犬山城下町で菜めし田楽 : 松野屋

田楽焼く炭火を連想させる美しい朝焼け、清々しい1日のスタートでしたが、昼前には雲が空を覆い時々小雨ぱらつくお天気。
　昼前に犬山城の石垣観察と犬山城下を散策した後、県立犬山高校隣りの松野屋さんで菜めし田楽を頂きました。
○でんがく定食（菜飯中）1300円
・でんがく（八丁味噌木綿豆腐田楽）8本
・菜めし（中）
・吸物
○でんがく（八丁味噌木綿豆腐田楽）8本690円
○いもでんがく（八丁味噌里芋•衣被）8本690円
　当店の田楽は何はさておき「味噌タレ」と炭焼き備長炭の香りでしょう。
　愛知県の味、尾張の味、関東や関西はじめ県外の方々には馴染まなくても愛知県で尾張で育った私には八丁味噌とザラメベースの味噌タレが堪りません。
　加齢とともに食べられる量は減る一方、菜めし(中)は約1合のボリュームあり家人と2人でシェアして丁度の分量。
　本鰹枯れ節が強く香る吸い物は微量の淡口醤油仕立てで塩味薄めですが、真昆布との相乗効果でうま味がしっかり感じられました。

水無月第一日曜日、開店時刻10分前に到着しましたが、すでに先客様7組16名の行列、相変わらずの繁盛ぶりです。
　午前11時丁度、暖簾が揚がると同時に整理券が配布され、8番札を頂きました。
　玄関入った所で店員さんによる検温ありますが、直ぐ前7組さんで椅子席満席となり、奥の座敷に案内されました。
「菜飯は田楽の時より外に食うもんじゃない」（坊ちゃん・夏目漱石）とは、坊ちゃんが生徒たちに投げ返したジョークでしたが、冗談ではなく菜飯、味噌ダレ、豆腐との相性は抜群ぞなもし♪
　黒っぽい八丁味噌は色濃くても塩味は控えめ、ザラメでしょうか？甘辛く香ばしい味噌ダレが尾張の味。
　しっかり水切りされた木綿豆腐に絡んだ味噌ダレが炭火で炙られ、香ばしい風味に2本串が進みます。
　いもでんがくの里芋は衣被に使われる程度の小ぶり故、外だけプリッと歯応えあっても柔らかく蕩ける食感が美味。
　肉でんがくの豚ネギマは、後浸けたっぷり味噌ダレ纏い白飯でも合いそうです。
　吸い物の節出汁は香り風味から本鰹枯れ節のみの使用に感じますが、昆布は香り重視の京風利尻昆布では無く、風味うま味優先の真昆布使用に感じました。
　豆腐田楽商品化のルーツは意外や滋賀県、旧東海道江戸から51番宿の石部宿、西の起点京都三条大橋から江戸に向かっては、大津・草津に次いで3番目、現在の滋賀県湖南市の石部宿が発祥とのこと、40年以上当店に通いながらそのこと今回初めて知りました。
　東京はじめとする関東地方のおでん、関東煮（かんとうに・かんとうだき）も滋賀県石部宿、豆腐田楽からの派生だそうです。
　夏目漱石「坊ちゃん」の一節も然り、田楽の発祥と地方への普及は、卓上のご店主口上書きにて学べます。
○でんがく定食（菜飯小）1050円
・でんがく（木綿豆腐）8本
・菜めし（小）
・吸物
○でんがく（木綿豆腐）8本660円
○いもでんがく（里芋）8本660円
○肉でんがく（味噌後浸け豚肉ネギマ）3本660円

５月１０日、母の日に訪問（母と２人）

　マイレビのSさんのレビューから、本当のところ多治見で「焼きそば」を食べたかった。
しかし、８０歳超の主役が「松野屋」の田楽が食べたいとのことで、焼きそばは次週以降
となった。

　ここ犬山「松野屋」さんは、小生が物心つくころから、祖母や両親に連れてきてもらった
田楽屋さん、桜の頃は、奥座敷から県立犬山高校を借景した花見ができた。（現在どうかは不明）

