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アールアイさんの他のお店の口コミ
店名 |
掲載保留
佐野蕎麦
|
---|---|
ジャンル | そば、日本酒バー、焼酎バー |
住所 | |
交通手段 |
廃業 西鯖江駅から308m |
営業時間 |
|
予算 |
~¥999 |
予算(口コミ集計) |
¥1,000~¥1,999
|
支払い方法 |
カード不可 電子マネー不可 QRコード決済不可 |
個室 |
無 |
---|---|
貸切 |
不可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
無 |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
オープン日 |
2006年12月4日 |
初投稿者 |
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鯖江市本町2丁目。ある日の週末、鯖江の町並みをそぞろ歩き。お目当ては、国の有形登録文化財の指定を受けた料亭天狗楼。この界隈にはその他競合店も散見され、ある種の料亭街を形成している。
ほどなくして、コアロード・コマチという商店街にぶつかった。週末だというのに、人影もまばらで、生気の失せた地方都市特有の旧市街。直訳すれば、コアロードとは中心地を指すはずだが、現状を垣間見るに何とも寂しい限り。
その商店街の半ばにて、新手のラーメン店かと見紛う蕎麦屋が目に留まった。店頭に掲げられた、真紅の大きな垂れ幕には、自家製粉十割手打そばと白文字に染め抜かれ、店主のフォトジェニックな顔写真も貼り出されている。
しかも、一般的な蕎麦をお求めの方、手っ取り早くお腹いっぱいになりたい方は、お入りにならないでくださいとの但し書き。その割には、入りにくいかもしれませんが、お気軽にお入りくださいとの自虐的メッセージも添えられて、困惑せずにいられない。
いすれにせよ、突っ込みどころ盛り沢山ということで、俄然興味が湧き出したものの、店の扉には準備中の木札が掛かっている。ただいまの時刻は11時45分。食ベログアプリをチェックすると、開店時間は12時からということで、通りを挟んだ向かいの書店で時間を潰すことに。
12時を少し回って、再び店に近づくと、歩道脇に歓迎小田和正さんとの幟が置かれていたのに気づく。もしかして、あのミュージシャン、小田和正が本日来店する予定なのだろうか。しかしながら、未だ店は準備中のまま。この日は臨時休業だったら、くやしくて 哀しくて 言葉にできない♪と口ずさみたくなる。
意を決して扉を開けると、店内奥の製麺室にて、蕎麦生地を伸ばしているご主人の姿。「(店に入っても)大丈夫ですか?」声をかけた私に気づくや、一旦作業を止めて開店準備にとりかかる。
店のいたるところに、お手製のPOPや切抜きがベタベタ貼られたカオスな空間。少々たじろぎつつ、奥のテーブル席に腰掛けた。店内では福山雅治の曲が流れているが、小田和正でなくても大丈夫なのだろうか。
手元にあるメニューアルバムを開くと、店独自のこだわりや選び方の指南も事細かく書かれて、食べる前からお腹はともかく、気分はいっぱいいっぱいといった状況。
要約すれば、選べる蕎麦は3種類。すべて蕎麦粉のみの十割だが、挽き方や製粉仕様によって仕上がりが異なる。すっきり蕎麦(スムース・細挽き粉 )、モーレツ田舎蕎麦(玄細ブレンド粉)、大地蕎麦(玄挽き粉)と掲載メニューの画像からして、見た目に限らず明確な違いがありそう。
当店がお勧めするのは、塩だけで食べる十割蕎麦の3種盛りと飲む十割蕎麦(蕎麦~ジュ)というセットメニュー。これを食べないと佐野蕎麦に来た意味が無いという、渾身の逸品のようだ。ただし所謂漬け汁は別料金のようで、こちらではダシと呼ばれて、大根おろしの絞り汁がベースとなっている。
注文を取りに来たご主人に、その3種盛りの大(1600円)と醤油味のダシ(200円)を頼むと、「塩味の方がおすすめですよ」とのこと。だったら、4種類も味を並べなくてもいいのに、醤油味に比べて100円高い塩味を推すのは、高額商品への誘導なのだろうか。内心食べ慣れた醤油味がよかったものの、そんなことを臆面も出さないのがサラリーマンの処世術。ここは素直にご主人に従うことに。
注文後、用を足したくなって2階のトイレへ。住居と共用になっているのか、2階に客席はないようだ。1階に戻ると、店内のBGMは小田和正に切り替わっている。途中で流す曲の間違いに気づいたという訳か。
ほどなくして、私の頼んだ蕎麦が運ばれてきた。四角い木皿に、文字通り3種類の蕎麦と塩が盛られている。見るからに際立った違いのある個性的なビジュアル。試しにそれぞれ1本ずつ、ノーマルな塩を少しつけて食べてみる。
噛み締めるたびに伝わる、この蕎麦特有の清々しい風味。それぞれ味わいや食感も大きく異なるが、これほど鮮烈な印象を受けた蕎麦は、おそらく初めてだ。店の煽り文句に引きずられて、実食するまで疑いの目を持っていたことに恥じ入るべきか。
そして飲む十割蕎麦。こちらは、他の店では蕎麦湯の立ち位置かもしれないが、立派な主役を務める。蕎麦粉そのものを溶いて作るので、蕎麦の旨みや成分はそのまま残さず味わうことができるという。
ただし唯一引っかかったのは、細挽き粉で打った蕎麦を、別途注文した漬け汁で食すのが、蕎麦本来の楽しみを感じられた点にある。手繰って啜るという行為が、蕎麦の旨さを引き立たせる、重要な役割を担っていると再認識した次第。
もしかしてこの店の評価が、ネット上で賛否両論分かれるのは、その辺りも一因かもしれないが、もはや蕎麦という枠組みを超えて、佐野蕎麦という料理に昇華させていると解釈すれば納得できる。
私が食べ終わるタイミングを見計らってか、「いかがでしたか」とご主人が声をかけてきた。これほど印象深い蕎麦に出会ったことは初めてと素直に伝えると、思わず相好を崩すご主人。
店を開業して11周年、試行錯誤で今の提供方法に辿り着いたという。そして使用している蕎麦粉は地元福井の丸岡産。昨年秋の収穫量は天候不順が祟り、対前年の3割ほど。ほとんど一般流通に出回らない貴重な蕎麦粉を使用しているとのこと。契約農家との絶大な信頼関係が無ければ成し得ないのだろう。
店の外観や店内の雰囲気からは、てっきりアクの強い個性的な店主を想像していたものの、一見すると線が細くて、森本レオの如く、実直で穏やかな話し方をするご主人。ただし、掛けている眼鏡はご当地鯖江製で本物志向。蕎麦職人としての、内に秘めたる矜持を随所に感じられる。
気になっていた、小田和正の幟について尋ねると、やはりご主人は熱狂的なファンのようで、過去に小田和正がサンドーム福井でコンサートを開催したときに、この商店街に立ち寄ったことを後で知り、次回訪れる機会があれば是非この店に気付いてもらいたい、その一心で幟を用意したのだという。
忘れないよ どんな時も 君の蕎麦があるから♪生真面目に蕎麦と向き合いつつ、ミーハーな心も覗かせるご主人に、思わず小田和正風にエールを贈りたくなる。
会計後に店を出て、入店時に気付かなかった幟の裏側には、「(コンサートに)2日とも行きました。」と書かれていた。