颯香亭（香椎）瀟洒な一軒家フレンチ : 口福ヤマトモの食日記 : フランス料理 颯香亭

●訪問回数3回

中洲のイルドフランスにいらっしゃった頃、シェフの料理は何回か食べたことがあり、14年前に香椎で独立された時も2回ほどランチにお邪魔したことがありました。

食べ友からの情報で、だいぶ料理が変わっているらしいよという話を聞き、4人で訪問してきました。

コースは完全におまかせで1万円前後くらいから。今回は1万円でお願いしました。
食べたいものや苦手なものをリクエストして、オリジナルのメニューを作るスタイルです。

アミューズから始まり、前菜は少量多皿構成で進む。

フグのロワイヤル

出汁が非常に繊細で、かつフレンチらしいまろやかな奥行きもあって実に素晴らしい。

フグの生ハム仕立てのグリルと蕪のジュレ仕立て

河豚の身がスモークチキンを上品にしたような味で驚いた
聞くと生ハムのような仕立て（ソーミュール液に漬け込んで干したということか？）にして最後は炭で表面だけをグリルしたそうだ。

フグと皮のテリーヌ

はったい粉を使った器の香りが香ばしく食感が心地よい
毛ガニのスープ

浮身を崩すと中から濃厚な蟹味噌の味が出てきてより一層複雑な風味となった。

ウニのカカオ？コーティング

甘くないホワイトチョコのようなものでコーティングしてあって面白い料理だった。

キャベツのテリーヌ

何種類かのキャベツを使った料理

卵とトリュフ、菊芋、焦がしネギ

トリュフと玉子の相性もさることながら、チップス状に揚げられた菊芋と焦がしネギがいい仕事していて、独創的な一皿となっていた。

赤いフォグラ恩田山大根カシスで染めてビーツソースで

上は揚げたビーツの茎　赤い果実があふれてくる料理で、ちょうど注文した赤ワイン　モレのシャサーニュの赤との相性が抜群だった。

ミズイカ、芝海老テリーヌ、平目

芝海老のテリーヌが甘くて素晴らしかった。イカの食感もよくヒラメも旨みがあってソースとの相性も良かった。

メインは蝦夷鹿と子牛とシャラン鴨からの選択で蝦夷鹿と子牛二手に分かれた　その件もあって追加の赤をシャサーニュの赤にしておいたのだった。

蝦夷鹿は丁寧に血抜きされ熟成されていたようで、柔らかく変な臭みもなく食べやすかった。
料理全般に言えることだが、やや立体的・重層的に盛り付ける皿が多いので、せっかくの綺麗な火入れや断面、肉や魚の断面が見えにくいのが、個人的には残念。味的にはどの皿も文句なしに旨い！！
雪兎（という白い苺）、ホワイトチョコ苺のソルベ

すっきりした味

チョコスパイスの香りザボンの冷凍

チョコにスパイスが使われていて、かつザボンの瞬間冷凍のアクセントがあるのでこちらもあっさり食べられる。

最後にコーヒーなどで終了。
デザートは二種類なら一つはフルーツ系かアイス系、もう一つは濃厚なタルトやケーキが個人的には嬉しい。あとできれば食後のプティフールもあると、今日の晩餐を肴にしばし歓談できる。

料理は手法や味付けがバラエティに富んでいて素晴らしい。モダンな技法を入れたネオクラシックの雰囲気だが、和の素材やすっきりした出汁（河豚の骨からの出汁など）を使い繊細な皿にも仕立てられる。引き出しの多さを感じた。

ワイン
5000円位から15000円くらいまでが一群　そのあとは2万円オーバーがちらほらとある。メニューに載せていない（書ききれてない新しいワインが多い）ものもあるので、飲みたい味の傾向を告げてマダムに相談すること。
　今回のワインは、一応どれも1万円以下でお店で選んだもの。このシャサーニュVVの赤は繊細で赤い果実が華やかに開いて安いのにお薦めである。繊細な肉（ミルクラムや子牛）や癖の強くない鳥類にもあうんじゃなかろうか？真ん中はロワールの名門コントラフォン家のSB（ブルゴーニュの著名作り手とは違います）酸味ががあるがボディーもほどほどにあるので、飲みやすくバランスの良いワインだった。テタンジェは定番なので省略。

ロケーションは香椎駅からタクシーで10分弱、丘の上にあるので徒歩は厳しいかも。
瀟洒な一軒家のレストランで、手入れの行き届いたお庭や中庭を眺めながらの贅沢なお食事が楽しめる。一日3組までの完全予約制とのこと。

香椎の住宅地の中にある民家を改装した一軒家のフランス料理店だ。

オーナーシェフの金丸氏は「イルドフランス」という福岡の老舗のフランス料理店のシェフだった。

前菜、生カキと洋ナシとイチジクのゼリー寄せは、見た目は非常に美しく、また素材の組み合わせも良いのだが、上にかかっている酸味の効いたポン酢のようなジュレとクリームのソース。

鴨とフォアグラとセップ、ジャガイモ、ムカゴなどのフリカッセは、酸味の効いたソースで、少しフォアグラの量が多く、全体的にはかなりこってりした味。

魚料理は舌平目のポワレ・キャベツとベーコンのスープ風のソース。
皮がカリカリに焼かれており、ソースは穏やかなやさしい味で、オリーブオイルとキャベツの甘みが特徴的だった。

肉料理は、うりぼうのグリル・ジャガイモと里芋添え。臭みがなくおいしかった。
ソースは酸味の効いたポン酢風。

デザートはナッツと洋ナシのアイス、リンゴとライチのコンポート、栗のスープ、マスカルポーネをグラスに五層に重ねたもの。
食べ進んでいくうちに色々な味が楽しめて面白かった。

全体的に盛りつけはどれも美しかったが、和のアレンジが多かった印象。

サービスは、軟らかい応対で好感がもてる。