鰻屋のマルチな特選ランチ　櫃まぶしではありませんが・・・　 : ひつまぶし 備長 本店

　2日間続いた高熱・激痛もほぼ治まった平日昼時、3日連続の通院もこれで一段落したところで食欲も復活、「とんかつ」を食べようと病院直ぐ近くの「ひつまぶし備長本店」を訪問しました。

　開店時刻直後に到着も既に先客様が10数組ご来店と相変わらず人気の程が窺えますが、3年ぶりの訪問となります。

　2日間まともな食事をしていなかったのでちょっとだけ贅沢して「ヒレかつランチ」1200円（税別）+「キモ焼き」（780円）を注文しようと思ってましたが、「贅沢昼膳」のメニューを見て心変わりし、ヒレカツと鰻長焼き両方楽しめる「特選ランチ」を注文しました。

○　特選ランチ　　2180円（税別）
　　鰻長焼き（3切れ）、ヒレカツ4切れ、ご飯、赤出汁、小鉢、漬物

　鰻は5Ｐサイズ半匹分くらいでしょうか？価格からして想像以上にボリュームあります。タレは備長らしくザラメが効いたかなり甘め、焼きは脂をしっかり落としたいつもながらの柔らかい身で、良い意味生臭み無く万人受けするさっぱりした仕上がり、逆に鰻らしい香りと身の弾力が弱いところは否めません。

　この鰻に臭い消しの山椒は不要かと、今まで備長では使用したことが無かった山椒を初めて振りかけてみました。深緑色の粉山椒ですが香りは弱め、この鰻にあった山椒使いです。山椒の香りが好きな方は大量に振りかける必要がありそうです。

　ヒレカツのソースは2種類、ウスター系トンカツソースと八丁味噌ベースの味噌だれ、共に粘度は高くてもトンカツの味を損なわない香り重視の薄味仕立てでなかなかよく出来たソースとタレ、自家製かと思われます。

　ヒレカツに添えられたキャベツは包丁切りでしょうか、やや粗目に切られています。トンカツのタレと一緒に届けられたドレッシングは玉葱と醤油ベースの和風ドレッシング、塩味が強く感じたのでキャベツにドレッシングを振りかけて全体に馴染ませて数分寝かせたら、塩味も気にならなくなりキャベツもしっとりして美味しく頂けました。最初にしとけば良かったかな(笑)

　ひつまぶしで有名な備長、そのままで・薬味で・お茶漬けでとマルチな食べ方有名ですが、それだけではありません。鰻長焼き・ヒレカツソース味・ヒレカツ味噌味・鰻丼・ソースカツ丼・味噌カツ丼・・・組み合わせ自由自在、一品注文でマルチなランチが楽しめる「特選ランチ」は価格以上の価値感じるメニューでした。
　
　

　ここ備長本店の創業者は小生とほぼ同年代、また、小生が鰻好きになった原店
名古屋山口町の西本で10年間修行された後、22年程前小生自宅から２㎞の
近距離、ここ大口町で創業された。何か不思議に感じるものがある･･･

　その後、名古屋市､東京銀座､大阪､博多､スカイツリー等々各地に支店を出店し
今後も日本全国展開どころか海外進出も視野にいれているというから驚きだ。

今回注文品
〇　上ひつまぶし（108円追加で肝吸いへ変更）　計4050円（税込）
　　・　本日使用鰻は、三河一色産の１年もの

※　ここからは、あくまで小生の感想のため悪しからず

　☆　本店開業当初から、しゃり（米）は最高に旨かった。当然今でも最高レベル

　★　開業から間もなくは、現在のような行列・混雑は無く、むしろ大丈夫かな？
　　という時期があったが、月１回の給料日には家族で訪問した。
　　　この頃の鰻は、焼きもたれも「西本」に似ていて大変旨かった。

　★　ラシックへ２号店を出店される前くらいから、「おやっ」味がかわったと
　　感じるようになり、小生は徐々に足が遠のいたが、それと同時に客足が伸びだ
　　し、行列を見かけるようになった。なんとも皮肉なことであるが・・・　
　　①　鰻本来の味（香り）がしない。良く言えば多少の鰻臭さも残っていない。
　　②　焼きは良くても身の表面がぱさぱさしている。中はトロッとしているが･･･
　　③　たれが甘く（糖類）なり、溜り・醤油の切れが無くなった。万人向けか？

　☆　決して不味くは無い、しゃりは今でも最高に旨いし、鰻の味も万人受けする。
　　しかし、鰻が大好きな小生には、お上品すぎてあまり旨く感じないのである。

　★　生臭いのはいただけないが、天然しかり、養殖には養殖鰻独特の香りと味が
　　あり、それがほんのり残っているからこそ「鰻」なんだと小生は思う。
　　それにしても１匹使いとはいえ、この鰻で上ひつまぶしが4000円は高い。

　★　お勧めは上鰻丼　2646円　西本中詰め丼　2500円と値段はほぼ変わらない。
　　お店にとっては一番儲けが少ないと思われるが、師匠西本の精神は忘れていない。

　☆　ここ以外で、平日開店前に３０人以上の行列ができる鰻店は？しげ吉くらいか？
　　　　（しげ吉は、ひつまぶしがないが･･･）
　　いや、こちらの方が上だろう。それだけ備長の鰻を美味しいと思う人が多い証拠
　　だと思う。その点については何も異論はないし、大したお店だと素直に評価したい。

　★　総じて、備長はもはや「鰻屋」ではなく、「会社」へと変身した。
　　接客・サービスもAクラスであるが・・・　
　　味（そこそこ旨いが）、値段に加えこの行列があっては鰻マニアの足は遠のく。