新日鉄(現・日本製鉄)のお膝元君津木更津の九州ラーメン屋『友理』創業50周年の存在感～九州から来て今や３世代目になる人々のソフルフード : 九州ラーメン友理

◯チャーシュー麺(九州ラーメン)
大きなやわらかチャーシューが5,6枚入った豚骨ラーメン。木耳、小ネギと基礎的なアイテムはきちんとのっているのは嬉しい。クセになる味です。
九州系ラーメンデビューは新宿の桂花ラーメン、次いで歌舞伎町のゲートとガードの間位の角地ににあった豚骨ラーメン屋さん(店名不明)、その後は歌舞伎町博多天神等都内で少々。本場ではまだ食したことはございません。豚骨ラーメンに詳しいとはいえませんので悪しからず。
※具材の追加オプションはそれらのボリュームアップですね。

◯皿うどん
白色よりグレイッシュなカラーのとろみは強め。理想のお焦げがチラ見えする太麺の頼もしさ。キャベツと白菜ミックスは正義！

甘さ 強め
香り 油、豚骨強め
鹹味 マイルド
スープの旨味 強い(化調)
とろみ 強め
麺(太麺注文)
具
海老、木耳、豚肉、ハム、紅白練り物、もやし、人参、玉葱
葉物
キャベツ、白菜
ボリューム 並

◯ちゃんぽん
低めの器に無個性な量と質と見間違う。
適量な野菜炒め、熱々のスープに浸る中太麺、それらはぐんぐん吸い嵩を増していく。お腹がいっぱいになる盛り付けだ。ゆるい天地返しで開始したのが甘かった。急げ、どんどん食べるんだ、といった気持ちで食べ進む。多分、野菜にかけられたとおもわれる化調がスープに溶け後半戦はそうなります。
濃口なのは当然かも。野菜もしっかりとれるのはちゃんぽんの美点ですね。スープをメインで食べるならラーメンと野菜炒め別注文がありかもしれない。

甘さ やや強め
香り 豚骨強め
鹹味 マイルド
スープの旨味 強い
麺 本場
具
海老、木耳、豚肉、紅白練り物、人参、もやし
葉物
キャベツ
ボリューム 並～中大

【開店即満席と回転の速さと】
入店は開店5分後到着ながら一巡目満員待ちでした。平日昼開店入場満席とは人気の高さが窺えます。
駐車場はそれに気付かないほど余裕があり、一人一台でも受けきれるのではないかという広さに驚かされます。

訪問は新日鉄二世代目の方に当方が九州でちゃんぽん&皿うどん巡りをしていた話をしたことがきっかけです。「好みがかなりわかれると思いますが一度は食べてみてもよいと思いますよ、昔から続いている店ですし。この辺りの男子で行ったことないやつはいないんじゃないかなあ。」

ドアを開けると強烈な豚骨の香り。これは匂いとも臭いともなる拳骨豚骨白濁スープが着丼前から想像できます。(この時点で合わない人は帰った方が無理がない。不思議な粉ではないからこその天然の豚骨の証、しかし合わない人は合わないのだから。)
開けっ放しの九州豚骨ラーメンの経験がほぼ占めていた自分にとってもかなりのインパクトです。

待ち時間にオーダーを受けてもらえます。これは安心できますね。
今のご時世スタッフさんを呼ぶことすら相互のストレスとプレッシャーとなりかねません。その会話に巻き込まれる周囲の客も同じ。
シンプルなメニュー展開の店では換気環境の一番盛んなドア前で済ませられるのは実に合理的です。

席についてあれやこれやと悩む愉しさ、それは平和の時まで我慢しても得はあれど損なんかひとつもないはず。この疫病は食べる楽しみを高確率で奪いかねない後遺症のリスクがある。これを避けるべく努力するのは食べることを楽しみ記すことを楽しむを知る我々こそが率先して実行できることではないかとおもう。

さて、一巡目は逃したものの食べるだけで談笑をしっかり避ける層は厚く２巡目の我々も20分も待たずに着席。これまたありがたい。君津辺りの店と客の意識は高いと感じることが多いです。最初の着丼も開店直後の待ち時間から30分。
九州ラーメンは提供は早く、手間のかかるちゃんぽんや皿うどんは多少遅れるようですね。当然です。

【濃い味は郷恋味か】
君津、木更津では九州出身の方、また親御さんがご出身という方にお会いすることは珍しくない。それは新日鉄が大きく影響していることは間違いないだろう。
引退者の方に話を聞いたことがあるが溶けた鉄を扱うのは想像を絶する温度であり常に危険と隣り合わせ。ひっきりなしに吹き出す汗、体温調整は狂う。かつて教科書でみた製鐵所の鉄が溶け出した頁の写真をふと思いだしたが、その一頁が燃え上がるような錯覚に陥た。
24時間止めることのない炉の鉄は日本を永きに支え、これからもその火が絶えることはないだろう。遠く九州から離れたこの地で勤めあげた彼らへの思いは尊敬しかない。

自分が生まれ育った場所では特定の企業が占める地域とは縁がなく、社宅や官舎のあった住所付近の学校では親の勤めが同じ子もいたようだったが、コミュニティに影響はそれほどなかった気がする。地域の人間と任意に選んだ学校、職場が同じになることはまず無く、子供から大人になるまで継続することは想像が追い付かない。そして、その土地から離れて生きることも。望郷とはいかばかりか。

ここ友理は九州から千葉という遠く離れた故郷の味を長きに渡り提供している。カウンターには昨年(2020年)には50周年と大きく張り紙があった。
同時に支払い方法の幅広さ(電子マネー各社)や数量限定の持ち帰りラーメンなど洩れなく時代と足並みを揃えている。
満席の店内と待ち客を見て感じたのは進化と継続を同時にこなし続けた柔軟さなのかもしれないとも思えた。