黒マー油と豚骨の絶妙なコラボレーション : ぶぃスリー

群馬県伊勢崎市内ラーメン店「食べログ」評価第9位、評価点 3.51〔2017.8.現在〕の店を訪問してみた。
と言うか、このところ「サッパリとした濃厚さ」を売りにしている美味なるラーメンを食べ続けていて、ここいら辺で「がつんとこってり」したラーメンを食べたくなったのである。
そこで豚骨らーめんを選択。また、こちらの店舗を選んだのは、いつも選手＆自分自身の練習会場として訪れている「伊勢崎市陸上競技場」から 500m 余りと非常に近いと言うのも決め手となっている。


『ぶぃスリー』
群馬県伊勢崎市八幡町100-2
0270-21-3715


こちらは、豚骨系「熊本ラーメン」のお店である。

「熊本ラーメン」とは、「玉名ラーメン」や「博多ラーメン（長浜ラーメン）」「久留米ラーメン」等と比べると、やや太い、低加水の中太ストレート麺を使用、やや堅めに茹で上げる。
スープに「鶏ガラ」が加わるのが特色だとされるが、更に他の九州豚骨系ラーメンとの最大の違いは、スープを当日に使い切り、継ぎ足しが無い点にあるそうだ。それ故いわゆる「トンコツ臭」が抑えられるのだと言う。
『松葉軒』『こだいこ』『こむらさき』『桂花』『味千』『黒亭』などが老舗として名前が挙がるようだが、管見にして、どの店舗も今回調べてみての初見である。兎に角「熊本ラーメン」そのものが、私自身初体験なのである。


『ぶぃスリー』店頭の看板には『特製 黒マー油のくまもとらぁ～めん』と表示されている。こちらの店のコンセプトがメニュー表や、店内表示ポップに示されており、

3匹のブタが仕切る店『ぶぃスリー』

とある。
その3匹とは、「らぁ～めん」担当の「黒いカリスマ」、「みそらぁ～めん」担当「掟破りのホホ傷」、「たんたんめん」担当の「片目の魔術師」である。
これらの名を持つ3匹のブタは、「おいしいラーメンを作る人の ”お嫁さんになりたぁ～い”」 と言うヒロイン「ブタ子」の気を惹くため（ブィブィ言わせるため）に、必死でラーメン作りを行っているという設定のお店だ。

『ぶぃスリー』の「ぶぃ」は Victory の V ではなく、「ぶぃぶぃ言わせる」の「ぶぃ」であるようだ。てっきり古く懐かしき「仮面ライダー V3」に何か由来があるのだろうかと思ったが、何のことはない「話題、古過ぎー！」と言ったところであった。


場所はもちろん前述の通り「伊勢崎市陸上競技場」近くだが、この近辺を聖地とあがめる向きもあって、色々な Website に近辺のある一地点が登場する。

実は、『back number』のメジャーデビュー楽曲である『はなびら』の舞台ともなっている「三郷横断歩道橋」がこの近辺にはあるのだ。

♪歩道橋の上にも　横断歩道の向こうにも　駐車場の緑のフェンスの前にも
いたる所で君の想い出が笑ってて　ずいぶん住みにくい街になったな♪

と唄われているその歩道橋へ行くには、以下の道筋となる。

群馬県道2号前橋館林線〔通称「駒形バイパス」〕の「オートレース場東」交差点を北東進し、伊勢崎市道「北部環状線」〔通称「北部環状けやき通り」〕に入る。「宮子大橋」「お富士山跨線橋」と越え、道なりに次第にカーブし東進していくが、「オートレース場東」交差点から 1.7km 余り行くと『back number』のボーカル 清水依与吏 の出身校「伊勢崎商業高校」が道の左手（北側）にあり、そこから東 400m 付近、次の信号の手前に「三郷横断歩道橋」はある。群馬県道74号伊勢崎大胡線との交差点の西側 50m だ。

ちなみに『back number』の楽曲では『手紙』『ヒロイン』が私は好きである。♬


追加情報となるが、この伊勢崎商業高校の真ん前（「北部環状線」南側）には、私の一押しラーメン店、
『らーめん 心道』 がある。『ぶぃスリー』ともども、お奨め店なのでお見知りおきを。。。


