つけ麺 : 一龍

やはり初期の酸味はもう戻らないのか…

当分つけ麺頼むことはないかな。

メニューが豊富なので他を食べにまた来るけど(笑)。

小倉駅近くにある好立地のラーメン。むかしは正直言ってそれほど印象に残っていなかったが、代替わりしてメニューも増えて、シメにも使いやすくなった。一時期ハマっていたのがつけ麺で、かなり酸味の効いた味は、全国的にも珍しいタイプのもの。正直、僕の周りには気に入っていない人も多かったが、僕は大好き。

だったのだが、最近また食べてみたら酸味がなくなりまろやかな味になっていて…普遍的な旨さを得た代わりに、北九州以外のつけ麺激戦エリアだと食べ飽きている味になってしまい、他府県から来た僕のような人にはちょっと物足りなさが。

ぶしラーメンは、魚介の「節」(おそらくサバ節あたりが多め)で濃いめに取ったタレがかかっていて、いわゆる「魚介トンコツラーメン」の味。これも他府県では珍しくないメニューだが、ベースのトンコツがウマいのでこれはけっこうイケるし食べ慣れた他府県の方にむしろ食べてもらいたいメニュー。

それにしても相変わらず店内は野球グッズが多いし、いつの間にか増えたマンガも野球マンガが多い。店長、むかし野球やっていたのかな。タイトルに拝借したマンガ、最近の僕のオススメでもある。

小倉駅に比較的近い場所にあるラーメン屋。場所が便利にもかかわらず、10年以上前に何度か行ったことがあったきりである。足が向かなかった理由はほかでもない、味。悪くはないが、わざわざ？という印象だったため、旬工房 倉、野球鳥、ちょっと歩くけどやきとり 八ちゃんなどの、僕のお気に入りの店群が近いにも関わらず、それらの店で食べた後も、寄って帰ることはなくご無沙汰だった。

今回は、食べログ用にお隣さんの野球鳥の昼間の外観写真(笑)を撮りに、ちょうど正午に訪れた。撮影後はどこでラーメンを食べようか…行ったことない店か、行ったことはあるが、レビューを書けるほど鮮明に覚えてない店か…などと考えてつつ「野球鳥」の前に立ち、カメラを構えた。ところが、ほんの数枚撮影したわずかな間に、当店に4人連れが1組、3人組が1組と立て続けに入店していくのが見えた。気になってふと中を覗くと、さらに別の4人連れもすでに入っており、かなりの賑わいだ。

この店が過去に、これほど賑わった様子を見たことはない。創業数十年の老舗(のはず)なので、劇的に味がよくなったとも思えないが…偶然か？とも思ったが、何かあるかもしれないと思い、久々の入店を決意する。入店してびっくり、まず店主らしき人が、ずいぶんと若い人(それもメチャ男前！)だったこと。1人で切り盛りしているようだが、以前はオヤジさんだったはず…代替わりしたのかな。

それともう一つ、メニューがずいぶん多彩になっていたのにも驚いた。つけ麺も提供しており、そのこと自体が、小倉では珍しいのだが、それ以外のメニューも豊富。それも最近よくあるマー油入りやら辛味噌入りのような、調味料足しただけ(ってそれが悪いわけじゃないけど)なのにメニューを分けたとかじゃなく、「ぶしらーめん」「ぶっかけラーメン」といった、ちゃんとしたラーメン。

これら、名前だけでは仕上がりがピンポイントまで掴めなく、ワクワク感が高まる。あ、そうそう、辛味噌(秘伝のタレ)を入れただけのラーメンもあったのだが、それは別メニューではなく、ラーメンに好きに追加できるもの。

さて、何を頼もうか迷ったが、久々のため、つけ麺やぶしラーメンなどは避け、ベーシックにラーメン(ただしチャーシューメン)にした。麺はなんとなく硬め、それに後半で味を変えるべく秘伝のタレ入りで注文。50円で、おにぎりがサービスで付くと書かれていたので、それも併せていただくことに。しかし僕が注文してからも、さらに1組お客さんが来るなど、大賑わいだ。

