メヒカリの握りが凄い! ネタの新鮮さはもちろん、昆布締めなどの仕事が光る、いわきの最高峰。 : 鮨 いとう

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寿司EAST百名店2022選出店

食べログ 寿司 EAST 百名店 2022 選出店

この口コミは、よい子さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

3.7

¥20,000~¥29,9991人
  • 料理・味4.0
  • サービス3.5
  • 雰囲気3.5
  • CP3.2
  • 酒・ドリンク3.7
2020/03訪問2回目

3.7

  • 料理・味4.0
  • サービス3.5
  • 雰囲気3.5
  • CP3.2
  • 酒・ドリンク3.7
¥20,000~¥29,9991人

メヒカリの握りが凄い! ネタの新鮮さはもちろん、昆布締めなどの仕事が光る、いわきの最高峰。

[福島県いわき市][来訪回数:2回]
2020/3/13(金)
JRいわき駅南口、中心市街地(平田町)にある寿司店。
店舗情報は、1回目の "行った" をご参照あれ。

場所は… いわき駅・南口を出て、駅前通りを真っ直ぐ進む。
3つ目の信号=東邦銀行の角を右折、しばらく歩いて左手にある。
いわき駅から徒歩7分。日曜定休(三連休の場合は月曜定休)。

3月14日、実に9年ぶりに JR常磐線が全線開通すると聞き、
いてもたってもいられず、新橋でチケットを買い、前日からいわき入りした。
電話予約を入れたところ、めでたく残り1席に滑り込むことが出来た。
ちなみに予約は営業時間中でなく、昼間にすると喜ばれる。

客席はカウンター6席(場合により7席)のみ。全席禁煙。
コースは「おまかせ」¥19800 一本で勝負。(量を減らすことは可能)
以前は座敷席もあったが、2019年から席数を減らし、
同時にコース料金を¥6000ほど引き上げ、「質で勝負する店」へ進化を図る。

前回伺ったのは 6年前(2014年11月)。
そのときはツブ貝・甘鯛の昆布締め・穴子、それから蟹の味噌汁が、特に美味だったと記録されている。

さて18:30、全員一斉スタート。カウンターの中には、潔く店主一名のみ。
遅刻は厳禁、満を持しての開幕である。

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■お酒
福島県産をはじめ、10種類以上を取り揃える。
その全てが「純米系」で揃えられているのは、シャリとの相性などを考えた、店主のこだわりであろう。
半合(90ml)単位で注文できるのは、酒に弱い私にも非常に助かるサービス。

片口や猪口といった酒器にも、こだわりが感じられる。
地元の大堀相馬焼、それ以外にもごつごつとして素朴で、土の質感が伝わるもの。

◎大木代吉本店「楽器正宗」純米吟醸(1合¥1430)
 福島県矢吹町(西白河郡)の酒。
 酒銘は「酒造りも楽器を奏でることも、元は同じく神様への捧げ物」と
 宮内庁の雅楽師が述べたことに由来する。なんと風流な…
 旨口の微炭酸で、通り一遍の辛口でないところが通好み。

◎四家酒造店「又兵衛」純米大吟醸(半合¥1650)
 地元いわきを代表する酒。
 カップ酒から大吟醸に至るまで、幅広く市民に浸透している。
 こちらは純米大吟醸、甘さと複雑さを兼ね備えた味わい。

◎浪江・鈴木酒造店「磐城寿」赤ラベル 純米原酒(半合¥715)
 浜通りで永く愛される酒。災害後は山形に移り、郷土の酒を醸し続ける。
 原酒ならではの香りの強さ。甘辛のバランスが取れた一杯。

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■おまかせ(¥19,800)
つまみ8品、握り13品+味噌汁品という構成。

カウンター越しに店主の仕事が見られ、木製のネタケース(氷を使うタイプで貴重)から
さまざまなネタが開陳されるので、次は何が出るだろう… と想像しながら待つのも一興。

◎相馬沖の毛ガニ
 スタートは汁物から。
 殻を煮込んで出汁を取り、吸物仕立てにしてある。
 天然の甘みが、じわりと口の中に広がる。
 蟹のほぐし身も入っているが、これは明らかに「出汁」がご馳走!
 6年前に伺った際も、蟹の殻を使った味噌汁が美味しかったことを思い出した。

