と言えば「更科」が有名であり、自分としてもこの店の魅力は更科だと思っているので・・・。

さて、この「石臼挽き十割並粉蕎麦」はやや細め。キリッと冷たく提供されるスタイルで、モチっとしたコシが印象的。風味もなかなかのもの。水切り具合はやや甘い〜丁度良いか・・・と言った感じだが、喉越しも良くスッキリと頂けた。

つゆは相変わらず美味しい。丸みがあってスッキリやや辛口のつゆは並粉蕎麦にもマッチしていた。蕎麦湯と割っても美味しい。今回も満足出来る蕎麦をご馳走様でした。


------------------------------------------------------


蕎麦弾丸ツアーと称し、一人でチャレンジした「蕎麦屋めぐり」の一軒目。「やま賀」、食べログでの高評価を見て是非食べてみたかった一店だ。

祝日の12時半に到着。混雑していたが、運良く奥の小上がりが空いており案内された。店員さんの応対も人気店らしく丁寧で雰囲気が良い。メニューを見渡すと「更科」の他に「田舎」、更には更科の生粉打ち設定も有り少し迷う・・・だが初訪の今回は一番人気であろう「桜えびせいろ」を更科（基本の二八）で注文。

さほど待たずに蕎麦が出される。白糸のように細く艶があり、シャープで美しい蕎麦。まずはそのまま手繰る・・・ややありきたりな表現になってしまうが、キリリと冷やされ、水切り加減、適度なコシ、そして喉越し、舌で感じるほのかな甘味・・・私自身はそんなに更科蕎麦を頂いた経験は少ないのだが純粋に「美味い」と感じた。

この更科蕎麦とのファーストコンタクトで十分満足しつつ、次に「つゆ」を少し口に含んでみる。味わいが繊細な更科蕎麦にはやや甘めのつゆが合う等とも言われるが、ここのつゆはやや辛め。出汁感・かえしの主張も強過ぎる事なく良くまとまった味わい。このつゆに関しては王道的更科蕎麦に対しては、やや異端と言ったところだが、やはり美味しく頂けた。

次に大人気だという「桜えびの天ぷら」を別途添えられた「抹茶塩」で頂く。私自身は天ぷらを冷たい蕎麦つゆに浸ける事は、つゆに油が溶け出してしまい、繊細な蕎麦の味わいの邪魔になるような気がしてあまり好きではない。但し温かい蕎麦では別で、つゆに油のコクが加わり好きなのだが・・・　なのでこのように「塩」が別途付くスタイルはありがたい。かき揚げは色合い、そして形が美しい。そのままかぶりつくには大きいので箸を入れるとバラバラとほどけてしまい、やや食べにくさを感じたが、油切れが良く雑味の無いサクッとした食感、衣は香ばしく、桜えびの主張し過ぎない淡い味わいが、ここ「やま賀」の繊細な更科蕎麦とも大変マッチしている気がした。

定番メニューの他に「筍ご飯」や「山菜の天ぷら」等、季節感いっぱいのサイドメニューが興味をそそる。これらもまた、この店の繊細な雰囲気に良く合う様なメニュー構成・上品な雰囲気であり、この辺りも安定した人気を保つ一要因なのだろうとも感じさせられた。

右に寄る事無く、左に寄る訳でも無い・・かと言ってそこらの更科蕎麦屋では真似をする事が出来ない高いレベル。これは更科蕎麦経験が少ない私の感想であり、ややオーバーな表現なのかもしれないが、これぞ「王道」と呼ぶにふさわしい更科蕎麦なのだと感じさせられるような、まさに「名店」だと言えるだろう。