高崎から渋川へ移転、既に行列店！ : らぁめん家 有坂

高崎で「煮干しラーメン」を食すならこちらと言われるほどの大人気店。初めて食した時には、その香りと奥深い味わいに度肝を抜かれたものであったが、その店が、この七月、突如渋川に移転との情報を、敬愛するマイレビのハシビロさんからお聞きして、いつかは訪問せねばと思っていたこちらへ、移転オープン後 1週間 経過する前に、何とか訪問が叶った。私としたらこの積極性は珍しい方とも言える。そのくらいこちらの魅力が高い証左とも言えよう。


『らぁめん家 有坂』
群馬県渋川市渋川2124

twitter Page : https://twitter.com/arisakayuki0822


起点を群馬県高崎市若松町の「聖石橋」交差点とし、終点を渋川市「阿久津」交差点〔旧 R17、現 R291 との交点〕とする主要地方道、群馬県道25号高崎渋川線を北進して、JR 渋川駅入口をそのままま通過し、渋川市の中心部から、伊香保温泉、榛名山山頂地区、高崎市倉渕町、地蔵峠を経由し、安中市・松井田地区内を通って国道18号に至る道路、群馬県道33号渋川松井田線（上毛三山パノラマ街道）との交点となっている「四つ角」交差点を直進、そのまま 200m 余り北北東進したところにある、信号のない変型4差路交差点 西角 に『らぁめん家 有坂』はある。
なお、この同じ交差点の 北角 には『林屋食堂』〔群馬県渋川市渋川坂下町2147〕があり、両店は道路を挟んで向かい合った形となっている。


旧店舗所在地は、群馬県高崎市通町4 プラザビル 1F。2015.6.9（火）〔平成27年〕にオープンしてから丸4年、大人気を誇りつつ、今年令和元年、2019.7.15（月）にそこから移転し、この地渋川にオープンした『らぁめん家 有坂』。その人気の程は移転後も衰え知らずで、まだ移転後一週間も経たないというのに、既に空席待ち行列が出来る程である。

『らぁめん家 有坂』の店主は、東京王子神谷の『中華そば屋 伊藤』〔東京都北区豊島4-5-3〕のご長男が出店している『自家製麺 伊藤』の『赤羽本店』〔東京都北区赤羽1-2-4〕、『浅草店』〔東京都台東区浅草1-24-4〕、『銀座店』〔東京都中央区銀座6-12-2 東京銀座ビルディング B1F〕の全店舗で修行を積んだのだと言う。店主は現在30代、お若いながら、『自家製麺 伊藤』2店舗の店主経験を経た末に、高崎市通町へ開店したとのことである。ちなみに『自家製麺 伊藤 銀座店』は、「ミシュラン東京 2015 - 2016」に二年連続で掲載された、超有名店であり、秋田県角館の『自家製麺 伊藤』〔秋田県仙北市角館町金山下115-66〕は、『中華そば屋 伊藤』店主の兄であるとのことだ。

店主は話し好きな方のようで、口調と物腰がとても柔らかく、その明るく柔らかい声で客を出迎えてくれるので、初見入店であっても、すぐにほんわか出来る。かつては実業団でソフトテニスの選手をなさっていたと言うスポーツ会系の気質が、誠実さとなって滲み出ているからなのだろう。

移転前には、「大盛」100円（税込）、「和え玉」200円（税込）のメニューも存在していたが、現状「大盛」「和え玉」ともに提供はない。そこは大変残念な限りだが、致し方なし。まあ、こう言った場合は店内連食で乗り切るしかあるまい。(^_^)V


当日の現着は、10:45。開店時間の 11:00 を待っていると、10:48 頃、お隣なりの『林屋食堂』に暖簾が掛かり、先に開店したものだから、急遽、暖簾をくぐってしまったのであった。そちらで、「カツカレー」620円「飯類大盛」50円×2 =「特大」100円（税込）総重量（実測値）1,701g を戴き、そのままこちら『らぁめん家 有坂』へと雪崩れ込んだのが、11:20 である。