◎炙ったヤリイカの頭
 いかめしみたいな、面白い見た目。
 ヤリイカの頭にシャリを詰めてあり、ねっとりとした甘さが楽しめる。
 子持ちのイカを使っているので、プチっとした食感もアクセント。

◎厚岸の牡蠣
 干し椎茸と鰹の出汁で、低温調理にしてある。
 生牡蠣にはない「旨み」を加える技法であるとともに、恐怖のノロ様を抑える働きも。
 ほぼ生と同じ食感を残しつつ、不思議と「燻製のような香り」をまとい、これは絶品~
 1個といわず、2個でも 3個でもツルッといきたくなる。
 店主の熱心な研究が実を結んだ一品。

◎北海道・野付半島の青柳と小柱、相模湾の真鯛
 おろしたての山葵と、インド洋・クリスマス島の粗塩でいただく趣向。
 青柳は、反り返ったような形が官能的。
 少量の塩でシンプルに食すと、思った以上に甘みを発揮する。
 小柱も元気な食感で好印象。

 熟成させた真鯛はねっとりとして、口に入れた後からじわりと旨味が広がる。
 あえて醤油を使わず、山葵だけ付けて食すのも面白い。

◎愛知のタイラガイ
 海苔巻き、つまり磯辺巻スタイルで。
 でっかい貝柱は食べ応え満点、子供の頃から貝柱好きな私、すごく幸せな気分になれる(^-^)
 パッと振られた七味唐辛子と、甘辛醤油が絶妙な相性!

◎干し子
 褐色の正三角形、ナマコの生殖巣を干した珍味で、地域によりクチコ・バチコとも呼ばれる。
 さけるチーズみたいに、縦に裂いて食べる。帆立にも似た香り。
 塩辛さは控えめで、旨味たっぷりの珍味。私は初体験だったが、クセもなく美味しい~

◎三浦半島・長井のアジ
 血合いの暗紅色が美しい。
 肉質はもっちりしており、生姜醤油がぴったり合う。

◎相馬のメヒカリ
 福島県を代表する魚。その名は、大きな目がライトブルーに光ることに由来する。
 唐揚げにされることが多いが、この店ではシンプルな塩焼きで、魚の旨みを引き出す。
 焼きたてだからアツアツ、中はホコホコ!
 内側は雪のように白い身で、食感はとても柔らかい。
 尻尾までサックリと焼かれており、骨まで難なく食べられる。

 こんなに美味しい魚とは… 驚きの再発見。
 さすがに生では食べられないよな…と思っていたら、このあと二度目の驚きが訪れることに。

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開始から1時間20分、ここから握りに入る。
店主の包丁捌きも冴える。こちらもお酒が適度に回ってきて、期待感が高まる瞬間。

◎ガリ
 生姜の代わりに、カブの酢漬が供される。
 はじめ甘口かと思ったが、後味はキリっと引き締まる。
 通例に捉われず進化を目指す、店主の姿勢を感じる。

◎スミイカ
 一貫目はイカから。淡泊なネタで始めるのは、最もオーソドックスな組み立て。
 口に入れるとプリっと、そしてとろける。
 軽く振ったすだちと岩塩、後味には昆布の香り。
 赤酢を用いたシャリは、小振りで上品。

◎シメサバ
 銀色の背が美しい。柔らかな醤油の香り。
 この旨味はどこから出てくる? 決して酢は主張せず、生サバの良さを引き立てている。

◎閖上の赤貝
 全国に名を知られる赤貝の産地。震災から復興し、また上物が手に入るようになった。
 貝の表面の美しさ、ぬらぬらとした色気を伝えるため、修整なしの写真をお送りする。
 握られて、まだ動いているくらいの鮮度感。サクッとしてプリプリ~

◎青森のサクラマス
 サーモンの一種だが、天然ものだから、何より「香りが良い」。
 とろける柔らかさで、思わず酒が進む。

◎車海老の昆布締め
 店主のスペシャリテ。
 まずは見た目に注目。シャチホコが反り返ったような、新鮮さを具現化したような上向き加減!
 食感は「生」で、海老ならではのねっとり感と、プリプリ感が同居。
 味の方は… 海老の甘みと、昆布の旨味が共鳴。

 先ほどの牡蠣もそうだが、海産物と出汁の旨味が合わさったときの説得力というか。
 生の海老は食感が良いけど旨味が薄い、茹でた海老は甘みが出るけど食感が単調…
 両者のいいとこ取りを実現させる技法として、災害後、常磐ものが使えない時期に
 店主が研究して確立したという。なるほど~と唸らされた一貫。

