南京千両本家（久留米市） : 南京千両本家

初回訪問。

「天照」で食べた後、色々用事をこなしていたら、夕方になっていた。
本日は１人身で、夜も遅くまで動ける状況なので、よし、今日こそは「南京千両」へ行く絶好のチャンス！

「南京千両」と言っても色々有って、「屋台」、「本家五差路店」、「マリン店」の3店。
「マリン店」は既に訪問済みなのだが、残りの2店はまだだった。
なので、この2店に行くつもりで、一応営業時間を確認してと、食べログ検索をしていたら、もう1店引っ掛かって来た。
それがこちら「南京千両」。
あれ？いつの間にかもう1軒増えたのかな？と調べていたら、思い出した！

数年前、近くの病院に用が有って通り掛ったら、おや？ここにも「南京千両」がある？
先の3店しかないと思っていた事も有るし、昼間見た時も（そう言えば、初めての久留米のラーメンを食べたのが、ここを振られた後の、大栄ラーメンだった）、夜に行った時もシャッターが閉まっていたし、後日もう一度来た時にも閉まってたので、既に閉店してしまったお店と思っていたのだが、見ると昨年レビューが3件も上がっている！
ならばこちらも行かなければ・・。(^^
上手くいけば「南京千両」全店実食の可能性が出て来たので、ルンルン気分で209号線を北上。(^^
もっとも、営業日も営業時間も不明なので、一抹の不安は有ったのだが・・・。

何度か通った道で、久留米市内では一番地理に慣れた地区なのだが、久し振りなのと夜になってしまったのでナビを頼りにお店まで行くと・・・閉まってた！
何となくそんな予感はしていたのだけど、やっぱりね。( ^^;

仕方がないので、次の目的地の「五差路店」へ。
流石にナビ無しでは行き着けないので、住所確認の為食べログ検索をしたら・・・あれ？名前が無い・・。
「本家」の文字は残っているが「五差路店」の文字が消えている・・。
で、よくよくレビューを見てみると・・・移転されている！
えぇぇ！と言うかへぇぇ！と言うか、全く知らなかった！
そう言えばレビューが3件しか無い。
以前はもっと有った筈。

移転となると、ますます場所は分からないので、住所をナビに入力して出発。
夜だし、ナビにぐるぐると引きづり廻されて、何処を走っているのか全く分からない状況で、漸くお店の近くらしい所まで来たら、音声案内を終了致します、とのナビの声。
この後は自分で勝手に探せと言わんばかり。( ^^
上手く行き着くかなぁ？とゆっくり周辺を見ながら走ると、ラーメンの文字が見えた！・・でも店名が違う？
あれれ、と思いながら通り過ぎたら、直ぐ隣に有った！

場所は、国道3号線の苅原交差点を東に曲り、２つ先の宮園交差点を過ぎて100m程行った右側に有ります。
直ぐ横に、「久留米ラーメン丸久」が有ってちょっと紛らわしい。

どうやらお店の前が駐車場になっている様で、3台分程しか無いが、駐車場を探しまわる手間が省けて良かった。

平日夜の7時過ぎ。

車が駐っていなかったのでどうかな？と思って入ったら、やはり先客はなし。
店内に入ると豚骨臭を感じたが、直ぐに慣れた。

入って正面奥が厨房でその前がカウンター。
中央にテーブル席が4つ。
形や大きさが色々でイスも同様。
左奥には小上がり。

先客が無かったので中央のテーブル席に着席。
見たら、１枚板の重厚なテーブル。
なぜかここだけ他とは違う。

70台ぐらいの小柄な女性で営業。
後から男性の姿も見掛けたが、良く見えなかった。
メニューはテーブル上に。
お冷やを持って来られたので、ラーメン550円を注文。
どちらかと言うと、肩の力の抜けた、素のままの接客。
淡々としているが、感じは悪くは無かった。

