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店名 |
ル・トリスケル(Cuisine Francaise Le Triskel)
|
---|---|
ジャンル | フレンチ |
予約・ お問い合わせ |
082-511-5031 |
予約可否 |
予約可 |
住所 | |
交通手段 |
銀山町駅から194m |
営業時間 |
|
予算 |
¥4,000~¥4,999 |
予算(口コミ集計) |
¥10,000~¥14,999
¥5,000~¥5,999
|
支払い方法 |
カード可 (JCB、AMEX、VISA、Master) 電子マネー不可 QRコード決済不可 |
サービス料・ チャージ |
ランチはカード不可 |
席数 |
12席 |
---|---|
個室 |
有 |
貸切 |
可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | 落ち着いた空間 |
ドリンク | ワインあり、ワインにこだわる |
---|---|
料理 | 魚料理にこだわる |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
ロケーション | 隠れ家レストラン |
サービス | お祝い・サプライズ可 |
備考 | |
初投稿者 | |
最近の編集者 |
|
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人生はじめて広島へ行きました。
不思議なくらいいままで私の人生にこの都会とは縁がなかった。
というわけで、今回の訪問に当たっては、どこから、訪問すべきか、実際、戸惑った。
そこで、若き巨匠に参考までに、尋ねてみた。
世界でもっとも権威があるとされる某雑誌の世界ベストレストラン50における日本のレストランの選考委員である彼が、まず、第一に挙げたお店がこのお店であった。
マズ、断っておくが、二人の間に一切の利害関係はない。
したがって、自由にものが言える対等の関係にある。
また、彼がここを進めたのは、私の嗜好を熟知のうえのことかもしれない。
それを、前提に話を進めるのが、正当であろう。
唯、それだけで、訪問とはならない。
まず、食べログにおける写真をよく観察した。
だいたい、写真だけで、おおよそのことは、わかる。
したがって、食べる行為そのものは、それの検証作業に過ぎない。
それは、巨匠ロリン マゼール氏と同じ思考過程である。
マエストロは、ゲネプロで、演奏そのものは、すでに終了しているという。
実演は、それに対する検証ないし再現過程に過ぎず、極論すれば、指揮者の仕事は、ゲネプロの段階ですでに終わっているので本番に指揮者は不必要だと主張している。
また、ウィ-ンの三羽カラスといわれた、デ-ムス氏は、飛行機の中でも、練習はできるという。
架空の鍵盤を弾いて頭のなかで、その音が聴こえるという。
ピアノがなくとも、ショパンは弾けるというのだ。
すべて、頭の中で構築されている。
それと同じことである。
なるほど、写真を見る限り私好みの料理が多い。
そのなかで、パトリック ジェフロワ氏のサイン入りの写真をみつけた。
ジェフロワ氏といえば、御承知の通り,フランス ブルタ-ニュ地方を代表するミシュラン二つ星である。
私との関係は、2003年に、ニュ-オオタニ 大阪 サクラにおける彼のフェアに参加したことから始まる。
魚料理がおいしかった記憶がある。
その後、一度彼の現地のレストラン(ロテル ドゥ カランテック)にお邪魔したことがある。
その際食べた、ル-ルブル-が美味だったことは、鮮明に覚えている。
何でも、彼はそのお弟子さんにあたるとか。
4年半にわたる海外修行のなかには、タィュバンでの修行もあったとか。
なおシェフは、2000年ドイツで行われた世界料理コンク-ルの銅メダリストのひとりであります。
また、ジェフロワ氏といえば、いまをトキメク帝国ホテル出身のフランス ム リ-スの料理長 杉本氏の修行先のひとつでもある。
色々な懐かしい思いがひとつになって訪問を決意させることになった。
なお、トリスケルとは、ラテン語で、大地と太陽と水の三位一体を意味するそうだ。
当然名付け親は、シェフの師匠であるジェフロワ氏だそうだ。
広島駅から、歩いて10分程度でしょうか。
少し古びれたビルの二階に、当店舗はあります。
実際、少し当惑したのは事実であります。
ある意味、外観で損をしている部分はある。
ただ、外観で、人を判断してはいけません。
おそるおそる階段を上がり、入店してみると、入るとすぐ,オ-プンキッチンで、シェフひとりですべてをこなしているようだ。
その他、ホ-ル担当の女性がふたり。
サ-ビススタッフに案内されて客席に通された。
店内は、なぜか、フランスのラジオ放送が流れている。
こじんまりしたお店で、16席ほどしかないが、カジュアルだがシンプルな清楚な雰囲気の店内であります。
