港町｢尾道｣に息衝くお好み焼き : お好み焼 村上

｢お好み焼　村上｣サンは2010年下期のNHK朝ドラ｢てっぱん｣のモデルとなったお店。
1956年創業、2000年に現在地へ移転。
確か新開でご両親が始められたのが最初だったように思います。

実は尾道商店街に母の実家があり、小学生の頃に持ち帰りで｢お好み焼　村上｣さんのお好み焼きを食べた事があります。
当時は砂ずりは苦手でしたので、普通のそば肉玉を食べました。

創業者の焼いたお好み焼き、普通に美味しかったと思います。

訪問時もおばあちゃんがいらっしゃいましたが、焼き手は息子さん(3代目)でした。
そう大阪市北新地にある｢尾道　むらかみ｣(2001年創業、開店)さんのオーナーです。

お伺いすると(月)~(金)までは北新地で仕事をして、(土)(日)は尾道に戻ってお好み焼きを焼くという生活をずっと続けているそうです。

どうりで焼き方が丁寧で動きに無駄が無いと思いました。

本来ならば土日は行列が出来るのですが、関東圏や関西圏は蔓延防止等重点措置が発令されているので、観光客が少なく待ち無しで入店出来ました。

店内は狭く調理用鉄板とお客さんが食べる鉄板は共用で、鉄板も狭いので臨場感があります。
鉄板カウンター5~6席ほと、待ち合い用のベンチが6~8席くらい

むらかみ流尾道焼き(税込900円)を注文。
鶏砂ずり&イカ天&そばが入った看板メニュー。

こちらの基本的な組み合わせ
・井上製麺所(広島県尾道)の生ストレート麺(やや細麺)
・びふとんソース
　【幻のお好み焼きソース(広島県三原)】
・焼き方:ヘラで押さえない
・焼き上がりの形:整えられた綺麗な焼き上がり
・鉄板で食べるのがスタンダード
(鉄板カウンター5席)

①生地を丸く薄く拡げ、乱切りキャベツ&麺&天かす&イカ天を載せる
②砂ずりを最初に約30秒くらいサッと表面だけ炙り、ベースの上に載せる
③生地を掛けて約5分ほどそのまま焼いてから反転
⑤砂ずり側を下にしてヘラで押さえず形を整えるのみ、約６分ほど蒸し焼き
⑥玉子を投入し半熟部分を残しつつ焼き上げ
⑦再度、反転させ｢びふとんソース｣を塗って完成！

約13分で提供されました。

粉は味付けせず水で溶いてあるのでしょうか？
かなり薄い生地で色も白いです。
その代わり魚粉を多めに振っています。
特徴的なのはキャベツは千切りでなく粗めな乱切りで、焼き上がった時にヘラで切ると水分が残り僅かに滴る。
この水分で魚粉の旨みが生地に拡がる。
これも計算のうち。

肝心の乱切りキャベツで少しウエットですが、調理用の鉄板と共用なので火力が強く、どんどん水分が飛んで食べている内に好みな感じに仕上がっていきます。

キャベツの葉と葉脈との硬さの違いがアクセントになっていたり面白い、そして甘みもタップリ。

尾道ラーメンで使われている井上製麺所(尾道)の生麺(やや細麺)は6分の蒸し焼きでキャベツの水分を吸い軟らかくなった上で所々がほんのり焦げて芳ばしさも加わっています。

砂ずりは鮮度良いし、ソースの香りも手伝って、臭みは殆んど感じません。
ゴリッ食感、焼き方もOKでお好み焼きに入れてる砂ずりとしてはピカイチ！

｢びふとんソース｣(三原市木原町)
メーカーというより家内手工業な零細業者
濃厚な澱を含んだソースとウスターソースをブレンドしたような味わい
甘さの中にキレのあるタイプ、但し酸味は穏やか

ソースも焼き方も子供の頃に食べていたお好み焼きに良く似ていて、郷愁を感じさせるし、何より美味しい。

広島市内のお好み焼きは生麺を直前に茹でて、そのまま鉄板に投入して焼く八昌さんの方式が浸透していますが、広島県東部の三原～福山にかけては蒸し麺(袋麺)や生麺を直接キャベツの上に載せて一緒に焼く方式が主流です。

尾道や福山にはお好みソースのメーカーは無く、三原にはテングソース(中間醸造)、サニーソース(中山食品工場)【零細】、びふとんソース(びふとんお好みソース)【零細】と言うお好みソースの製造者があり、広島県東部ではお好み焼きの熱い地域。
インターネットで買えるテングソースとは異なり、幻と言われるサニーソースとびふとんソースは零細事業者で生産数がかなり少ない。

びふとんソースは小学生の頃に行き付けだったお店の味わいに良く似ており、今回も懐かしさを感じました。

既に小学4年生の時には行き付けのお好み焼き屋さんが在ったので、お好み焼き歴は年季が入っております。
多分、3,000食は食べているはず。

お好み焼きは焼き方を単純に真似ても美味しく焼けません。
焼き時間、鉄板の温度調整をどうするかなど火加減も難しいです。
単純に見えても焼き手の熟練の技により味わいが大きく異なります。

この日は私以外にはお客さんが1名のみで、落ち着いてお好み焼きを焼かれており、ベストな焼き加減だったと思います。

ご馳走さまでした。