こちらは、カウンター席 3席、お座敷席となっている小上がりに 4席分 の、計 7席 のみと、かなり狭い店内となっているのだが、幸いにしてカウンター席 1席 が空いていたので、待つことなく着席出来た。これは大変運が好い。
カウンター席に着いてメニュー表を眺めると、前述の如く、「大盛」100円（税込）、「和え玉」200円（税込）のメニューが載っていない。そこで、取り敢えず「味玉らぁめん」をオーダーし、大人しく配膳を待ったのであった。中温から配膳までは 7分程、なかなかに素早い配膳である。


「味玉らぁめん（醤油）」780円（税込）


配膳された「味玉らぁめん（醤油）」のトッピングは、チャーシューと細切りメンマ、刻みネギと言う極々シンプルなもので、そこに味玉が載せられた品だ。

チャーシューは豚バラ肉の煮豚ロールチャーシューが1枚載せられている。1枚当たり重量は 21g と先ず先ずのサイズ。肉質は、高崎の店で戴いた時よりも肉質感が強めだろうか、時間をかけてよく煮込まれていることが分かる柔らかさを併せ持ちつつ、ほろほろと崩れるかのようなトロ味まではない。箸でリフトすることが可能な柔らかさと言えばお分かり戴けるだろうか。個人的にはこのくらいの柔らかさが一番好みな私である。

細切りメンマは、見た目から「青椒肉絲」をイメージさせてくれる代物だ。ここまで細いと、メンマの歯応えがあるにせよ、シャキシャキ感は流石に望めない。メンマの歯応え・弾力よりも、風味を味わう仕様と言えよう。ううん、、、このメンマ、いつか通常のサイズになることを期待したい。。。

味玉は、程良い半熟度で、白味に味が良く染みた丁寧な作りのものである。箸で割る時のぷにゅぷにゅ感はなかなかであった。


スープは、煮干の香りが程良く香り、強烈な煮干し香というイメージではない。どろっとした魚粉一辺倒の品ではなく、魚粉の使用はあるものの、スープとしてじっくり煮干しを煮出す方向が重視されているようだ。よく出汁が利いて魚介感が強く感じられる中、雑味・苦味・えぐみともにほとんどなく、旨味とコクが前面にぐぐっと出ている芳醇な香りのスープである。雑味・苦味・えぐみの抑え方に関しては、高崎の店よりも、より高まっているように感じられた。

一方で、スープの量は、高崎の店のものよりも増えただろうか。最近流行の少なめ系ではなくなった。現状「替え玉」「和え玉」メニューは存在しないが、２～３回の「替え玉」が可能な程度の量提供されている。

また、表面に浮かぶ油分は、「地鶏」ではなく「鴨脂」とのことのようだが、煮干し感の強さから、その違いについては、体感的には分からなかった。。。


麺は、機械打ち角刃麺、中細のストレート麺である。茹で前麺量で 150g、やや少なめの麺量となっている。 エッジに関する限り、高崎の店の時よりも弱めであろうか。かつての麺は、低加水率でコシが強く、パツパツな歯切れ感が実に好かったのだが、それと比して、渋川の新店の麺は、やや柔らかめの麺が使用されている。加水率を上げた分、しなやかさとコシが両立した麺となっているようだ。

渋川の新店でも、自家製麺ではないとのことだが、かつて使用していた、京都市南区の『麺屋 棣鄂（ていがく）』〔京都市南区上鳥羽山ノ本町24〕の低加水率オリジナル麺ではないらしい。前橋市内の『有限会社古平製麺』〔群馬県前橋市元総社町2-16-4〕製、北海道産小麦「はるゆたか」使用麺とのことらしいが、これはこれで、そのしなやかなコシの麺とえぐみのない農耕煮干しスープとの相性は悪くないものの、個人的にはあのパツパツ麺が、矢張り懐かしいところであった。

現在採用の製麺所『有限会社古平製麺』では、同製麺所の同敷地内で『前橋めん こだいら』との店名看板で、うどん・お蕎麦のお持ち帰り専門店も営業していて、かき揚げ・野菜の天ぷら・きんぴら・目玉焼きなどのトッピングも合わせて購入出来、地域では大人気店となっているとのことである。