東京でいえば、エル ブランシェをよりカジュアルにした感じでしょうか。
接客は悪くなく、実直な感じであります。
料理の説明から、料理の配膳の間の取り方まで、華美さはないが、誠実さは伝わる心温まるサ-ビスである。
コースは三種類。
ひとつは、三日か前までに予約の必要がある。
あと二つは、当日でも食べれるようだ。
その他、アラカルトもある。食材は、総じていい食材をお使いのようだ。
地産地消の観点から、できるかぎり、広島近郊の厳選された食材をつかっているようだ。
ただ、フランスの食材に対するこだわりもかなりあるようで、鶉とか、また当然の如く,ル-ルブルーはフランスから取り寄せているようだ。
なお,サ-ビス料はない。
外税だけだ。
3980円のコースを選択。
その内容は、前菜+スープ+メイン(魚か、お肉の選択)+デザ-ト+ドリンクであります。
当然、ここにきたからには、魚料理でしょう。
したがって、メインは、魚料理。
この日は天然イシダイのポアレでありました。
まず、提供されたトリニスケル風前菜の盛り合わせでガッンとやられました。
***トリスケル風前菜の盛り合わせ。(4.0)***
山女の燻製にフォアグ゛ラのソテーの組合わせ。周りには様々な葉野菜。いんげん、空豆。ナッツ 胡桃 杏のコンフィチュ-ル 上にはポテトのチュイ-ル。ソースはビーツと、バルサミコソ-スの組合わせ。マズ。絶妙な味わいの山女の燻製に感涙。淡白な味覚の山女にほっくら崩れるような触感に、サクラのチップの香りが上品に軽妙に優雅に響きながら舞い踊る。まるで、妖精の踊りのようだ。かみ締めるほどに旨みが内から、外へと溢れてくる。程よい焼き加減のフォアグラは、外側は、魅惑的なカリカリ感で内側は、トロトロ状態で蕩ける。的確な火入れで程よい甘さが魅惑的。ある意味、エル ブランシェのそれよりも清楚な上品さが感じられた。春らしい季節を感じるいんげん 空豆の湯で加減もほどいい。アクセントとしての杏のコンフィチィ-ル 胡桃も食欲をそそる味わい。同様にかりっとしたポテトのチュイールもその旨みを増す味わい。しっかり存在感の感じるビーツとバルサミコソ-スは、甘く芳醇で芳しいひとときを醸しだす。しかも、水っぽくなくしかも、重すぎないおいしさ。フランス料理の醍醐味の一つとしての複雑さを見事に表現している。これだけで,ブラ-ムスの交響曲2番を聴いているような心境になった。個人的には,ピエ-ル モントゥ-のそれに近いように感じたが。
***スープ(3.9)***
当日ののスープは、かぼちゃのス-プ。滑らかで、かぼちゃの甘み旨みの詰まったおいしさであった。なお、写真は撮り忘れた。
***天然イシダイのポアレ(4.2)***
天然イシダイのポアレの下には、イシダイの頭でダシを取ったヒュメドポワソン。それにサフランを加味している。当然、皿は温かい。これは、鉄則でしょう。その他、具材に、筍の穂先 下仁田ネギ ポワロ-など。イシダイの皮は香ばしいカリ感で、身はパサつかず、しっかり水分質を保っている。この辺のキュイソンもうまいというべきだ。タイの場合、パサつきやすい。これをパサつかず仕上げるのは、コンベクション使用せずして、仕上げるのは、なかなかむずかしい。この辺にも料理人としての技量の確かさを感じた。そして、ナントいっても、ス-プである。これこそ黄金のス-プといってもいい味わいである。その芳醇さ*豊満さは他に変えられない。見事な味覚の結晶のごとき味わいである。その旨みに、イシダイのポワレに軽く吸い込む美味さはなんともいえない美味さである。そこに、下仁田ネギの甘さ エグミのない筍の柔らかい旨みが加わる。至福ともいうべき味わい。遠い昔。東京オペラシティで聴いた巨匠ギュンタ-ヴァントのブルックナーの交響曲に似ている。まるで、天国を歩いているような感覚であった。
***デザ-ト(4.0)***
奄美大島のマンゴのアイスとハイビスカスのジュレ
マンゴのアイスにハイビスカスのジュレ。それに、尾道の八朔。金柑のコンポ-トなどを具材として使用している。滑らかな濃厚な甘みとここちいい酸味のマンゴのアイスに、粒つぶした触感の八朔の酸味に、金柑のあまづっぱさ、華やかな香りのハイビスカスの酸味が四重奏のように重なり合いながらもマンゴの芳醇な甘みを引き立てながら融合する。それは、まるで、リヒャルト シュトラウスの薔薇の騎士の中で歌われる地上のものとは思われぬ天上の薔薇の如き世界である。
近代フレンチという視点から、現代を見ている点で、モダン クラシックないし、新古典主義の立場にあるようだ。したがって現代フレンチだけが、フレンチと理解されている方には、実際のところ、訪問の価値はない。フランス文化の多様性ないし、フランス料理としての伝統的価値としての多元的な文化的意義に興味のある方には、訪問の価値ありとおもえる。それは、あるべき正統派フレンチとはなにかの一つの姿を指し示す意味でもある。