◎いわき沖のタコ
 醤油の香り豊か。見た目にもぷっくりとして、包み込まれるような柔らかさ。

◎メヒカリ 二枚乗せ
 なんと… メヒカリが寿司ネタになるとは想定外!
 さっそく口に入れると、トロンと蕩けるような脂ノリでありつつ、
 食感はサクサクとして新鮮さが伝わってくる。
 こんな寿司は食べたことがない! 私の興奮は最高潮、今宵最大のクライマックス(^-^)

 メヒカリは一般に脂が多く、刺身にできないことはないが、
 鮮度が悪いと、ただ柔らかいだけの魚になってしまうという。
 管理を徹底し、サクサクとした食感を残している点が店主の自慢。これには参りました。

◎コハダ
 黒いドット模様が明瞭で美しい。
 酢の酸味は前面に出ておらず、全体に統一感があり、まろやかな美味しさ。
 不思議なほど香りが良く、驚かされた。

◎赤身
 軽いヅケにしてある。黒みを帯びた色合いが、実に絵になる。
 ねっとりとした食感がたまらない~

◎中トロ
 ほど良い脂のノリ。
 決してくどさを感じることなく、トロならではの芳醇な香りが広がり、日本酒を進ませる。
 握り全体の流れを見ても、マグロ、マグロで攻め立てないところが、個人的に好み。

◎手巻ウニ
 手際よく巻かれた手巻き、その内側には黄金色のウニ!
 有明海の海苔がパリッ♪
 ウニは根室で水揚げされた、北方領土のもの。甘い香りでとろける~

◎しじみ汁
 フィナーレへと向かう流れ、八丁味噌のしじみ汁が登場。
 八丁味噌を用いた深い味わい。味噌の香りって、落ち着きますね。

◎穴子
 焼きたてなので非常に高温、ヤケドに気を付けて… 6年前の記憶が蘇る。
 表面は適度に焦がされ、いかにも美味しそうな顔をしている。
 ほわっと、そしてカリッと。危険な美味しさ。

◎玉子焼
 最後はメレンゲ系の玉子焼で、ふんわり気分のシメ。
 熱い玄米茶で一服。
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提供スピードはゆっくりめ、3時間に渡る「いとう」劇場。
まるで大河ドラマを見るような、贅沢な時間であった。

団体さんが帰り、私一人がお茶を飲みつつ余韻を楽しんでいたところ、
店主がいろいろお話を聞かせてくれた。無口な人かと思ったら、大間違いである(^-^)

もともと地元客が多い店だから、地元のネタより、築地の魚の方が喜ばれることもあったという。
震災後は常磐ものが使えず、全国から魚を送ってもらうようになり、各地に人脈が広がった。
また車海老の昆布締めのような、独自の技法を研究する期間にもなった。
3年前から地物が使えるようになり、それを軸に組み立てようかと思う時期もあったが、
福島ばかり強調することも、それまた、違うと思うようになってきた。

これからは、各地にできた人脈を活かし、全国の本当に旨い魚を集めてやっていきたい。
昔は突っ張っていて、そのあとは食べログの評価とか気にしていたけど、
四十代に入った今は、自分の出したいと思う、寿司を出せたら。

6年経って変わったのは、寿司の味や値段だけではなかった。
カウンター越しに、握り手の人生に立ち会う。そんな楽しさも寿司屋にはあることを知った。
今度また、別の季節にお邪魔したいと思う。

  • 鮨 いとう - 西白河・大木代吉本店「楽器正宗」純米吟醸(1合¥1430)。土の質感が伝わる、味わい深い酒器での提供

    西白河・大木代吉本店「楽器正宗」純米吟醸(1合¥1430)。土の質感が伝わる、味わい深い酒器での提供

  • 鮨 いとう - いわき・四家酒造店「又兵衛」純米大吟醸(半合¥1650)

    いわき・四家酒造店「又兵衛」純米大吟醸(半合¥1650)

  • 鮨 いとう - 浪江・鈴木酒造店「磐城寿」純米原酒(半合¥715)。災害後は山形に移り、郷土の酒を醸し続ける

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  • 鮨 いとう - トップバッターは、相馬沖の毛ガニ。吸物仕立て