１　「松野屋」田楽の特徴
　①　味噌だれ
　　・　八丁味噌ベースの調合味噌で、粘度高め、味の濃度も高いため薄めに塗られている。
　　・　他のどの店も真似できない味付け、ここの田楽を食べた人しかわからないが･･･
　（小生何十回と自宅で挑戦しているが、他店の味に近づけても、ここの味には遠く及ばない）
　
　②　豆腐の仕込み
　　・　豆腐田楽の木綿豆腐は細目に切られている。水切り良くし、焼き崩れさせないためか？
　　・　それこそ、女性やご年配者でも一口で食べられてしまうサイズ

　③　焼き
　　・　炭火焼、焦がさず、中までしっかり火を通す技術は凄い。
　　・　混雑状況にもよるが、テーブルに運ばれるまで空いていても注文から１５分くらいは
　　　かかる。炭火の焼き台で丁寧に串が返されている様子が想像から窺える。

２　今回注文品（税込価格）
　①　田楽定食　　　　　１１５０円
　　　　・豆腐田楽（８串）　・菜飯中（丼）　・吸い物（湯葉、三つ葉）　・たくあん（２切れ）
　②　豆腐田楽（８串）　　６２０円
　③　いも田楽（８串）　　６２０円　　＜蒸かした里芋カットの串刺し＞
　④　たにし田楽（３串）　６２０円　　＜１串に７～８個分のかなり大きなたにし＞
　⑤　肉田楽（３串）　　　６２０円　　＜１串に豚肉３切れと筏ネギ3本のねぎま＞

３　感想
　①　菜飯
　　・　ご飯が柔らかくべたつき感があるが、これが伝統の「菜飯」と言われればそうなのか？
　②　豆腐田楽
　　・　いくつ食べても飽き・くどさ感じず、定食でなければ、普通の人で３人前は胃におさまる。
　　・　とは言っても、豆腐は焼きたて熱々が一番、追加はその都度の方が良い･･･時間あれば･･･
　③　いも田楽　
　　・　焼きたてはトロトロ
　　・　冷めるとモチモチ、温冷どちらも旨い。
　④　たにし田楽
　　・　特有の臭み全くなし、焼きたてもかなり歯ごたえ有り、冷めると相当堅い、熱いうちに･･･
　　・　昔はもっと身が小さく、たにし特有の土（水田）臭さがあったが、今は完全養殖を使用か？
　⑤　肉田楽
　　・　ここのねぎまの肉は、肉苦手な人でもいける。脂少なく大変柔らかくかつ味噌味でさっぱり。
　　・　肉の柔らかさとネギの歯ごたえがアンバランス、この肉生かすには、ねぎ抜きの方が良い。

４　駐車場情報
　・　さすが人気店で、店舗前人の行列より、駐車場待ち車の行列が有名な店であったが、近年、
　　　駐車場がどんどん増設されている。
　①　店舗前（北道路沿い）３台程度
　②　店舗むかい（北道路はさんで）１２台
　③　店舗西交差点（信号あり）左折直後右手（南西角）　約１５台
　④　店舗西交差点（信号あり）南２０m左手土手上　約１０台
　★　平日・休日関係なく店舗前は交通量多いため、お子様連れやご年配者お連れの方は
　　②の道路向かいを避け、広々とした③の駐車場をお勧めします。

５　その他
　★　ここ「松野屋」は観光客を主に目当てとする「店」ではない。
　　犬山市は夏場の鵜飼や犬山城、「犬山白帝の湯」を有するホテル・旅館も何軒があり、特に
　　シーズンや休日には、他府県・市町村からの観光客は多い。しかし、それ以上にリピーターが
　　圧倒的に多い店である。
　
　★　観光客が多数訪れそうなシーズン・休日に訪れても、お客さんの半数はご年配者でかつ、
　　名古屋弁・尾張弁が飛び交っている。論より証拠、疑いあれば行ってみることが第一だと思う。

　★　コスパ。田楽１人前６２０円が高いか安いか。立ち食い小麦主体の茹で蕎麦２５０円と
　　専門店の十割蕎麦８００円を価格のみで一緒にする人はいないでしょう。
　　コスパは相当高い店だと思う。