ううん、、、この麺量、矢張り少なめであり、「味玉らぁめん（醤油）」総重量（実測値） 599g、うち麺・具材重量 378g では、如何せん、この私には少な過ぎる。いかな『林屋食堂』「カツカレー」「特大」総重量（実測値）1,701g を戴いた後とは言え、この私が満足するべくもない。。。(T^T)
そこで、食し切る前に、実は速攻で「かけらぁめん（塩）」を追加注文していたのであった。追加注文から配膳までは、わずかに4分足らず、それはもう素早い配膳であった。


「かけらぁめん（塩）」650円（税込）


「醤油らぁめん」よりも若干色が薄い感じだが、これが「塩」?? と言うイメージの色目の濃さは、高崎の店とほぼ変わらない。これをそのまま「醤油」として配膳されても、見た目には判断つかない感じである。
が、味わいは確かに「塩」味だ。「醤油」の味わいは当然の如く全く感じられない。結果として、その分、全体的な濃厚さが増し、煮干しの風味を色濃く感得することが出来るスープになっている。


「かけ」と言うメニュー名にあるが如く、トッピングは刻みネギのみと言う完璧な潔さだ。「日本蕎麦」風の「和」を思わせる「かけ」のネーミングには、嘘偽りがない。


麺は、「醤油」も「塩」も同一麺を使用。いずれのスープにもそれぞれによく馴染む麺と言えるが、ここでもまた、高崎の店のパツパツ麺を懐かしんでしまうのであった。
ところが、この「かけらぁめん（塩）」を愉しんでいる中に、多少印象が変わってきた。

「うん？ この麺、満更悪くないぞ !!」

「醤油」と「塩」を店内連食で同時に味わってみて、煮干し感に関しては、高崎の店で感じたのと同様、その存在感を「塩」の方がより濃厚に感じられた。高崎の店で「塩」を食したその折り、

「『醤油』不在の『塩』は、まったりと煮干し感が漂ってくる感じで、じわじわじりじりと煮干しが迫って来るように思われたのだ」

と記載しているが、煮干し感が濃厚に感じられるにつけ、この麺の味わいもまた鮮明に感じられるようになり、パツパツ麺にはない、しなやかなコシある麺のスープの吸い上げ量の高さゆえに、より一層煮干し感を強く感じ、その旨味を強烈に堪能することが出来たのである。確かにこの麺、悪くない。否、悪くないどころか、「塩」スープには絶妙の取り合わせではなかろうか。なるほど、店主が敢えて麺変更するわけだ。と、密かに納得したのであった。


流石は『らぁめん家 有坂』、「醤油」「塩」双方ともに秀逸である。実に美味、感動の一時を過ごすことが出来た。

いやあ、実に美味しうござった。


さて、今回の実測値は、

「味玉らぁめん（醤油）」780円（税込）
総重量（実測値） 599g
うち麺・具材重量 378g
うちスープ重量 221g
チャーシュー1枚当たり重量（実測値）1枚目 22g
器サイズ
直径 20cm、高さ 7.5cm、器重量 524g
「かけらぁめん（塩）」650円（税込）
総重量（実測値） 491g
うち麺・具材重量 272g
うちスープ重量 219g
器サイズ
直径 20cm、高さ 7.5cm、器重量 517g

実食総重量 : 1,090g
完食時間 : 計測せず
支払額総額 1,430円（税込）

訪問日 : 2019.7.20（土）


はてさて、今回移転後初訪問にて、美味しく戴いたのであったが、つくづく鑑みるに、カウンター席 3席、お座敷席となっている小上がりに 4席分 の、店内全座席数 7席、、、この数は何とも少ない。否、少な過ぎる。これだけの味わいを提供してくれる大人気店であれば、せめてその倍量の座席数が欲しいところだ。この先、口コミが広がり、間違いなく今よりも増して訪問客は増えることだろう。先行き、この店の空席待ち行列が如何様になって行くのか。考えるだに末恐ろしいのであった。。。