うどんも天ぷらも極上の味わい！ : 讃州手打ちうどん 我龍

名古屋周辺のうどん百名店巡りも2日目に入りました。
初日はほぼ予定通りに4店を回ることが出来、その中にはハードルの高い多治見の「信濃屋」も含まれており、満足度は高かったのですが、それも束の間、この日はうどんEAST百名店全体を通じても恐らく5本の指に入るだろうと思われるアクセス困難店の当店が予定されており、そこは気を引き締めて対応します。

もっとも、気を引き締めてと言っても、たまに見舞われる臨時休業みたいなものに引っかからないように事前に営業確認をしっかりとするくらいしか出来ないのですが、当店についても、行く1週間前に電話で営業予定を確認してみました。
しかしながら、その時は「そうねえ。その日はやる予定だけど、急な用事が入ることもあるからねえ。えっ？東京から？それはご苦労様です。出来れば来られる日の朝に電話してもらえるかな？」という何ともつれない返事。
その日の朝は既に名古屋に入っている予定だったので、運を天に任せて見切りで出掛けることにしました。

当店は不定営業のほか、アクセスもとても不便です。
最寄り駅は、JR東海道線の相見駅なのですが、この駅は、幸田駅〜岡崎駅間に2012年(平成24年)に出来た新しい無人駅でタクシーなどは一切ありません。
そこから徒歩だと約1時間掛かると言われ、まあ乗り掛かった船だしチャレンジするかなと。

当店は、以前は「我流」という店名で営業していたらしいですが、経営者が変わると同時に店名も今の「我龍」に変えた経緯があるようです。
新オーナーの服部光人さんは、このあたりではなかなかのやり手として知られている方らしく、「服部商店」という屋号で他に事業を営み、稲作などにもチャレンジされているみたいですね。

当店の営業時間は11時からですので、相見駅からの徒歩を1時間と見て、名古屋を9時過ぎの電車に乗り込みました。
この日の天気予報は芳しくなかったのですが、名古屋を出るあたりからポツリポツリと雨が降り出し、相見駅に着いた時には本格的な雨模様になっていました。
雨の中1時間歩くのも憂鬱ですが、もはや引き返せません。
それほど分かりづらい経路ではないのですが、ほとんど歩く人と出会わないというのもやや不安になりますね。
こちらの地方の人は車無しでは生活が成り立たないことが良く分かり、巷間言われている高齢ドライバーの免許返上も死活問題なのかもしれませんね。

40分ほど歩いて幸田町から西尾市に入ると、そこはデンソーの大型製作所があります。
その施設群を抜けたあたり、セブンイレブンを超えた左手にようやく当店が見つかりました。
到着したのは10時45分頃でしたが、既に店頭には3名の待ち客が並んでおり、営業しているのが間違いなさそうだったのでホッと一息です。
ここまで来て営業していないでは、さすがに立ち直れないですからね♪

先客の後ろについて待ち椅子に座って待ちますが、メニューが置かれており、あらかじめ注文を考えておくようにとの貼り紙があります。
メニューは、かけうどん→醤油うどん→ぶっかけうどん→ざるうどんの順に並んでいますが、それぞれのメニューにあるトッピングメニューはほぼ共通です。

これらの他に、ちょっと一捻りあるメニュー(新メニュー？)として特製まぜうどんというのもあり、天ぷらの単品トッピングやごはんものとのセットメニューなどもあります。

11時10分前くらいに、注文を聞かれました。
この日は、当店の後、豊橋に出て百名店の連食をする予定にしていましたので、ここは軽くと考え、単品メニューからごぼう天醤油うどんを注文しました。

11時ちょうどに店内に誘導されます。
店内はカウンター席のみですが、L字型カウンターの奥の折れたところは座敷になっており、それが5席あります。手前側のL字の長辺は12席ですので、計17席のキャパ。
店舗情報では22席となっていますが、コロナ対策で大分間引かれているようですね。
私は、長辺の1番奥の席に居を得ました。

あらかじめ注文を伝えていたこともあってか提供は素早く、席に座って2分ほどで注文のごぼう天醤油うどんが提供されました。

丼の表面をごぼう天が覆っており、なかなか見栄えのするビジュアルです。
うどんは、やはり愛知県産小麦のきぬあかりを使用しているらしく、店頭には地元中堅製粉メーカーである株式会社金トビ志賀のロゴが確認出来ました。
太めのエッジの立ったうどんで、艶やかというほどではありませんが、滑らかな食感でしっかりしたコシがあり、さらに小麦らしい香りも存分に生かされています。
なかなか秀逸なうどんですね。

ごぼう天は揚げたての提供ですが、驚くほど甘いごぼうです。これは美味いですね。
帯広にいた時に地元の農家さんにごぼうジュースなるものをご馳走になったことがあり、糖度の高いごぼうもあることを知ったのですが、こちらのごぼうもジュースにしてもいいくらいの甘さでとても美味しかったです。
単なる天ぷらというだけでなく、素材へのこだわりがあることがよく分かるごぼう天でした。

前日に訪れた前記「信濃屋」や「手打うどん かとう」でも感じたのですが、これらのお店は従業員にとても活気があって、それがホスピタリティとしても伝わってくる良さがありました。
その点は当店も全く一緒で、若い女性従業員がとても生き生きと働いています。
やはり商売を上手く運ぶコツは人をうまく使うということと原点は一緒なのかもしれませんね。

とにもかくにも、かなりのハードルの高かった当店をクリア出来た喜びは大きく、かつとても素晴らしいお店だったのに感動したこともあり、帰路はつい気持ちが大きくなって店までタクシーを呼んで、岡崎駅まで移動することにしました。（約2,800円かかりましたｗ）