    トップバッターは、相馬沖の毛ガニ。吸物仕立て

  • 鮨 いとう - 毛ガニの殻で取った出汁、天然の甘みがじわりと口の中に

    毛ガニの殻で取った出汁、天然の甘みがじわりと口の中に

  • 鮨 いとう - 炙ったヤリイカの頭。シャリを詰めてあり、ねっとりとした甘さ。子持ちなのでプチっとした食感も

    炙ったヤリイカの頭。シャリを詰めてあり、ねっとりとした甘さ。子持ちなのでプチっとした食感も

  • 鮨 いとう - 厚岸の牡蠣。干し椎茸と鰹の出汁で、低温調理にしてある。食感は生でありつつ、燻製のような香りが絶品

    厚岸の牡蠣。干し椎茸と鰹の出汁で、低温調理にしてある。食感は生でありつつ、燻製のような香りが絶品

  • 鮨 いとう - 北海道の青柳と小柱、相模湾の真鯛。おろしたての山葵と、クリスマス島の粗塩で

    北海道の青柳と小柱、相模湾の真鯛。おろしたての山葵と、クリスマス島の粗塩で

  • 鮨 いとう - 熟成させた真鯛はねっとりとして、口に入れた後から旨味が広がる

    熟成させた真鯛はねっとりとして、口に入れた後から旨味が広がる

  • 鮨 いとう - 反り返ったような形が官能的。少量の塩で食すと、予想以上に甘みを発揮する

    反り返ったような形が官能的。少量の塩で食すと、予想以上に甘みを発揮する

  • 鮨 いとう - 愛知のタイラガイを磯辺巻で。でっかい貝柱は食べ応え満点、七味唐辛子と甘辛醤油が絶妙な相性!

    愛知のタイラガイを磯辺巻で。でっかい貝柱は食べ応え満点、七味唐辛子と甘辛醤油が絶妙な相性!

  • 鮨 いとう - 干し子(クチコ・バチコとも)。ナマコの生殖巣を干したもの、私は初めて食したが、これは美味しい

    干し子(クチコ・バチコとも)。ナマコの生殖巣を干したもの、私は初めて食したが、これは美味しい

  • 鮨 いとう - さけるチーズみたいに、縦に裂いて食べる。塩辛さは控えめで、旨味たっぷりの珍味

    さけるチーズみたいに、縦に裂いて食べる。塩辛さは控えめで、旨味たっぷりの珍味

  • 鮨 いとう - 三浦半島・長井で獲れたアジ。紅色が美しい、もっちり食感。生姜醤油が合う

    三浦半島・長井で獲れたアジ。紅色が美しい、もっちり食感。生姜醤油が合う

  • 鮨 いとう - 相馬のメヒカリ。シンプルな塩焼きで、魚の旨みを引き出す。ホコホコ・アツアツ

    相馬のメヒカリ。シンプルな塩焼きで、魚の旨みを引き出す。ホコホコ・アツアツ

  • 鮨 いとう - 中は雪のように白い身。尻尾までサックリと焼かれ、骨まで食べられる。こんなに美味しい魚とは!

    中は雪のように白い身。尻尾までサックリと焼かれ、骨まで食べられる。こんなに美味しい魚とは!

