無理なく食べられる優しい味わいのつけ麺でした。 : さんや

これは、あくまでも広島つけ麺を食べた印象をレビューにしています。ラーメン・まぜそば
についての評価は、他のレビュアーの意見を参考にしてください。

もともと違うお店に行こうと思ったのですが、近隣の公園越しに「つけ麺」の文字を発見し
条件反射的に外観写真を撮って入店しました。


店内に入ると、すかさず女性店員が「いらっしゃいませ」と出迎えてくれました。お店のスタッフ
の陣容は、厨房に男性が２名、先ほどの女性が１名の計３名。男性は調理に、女性は給仕に
専念するようです。


調理の様子が見たかったので、厨房の目の前にあるカウンター席に座り、メニュー表を見て
注文したのは、

・さんやのつけ麺（特盛・麺２玉・０辛→のちに５辛にアップ、９５０円）　　　　　　です。


念のため、辛さは後で追加できるか否かを聞いたところOKだったので、まずは０辛で様子見です。


注文を受けて、男性店員が調理に取り掛かります。


店内は、入口側と厨房側が段差があり仕切られています。壁は白壁、テーブル・椅子は綺麗に
磨かれた木を使用しており、温かみを感じます。設置されている照明器具をみていたら、さながら
喫茶店のような雰囲気です。また、入口左側には、雑誌や新聞が置いてあり、手持ち無沙汰に
なることはないでしょう。


席数は、入口側…４人掛けテーブル×３卓、カウンター３席、厨房側…２人掛けテーブル×１卓、
カウンター３席あり、家族連れ・一人客のいずれが来店しても十分に受け入れることができそう
です。また、小さなお子様用のテーブルも用意してありました。このあたりは、住宅地ならではの
配慮かもしれません。


では、視線を厨房に向けていきます。
まずは、角型の茹で麺器に麺を１玉ずつ投入し茹でていきます。
茹で時間は１分４０秒。色々なつけ麺のお店に伺いましたが、やや短めの茹で時間です。


タイマーが鳴り、麺を引き上げ、湯切りを行ないます。
すると、もう１人のスタッフがすでにボウルに氷水を入れて、水切り用のザルを用意していました。
時間が勝負のつけ麺。素晴らしい連係です。


ザルに入れられた麺を氷水につけて一気に締めていきます。麺のぬめり（きちんととらないと麺が
絡んでくるので）を取るために、時折、揉みだしています。ただ、麺が細いのでしょうか？そこまで
力を入れてはいないようでした。


ひと通り、麺を揉んだあとは、ザルを上下に振って水切りをしていきます。
何度もザルを上下に振って水切りをする様子を見ていると、広島つけ麺はつくづく手間がかかる
料理だな～と思いました。（そんな料理を注文する私も…意地悪かな？）


さて、いよいよ盛り付けです。皿の上に、きちんと半円形型に麺を盛り付け、冷蔵庫の中から
取りだしたキャベツ・半熟玉子などを麺の上にのせていきますが、何故か１品だけ香ばしいものを
キャベツの隣に盛り付けていき完成です。


注文から約１２分。さんやのつけ麺が私のもとに運ばれてきました。
どうやらランチタイム（１４時３０分まで）は、おむすびが１個ついてくるようです。


メインのつけ麺を食べようと思ったところで１つの疑問が！通常、広島つけ麺には冷したモモ肉
のチャーシューが添えられるのですが、このつけ麺には、炙りチャーシューがのっています。


先ほどの香ばしい香りの正体は、このチャーシューのようです。
冷たいつけ麺の横に添えられた温かい炙りチャーシュー…どのように食べて行こうか？
迷いながら実食です。


まずは、０辛のつけダレから。
このつけダレは、かなり美味しいです。昆布・あごだし・いりこ・醸造醤油…その他色々の材料が
使用されているのですが、非常に後味がすっきりとしたつけダレです。しかも、純粋につけダレを
味わっていると、お店によっては、喉が異常に乾くのですが、このつけダレは全くそのようなこと
がありません。化学調味料に頼らず、天然の材料を上手に組み合わせているのでしょう。
（あくまでも私見ですので）


