ちゃんぽんはちゃんぽんなのだ！ : ラーメン 八卦

久留米ラーメンを食べた回数道産子ナンバーワンである発寒を拠点とする怪しいオッサンが熱心にちゃんぽんの説明をしています。
ちゃんぽんに馴染みがない道産子に解りやすい説明なので褒めてあげたいところです。
福岡出身である私にとって、子供の頃から馴染みがあるちゃんぽんは、煮込み料理という認識はなく、ちゃんぽんはちゃんぽんばいというのが正直なところです（笑）
現在は日本各地にご当地ちゃんぽんが生まれていますが、九州北部でちゃんぽんといえば長崎ちゃんぽんを指します。
ところがこれはご当地ちゃんぽんというわけではなく、九州各地にとんこつラーメンがあるように、ちゃんぽんも日常食として存在しているのです。
ザンギと唐揚げの違いを熱心に語る道産子でさえ、違いは食べなければ判別できませんが、九州の人間にとってちゃんぽんとラーメンの違いは見るだけで分かるもので、味噌ラーメンと醤油ラーメンの違いと同等です。
その中で食べなければ分からないものは麺で、九州ではちゃんぽん用の麺を使用します。
これがラーメン用のプリプリ感の強い札幌麺を使用すると、それだけでちゃんぽんとは認識できないのが九州人なのです。

さて、コロナ禍になる前に訪れて以来ですから３年ぶりです。
ちゃんぽんは冬季限定ですから、うかうかしていると冬になるまで食べることができません。
２月に降ったドカ雪もすっかり溶けたので、安心して訪れました。
店内は１組の待ち客がいます。
カウンター席は間引きされ、最大６人しか座ることができません。
店主ひとりで切り盛りしていて、前金制で注文します。
出てきたちゃんぽんをズズズッとススルと、

「あ～、やっぱちゃんぽんはうまかばい！」

「フフフ、美味しいわね♪」

クリーミーなとんこつスープと、シナッとしたキャベツにゲソの風味が最高です。
私はスープカレーとラーメンに関してはシーフードを好まないのですが、ちゃんぽんは別です。
山岡家のような太い麺は軟らかな食感で、これがちゃんぽんの麺で必要なことなのです。
ここのちゃんぽんは明らかにラーメンと違う様相ですが、長崎ちゃんぽんとも見た目が違います。
しかし一口食べればちゃんぽんだと分かる味であり、何より日常食として食べられている私と同じ福岡出身の店主が手がけるオリジナルちゃんぽんなのです。

ただでさえ週一で通っているSR4003HT6さんが羨ましいのに、ちゃんぽんの記事を投稿されたのを見て、いてもたってもいられず訪れました。
冬に一般道を使用して訪れるのは時間がかかりすぎるので高速道路を利用しましたが、新川ICを降りると積雪量が多いのに驚きました。
店舗前の道路も雪のため道幅が狭く、注意して車を走らせます。
12:30頃到着しましたが、運よく１台分駐車スペースが空いていました。

さて、このちゃんぽんという食べ物ですが、北部九州ではポピュラーな食べ物で、「長崎」を付けなくてもちゃんぽんといえば長崎ちゃんぽんなのです。
本場長崎の事情は知りませんが、故郷福岡ではチェーン店を除き個人で経営するちゃんぽん専門店に出会ったことがありません。
ちゃんぽんを提供するラーメン店も稀にありますが、まずないといってよいほどです。
ところが街中の一般的な大衆食堂では、定食メニューの他にちゃんぽんがある店が多く、身近な食べ物なのです。

店内に入るとこれまた運よくカウンター席が２席空いていましたのでそこに座り、ちゃんぽんを注文しました。
そして出て来たちゃんぽんは、ちゃんぽん用の底の浅い器ではなく、ラーメン用のどんぶりで出てきました。
まずはスープをズズッと一口すすると、

「おお～、うまか～！」

思わずニンマリする私と妻（笑）
とんこつスープはラーメンのものと違い、クリーミーでまろやかなコクと旨味があります。
塩加減も程良くとても美味しいちゃんぽんスープです。
そして麺も美味しかった。
メニューに卵麺を使用しているという旨がかかれていましたので、ひょっとしたらラーメン用の札幌麺なのかと危惧しましたが、ちゃんぽん麺でした。
しかもちゃんぽん本来の軟らかめに茹でられていて美味しいです。
これがラーメンですと伸びた麺になるのですが、ちゃんぽんは軟らかい方がスープがよくからんで美味しいのです。
野菜などの具もしっかり煮込まれていて美味しいですし、定番のイカゲソが入っていたのも嬉しかった。
ちゃんぽん用の器でなくラーメンどんぶりでしたので、スープもたっぷりあり、全部飲み干してお腹がパンパンになりました。
これだけのボリュームで900円は安いです。

ちゃんぽんのスープといえばとんこつが主流ですが、私が幼い頃母が作ってくれたちゃんぽんは鶏ガラでした。
一般家庭では鶏ガラを使用することが多かったので、鶏ガラのちゃんぽんも好きです。
閉店した真駒内の【長崎ちゃんぽん　雲仙】を思い出します。