  • 鮨 いとう - ガリ(生姜)の代わりに、カブの酢漬が供される。通例に捉われない、店主の姿勢を感じる

    ガリ(生姜)の代わりに、カブの酢漬が供される。通例に捉われない、店主の姿勢を感じる

  • 鮨 いとう - 握り一貫目はスミイカ。昆布の香り、プリっととろける。赤酢のシャリは小振り

    握り一貫目はスミイカ。昆布の香り、プリっととろける。赤酢のシャリは小振り

  • 鮨 いとう - シメサバ。この旨味はどこから出てくる? 柔らかな醤油の香り

    シメサバ。この旨味はどこから出てくる? 柔らかな醤油の香り

  • 鮨 いとう - 閖上の赤貝。まだ動いているくらいの鮮度。サクッとしてプリプリ~

    閖上の赤貝。まだ動いているくらいの鮮度。サクッとしてプリプリ~

  • 鮨 いとう - 青森のサクラマス。鮭ならではの香りが酒を誘う、とろける柔らかさ

    青森のサクラマス。鮭ならではの香りが酒を誘う、とろける柔らかさ

  • 鮨 いとう - 車海老の昆布締め。反り返る鮮度! 海老の甘みと昆布の旨味が共鳴、これは凄い

    車海老の昆布締め。反り返る鮮度! 海老の甘みと昆布の旨味が共鳴、これは凄い

  • 鮨 いとう - いわき沖のタコ。醤油の香り豊か、包み込まれるような柔らかさ

    いわき沖のタコ。醤油の香り豊か、包み込まれるような柔らかさ

  • 鮨 いとう - メヒカリ二枚乗せ。トロンとして脂ノリが凄く、食感はサクサク。こんな寿司は初体験、私の興奮は最高潮に~

    メヒカリ二枚乗せ。トロンとして脂ノリが凄く、食感はサクサク。こんな寿司は初体験、私の興奮は最高潮に~

  • 鮨 いとう - コハダ。酢は前面に出ておらず、まろやか。不思議なほど香りが良く、驚かされる

    コハダ。酢は前面に出ておらず、まろやか。不思議なほど香りが良く、驚かされる

  • 鮨 いとう - 赤身、軽いヅケにしてある。黒みを帯びた色合い、ねっとりとした食感がたまらない~

    赤身、軽いヅケにしてある。黒みを帯びた色合い、ねっとりとした食感がたまらない~

  • 鮨 いとう - 中トロ。くどくなく、ほど良い脂のノリ。芳醇な香りが広がり、日本酒を進ませる

    中トロ。くどくなく、ほど良い脂のノリ。芳醇な香りが広がり、日本酒を進ませる

  • 鮨 いとう - 手巻ウニ。有明海の海苔がパリッ、根室・北方領土のウニは甘い香りでとろける

    手巻ウニ。有明海の海苔がパリッ、根室・北方領土のウニは甘い香りでとろける

  • 鮨 いとう - フィナーレへと向かう流れ、ここで八丁味噌のしじみ汁

    フィナーレへと向かう流れ、ここで八丁味噌のしじみ汁

  • 鮨 いとう - 味噌の香りって、落ち着きますね

    味噌の香りって、落ち着きますね

  • 鮨 いとう - 穴子。ほわっと、カリッと

    穴子。ほわっと、カリッと

  • 鮨 いとう - メレンゲ系の玉子焼で、余韻を残しつつシメ

    メレンゲ系の玉子焼で、余韻を残しつつシメ

  • 鮨 いとう - 玄米茶で一服。最後はお話もたくさん聞けて満足。また別の季節にお邪魔します!

    玄米茶で一服。最後はお話もたくさん聞けて満足。また別の季節にお邪魔します!

  • 鮨 いとう - 飾らず、あくまでも静かに、訪問者を迎える

    飾らず、あくまでも静かに、訪問者を迎える

  • 鮨 いとう - いわき駅から南へ徒歩7分。約束の時間=18時半に「鮨いとう」に到着

    いわき駅から南へ徒歩7分。約束の時間=18時半に「鮨いとう」に到着

  • 鮨 いとう - 昼間に訪れてみるとこんな感じ。繁華街から少し外れ、住宅と店舗が混在する静かな界隈

    昼間に訪れてみるとこんな感じ。繁華街から少し外れ、住宅と店舗が混在する静かな界隈

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2014/12訪問1回目

3.7

  • 料理・味3.7
  • サービス3.5
  • 雰囲気3.5
  • CP3.5
  • 酒・ドリンク4.0
¥10,000~¥14,9991人

甘鯛の昆布締め、アツアツの穴子、一貫一貫が鮮やかな印象を残す。普通に見える味噌汁にも、驚くべき秘密が!

[福島県いわき市]
2014/11/15(土)
いわき中心街にある、高級寿司店。

福島県の南東、太平洋に面する街・いわき。
スパリゾートハワイアンズの「フラガール」で知られる街でもある。

いわき市は広域合併により出来た市で、面積が非常に大きい。
1994年まで、JRいわき駅は「平駅」と言われていたように、
中心市街地はもともと「平」という街である。
一方、市域の南端には小名浜港を擁し、海産物に恵まれた街でもある。

