中華そば＋づけ玉子＋季節のご飯@味処 むさし野 : 味処 むさし野

JR常磐線松戸駅から新京成線に乗り1駅目の上本郷駅で下車して徒歩12分ほど。

駅南口の商店街を抜けてかなりアップダウンのある住宅街の中を抜けて広い通りに出る。車のディーラーとかロードサイドの飲食店があるのだが、ほぼ閉店している時間帯だったので、車のヘッドライト以外はほぼ暗闇。そんな道を数分歩くと目的地。

特に看板などが出ている訳ではなく、暖簾に「むさし野」と書いてあるだけなので、特に夜は注意しないと通り過ぎる可能性が大。店の前の車道に「平打ち手揉み中華そば」という木製のA型看板が立っているが、辺りが暗くて自動車のライトが当たりでもしない限り気が付かない。

21:30頃訪問。先客は4名だが、私と入れ替わりで2名退店。そして私がオーダーを入れるぐらいのタイミングで残り2名も帰ってしまい、貸し切り状態になってしまった。

店員さんに勧められ、カウンターの一番奥の席に座る。メニューは壁に貼ってあるもの＋限定の生姜中華そばというのがあるらしい。

来るまでの道中寒かったので生姜中華そばにも惹かれたが、一番ノーマルな中華そばとづけ玉子、季節のご飯をオーダーする。季節のご飯の内容を聞くと、煮大根、さつま揚げ、ヤリイカのたたき、甘海老とのこと。店員さんが、「ご飯の量は普通と少なめ、どちらにしましょうか？」と訊くので、少なめでお願いする。

オーダーが入ると、店員さんが大きなボトルに入った水を持ってきてくれる。カウンターには小さめのぐい呑みが用意されていて、これで水を汲んで飲むらしい。喉が渇いている時だとちょっと面倒くさいかもしれない。

店内は少しお洒落な小料理屋のような造り。創作割烹料理とかが出てきそうな雰囲気だ。調理場は奥にあり全く見えない。話し声から判断すると、フロア担当の男性以外に男女1名ずついる模様。

8分程で中華そばとづけ玉子、季節のご飯が提供される。

軽く脂の浮いた薄めの醤油色のスープ。チャーシューは豚バラ肉なんだろか？脂身の少なめのロールタイプのものが1枚。板海苔、ほうれん草、細めのメンマ、ナルト、小口切りの白ねぎ、づけ玉子。

麺を引き上げてみると、中細平打ちの縮れ麺。かなり薄い麺でピロピロという表現がしっくりとくる。今まであまりお目にかかったことのないタイプ。敢えて言うなら、縮れの入った稲庭うどんという感じだろうか。

スープをひと口。恐らく鶏清湯がベースでそれに昆布などの乾物系と香味野菜を加えたように思える。但し、素材のどれかが強く主張することはないけど、出汁感はしっかりと感じられるというバランスの良さに驚く。

返しも控えめで、あくまで出汁感を引き出すために使われているというか。すっと身体の中に滲みるような滋味深いスープだ。

特徴のある麺は加水率高め。コシはあまり感じられないが、口当たりが優しくスープと一緒にスルッと胃の中に落ちていく感じ。胃の具合の悪い時でもペロッと完食できてしまいそう。

チャーシューは豚バラ肉にしては脂身が少ないが食感は豚バラ肉のそれ。脂身をかなりトリミングして使用しているのだろうか？こちらはホロホロと崩れるぐらいに柔らかく下味もしっかりと付いている。

づけ玉子は白身がしっかりと固まっているのに黄身は3分ぐらいの火の入り具合。味もしっかりと染みている。

季節のご飯は、これが300円？と思うぐらい手の込んだものだった。ヤリイカはエンペラのある側だけ火を入れた焼霜作り。大根はしっかりと芯まで昆布と豚の出汁がしみ込んでいる。甘海老も頭がついていてとても新鮮なもの。

これらを全て味わってみたが、ラーメン店の仕事とはちょっと思えないレベルの美味しさだった。やっぱり割烹か何かの経験が豊富な方が店主なのだろうか？

こちらは仕入れの状況で内容が変わるようなので、毎回こういう感じではないのかも知れないけど、こちらの店に来た時は、季節のご飯を注文しない手はないと思う。そのぐらい気に入った。

中華そばも優しさが際立っていて良かったのだが、どちらかというと季節のご飯の印象のほうが強くなってしまうという本末転倒な状態に陥ってしまった。わざわざ松戸までラーメンを食べに来たのに…。まあ、美味しいものが食べられたのだから、それはそれで構わないのだが。

帰りは、店の前の道を西に向かって少し歩き、松戸市消防局の交差点を右折するとすぐの所に富士見台というバス停があり、そこから松戸駅東口行きのバスに乗った。10分掛からずに松戸駅まで着いたので、上本郷駅から歩くよりバスに乗ったほうが速かったのかも。