【広島人気イタリアンのお取り寄せ】 : イタリア料理 スペランツァ

今年一月に訪問したイタリアレストラン「スペランツァ」(広島市中区)。

今回はこの店からお取り寄せ。
石本友記シェフの広島とイタリア食材へのこだわりとその味付けが素晴らしい。そんなシェフの気持ちはお取り寄せからも伝わる。

今回は以下の瀬戸内産食材二種のソース「瀬戸内タコとパンチェッタトマトソース」、「瀬戸内サザエのゴルゴンゾーラソース」。さらにイタリアトマトを使った「本気のトマトソース」、広島のジャガイモを使った「ニョッキ」の4点をセレクト。ソースは他にイカ墨、ボロネーゼ等もあり組合せは自由。今セットは税込価格6156円＋送料800円。　

　蛸は広島県では三原市が有名だが瀬戸内の海の賜物。
蛸壷の歴史も面白く弥生時代の中期から大阪、瀬戸内、北部九州へと広がる。

サザエの貝殻は毛利輝元が築いた広島城の江戸時代の武家屋敷跡から見つかっていて、当時の武士もサザエを食べていた事が分かる。城はこの店からも近い距離にある。

そんな食歴を思いつつ「瀬戸内サザエのゴルゴンゾーラソース」をニョッキに絡めいただく。サザエの苦い肝とゴルゴンゾーラチーズの濃厚な味が出会って美味。コリコリ食感のサザエともっちりニョッキのコントラストも面白い。蛸の方は豚バラ肉から出たエキスとトマトソースが味わい深い。
「本気のトマトソース」はシェフが長年こだわり使い続けるイタリアのホールトマト缶と玉ねぎのみで作ったソース。これはパスタでいただく。シンプルだけど奥深い。
今回シェフから言われたのが合わせるパスタは値段が張っても贅沢なモノで、1.6〜1.7mmの太麺を使う事。確かにソースとパスタの絡みが違う。

自由に旅行するにはもう少し時間がかかりそうな今、贅沢なパスタくらいならば許される。
広島、瀬戸内そしてイタリアの味で旅気分を楽しむのもアリ。

スペランツァショップから購入可能

https://speranzaismt.theshop.jp

2011年オープンの広島地元人気イタリアン。
友人に連れられて来たが、結果はイタリアンというよりジャンルに縛られないイノベーティブ、フュージョンというかボーダーレス料理だった。

メニューを見て「シェフの全力投球コース（税抜6000円）」をオーダーするものの、すぐさまその書かれているメニューではなくシェフがイメージしたものを出すと言われお任せした。

プロセッコで乾杯の後、まず最初のアミューズは「サザエ」…瀬戸内産サザエにサザエの肝を絡めてソテー。ハマグリの身もバターソテーされ、三つ葉と刻んだ白菜、ほんのりハマグリの香りのする泡を添えて出される。肝の苦味、白菜の甘味が絡まってとっても奥深い味。コリコリのサザエ、シャキシャキの三つ葉と食感も美味しい。

ワインはグラスで白ワインをもらったところで
ひと皿目の前菜「タイラギ貝」が運ばれる…瀬戸内のタイラギ貝を昆布締めにしてその後軽く炙り、間に生ハムと山芋をすり下ろして玉子を加えてガレットにし、上にセリのソテーとフランス産のコンテチーズ（ハードタイプの熟成チーズ）を添えて出てくる。
ひとつひとつの食材も美味しいし、全部合わせるとシナジー効果のある味となる興味深いひと皿。

ここでパンが出て来た。
「ゴボウのフォカッチャ、ライ麦パン」…ゴボウの風味がほんのり、上品に美味しい。

「穴子とフォアグラ」…広島といえば穴子食材が浮かぶが、フォアグラと組み合わせてフリットしたモノが意外なほど美味しく、脂がしつこくなく驚き。梶谷農園のハコベが上に乗り、パウダーは野菜と黒胡椒、ソースは黒糖を合わせたモノ。一緒にいた友人も目の前で美味しいという言葉を連発している。

「猪のパスタ」…カンテサンスでも使う広島の「ジビエヨコタ」の猪を使ってのパスタ。ボロネーゼが出てくると思っていたら、猪を一番活かせるパスタを考えて作ったと石本シェフが語る。

どうやら、猪の骨をオーブンでじっくり焼いて水を加え出汁を取り2日間寝かす。

猪は一頭買いして切り分けるとどうしても無駄な部分が出るのでそれら色々な部位を割と大きめに切りじっくりローストしてさらにカットしてこのパスタに入れる。

先ほどの骨から取った出汁に煮詰めたワインとポルチーニを加える。それを馴染ませてから猪肉を投入して火を止める。煮込むと味が抜けるのでそうしない、という話まで伺ってちょっと石本シェフも良い意味で変態だなと思った。

パスタは自家製でしっかりアルデンテ、これもまたこのパスタ自体も相当美味しいし、ソースとのバランスがとても良い。
全体に僕らにとっては猪の色んな部位が楽しめ、さらに脂が甘くて相当美味しい。
猪を最大限に活かしたパスタはこれだ！と言われたら確かにそうだな、と思わせるチカラがある。

デザートには「ティラミス」…これもよく出て来るティラミスと違ってマスカルポーネに、砕いたガトーショコラが散りばめられたタイプのもの。当たり前に美味い。

食後、シェフとだいぶお話できた。イタリアンというジャンルに縛られたくなく、自分の作りたい料理を作りたいという。
結果そうなってると思うけど…。そして食材を活かし切っている。

さらにその意欲を具現化するために今の店の二階を自分のやりたい事がテスト出来るレストランスペースにする事も考えているよう。

ソムリエールの奥様のホスピタリティも素晴らしい。

ご夫婦とも人あたりもよく、人から好かれるタイプ。シェフは腕もいいし今後も積極的に変化もしていきそう。
広島のレストラン、全体になかなか面白い。