この「三郷横断歩道橋」から、更に約 1km 東進し、「八幡町」交差点を左折（北進）、群馬県道103号深津伊勢崎線に入って 100m ほど直進すると右手（東側）に『ぶぃスリー』はある。店舗北西側には『華蔵寺公園 遊園地』のシンボル、高さ 65m 大パノラマ「大観覧車（ひまわり）」が見える。
なお、「華蔵寺公園南」交差点まで行ってしまうと通り過ぎてしまったことになるので注意されたい。


2017.8.10（木）11:32、開店の暖簾下げと同時に店内に入ると、元気よく温かみのある声で、女将さんの「いらっしゃいませ」のお声がけ。
店主も同様、大変温かみのある声をしていらして、お馴染みさんが多く訪れる店のようなのだが、一見さんもお馴染みさんも、新旧分け隔てなく優しく声をかけて下さる。

入口付近のポップで先ず目を惹いた「冷したんたんめん」800円 の注文は、入店時に確定。後客の多くも「冷したんたんめん」を続々と注文していた。かなりの人気メニューのようだ。

もう一品は定番メニューにしようとメニューを眺めていたが、そこで上記の

3匹のブタが仕切る店『ぶぃスリー』

の意味を知ることとなる。慌てずに鷹揚に構えていると、知識の方が向こうから寄ってくるものだと言う意外な事実を実感した。

取り敢えず、メニュー表の最初のページにあり、なおかつ「スタンダードなラーメン」と記されているので、「らぁ～めん」650円 を注文することにした。


注文後、待つこと12分ほど。満席となり空席待ちの客モデル中、先ず先ずの早さだろう。最初にこちらが配膳された。


「冷したんたんめん」800円
「あじたま」100円
「替え玉」100円

濃厚な豚骨ベースのスープに白胡麻の甘味がかなり効いている。辛味よりも甘味の方の印象が強く、コクの深い冷やし麺である。

トッピングはトマト、レタス、刻みネギが入っている。そこに担々麺たる所以の、豚挽肉をごま油・豆板醤・味噌と和えて炒めた肉味噌が載っている。
それらを彩るように、ラー油とマー油が振りかけられているといった品である。

冷やし麺なので、口内火傷を気にすることもなく、最初に麺を思いっ切り啜ってみたが、麺と冷やしスープの絡まりもよく、濃厚なスープの味わいとコクの深さに感動した。

冷やしでこのコクなら、温かい担々麺はさぞやと思うが、3品目を一遍に食するのは代金的にどうかと思われたので、今回はひたすら我慢した。

麺は、確かに極細麺の九州豚骨系としてはやや太く感じる細麺だ。機械打ち角刃麺、やや縮れているか。加水率も一般的な九州豚骨系よりは高めのようである。
「冷したんたんめん」に関しては、麺の固さは改めて問われなかった。「替え玉」の際もそのようであったので、このメニューにふさわしい固さをでお任せなのだろう。もちろん、敢えて固さを指定すれば、客の要望に快く応えてくれる。

「あじたま」の半熟具合も合格点！ ほどよくとろっとしていて、スープによく馴染み、美味である。

この後「らぁ～めん」が配膳となるので、「冷したんたんめん」の「替え玉」を頼むのは確定だが、少し時間を置いておいて、「らぁ～めん」完食後に「替え玉」の注文をすることにした。

「らぁ～めん」の「替え玉」完食後、「冷したんたんめん」の「替え玉」100円 実食の際の感想だが、「替え玉」の上にも、トマト・レタスが添えられ、色目を大変美しく見せていて、店主のセンスの高さがうかがわれた。お蔭で4玉分の麺をあっという間に完食してしまった。


続いて、こちらが配膳される。「同時に配膳で構いませんよ」と注文時に私が言ったのだが、店主は私の食するタイミングをしっかりと見計らっていたらしい。まさにどんぴしゃのタイミングでの配膳であった。
こう言った、口に出さないサービスが当たり前のように出来る店は、確実に千客万来となること請け合いである。