人気店ゆえ、当日に電話を入れた上で訪れた。
「19時頃は満員なので、20時頃に再度電話の上でお越しください」とのご案内。

当日連絡でも受け入れていただける点は、有り難い。
1名であっても、可能であれば予約しておいた方が賢明だろう。

場所は、JRいわき駅の南西、徒歩6分。
繁華街からは少し離れており、静かな界隈。
外観はあくまでも大人しく、ひっそりと灯るあかりが、上品な印象。

扉を開けると、目の前にカウンター席。
ちょっとコワモテの板前さんが、迎えてくれる。

客席はカウンター8席に、座敷が1卓。
少なくともカウンターは、全席禁煙。
座敷の方はかなり盛り上がっており、居酒屋的に使われているようにも思える。

お品書きは以下の通り。高級寿司店としては控え目な部類だろう。
 ・お任せ(¥5000)
 ・握り一通り(¥8000~¥10000)
 ・おまかせ、おつまみ付き(¥13800)

朴訥な雰囲気の店主に、握り一通りでお願いした。

仕事場に置かれた竹籠が、存在感たっぷり。
新潟から取り寄せたもので、今では入手困難という。
何年も使ったあと、最後は魚を焼く(わら焼きのように風味が付く)のに使うそうだ。

竹籠の中にはお櫃があり、そこからシャリが取り出される。
地元・いわき市の農家から直接買い付ける「古米」。
新米では良い味が出ないということだろう。

魚は毎朝、なんと…築地市場で仕入れているという。
いわき~築地までは200kmあり、普通なら、毎日行き来できる距離とは思えない(^-^;)
現在、地元産の魚は使える状況になく、厳しい状況下だが、
良いものを出そうという努力に、頭が下がる。

高級店としては珍しく、醤油皿が出てくる。
自分で醤油を付けて食べるスタイルかと思いきや、寿司は煮切りで味付けされており、
個人的に醤油を付ける必要性は感じなかった。

地酒の品揃えは見事なもの。
種類が多いだけでなく、あまり見慣れない銘柄の酒が揃っている。
0.5合単位で注文できるので、いろいろ呑み比べられるのも嬉しい。

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■日本酒 いわき・四家酒造「又兵衛」
まずは、地元の酒を半合。
グッと来る強い味わい! これは味が濃い! 芳醇の極致。
いわき市内で 95%が消費されるという、地元民のための地酒。

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■日本酒 福島県古殿町・豊国酒造「東豊国」
先ほどとは打って変わって、透き通った綺麗な酒質!
個人的には、こちらが好みだな。

呑み進んだところで、お冷やを出していただく。
基本静かな店主だが、この提供タイミングは適切。客をよく見ている。

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■握り一通り
◎いくら
 トップバッターは、こう来たか!
 小鉢にキラキラ、たっぷりと盛り付けられたいくら(^-^)
 その中に、ひとさじのシャリが添えられる。

 ひとさじがなければ、これは小鉢であるが、
 私はこの一鉢を「寿司」だと受け取った。

 居酒屋によく「こぼれ寿司」という、頭でっかちな握り寿司があるけれど、
 それをはるかに超える、贅沢さ。
 上品な塩気が、順調に日本酒を進ませる。

店主が、卸し金で生ワサビを摺り下ろす。
提供のタイミングは、かなりゆっくり。
やはり、おつまみ付きで頼むのが正解であったか(^-^;)

◎セイコガニ
 待ち時間が長くなったので、店主が気を遣って出して下さった一品。
 噂には聞いていたが、私はここで初めて体験した。

 ズワイガニの殻に、蟹肉・蟹味噌(内子)・ぷちぷちの外子がきっちり詰まる。
 無論、殻を外して食べやすいように詰め直すのは、職人の手仕事である。
「蟹は好きだけど、食べるのがちょっと…」というおっくうさんには、最上の酒肴。

 蟹味噌は期待通り、濃厚な風味で、日本酒に合わせれば最高の贅沢。
 外子というのは初めて食べたが、魚卵的な、ぷちぷちとした食感が私にとっては新鮮だった。

◎トリ貝(写真撮り忘れ…)
 わさびと田楽味噌でいただく。
 田楽味噌の甘辛さを、ジャキジャキッと充実した食感のトリ貝が包み込む。
 この取り合わせ、気に入った。

★ツブ貝
 見るからに元気そうなツブ貝。
 コリッコリッ、コリッ。コリッ。
 なんと印象的な食感!

★甘鯛の昆布締め
 昆布の風味がすごい!
 あくまで淡泊な甘鯛をプラットフォームに、昆布の旨味が躍る寿司。
 掛けられた手間の分だけ、価値を感じられる一貫。

◎シメ鯖 ワサビが鮮やかに貫く。酢の加減も良い。
◎アジ これは肉厚! 充実した食べ心地、青魚の旨さを噛みしめる。

◎シャコ シャコならではの、鼻に抜ける香りが素晴らしい。
◎煮蛤 甘いツメが掛けられており、風味が良い。

◎車海老
 茹でたてのアツアツを提供して下さる。
 天然の甘さが上品!

