品出しの早いのは良いですが、でも・・・・！ : あつた蓬莱軒 本店

　折角 名古屋まで来たのでちょっと観光らしいこともしてみようと、熱田神宮にやってきました。
初めてでしたが思ったより広くて驚きました。
本堂でお参りをして、宝物殿や刀剣の展示を見て回りましたが、三種の神器のひとつの草薙の剣がこちらにあるんですねぇ。
全然知りませんでした。
　参道を歩いて南口までやってくると、お目当ての鰻屋は目と鼻の先です。
やはり、何もなしに神社仏閣巡りなんてするほど信心深い老夫婦ではありません！
11時10分くらいでしたが、開店は11時30分で、それでも受け付けはしてくれたので 散歩がてら もう20分ほど辺りを散策します。
　11時30分丁度に戻ってくるとすぐに入店でき、1階のテーブル席に案内されます。
ちょっと大き目の民家を改装したような造りで、いくつも部屋を繋いだようになっていて全容が見て取れません。
テーブルはちょっと大きめで、ゆったりできます。

　早速、メニューを物色しプレミアムモルツ中瓶を1本頼み乾杯です。
　ホタルイカの沖漬け、生麩田楽、それに ひつまぶし を２つお願いしました。
　ホタルイカの沖漬けは、小さなガラスのお猪口煮たいな器に入れられています。
身が確りしていて新鮮で、醤油出汁の塩梅が絶妙で実に美味いですねぇ。
これは日本酒ですね、速攻で熱燗をお願いします。
　生麩田楽は生麩を串に刺して炙ってから味噌ダレを塗ったものが3本一皿です。
この生麩がヨモギの香りが良く、モッチリとした食感と甘味噌の塩梅が良く、凄く美味いです。
もうこの辺りからかなりハイピッチで熱燗のお銚子をお替りしていきます。
すると店員さんが、こそっと「お客さん方は沢山お飲みになるようなので、今日はメニューに載せてないお料理が幾つかお出しできますが、日本酒に良く合うので如何ですか！」と口頭で4品ほど進めてくださいましたが、丁度 ひつまぶし が出されてしまい、料理を頼むタイミングを逃しましたね。
それでも若竹バター焼きだけは頼んでみました。
　ひつまぶしは小さなお櫃みたいなのの蓋を開けると、カリカリに焼いた直焼きの鰻をざく切りにしてご飯が見えない様に敷き詰めてあって、ご飯にはタレをタップリ掛けてあります。
それに青葱、山葵、海苔が薬味と、徳利に御出汁が入れられて付いてきます。
別にお吸い物と漬物が付いて、これで一通りです。
　このひつまぶしはタレの焦げた香ばしい香りが立ち昇っています。
見た目はかなり濃い目でかなり塩っぱそうに見えますが、色目ほど味は濃い訳でなくタレの焦げた苦みと甘み、それに鰻の脂の美味さが堪りませんねぇ。
ただ直焼きの ひつまぶし 特有の焼いた皮目のパリパリ感や香ばしさがあまり感じられず、もっとパリパリ感が欲しいですねぇ。
蓋の所為で熱いご飯の水分で蒸れたのかなぁ、ひつまぶしに蓋は要りませんね！
　お櫃からしゃもじですくってお茶碗に盛って頂きますが、鰻の脂分やタレ味のしつこさが青葱の薬味を掛けると綺麗に中和される様で美味いですねぇ。
山葵も良いですねぇ、鰻の脂分で辛みは殆ど感じませんが、さっぱり感は更に付加されます。
ご飯にも結構良い感じにタレ味が浸みていて、これ自体 熱燗の良いツマミになると思うのは自分だけですかねぇ。
　若竹バター焼きは、筍の柔らかい先の方を縦に薄切りにして醗酵バターで炒め焼きにしたもので、筍の風味とこのバターの風味が相まって、若竹の食感も良くて凄い美味いです。
願わくば 味の濃い ひつまぶしの 前に出して欲しかったですねぇ！
　ひつまぶしの最後は〆の出汁茶漬けです。
ただ、これだけゆっくり酒飲みながらですから、最初に一緒に出された出汁はもう冷めてしまっています。
仕方ないので店員さんに頼んで熱い出汁を出し直してもらいましたが、そもそも出汁は使う際に出す様にして熱々を提供するようにした方が良いですね。
まあ店員さんには多少手間になるかも知れませんが、熱いものは熱く出すのが料理の基本ですからね。

　この店は大変な人気店で、お客さんを待たせないように、常に ひつまぶしをどんどん作っているようで、鰻屋の割には提供までの時間が凄く速いです。
熱田神宮で戦勝祈願をした信長の軍勢が、大群で押し寄せる今川義元の本陣を急襲したような速さって訳ではないのでしょうが、まあ品出しが速いのは良いことでもあるのですが、今回は鰻だから品出しまでに多少の時間は掛かるだろうと最初に頼んでしまったため、思っていたより速く出てきてしまい、本来ならばもっとゆっくり酒飲む時間が有るのが鰻なんですが、おちおち飲んでもいられない感じになっちゃいましたね！
まあそれでもお銚子6本は頂いたので良かったですが、ホントはもっとゆっくりやりたかったですねぇ。
次回もし来ることがあれば、ひつまぶしは後から注文するようにしましょう。
ゆっくり飲みたい人は、要注意です！
　あっ、ひょっとして鰻の皮目のパリパリ感が無かったのは、注文を待たずにどんどん作って ほんの僅かな時間でも蓋して置いておかれたからですかね。
いくら早く出すためでもそれは駄目です。
鰻を焼くまでは良いですが、お櫃に鰻を入れるのは、お客さんに出す直前でないと香ばしさ半減です。
大変なのは分かりますが、ここは ひつまぶしの生命線、存在意義にかかわる部分だと私は思うので再考を望みたいですねぇ！
　それでも価格は２人で14,000円ちょいでしたが、それなりに美味かったしボリュームも有って、鰻以外の料理も美味かったし、しかもこれだけ飲んでですから 寧ろ安く感じました。
機会があれば、また来たいですねぇ！

　さて、この後は地下鉄で栄に出て、地下街でお土産に天むすと鯖寿司を購入して帰るとしましょう。
今回は、一泊で名古屋飯食い尽くし弾丸ツアーでしたが、八丁味噌おでんや手羽先揚げ、どて煮、台湾ラーメン、小倉トースト、きし麺、ひつまぶしと、まあかなり満足な内容でしたね。
ただ強いて言えば、あと餡かけスパと味噌豚カツと味噌煮込みうどんと海老ふりゃーと、台湾まぜそばと、寿がきやラーメンくらいは食いたかったですが・・・・あれ、これじゃあ全然満足できてないですねぇ！