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地中海
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店名 |
バニヤン
|
---|---|
ジャンル | パスタ |
予約・ お問い合わせ |
092-661-1510 |
予約可否 | |
住所 | |
交通手段 |
九産大前駅から1,017m |
営業時間 |
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
予算(口コミ集計) |
¥1,000~¥1,999
¥1,000~¥1,999
|
支払い方法 |
カード可 |
個室 |
無 |
---|---|
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
有 |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
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公式アカウント | |
初投稿者 | |
最近の編集者 |
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日曜の午後にビールを呑みながら読書していたら、なんとなく外食したくなった。すでにビールを呑んでいて車の運転はできないから、歩いてゆける範囲で検索すると、徒歩4分の距離にある生パスタのこのお店がヒットした。個人的にイタリア料理はいちばん興味のないジャンルだが、このところ読んでいる本がマルコ・ポーロやコロンブスやザビエルやラス・カサスとか地中海周辺に縁のある人たちのだったりするので、知らないうちに胃袋まで影響されているらしく、生パスタという文字にはじめて食欲を感じてしまった。サンダル履きで家を出てスマホにナビさせたら、経路が表示されて、曲がり角のたびにジングルが鳴って、左です、右です、着きました、と言われて、アッというまに店の前に来ていた。便利な時代になったものだ。
お店に入ると、左側の壁面がガラス戸になっていて明るい光があふれているので、そちらに行くと、ガラス戸が解放されていて、その向こうは気持ちのよさそうなテラスで、テーブルがいくつか置いてある。まよわずそのテラス席に座る。風光明媚な海と空の大パノラマというには程遠い景色だが、この明るい解放感は地中海的と言えなくもない。4月中旬の桜も半分以上散ったころで好天でもあったので、料理を待つあいだ春の陽射しの下で読書できる。メニューを見ると、まぁ当然だが、イタリア料理が並んでいて、やはりピンとこないな、と思っていると、いちばん下に、『 地中海 』 というパスタがあって即決した。いまの気分にこれ以上ピッタリなものはない。トマトソース、ホワイトソース、和風ソースから選べるというのでトマトソースにした。ラス・カサスが糾弾している悪魔もはだしで逃げだすような残虐なスペインのコンキスタドールどもが南米から地中海に持ち帰ったというインディオの血の色をしたトマトのソースを、このさいは選ぶしかなかろう。
料理を待ちながら、テラス席でハイネケンの生ビールを呑み、春風と陽光のなかでラス・カサスの本を読むという天上的に幸福な時間をすごしていると、店内のBGMとしてずっと歌ってくれているメローなジャズボーカルに親しみが湧いてきた。店の人に聞くと、CDのジャケットを持ってきてくれた。グレゴリー・ポーターという歌手の 『 Take me to the alley 』 というアルバム。alleyという単語を見て、『 のっぽのサリー 』 を思い出した。リトル・リチャードの名曲だが、若き日のポール・マッカートニーが十八番にしていて、「 ジョンおじさんがのっぽのサリーと楽しんでいるところに、マリーおばさんがやってきたので、ジョンおじさんはコソコソっと横道に隠れたんだ。ボクは見ちゃったのさ 」という歌詞をものすごい早口でまくしたてるように歌ってオーディエンスの度肝を抜いて熱狂させていたものだが ( また、これを演奏するときのリンゴのドラミングがノリノリでめちゃくちゃカッコよかった ) 、そのジョンおじさんが隠れた「 横道 」がalleyだ。路地とか裏通りなどの意味もある。ブルーノートレーベルのシックでメローなジャズボーカルが 『 あたいを横道につれこんでよ 』 なんて下品なタイトルのはずはないから、もっとましな深い意味があるのだろう。
なんてあれこれ思っているうちに陽が翳ってきて肌寒くなったので、残念だったが屋内のテーブルに移動した。すると、まもなく 『 地中海 』 が来た。
おいしい。ビンゴ。殻付きのムール貝が4個も鎮座していて、エビやアサリなどの魚介も豊富で、まだ行ったことはないが『 地中海 』 という名称にふさわしい逸品と思えた。小鉢に盛って出てきた擂りおろしの粉チーズをトマトソースにまぶすとほっぺたも落ちる。この店のフラッグシッププレートだろう。値段の倍くらい内容が充実しているように見える。原価率に目をつぶってリーズナブルに提供するシェフ渾身の一皿、とまでは言わないが。
食べ終わったお皿においしいトマトソースがたくさん残っているので、追加注文したガーリックバケットをちぎってお箸でディップして口にほうりこむ。ビールのいい肴になった。
コロンブス、コンキスタ、インディアスの悲劇、奴隷貿易、ジャズの発祥、パスタ店の午後の至福、という身も蓋もない世界史のなかの一つのささやかな伏流にたゆたいながら、頭のなかの地中海のカオスと現実の陽光が溶け合うような極上の時間をすごせた。そんな時間を提供できるお店は、きっといいお店なんだろう。