◎コハダ
 このタイミングで、光りものが出てくるとは。
 斑点模様も美しいコハダ。
 甘さは無しに、さっぱり男性的に酢締めがなされている。

◎ウニ手巻き
 なるほど、ウニをこう出してくるか…
 海苔のパリッと感を楽しむため、速攻でパチリ、さっそく口へ!
 これは技あり!

★穴子
「かなり熱いですから、気を付けて下さい」
 すぐには食べられないくらい熱いのだという。珍しい寿司だ(^-^)

 しばらく経ち、ふぅふぅしながら口に入れると、本当に熱い!
 熱い、熱い、
 それと同時に、国の中に広がる充実感。
 身の締まり具合が、これまで食べてきた穴子とは全く違う。
 タレでごまかした穴子ではなく、その白身そのものがしっかり旨い。

「旬の時期には、秋刀魚の骨抜き塩焼きなんてのも出してます。
 まあ、遊びですけどね」

◎マグロ赤身、ヅケ、中トロ
 怒濤のマグロ三連打。
 とろけるような中トロ!
 そして、クライマックスの大トロへと突き進むストーリー性。
 新鮮さだけを売りにするのではなく、熟成し、旨味を強めたマグロを握る点がこだわりだ。

------------------------------------------------
★お椀
 見た目には、普通の味噌汁。
 頂いてみると… おお、ぐぐっと来る旨味!

 なんと、味噌汁の中で、蟹を殻ごと潰して出汁を絞り出しているのだという。
(袋の中で潰すのだろうか、殻はしっかり取り除かれている)

 フレンチにおけるスープの一種で、甲殻類を裏漉しして作る「ビスク」というものがあり、
 その技法を和食に応用しようと、閃いたものだという。
 店主のアイディアとセンスに唸らされる。

◎玉子
 The 寿司屋のデザート。山芋入りのムースみたい!
 これにて締め。
------------------------------------------------

お会計 ¥12,312。
クレジットカード使用可。

帰り際、重量感のある、藍色の古い衣服が掛けてあるのに気付く。
「江戸時代の火消しが実際に着ていた半纏です。若い頃、大金をはたいて買いました」
国内にも数点しかない骨董品なのだそうだ。

丁寧な手仕事で織られた半纏は、二百年以上の時を経ても、艶やかな風合いを失わない。
丁寧な手仕事で握られる寿司は、一瞬にして喉の奥へ消えるけれども、
長く忘れられない印象を、食べ手の心に刻み付ける。

  • 鮨 いとう - これぞ技あり「甘鯛の昆布締め」。昆布の旨味に目を見張る!

    これぞ技あり「甘鯛の昆布締め」。昆布の旨味に目を見張る!

  • 鮨 いとう - 福島県石川郡・豊国酒造「東豊国」。綺麗な酒質! 酒器も美しい

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  • 鮨 いとう - いくらの提供方法に驚き。ひとさじのシャリとともに

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  • 鮨 いとう - 越前(福井)産、初めてお目にかかったセイコガニ。外子がプチプチ♪

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  • 鮨 いとう - ガリ。さっぱりとした具合

    ガリ。さっぱりとした具合

  • 鮨 いとう - すみいか(墨烏賊)。つるんとした肌の美人さん

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  • 鮨 いとう - 赤貝。見るからに身が充実! 閖上産かな?

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  • 鮨 いとう - ツブ貝。コリッコリッ、コリッコリッ。(順番としては、このあと甘鯛)

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  • 鮨 いとう - 走りのブリ。中央に入る切込みがお洒落! 煮切りで美味倍増

    走りのブリ。中央に入る切込みがお洒落! 煮切りで美味倍増

  • 鮨 いとう - 金目鯛。肉厚で淡白な旨み

    金目鯛。肉厚で淡白な旨み

  • 鮨 いとう - シメ鯖。貫くような、わさびの風味が快い

    シメ鯖。貫くような、わさびの風味が快い

  • 鮨 いとう - アジ。こちらも肉厚! 充実した食べ心地

    アジ。こちらも肉厚! 充実した食べ心地

  • 鮨 いとう - シャコは私の好物。独特な食感とともに、香りが鼻に抜ける

    シャコは私の好物。独特な食感とともに、香りが鼻に抜ける

  • 鮨 いとう - 煮蛤。甘いツメが塗られて、風味良し

    煮蛤。甘いツメが塗られて、風味良し

  • 鮨 いとう - 車海老。茹でることで引き立つ、天然の甘み!