「らぁ～めん」麺 固め 650円
「替え玉」麺 柔らかめ 100円

スタンダードなラーメンとメニューに記されているとおり、『ぶぃスリー』を象徴するラーメンである。このメニューは一食の価値ありだ。


「らぁ～めん」担当の「黒いカリスマ」は、メニュー表の中でこう言っている。
――――――――――――――――――――――――
オレが 作ったのは
素材のウマイ部分だけを
徹底的に抽出した
カリスマ豚骨スープ
豚の扱いは 慣れたもんだぜ！

スープの上には
黒ゴマと 揚げニンニクの香ばしさを
しっかり 閉じ込めた マー油。
この スタンダードなラーメン で
ブタ子を ブィブィ言わすぜ！！
――――――――――――――――――――――――
と、このように書かれているのだが、このメニューを上手く表現して余りある内容だ。


味は濃いめでコクが深く、とても力強いパンチが効いた印象だ。かと言って、後を引くような癖は全くない。実に素直でかつ気品のある豚骨ラーメンである。正にこのメニューは一食の価値ありだ。

黒いマー油で閉じ込められた中には、黒ゴマと揚げニンニクが入っているのだが、そのどれもが大きく自己主張することがない。豚骨スープも、深いコクはあるのだが、しつこい脂臭さなどは全くなく、余分な脂は限界まで濾してある感じだ。全体として、兎に角「コク」が深い！

このスープ、絶品である♪


具材は、ニンニクの芽、モヤシ、刻み青ネギ、チャーシューであるが、黒いマー油で閉じ込めたスープに、緑（ニンニクの芽・青ネギ）を基調にトッピングした色目が何とも好い。

麺は、「冷したんたんめん」と同様、機械打ち角刃麺、細麺でやや縮れている。茹で具合は「おまかせ」でお願いしたら、女将さんが「固めで行きますね」と仰った。この麺の固さ「固め」がスープにマッチして実に好い。

「替え玉」ではお試しの意味も込めて「柔らかめ」をお願いしてみたのだが、このスープには、「固め」は最低条件、「バリカタ」「ハリガネ」と言った更なる固めの方が、確実に合うことが検証された。
実際に配膳された「替え玉」は、刻み青ネギと麺の色味とのコントラストが大変よろしく、食欲を更に誘ってくれた。


こちら『ぶぃスリー』特徴のもう一つ、それは替え玉注文時に追加可能な3種類のスパイスパウダーだ。

◆スパイシーパウダー(唐辛子・ニンニク・生姜)
◆ぶっとびパウダー(ニンニク)
◆エスニックパウダー(山椒・ニンニク・生姜)

お好きなものを1品選んで麺に振りかけることが出来る。

私は今回、「らぁ～めん」の「替え玉」には「エスニック」を、「冷したんたんめん」の「替え玉」には「ぶっとび」を選んでみた。

「スパイシー」は次回再訪時の「味噌らぁ～めん」、温かい「たなたんめん」にとっておきたい。

「替え玉」を注文時、スープが薄くなった時用にとタレも出してくれる。「らぁ～めん」用、「冷したんたんめん」用と違うタレを出してくれ、それぞれのタレが用意されているようだ。実にサービス精神旺盛なお店である。


さて、今回の実測値は、

「冷したんたんめん」
総重量（実測値）828g
うちスープ重量 411g（麺具材・替え玉完食後の残りのスープ重量）
うち麺具材重量 417g
器サイズ
直径 21cm、高さ 8.5cm、器重量 798g
「替え玉」
総重量（実測値）201g
器サイズ
直径 20cm、器重量 115g

「あじたま」
総重量（実測値）57g

「らぁ～めん」
総重量（実測値）720g
うちスープ重量 353g
うち麺具材重量 367g
器サイズ
直径 19.5cm、高さ 9cm、器重量 753g
「替え玉」
総重量（実測値）183g
器サイズ
直径 20cm、器重量 105g

実食総重量 1,911g


新たなる店を食べログのお蔭で体験させてもらってる昨今。私の性格上、本来なら保守的になり、お気に入りの店しか行かないであろう。が、こうして処方の店舗に伺うと、常に新たなる発見と喜びが見出される。幸せなことである。