広島フレンチの「顔役」を担う老舗店。予約の際はぜひスペシャリテを相談してみて！ : ル・トリスケル

広島でご存じない方はいらっしゃらないのではないでしょうか。
広島フレンチの「顔役」と言うべき有名な老舗フランス料理店です。

広島で言えば、ル・ジャルダン・グルマンさんと並んで、二大巨頭と言って良いでしょう。
00年代の広島フレンチを牽引されて来られた名店です。
もちろん、ミシュランとゴ・エ・ミヨの掲載店でもあります。

あまり知られていないかもしれませんが、「全日本司厨士協会」の広島洋食部門長もされています。

私自身にとっても、若かりし頃に自分の「フランス料理デビュー」を果たした懐かしいお店の1つでもあります。

久々にお料理を頂いてみて、改めて、やっぱり「すごい！」と思わされました。


スペシャリテの「フォワグラのベニエ」
15年以上作り続けられているお店の名物です。

昔からのフランス料理好きなら、ご存じの方も多いのでは。
例えば北島亭さんでも有名ですよね。

（誤解のないように、この「フォワグラのベニエ」は、フランスがルーツなので、シェフは北島亭さんの料理を模倣された訳ではありません）

割るとトロトロのフォワグラと、美味しい黄色い脂がたっぷり！

よく「フォワグラ嫌い」という人がいらっしゃるのですが、
そういう人は、おそらく、質の良くないフォワグラを食べた経験から「フォワグラ嫌い」になってしまうのだと思います。
質の良いフォワグラは、本当に美味しいです！！
「フォワグラ嫌い」の人こそ、ぜひこの店のスペシャリテを試してみて欲しいですね。

もう１つのスペシャリテ「オマールのテリーヌ」
素材はフレッシュオマールと生クリームと卵だけ。
盛り付けもシンプルにこれだけ。食べれば解かる本物。すごい。
オマールの香りと風味が凝縮されています。

こちらも、昔からのフランス料理好きにとっては、嬉しい逸品なのでは。

私がよく参考にさせて頂いているレビュアー「cdmaryu」さまが、次のように書かれていて、とても共感しました。
『牛ほほ肉の赤ワイン煮込みは、オーソドックスな料理なだけにシェフの腕が発揮される一品だと思うんですが、こちらのそれは最上級の美味しさでした。』
この一言に、こちらのお店の本質が表れているのでないかと思うのです。

老舗店という事は、それだけフランス料理の基本的な基礎がしっかりきちんとしている、
そして、ちゃんと真面目で誠実なお料理を作られている、という事です。


「エディブルフラワー（食用花）と旬の野菜のサラダ」
見た目にも綺麗で、口をさっぱりと直してくれます。
上に載っている緑の網も、お店で手作りされたチュイル（クッキー）です。
こういう料理を眺めると、やっぱり今も昔も、デートや記念日にはフランス料理だよなあ、と改めて思わされますね。


「春と初夏のマリアージュ　山菜と鮎」
これは今しか食べられない組み合わせですね！
初鮎を丸ごとに、コゴミなどの山菜やハーブ、季節の野菜のサラダと合わせて、
頭や骨は香ばしく揚げてあって、サラダと合わせて齧ると、これはすぐに泡や白ワインが飲みたくなります！
もちろん内蔵もリエットにして、ヴルーテソースに。
これからやって来る夏にワクワクするような一皿でした！


そんで、一番感動したのがこれ！
「和牛ステーキ　トリュフ添え」
牛には個体差があるので、運やタイミングがもちろんあるのですが、
正直、この日のステーキは、私の人生史上でベスト3に入る美味しさでした！！
ホンマに美味すぎて、たまげました！！

昔、『美味しんぼ』で読んだステーキやん！！と思いました。
（生に見えて火が入っている、というやつ：第2巻「日本の素材」より）
子供の頃に夢見たステーキを、まさかここで味わえるとは・・・！！

本当に、火入れ、肉質、仕上がりの状態、全てにおいて完璧でした。
クラシックな定番ソースとの相性ももちろんグッド！

久々にフランス料理のお店で、本当に美味しい牛ステーキを味わいました。
すごかったです。


今はフランス料理の新しいお店がたくさん増えてきて、昔からのお店が忘れられがちですが、
やっぱり「長く地域に愛され、続いているお店」というのは、本物だから、という理由があるんですね。

時間のサイクルの早い現代で、15年以上も同じ「スペシャリテ」を提供され続ける矜持も素晴らしいですし、
（「スペシャリテ」とは本来そういうもので、今はスペシャリテを置くお店が本当に少なくなりました。）
王道やクラシックがちゃんと土台にあるから、
今の時代に合わせたアレンジがされていても、しっかりとした「フランス料理としての美味しさ」が芯にあるのだなー、と感心させられました。


ワインもフランスの王道系がバッチリ揃っていて、
こちらも昔ながらのスタイルで、出来ればグラスよりボトルで通して楽しむ方向性ですね。


フレンチに親しんで欲しいとのシェフのポリシーでしょう、ランチもディナーも安価な価格帯のコースを用意されています（ランチ2300円、3980円から。ディナーも5500円から）

しかし、こちらのお店の真価を味わいたいなら、やはりランチは一番上のコース、ディナーも10000円以上のコースがお薦めです。

あと、仕入れや仕込みの準備がありますので、当日飛び込みではなく、2～3日以上前に予約をしてから訪れた方が絶対に良いです。
シェフに伺うと「そのお客さまのために、きちんと仕入れをして、きちんと仕込みをして、ちゃんと準備しておもてなししようと思うと、やはり3日以上前には予約いただきたいです」とおっしゃっていました。


こちらのお店のネットの口コミを拝見すると、評価が割れているのをよく見るのですが、
それはシェフの厚意で用意された安価なランチのみで判断したり、あるいは、当日飛び込みでご注文されたお料理のみで判断された方の口コミなのかな、と私は思います。

本当のフランス料理というのは、とても手間暇がかかるものなので、やはりちゃんとしたコースを食べて正当な評価をして欲しいと思います。


そんな訳で、お店を応援したい意味もあって、今は採点を控えている自分ですが、今回は点数を付けました。（思い入れがあるので、それを加味した点数というのも書いておきます）

あと、写真ですが、一度のコースで全て出たものでなく、過去に何度か通った中からアップしているのも付け加えておきますね。（一度の訪問でこれらが全て出たと誤解があるといけないので）


シェフは他にも多くのスペシャリテを持ってらっしゃるそうなので、また味わいに伺いたいです。

もちろん、お薦め店です！

広島フレンチの歴史を語る上で、絶対に外せないお店だと思います。
地方にも「巨匠」はいるのだと知っていただきたいですね。

↓広島食べ歩きブログやってます。広島グルメが500軒以上！こちらでは写真などもっとたくさん掲載しています。
ぜひ読んでみてください。
http://syokuki.com