*****2016年10月再訪*****
映画を見終わって車に戻ると16時を回っています。夕食は自宅で食べるか、それとも何か食べて帰ろうかと考えた時ふと思い出したのがここです。
定休日ではないのは知っていましたので、ラーメンかスープカレーが食べたいと言っていた妻に、ランチにスープカレーは食べさせましたので、夜はラーメンとばかりここを訪れました。

夜の営業は17時から始まりますので、ちょうど開店時刻直後に到着しました。
店内に先客はなく、注文したのはもちろんとんこつラーメン（久留米ラーメン）で、麺の硬さはバリカタでお願いしました。
妻はメニューの裏に記載されている男性店主のプロフィールを読んでいます。1986年生まれの店主は、高校３年間に某ラーメン店でアルバイトをしていたとありますが、なんと８年前に福岡に帰省した際、妻と共に訪れた久留米市の【大砲ラーメン】でアルバイトをしていたのです。
道産子の妻が大好きになった久留米ラーメンを札幌で味わえるので、初訪問時はひとりで訪れた私ですが、いつか妻を連れて訪れたいと考えていたのです。
程なくして出て来た久留米ラーメンは、北海道らしく大きめのどんぶりで量もたっぷりです。福岡のラーメンは量が少なめですから、替え玉がある店では麺を追加しますし、ない店は大盛りを注文するのですが、その大盛りより多いような気がします（笑）
スープを飲んだ妻は黙々と食べ始めましたが、これは美味しいという証拠です。

「旨かろ？」

「ウン！」

後は二人してハフハフズルズルで食べてしまいました。
滅多にスープを飲み干さない妻が飲み干しましたので、いかに久留米ラーメンが好きなのかが分かります。
本当に道産子なのだろうかと思う時がある妻ですが、九州特に福岡の味が好きで、九州物産展を見つけると、普段では手に入らないインスタントラーメンなどを買いこむことを話すと、笑って頷いてくれたご主人。
そのご主人ですが、近々久留米の実家に帰省するそうで、【大砲ラーメン】の大将にも挨拶に行くそうです。そしてなんと食べたことがない博多ラーメンを食べる予定があるとか。
お互い若くして北海道に渡った経緯がありますので似たような境遇もあり、ご主人に対する親近感が湧きます。
私達夫婦には貴重なラーメン店です。
ご馳走様でした。

*****2015年10月初訪問*****
食べログの新着口コミを見ると、驚くもの見つけることがたまにありますが、今回はまさにそれです。
Mr.binさんの口コミで知ることができたのですが、なんと久留米ラーメンを提供するラーメン店があったのです。

「なに～、久留米ラーメン店だって！？」

思わず記事を食い入るように見つめる私ですが、なんと久留米出身のご主人が提供する久留米ラーメン店が札幌市北区新川にあるのです。
福岡県久留米市といえば、とんこつラーメン発祥の地でもあり、同じ福岡とはいえ博多ラーメンがあっさりなのに比べ、久留米ラーメンはこってりなのです。
一度久留米ラーメンが食べたいと思い、私の実家に帰省した際に妻と共に【大砲ラーメン本店】を訪れました。
昼時ともあって店の外で待っている客もいました。年末という季節がら寒い時期ではありましたが、北海道の冬に比べれば福岡の冬の屋外などどうってことありません。
ラーメンは普通のものと昔ラーメンという２種類があり、昔ラーメンは屋台で始めた頃の濃厚なとんこつが特徴のラーメンであり、私は迷うことなく昔ラーメンを食べましたが、スープを全部飲むことができないくらい濃厚な味でした。
もう唇が油でギラギラするほどの濃厚さは癖になる味で、私は久留米ラーメンの虜になったのです。
そういう思い出があるため、今回の訪問はとても楽しみでした。

昼にちゃんぽんを食べ、用事を済ませてここに立ち寄ったのですが、店に入ると九州の地図が張られていて懐かしいです。
注文したのはもちろんとんこつ（久留米）ラーメンで、麺の硬さはハリガネでお願いしました。
そして出てきたとんこつラーメン。スープをズズッと一口すすると、

「こればい、これ。旨かね～！」

こってりギトギトではなく、むしろライトな久留米ラーメンという感じなのですが、それでも美味しいです。
とんこつがしっかり効いていて、麺も九州の細麺で、しかもネギは青ネギというまさに福岡のラーメンです。
チャーシューも丁寧に作られていて、しかも柔らかすぎず肉の食感が楽しめますし、スープの味の邪魔をする余計な味がつけられていませんのでまさに私好みです。
ふと卓上に目をやると、「辛豚ラード」というものがありました。
実は私が中学高校のころよく通っていた地元のラーメン店は、オリジナルのラー油があり、それをかけて食べるのが大好きだったこともあり、半分食べ終えた時に「辛豚ラード」を混ぜて食べると絶妙なピリ辛加減になり、まさしくあのころがよみがえって嬉しくなりました。
750円という価格は北海道では当たり前ですが、福岡では高額です。でもそれだけの代金を払ってでも食べたい故郷の味に巡り合うことができました。