名古屋トップクラスのクラシカルフレンチ : l'adour

いつも感じることだが、最近ではイノベーティブフレンチなどという何料理か分からないフレンチが幅を利かせて、本来こうあるべきだと思うクラシカルなフレンチがあまり話題の中心となってこない・・・私からすると何とも嘆かわしい状況なのであるが、そんな逆境の中、そういう安易な方向に走らず芯をしっかりと持ったフレンチを提供してくれるのがこちらのお店である。

こちらのオーナーシェフである松村氏はかつては覚王山の裏手でひっそりとしたお店を開いていたが何年か前にこちらに移転、雰囲気もがらりと変えたのだが料理はその当時と同じような、クラシカルなフレンチを楽しませてくれるのである。

この日は

5種のキノコのクリームスープ

蕪のムース、雲丹、甘海老、いぶりがっこに米粉のシート、　サラミ、チョリソー

生ハムとブッラータチーズのジュレがけ

鳥取産セイコガニ　パプリカムースとともに

スペシャリテ　活オマール海老のロースト

A5飛騨牛フィレ肉のロースト

デザート
アイスクリームと利平栗のスープ

コーヒー

やはりフレンチはこうあるべき、こうあって欲しいという感じの料理ばかりであった。今風の何やらのストーリーなど関係なく、ただただ美味しいものを提供したい、客に楽しんでもらいたい・・そんな思いが伝わってくるような本格的なフレンチであった。

ソースはどこか南ヨーロッパを感じさせてくれるような独特な風味を感じられ、スパイスをとても上手く使っている感じがした。

スペシャリテの活オマールのローストは移転前から大好きな一品で、これを食べないとこちらに来た気がしない・・そんな立ち位置のものであった。

今回は季節柄鳥取産の雌のズワイガニを洋風に料理して提供して下さった。この時期和食店では一般的な素材であるがパプリカのムースがカニの旨味と相まってしっかりとフレンチになっていた。

久しぶりの訪問であったのだが、やはり仕入れ価格が上昇が直撃しているようで以前よりもある程度値上げとなっていた。

それでもこの内容なら納得である。これからもこういう伝統的なフレンチを楽しませて欲しいと思うのだ。

埋もれていたレビューである。
この時はは約半年ぶりの訪問であった。私は以前の店舗の時よりこちらのファンなのだが、行きたいお店が多過ぎてどうもこのペースになってしまうのだ。

さてこの日はディナーでの訪問であった。こちらはワンコースのみであるが、やはりこういうお店ではシェフにすべてをお任せして楽しむのが一番だと思うのだ。九州ご出身のこちらのご夫婦は親しくなればなるほどとても温かくて居心地の良い空間を提供してくれる。美味しさももちろんであるが、この居心地のよさこそ私がレストランに一番求めるものなのである。

まずは生ハム、そしてオクラのスープからである。芳醇な香りのする生ハムはこれから楽しめるであろう料理をとても期待させてくれるのだ。またオクラのスープは野菜の旨味がたっぷりと凝縮されていた。これはお世辞なく最高に美味しかった。これは最初から飛ばし過ぎだなあ～～（笑）

そして見た目にも大興奮の雲丹とアスパラガスの前菜を頂いた後には、和食の「八寸」のようなお皿が出てきた。もちろんこちらはフレンチなのでブータンノワールなど濃い前菜であった。かなり本格的である。ちなみに私はブータンノワールはこういうしっかりした店でしか頂かない。一歩間違うと血生臭くて食べれたものではないからである。

そしてシェフのスペシャリテ　オマール海老のローストがやってきた。活きオマール海老をローストしてそこに甘いハニーベースのソース、そしてどこか異国情緒を感じさせてくれるスパイスがかかったものである。以前の店舗の時より頂いているが、全く味にブレがなくいつも通りの美味しさであった。

そしてこの日のメインはA5飛騨牛フェレのローストであった。これは素材が抜群なので言うまでもないだろう。

最初から最後まで「美味しい」の連続であった。これからも通い続けたいフレンチのお店なのだ。

2カ月ぶりの再訪である。先日行った時にはオープン仕立てで大混雑であったが、そろそろ落ち着いたかな、と思い再訪した。今回は遅い時間だったのか私たちだけであった。カウンターに座り、さっそく料理のスタートである。まずはその場で切ってくれる生ハムからである。とてもおありの高い美味しいものであった。前菜なので量は少なめであるが、できればお代わりしたいぐらいのものである。香りの高さに最初っからクラクラさせられるものであった。
そして次はフレンチ独特の「ブータンノワール」である。こちらは豚の血と聞いて苦手な方も多いと思うが、クリスチャンバッラのスタイルというシェフが特別にフランスで勉強したスタイルのものであった。臭みは全くなく旨味だけが残る。そして食べた後には何とも言えない美味しさを感じるのだ。豚の血も独自のルートで良いものを手に入れることが出来るらしい。確かに自分で作ってみようと思っても、豚の血が手に入らないからね～～

