バランスによく配慮されたコース料理でした。 : むさし

この日から豊橋への泊付き出張でした。
翌日の朝が早いため夕方の新幹線で豊橋入りしたものでいわゆる前泊というやつです。

豊橋は2度の名古屋勤務時代にいずれも仕事上のご縁のあった土地で、何度も出張で訪れています。
色んな思い出があるのですが、何故か一番頭に残っているのが、最初の勤務時に駅前の喫茶店（名前は失念）で食べた”わらじとんかつ”のこと。とにかく薄いけど広い＝どでかい”わらじ”を堪能して虜になり、豊橋に行くたびにその店に立ち寄ることが楽しみになっていました。
食べることに関しては、もう一つ、これは二度目の勤務時における出会いですが、豊橋魚市場近くにあったうどん店（玉川うどん）のことです。同店は残念ながら閉店してしまったようですが（玉川うどん自体は健在です。）、ここも何度も通いました。

今回は前泊だったので、豊橋に着いたのが19時を回っていました。
数名の同行者がいたので、19時半からこちらのお店で宴席を持つことにしました。

むさしは、名古屋市内に4店舗を展開（栄店、名古屋駅前店、大曽根店、オアシス北店）している焼き鳥チェーンで、当店は、三河地方では唯一の店舗のようです。
それでも店舗情報では2008年8月のオープンとなっていますので、ちょうど丸11年を迎えたところの由。
しっかり地域に定着したお店と見てよさそうです。

当店は、豊橋駅の東口側ペデストリアンデッキを下りて、豊鉄ターミナルホテルの脇の道を歩くこと150mほどの左手にあります。

店名の看板には、「神戸育ちの串焼屋」との修飾語が付されています。
前記の通り、本店は名古屋なのですが、ひょっとしたら神戸から出てきた方が始められたチェーンなのかもしれませんね。

店頭にはテラス席が設えられており、そこで飲んでいる客もいました。
店内はまずまずの混み具合。
ただ、週始めとは言え、この時間がピーク時間帯であったことを考えるとやや寂しい感じもしました。

今回は10名での宴席ということもあり、5,000円の飲み放題付きコースで予約していました。
入ってすぐ右手側に5人席×2で席がセットされていました。エキストラみたいな椅子もあって、あまりゆったりした感じの席ではありません。
生ビールで乾杯して宴席の始まりです。

料理はむさしサラダから始まりました。
これはキャベツと塩昆布をシーザードレッシングと言うよりはマヨネーズ風のドレッシングで和えたもの。
かなり濃厚な味のサラダですが、最初の一品はこれくらいの方がいいかもしれません。

当店、店員さんの愛想は基本的に良くないと思います。
厨房で主として焼鳥を焼いている店長さんらしき方が笑顔を振りまくタイプとは対極な感じで、それが店員全体に伝播している様子です。
料理の提供にしても、最初のうちは料理の説明も無く、ドンと料理を置いていくだけでした。
私が、その都度料理の名前を聞くものですから、徐々にそれは改まりましたが、あまりいい感じを受けたなかったのも事実です。

続く料理はアスパラ一本揚げ。ぶっといグリーンアスパラの半分くらいに衣を付けて、半分は何も付けずに揚げてある料理です。
見た目のインパクトはとても強い。
アスパラは、太い方が繊維質の割合が少なく柔らかいと言う通りで、この太さでもとても食べやすいです。
他のコースでもほとんどこれが付くくらいの当店の看板料理のようですが、なかなか美味しかったです。

次から焼鳥と串揚げが出されますが、提供スピードはなかなかスピーディー。
思ったよりもお店がコンパクトだったことはありますが、このテンポの良さは良かったです。

最初がとり皮のタレ焼き。
特に塩・タレの指定はせずにお任せにしましたが、恐らく指定も出来るのだと思います。
さすが焼鳥のお店だけあって、串打ちのしっかりした美味しいとり皮でした。

続く砂ずりもやはり焼鳥の王道の一つ。
塩焼きで、コリコリサクッの食感はたまりません。

さらにせせり(塩焼き)、大玉つくね(タレ焼き)と続きますが、美味しいです。
つくねは、せっかくならもう少しナンコツが多く入っていても良かったように思いましたが。

次に出たのは串揚げ。
当店の提供順は、塩・タレのバランスに串揚げも挟まり、飽きさせないような工夫が感じられます。
串揚げはかなり肉厚の椎茸でしたが、これがとても美味しい。
結局唯一の串揚げになりましたが、全体のバランスを考えてしいたけを持ってきたようですね。

豚バラ(塩焼き)と厚揚げ串が出されたあたりで、かなりお腹には満足感が出ます。
豚バラは美味しかったのですが、私はやはり博多流で玉ネギが挟まった方が好きですね。

串焼きは、牛さがりと長いもが出されて〆となりましたが、この牛さがりは絶品でした。
とろけるように柔らかくて旨味たっぷり。
ニンニクをつけて食べると、ほんとたまりません。
焼鳥屋さんとしては亜流のメニューかもしれませんが、これは看板商品になりうるくらいのレベルですね。
長いもはサッパリしつつと食べ応えがあって、しっかり大トリの役割を果たしています。

ご飯ものはとり雑炊でした。
鉄鍋でグツグツ煮立った状態での提供で取り分けていただきますが、鶏の旨味が出汁に乗り移っており、とても美味しい。
この雑炊だけでも食べる価値があるくらいに思え、さすが鶏を扱うお店という感じがしました。

ゆずシャーベットでサッパリと〆てコースは終了となりました。
料理の提供はとてもテンポが良かったのですが、話が盛り上がり、2時間ほど経過して22時近くになっていました。
私としては、かなり遅い時間まで飲んだ印象です。

前述の通り、もう少し接客が良ければと思いましたが、料理には十分満足で、超久しぶりになった豊橋の夜を心地よく過ごすことが出来ました。
豊橋で10年以上続くお店ですので、ある程度の期待は持っていましたが、ほぼそれに応えてくれるお店でした。