並んでなくても旨いんです : 八昌 談

広島駅南口右斜め向かいにあるビルの６階。ワンフロア全て「ひろしまお好み物語・駅前広場」というお好み焼き専門の集合店舗の中の１軒。

今回はマツダスタジアムにプロ野球観戦に行く前の景気づけに行くお好み焼き屋。
「近所に衣笠(広島カープの永久欠番・国民栄誉賞のスター選手)が住んでいた」
というコテコテの広島出身の友人は、広島駅からすぐ行けて、スタジアムにも近いこの「お好み物語」に行こうという。

駅で落ち合い、友人夫婦についてエレベーターで６階に上がり、右に行くか左に行くか、どっちに行ってもお好み焼き屋がぐるっと取り囲んでいるところに来た。

各店舗は全てＬ字またはコの字のカウンターのオープン形式になっている。
友人のお目当ては「そぞ」という店だったが、土曜日の午後３時過ぎにして満員。

他に行き付けの旨い店を知っているのだろうと思ったら、
「高校までしか住んどらんので、駅前の店なんか他はほとんど知らん。第一俺が住んでた頃はここはダイエーだった」
なるほどごもっとも。このビルは昔はダイエーだったのだが閉店。立地条件が抜群に良かったので、現在はネットカフェや居酒屋、ゲームセンター、カラオケなどが入っていて、まさに文字通りの雑居ビルとなっている。

６階のフロア全てお好み焼き屋なんだ。どこでもいいから入ろうやということになって、
この店が「八昌　談」という店名だったのと、呼び込みのおにいちゃんの元気が良かったので、カウンターに座った。確か八昌って有名だよなと思い、暖簾分けかな、とほのかに期待。

因みに同じフロアで１軒、満員どころか行列ができていた「電光石火」という店があったが、インターネットで調べてみると、そこの店舗群１の人気店だった。

さて、普段はあんまりビールは飲まないほうなんだけど、こうも暑くて汗が噴出してたら、ビールは旨くなる。
まずは生ビールで、今宵の野球が盛り上がるよう祈って乾杯。
プロ野球観戦の前の酒って、高揚感を煽ってイイんですよねえ。

メニューを見せてもらったんだけど、よく分からない。っていうか、景気付け兼腹の虫押さえなんだから、そんな真剣に選択するもんでもないや、と３人ともテキトーに目に付いたものを頼んだ。

友人夫妻は「そば・肉・玉子・海鮮ミックス」1,250円、自分は「そば・肉・玉子・イカ天・ネギ」1,050円(2016年8月)
神戸の行き付けの店より少々高いと感じる。こんなもんなのかな。

目の前の鉄板の上で作ってくれるのだけど、この目の前で作るライブ感が、待ち時間の長さを感じさせないんだろうな、と改めて思う。

たまに、通勤途中に列車がいきなり停まり、車内アナウンスで
「ただいま停止信号が発せられました。お急ぎのところ恐れ入りますが、発車までしばらくお待ち下さい」
というような、理由が不明のままいつ運転再開をするのか分からないまま待ってる、ということはないだろうか。

あれがなぜイラつくかというと、遅れる理由が釈然としない、というのが一つと、
それはもう聞いたから分かってるっちゅうねんという同じことを何度も繰り返すことと、
もう一つ大きなことは、進捗状況が全く分からないからなんだと思う。

現在の状況と今後の予定を的確にアナウンスしてくれたら、随分とマシになり、中には『JRも気の毒だよな』なんて同情されるケースもでてくると思うのだ。

話がそれたが、現在の状況を目の前で把握できるお好み焼きに対し「遅い」なんて文句を言う人はいないんじゃないかな。

広島焼きというクレープ状の下地にキャベツを乗っけていって、、、という焼き方は、いつも思うのだが、かなりラフに焼いているようで、完成形はきれいに仕上がっている。
これがプロの技なんだなあ。自分が焼いたらひっくり返すところで四分五裂してしまい、最初っから野菜炒め作ってたんですよって顔をしてソースをかけて食べるだろう。

結局出来上がりまで20分近くかかったんだけど、ビールを飲んで友人夫妻とお店のにいちゃんと野球の話をして、焼くのを見てたら退屈せずに待てた。

さて食べてみると、まず自分の選択ミスなんだけど、個人的に思うに、お好み焼きにイカ天は、合わないんじゃないかな。イカ天自体は好きなんで、食べるんだけど。

まあこれも経験しないと分からないことで、聞くと広島の人はこれが好きって人は多いらしい。
余談だが「多い」は広島弁で言うと「おいい」です。

キャベツが多い、いや、おいいので、お腹にもたれないのが広島焼きのいいところだ。
いきなりイカ天が理解できずイチャモンをつけてしまったが、でも総じて旨い。イカ天も、食べ進んでいきゃあ旨いと感じだした。

結局、３時過ぎに入ってお勘定を済ませたのは45分後だった。

時間がたっぷりあるならいいが、あまり時間がない時は、行列店で待つよりかは、さっさと空いてる店に入った方がいいと思う。もちろんこの店だって時間帯とタイミングによっては入れないこともあるし、行列店にひょこっと入れることもあるわけです。

何年か前に、中区にある「お好み村」という同じくお好み焼き屋の店舗群で食べた時も、思ったんだけど、
こういう店舗群は一定水準をキープしていないと淘汰されてしまうので、ある年数が経った段階で残っているお店は、どこに入っても歴然たる差というものは無いんじゃないか、と思う。
つまりどこも旨いと。

もちろん、明らかに違う焼き方を提唱している店とは、味に違いはでてくるだろう。でも、個人的な好みの範囲だと思うのだ。

短期間で何店舗か回って厳密に食べ比べてみたわけではないから、乱暴かも知れないが、
ここ「お好み物語」のどの店に入ってもそこそこ旨い、と思う。
もちろんこの店も、旨かったです。