マナガツオの焼いたものを頂いた後はシェフのスペシャリテ、活きオマール海老のローストである。これは今回のメニューではアワビなどの選択肢もあったのだが、やはりラドゥールに来たらこれを食べずには帰れない。独特の甘くそしてハーブの香りのするソースがプリプリのオマール海老にマッチしてとても美味しかった。ハーブの名前も聞いたのだが忘れてしまった・・・

最後は無難に飛騨牛のフィレのローストを頂いた。これも炭火で焼いて頂いてバッチリの焼く具合である。肉本来の旨味がシェフの腕で引き出されている、そんな美味しい肉であった。

ここから普通はデザートなのだが・・・・今回は違っていた。せっかく毎回炭火を起こすので、鰻でも焼いたら・・・と周りから突かれたらしい。それで一度やり始めたらその奥の深さにハマり、最近は余った炭火でよくウナギを焼いているようである。奥様曰く、最初の頃よりかなり腕を上げたのが日に日にわかるとのことであった。せっかくなので一口サイズで頂くことにした。ほんのわずかなご飯の上に鰻を2切れ頂いた。タレはまあ改善の余地はあるような気がしたが、鰻はふんわりで皮がパリッとしてとても鰻の素人が作ったものとは思えない出来の美味しさであった。まあ素人とはいっても本業はフレンチのシェフである。料理の専門家なのでそのあたりのところはさすがだなと思った。

今回はカウンターを通してシェフや奥様とゆっくりお話をすることができた。おふたりとも九州のご出身でとても温かな方たちである。以前の店舗ではこういう雰囲気は味わえなかった。やはりお話しできるのはとても嬉しい。

ますます通いたくなるお店なのである。

覚王山にあることはちょくちょくお邪魔していたお店である。美味しいのに不思議といつも予約を簡単に取れるのでとても重宝していた。ここ１年ぐらいご無沙汰していたのだが、友人が春岡を通っていてこちらに移転しているのを発見！！お誘いを受け行ってみることにした。

まだオープンして１週間ぐらいしか経っていなかったようで店の前には開店祝いの多くの花が並べられていた。今回のお店はカウンターメインである。しかし奥にもテーブル席の個室があるようであった。カウンターは８名ぐらいかな。向こう側にはシェフの調理場があり、席からよく見える造りになっていた。
以前のお店はテーブル主体でカウンターはなかった。しかも調理場が壁に隔てられていたので料理をするところどころか、シェフの顔さえ食事の後の最後のご挨拶の時まで分からない状態であった。また雰囲気も明るくなったせいか、シェフや奥様のお顔までも明るくなった気がした。

以前は何コースかあったのだが、今回移転を機に９０００円の１コースのみとなった。その中にはこちらのシェフのスペシャリテであるオマール海老のローストも入るから驚きの価格である。以前は確か１万円を超えるコースでないとこれは入らなかったんじゃないかな？？？

今回のコースは最初は生ハム、そしてノルウェーサーモンのマリネからのすたーとであった。どちらもとても美味、さすが、としか言いようのない美味しさであった。カウンター越しにシェフの料理をしている顔を初めて見たのだが、冗談を言いながらも眼光は鋭くプロの気迫すら感じさせられた。

次は足長蛸と空豆のマリネ ハーブソース、そして鮎とフランス産フレッシュフォアグラのパテであった。これもフォアグラ感がしっかりあり食べ応えのある料理であった。

そしてここでシェフのスペシャリテである活オマール海老のロースト　 ラ・ドゥールスタイルの登場である。オマール海老を香ばしくローストしてそれにハニーベースの甘いソースでまとめてある。一見オマール海老に甘いソースは合わないような気もするのだが、全くそんなことはない。ローストした香ばしい香りととてもマッチするのだ。こちらに来たらこれを食べずには帰られない、そんな料理なのだ。

メインは何種類かあったが私は仔牛のローストにした。これも美味しかったのは言うまでもない。

これだけの料理がこの値段というのはお得としか言えないだろう。公共交通機関で行くとなると少し不便な場所なのだが、それを考えてもこちらに来る価値はあると思う。

新しい出発をしたシェフご夫妻に心よりエールを送りたい。私も時々伺わせて頂きます。