ほどなくして、ラーメンが出て…こない(笑)。理由は後述するとして、先におにぎりが登場。50円だから1個だろうと高を括っていたが、2個も出てきて嬉しいサプライズ。作りおきではないので、温かくてなかなか美味しい。さて、少々待たされたが、ようやくラーメンを味わうことに。まずはもちろんスープから。

スープはややぬるかったが、一口すすっただけで面白さを感じた。脂分の控えめな、アッサリした味わいそのままに、パンチ力はやや足りないが、なかなかしっかりしたボディではないか。これでボディが貧弱なら、ただの薄味ラーメンで終わるところだが、このスープは違う。ボクシングで言うならば、ストレートやアッパーではなく、ジャブのような。女性で言うと、薄化粧の、控えめな薄幸美人タイプ。やるじゃな～い。

以前もアッサリしたインパクト不足のスープだったと記憶しているが、ここまでボディがあったかな？先代に失礼だから、安易に「代替わりして味がよくなった」と決め付けてはいけないんだけど、期待感のおかげで好意的にスープに対峙したため、美味しく感じたのかも。

トッピングだが、チャーシューは、これはなかなか美味しかった。ただ、ネギはやや太いネギを大きめにザクザク切っていたため、ちょっとここのアッサリスープには邪魔だったかな…いっそネギ抜きでもいいくらい。秘伝のタレは、いいアクセントになっていて、入れるほうを推奨するね。ただ、かき混ぜて出てきたため「味変」ができなかった。これ、一蘭のように麺の上にチョコンと載せるか、別皿で出したほうが良いんじゃないかな。次回からは「別皿」で頼むことにする。

さて、さっきラーメンがなかなかでてこないと書いたが、それもそもはず、ここのおにぎりは注文後に握る(おにぎり型で、だけど)のである。一斉に客の注文が入った上、みながおにぎりを追加注文するものだから、当然ラーメンは、後回しにされ、なかなか出てこない。これならいっそ、味気なくてもおにぎりは作り置きでもよいのでは？とも思ったが、これも出来立てを食べてもらいたい、という店のこだわりなのかも。

また、いくら大人数とはいえ、注文を覚えきれない様子もあったのも、改善の余地ありかな？と思っていたところ、僕の麺が投入されたころあいに、おかみさんが店に入ってきた。そういやこの顔、10年前にもおられたような気がするが、この人がものっすご手際がよくて、1人入っただけで、俄然厨房が回転し始め、以降の注文がいきなりスピードアップ。ちょっとタイミングの悪いときに入店しちゃったみたい。

味は非常にオーセンティックな豚骨なので、オヤジさんの味もある程度以上に受け継いでいると思うのだが、以前はここまでの繁盛っぷりはなかったはず。ただ、いつもそうなのかはわからないが、毎週末食事時がこうであっても不思議はない、高いレベルのラーメン、というのが結論。

しかも、これに加えてつけ麺やらオリジナリティの高いその他ラーメンやらがあるわけで、間違いなく次回もその次も、繰り返し再訪するだろう。チャーシュー麺単体であれば、★3.45くらいの印象となったが、他のメニュー次第では、さらに★0.3くらいには上乗せできるかも。これは次回確かめてみたい。

いや～、ずっと素通りしていたが、こんなにいい店だったとは…と店を後にして、大阪の自宅に戻った後に食べログをチェックしたら、読者登録させていただいているゆっき～さん始め、錚々たるレビュアーが高評価だったのは、盲点だった。しかも、「ぶしらーめん」のゴッドファーザーがゆっき～さんだったとは(笑)。というか、そっちを食べればよかった！(笑)。

それにしても、開いてもいない野球鳥に、写真を撮るためだけに立ち寄ったときに、10人以上のお客さんが店に入り、誘われるかのようにここに来たのは、偶然だったのだろうか。

店が僕を呼んだのか？いや、必然が、僕自身を呼んだのかもしれない。