    車海老。茹でることで引き立つ、天然の甘み!

  • 鮨 いとう - コハダ。甘さはなく、キリッと男性的な酢締め

    コハダ。甘さはなく、キリッと男性的な酢締め

  • 鮨 いとう - 精悍な赤身。ここから怒涛の、マグロ三連打!

    精悍な赤身。ここから怒涛の、マグロ三連打!

  • 鮨 いとう - とろけるような中トロ、早速かぶりつく

    とろけるような中トロ、早速かぶりつく

  • 鮨 いとう - 大トロ、クライマックスに向かう盛り上げ方が見事!

    大トロ、クライマックスに向かう盛り上げ方が見事!

  • 鮨 いとう - なるほど、ウニは手巻きと来ましたか!

    なるほど、ウニは手巻きと来ましたか!

  • 鮨 いとう - 一見、ふつうの味噌汁のようだが、これが凄い… 蟹の旨味を絞り出した、渾身の汁

    一見、ふつうの味噌汁のようだが、これが凄い… 蟹の旨味を絞り出した、渾身の汁

  • 鮨 いとう - 自慢の穴子。熱すぎて、すぐに食べられない珍しい寿司。身の食感が充実!

    自慢の穴子。熱すぎて、すぐに食べられない珍しい寿司。身の食感が充実!

  • 鮨 いとう - 玉子でシメ。山芋入りのムースみたい(^-^)

    玉子でシメ。山芋入りのムースみたい(^-^)

  • 鮨 いとう - 重量感のある半纏が飾られる。江戸の火消しが使った本物という

    重量感のある半纏が飾られる。江戸の火消しが使った本物という

  • 鮨 いとう - 「鮨いとう」さん、午後8時に到着。どんな寿司を食べさせてくれるのか

    「鮨いとう」さん、午後8時に到着。どんな寿司を食べさせてくれるのか

  • 鮨 いとう - いわきの人気店「鮨いとう」

    いわきの人気店「鮨いとう」

  • 鮨 いとう - 左手の店。繁華街から少し離れた、静かな一角にある

    左手の店。繁華街から少し離れた、静かな一角にある

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よい子

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店舗情報(詳細)

店舗基本情報

店名
鮨 いとう
受賞・選出歴
2024年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2024 Bronze 受賞店

2023年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2023 Bronze 受賞店

2022年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2022 Bronze 受賞店

寿司 百名店 2022 選出店

食べログ 寿司 EAST 百名店 2022 選出店

寿司 百名店 2021 選出店

食べログ 寿司 EAST 百名店 2021 選出店

ジャンル 寿司
予約・
お問い合わせ

0246-35-7066

予約可否

完全予約制

前日までの予約をお願いします。

住所

福島県いわき市字南町73

交通手段

JRいわき駅から徒歩で10分内

いわき駅から419m

営業時間
  • ■ 営業時間
    18:00~
    一斉スタート

    遅い時間をご希望の場合は電話でご確認ください。
    21:00過ぎからのご案内になります。

    ■ 定休日
    不定休 日曜営業
予算

¥20,000~¥29,999

予算(口コミ集計)
¥20,000~¥29,999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード可

(JCB、AMEX、VISA、Diners、Master)

電子マネー不可

QRコード決済不可

席・設備

席数

7席

個室

カウンターのみ

貸切

禁煙・喫煙

全席禁煙

店内での喫煙はご遠慮願います。店舗脇に灰皿が置いてあります。

駐車場

空間・設備

オシャレな空間、落ち着いた空間、カウンター席あり

メニュー

ドリンク

日本酒あり、焼酎あり、ワインあり、日本酒にこだわる

料理

魚料理にこだわる

特徴・関連情報

利用シーン

一人で入りやすい 知人・友人と

こんな時によく使われます。

ロケーション

隠れ家レストラン、一軒家レストラン

ホームページ

http://www.gurutto-iwaki.com/detail/index_1455.html

初投稿者

お職の花魁お職の花魁(2578)

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