BGMは何故かjazz。
あぁなんと、とうとうこんなお店まで流す様になったか・・・と一瞬嘆いたが、暫くすると何故か違和感は無くなり、むしろお店の雰囲気に合う様な気がして来た。
jazzを流しているお店は、どちらかと言うと格好良さやモダン感、都会感を演出する為に使用されている感が有るのだけど、大抵の場合、お店の雰囲気とは馴染んではいなくて、取って付けた感じがする場合が多い。
音が、行き場が無くて彷徨う様な印象を受ける事が多いのだが、ここは何故か違った。
ボリュームは少し落として有るとは言え、お店の空気にすっかり溶け込んでいる、というか包み込まれている感じ。
店内の照度はやや低めで、作りも昔風。
板張りの床や色々飾り物や鉢植え等が有って、壁にはよしずを使う等、イニシエ感が漂っていて、ラーメン店と言うよりは、昔の古い、喫茶店や居酒屋、食堂のエッセンスを抜き出して配置された様な店内。
昔なお店、の空気感が有って、妙にしっとりとした印象。
それに合っているのかな？
ちょっと違うかもしれないけど、Barで聴いている様な錯覚を覚えた。(^^;

もっとも、厨房の奥からテレビらしき音声が聞こえて来るのは、如何にもだが・・。( ^^;

出来上がりを待っている所に、後客さん１人入店。
カウンターに座ると直ぐ、メニューも見ずに大盛りを注文。
どうやら常連さんの様。
最近の天候の話しから始まって、近所のお店の話し等、ぽつぽつとした会話。
互いに気負う訳でもなく、何気ない、ありふれた話。
う〜ん、こう言ったさり気ない会話が出来る様になりたいなぁ。(^^

4〜5分でラーメンの到着。
どんぶりは一般的なラーメンどんぶりで、皿に乗って。
具は、細切りのチャーシュー、刻んだメンマ、ねぎ、板海苔。
スープは、やや茶色の効いた黄土色で9分目くらい。
濁りは強いが、油っけは殆どなく、のぺっとした平坦な印象のスープ。
一口啜って見ると、軽めな豚骨風味が初めに来るが、口内から鼻に抜ける途中です〜っと消える様な、儚い風味。
その風味が消えた後に、やや柔らかくて軽めな醤油の風味と、少し酸っぱい（キツさはなく、ちょっと甘めな酢味）が舌の上に残る。
ベースのスープ自体には余り旨味等は感じられず、元ダレ主体の味付けだが、それも強く前面に出る事は無くて、大人しい穏やかな味。
ベースのスープがあっさりしているので、そんな元ダレでも前に出る様な感じになる。
豚骨度たっぷりな他の久留米ラーメンと比べると物足りないかもしれないが、これを好きと言う人も居る筈で、客観的に見ても特にまずいと言った印象は受けなかった。
麺は、少し平打ちのちょっと縮れた麺。
口当たりはつるっ、ぐらいでフヌッとした歯応え。
表面はチョイ柔で、その下から中心まで同じぐらいの硬さを保つ。
全体としては、丁度かちょい柔ぐらい。平打ちの縮れ麺という事で、あっさりスープでも絡みは良い。
チャーシューは細切りされた物。
味はタレより肉の味がやや前に出るが、旨味自体は少し出た後の感。
でも、細切りの分麺とも絡むので、あっさりスープの物足りなさを肉の味でカバーしてくれる。
メンマはシャクっとした歯応えを残し、味付けもやや薄めで、スープには合っている。
板海苔は細切りの、ぺらっとした物だったが、何げに旨くて、これも薄味のスープには合っていた。

さて、この薄味のスープをどうしようか？と考えて、卓上の調味料を見てみる。
辣油、胡椒、一味が見えるが、やっぱりここは胡椒かな、と思い手を伸ばしかけたらラーメンタレらしき物が有る事に気付く。
最近は、これを見掛けたら試す様にしているので、手に取ってレンゲにチョイ。
舐めてみると、柔らかい軽めな醤油味と、これも軽めな酢味で、塩気は殆ど感じない。
これって、元ダレその物なのかな？
再度レンゲに垂らして、残り少なくなったスープに混ぜてみる。
混ぜたスープを飲んで見ると、スープの薄さに少し厚みが生まれ、舌に残る後味にも少し立体感が出て、余韻として舌の上で反復出来る様になる。
う〜ん？
と言う事は、デフォの状態のスープは元ダレの量を意識的に減らしてあるのかも知れない。
薄めに仕上げているので、お客さんの好みで調整して下さい、という事なのだろうか？

これが創業当時の味かどうかは分からないけれど、もしそうだとしたら、変にお客さんや流行には迎合せず、このままであって欲しいと思う。
今や色々な種類のラーメンが溢れる世の中となっている中で、唯一豚骨ラーメンの源流を守る味としての価値は他に無いのだから。