次に、麺をつけダレに漬して食べていきます。麺はかなりの細さ。確かにこれだけ細いと揉みだし
をすると切れてしまうでしょう。しかし、麺自体は、意外にもコシがある出来栄え。しかもつけダレ
の旨味を適度に絡め取ってくれるので、麺の食感と風味を同時に味わうことができます。
なかなか考えられた麺です。


キャベツをつけダレに漬して食べてみると、このキャベツは、少し茹で過ぎの感はありますが
しっかりと甘みがでたキャベツです。


なかなか美味しいキャベツだな～と思って食べていたら、早くも麺が見えてきました。キャベツの
量は、麺を覆う７～８枚程度しかありません。量が明らかに少ないので、次回は１００円プラス
してキャベツ大盛りにしてもらうことにしましょう。


長ネギは、麺と一緒に食べていくと、ネギの苦みがピリッと来て新たな味わいをもたらせて
くれます。


ひと通りの具材を味わったので、今度はつけダレを５辛にアップしてもらうことにしました。


待つこと１分。５辛のつけダレが運ばれてきました。
唐辛子だけを投入しただけでなく、０辛のつけダレを継ぎ足してくれたようです。細やかな配慮に
感謝です。


早速、お箸でつけダレをかき混ぜ、残りの具材を食べていきます。
すると、今度は…来ました！キャベツの甘みの後にくる辛さがたまりません。
麺も５辛のつけダレに漬すと、辛さが前面に出てきます。しかし、辛さで舌がしびれるのではなく
このつけダレは、辛さの中に魚介の旨味を感じることができます。


そして、最後までどのように食べようか？と迷っていた炙りチャーシューを５辛のつけダレに漬して
食べると、チャーシューの脂の甘みとつけダレの辛さが強烈にぶつかり合って、噛みしめるたびに
旨味がでてきます。これは、なかなかの１品です。


しかし、チャーシューを食べたあとに、残った麺を漬して食べると、チャーシューの脂が少ししつこく
感じました。個人的には、このチャーシューは、最後に食べた方が良かったかな～と思いました。


色々なことを感じながら無事完食です。


ここで、疑問に思ったことを聞いてみようと思い、私の前に立っていた男性店員に炙りチャーシュー
のことを聞いてみたところ、「店長を呼んできます」ということで、厨房奥にいた店長を呼んできて
くださいました。


少しだけ男性店長とお話をしました。
概要は下記の通りです。

・炙りチャーシューは、豚バラ肉を使用。そのまま提供すると、脂っぽくなるので、１度炙るように
している

・つけダレは化学調味料は不使用。つけ麺は辛いだけでないことをわかってほしい

・炙りチャーシューは、多くのお客さんは、最後に、麺・キャベツの周りにチャーシューを巻いて
食べているようである

・住宅街にお店があるので、常連さんを除くと、新規のお客さんはなかなか来ない。そのあたりが
悩みである

・「さんや」という名前は、つけ麺・まぜそば・らーめんの「三本の矢」から名付けた

・麺は細麺を使用。提携した業者から入荷している。本当は、自家製麺を作ってみたいが、
メニューの数が多いので厳しい

とのことでした。


個人的には、これだけしっかりとしたつけ麺を作れるんだったら「つけ麺専門店」でもいいんじゃないか
と思いましたが、それだと店名を否定することになるので、話を聞いてようやく納得できました。


人気メニューは「ミニまぜそばセット（６５０円）」だそうですが、店長曰く、ちょっと安くしすぎたかな～
と本音が出ていました。


その後、店長と話をしていたら、「あなたのように、年中つけ麺を食べていて、材料や調理に手間が
かかることをわかってくれるお客さんばかりじゃないから、つけ麺１本は難しいですね」と話をして
くれました。


お昼の営業時間終了（１４時３０分）が近づいてきたので、代金９５０円を支払ってお店を出ました。


とても美味しいつけ麺でした。特に、つけダレは印象に残りました。住宅街での営業に加え、メニューの
数が多く仕込み・調理が大変でしょうが、頑張ってほしいと思います。


とても美味しくいただきました。ごちそうさまでした。