ジロリアンへの道　第百七十回　－西国にもやっと登場、待ってましたのデロ二郎－【再訪】 : 麺屋 多華味

ほぼ8ヶ月ぶりの再訪。それでも広島エリアの本格触発二郎としては最後発組ニューカマー。二郎食文化は確かに増殖しているのだが、それでもこのペースってのが西国での実態なんである。それでも広島県はまだマシな方。これが山口県となると実にお寒い限りで、だからしてラーメン一杯喰うのに自宅からクルマを100km走らせる羽目になる。あ～何たる時間の浪費か･･･

2016年11月27日

黒麻油らーめんなる新メニューがアップされていたのだが、それでもなお初報と同じデフォメニューをオーダーする私は余程の天邪鬼か。じゃなくて、初報で感じたあのキラリとしたモノを、少しの間を置いてどうしても確かめたかったわけ。で、再びここのデフォラーを最大盛りでテストする!!

【らーめん（めん特盛、野菜、にんにく）】780+100=880円

う～む。やはり。この平打ちズル二郎な麺は、少なくとも中国地方の触発二郎系の中では白眉の存在だと確信した。どうしても二郎系=ボキゴワ麺になりがちな地方触発二郎系で、この手のズル二郎で涼しい顔して挑んで来る辺りが唸らせてくれるじゃないか。ちょいと甘めだけれども、実は立派に醤二郎してる豚汁に、この好食感な麺がドップリ沈むのは二郎的にマニアック。しかも初報の印象より一段切れ味良し。なのでめん特盛で茹で前460g、つまり茹で揚げ900g近くになるはずの麺が、私的にはちっとも多くない。一方で相変わらずのミニマムポーションな豚は、何ともショボ～ンで画竜点睛を欠くのは、まあご愛嬌。これで豚がドド～ンと来たら、それこそ本物二郎に肉薄しちゃうかも。一方で、盛りを程々に抑えておけばきちんとノーマルラーにもなり得るマルチプレイヤーぶりは、二郎食文化発展途上の地方でこそのリスクヘッジ手法。明らかに二郎系目当てのどすこい兄ちゃん連と、極々普通の家族連れが店内で入り乱れてるのもその証左か。現時点では、広島県下の触発二郎として、頭一つ本物二郎に近い様式美を持つ一杯。地味だが旨いです。

2016年3月6日

またしても広島エリアに二郎系ニューカマー出現の情報入手。やはり二郎化の波はジワリ西進してるのである。待ち遠しい週末土曜日を待って、車を広島に走らせた。夜営業の口開け前に店着。パノラミックガラス張りの、明らかに居抜きチックな店舗は、歩道から眺めればまるで水族館の大水槽。この中で汗を垂らしつつ二郎系をワシワシやってる様を外から眺めれば、まるでまんぼうオヤジの給餌タイムじゃないか。ちょっと恥ずかしくないか?かなりラーメン屋らしくないファサードではある。

【らーめん（めん特盛、野菜、にんにく）】780+100=880円
もしあなたがジロリアンならば、野菜はマシコール必須と思われ。それでやっとデフォ二郎ほどのマスになる。野菜山はキャベツがかなり散ってて良心的な仕上がり。少し茹でが強めのいわゆるクタ系なので、マスの割には喰い応えがある。豚は冷え気味のバラマキチャーが1枚で、これでは何とも評価のしようもなく、二郎系と言うには残念レベル。ま、ここでド～ンと塊神豚でも乗ってしまったら、本家二郎も形無しになっちゃう訳で、そこまで求めるのは酷と言うもの。ちょっと嫌な物言いかも知れんが、端から余り期待はしておらん。

で、ハイライトは麺である。デフォで茹で前230g、特盛は2倍の茹で前460gとなる麺は、そのガッツリ量も大合格なら食感こそ望外の出来栄え。何と典型的な平打ちデロ麺でやって来た。しかも二郎系としては珍しい熱々で。風味自体は弱めなのがちょっと残念だけれど、それでも茹で前460g、茹で上げ後800gを越えるだろう麺量を、殆ど飽きる事なしに手繰りきれた。何もワシワシと咀嚼する麺ばかりが二郎系じゃないのだ。こりゃあ実に手繰り甲斐のある平打ち麺。最近割りと好きな食感である。豚汁は豚骨、鶏ガラ、野菜系出汁をベースとする非二郎フォーマット。シンプルで平板的な味わいだが、さっぱりしててこれが意外と旨い。カエシの量が期待値の2/3程度なのは、西日本だから仕方なしと諦めるべきか。

【まとめ】
広島県の二郎系事情を俯瞰してみれば、二郎系としてまず異論が出ないだろうお店は3件といったところ。そのいずれもが二郎系の保守本流と言って良い、ワシワシと麺を喰らう二郎系である。その、手繰ると言うよりも咀嚼を要する麺質は、確かに個性的だし二郎的でもあり、ま、それも仕方ないところではある。が、何とこのニューカマー、二郎系の中でも通好みと言って良い、ズルズル手繰れるタイプでお出ましになった。う～ん、やるねぇである。これでまた広島二郎系の選択肢が広がったのは喜ばしい限り。このちょっとシブい二郎系を、これから大いに楽しみたい。